著者
今井 隆雄 渡邉 和男
出版者
近畿大学生物理工学研究所
雑誌
近畿大学生物理工学研究所紀要 = Memoirs of the Research Institute of Biology-Oriented Science and Technology (ISSN:1344414X)
巻号頁・発行日
no.1, pp.41-47, 1998-11-01

遺伝子組み換え作物に関する民間の認識調査を質問紙を用いて約1000名について行った。調査対象は組み換え体作物由来の食品に関心のある消費者団体および組み換え体等バイオテクノロジーに関与する大学等教育/研究機関を中心として行った。 遺伝子組み換え作物について「安全なら抵抗はない」という解答が7割の人々から得られた。一方、組み換え体に関する技術の情報が、一般市民に十分に流通されていないことや技術論に基づく安全性の情報が提供されていないことが調査から指摘された。 現状の一般社会への速やかな報告と科学的知識を提供することが求められていることが考えられた。このような科学的知識は安全性への不条理な不安だけでなく、感覚的抵抗感や不十分な啓蒙からくる誤解をも払拭すると予測された。 (英文) A survey was made for public perception on genetically engineered crops and their derivative food materials. Questionaire sheets were collected from about one thousand people belonging to concerned parties such as consumers' associations and to colleges or research institutions specialized in biological sciences. A fear came out from the lack of flow of basic information with respect to the transgenic technology and the significance of the genetically engineered crops for the food production and environmental protection. However, more then seventy percent of the answers indicated that providing that the proof of the safety of the transgenic crops were to be openly available, the trangenic crops and their derivative materials could be accepted for uses. Thus, the systematic and abundant information such via public enlightment is the key for gaining understanding towards the new technology and products.
著者
松井 健一 増田 美砂 杉藤 重信 伊藤 太一 渡邉 和男 西川 芳昭
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

環境ガバナンスに資するデータベースの概要を研究代表者が管理するウェブサイトに構築するとともに、伝統知とその法的問題点について査読入り学術図書1冊と当該課題に関する査読入り学術論文を4本出版した。学会発表は7回行った。また、毎年著名な研究者を筑波大学と国連大学高等研究所へ招へいし、シンポジュウムと研究者交流を行い、オーストラリア、カナダ、アメリカ、ドイツ、インド、ブラジルの研究者との共同研究へとつなげることができた。当該課題に関する修士論文を3本主査として指導した。
著者
北島 宣 山本 雅史 伊藤 謙 米森 敬三 深尾 葉子 安冨 歩 中崎 鉄也 山崎 安津 清水 徳朗 中野 道治 岳 修平 林 維真 鐘 國芳 中野 道治 長田 俊樹 渡邉 和男 河瀬 真琴 山下 満智子 前山 和範 中村 彰宏
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

ウンシュウミカン、カボス、などの両親が明らかとなり、多くの日本在来カンキツは、キシュウミカン、ユズ、タチバナに起源していることが明らかとなった。キシュウミカンは中国江西省の「南豊蜜橘」に由来することが示された。タチバナは台湾に起源し、沖縄を経て本土に伝播したと考えられ、タチバナの沖縄系統はシークワーサーとの交雑によって生じたことが示唆された。田中長三郎のカンキツ標本を整理してデジタル入力を行い、検索機能も付加してアーカイブ化を行った。田中長三郎の自筆スケッチなどの資料を蒐集・整理してデジタル化を行うとともに、和歌山県橘本神社のカンキツ博物館「常世館」に展示し、広く一般に公開した。
著者
渡邉 和男
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:基盤研究(B)2009-2011
著者
菊池 彰 河岡 明義 島崎 孝嘉 于 翔 海老沼 宏安 渡邉 和男
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.17-26, 2006-03-01
被引用文献数
9

地球規模での環境悪化や食糧問題を改善するための手段として,遺伝子組換え植物を効率的に利用する研究が進められている.本研究では,閉鎖系温室,特定網室,隔離ほ場と段階を追って有用遺伝子組換え植物を実際に育成し,さまざまな科学的知見に基づいて環境安全性評価を確立することを目的の1つとしている.適合溶質の産生に関わる土壌細菌Arthrobactor globformisのcodA遺伝子を導入した耐塩性ユーカリ(Eucalyptus camaldulensis Dehnh. codA 12-5B, codA 12-5C, codA 20-C)が塩ストレス培養条件下で選抜され,その導入形質の安定性と環境影響評価を閉鎖系温室・開放形温室にて実施した.各遺伝子組換え体の遺伝子発現は非耐塩ストレス環境下で18ヶ月間安定していることが明らかとなり,耐塩性も維持されていることが明らかとなった.一方,環境影響評価については,有害物質の生産を発芽アレロパシー試験・土壌微生物相の調査・液体クロマトグラフィー・ガスクロマトグラフィーのいずれの試験においても組換え体と非組換え体との間に有意な差が認められなかった.また,生長性・形態についても顕著な差異が認められず,組換え体と非組換え体との間の違いは耐塩・耐乾燥性以外には認められなかった.一方,非組換えユーカリの野外栽培の結果から,競合における優位性,食害等も認められなかった.また,本邦に交配可能な近縁野生種の自然分布はなく,近隣の栽培ユーカリに対する交雑も,既知の交雑性から極めて低いことが考えられた.以上の点から,本遺伝子組換えユーカリは耐塩性を除き,非組換えユーカリと相違点は認められず,隔離ほ場における栽培に際して,生物多様性影響が生じるおそれは無いと判断された.
著者
渡邉 和男 河瀬 真琴 マシウス ピーター 西川 芳昭 松井 健一 阿部 健一 香坂 玲 阿部 健一 香坂 玲 院多本 華夫 渡邊 高志 磯崎 博司 藤村 達人 箕輪 真理 木村 武史 王 碧昭 伊藤 太一 帳 振亜
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

農業食糧及び薬用遺伝資源の多様性について、国境を超越して生存する少数民族に関わり農家保全の実地・実験調査を実施した。ミャンマー北部、ミャンマー、タイとラオスの国境地帯について山間部を主体に研究を実施した。過剰開発や貨幣経済の浸透、さらに不均衡な情報の供給と啓蒙の欠如で、在来の植物遺伝資源が絶滅危惧になっていることやその伝統的文化に支援された知見が急速に失われてきていることがわかった。モノグラフや公的機関の報告書として情報発信した。