著者
高嶋 和毅 大森慈子 吉本 良治 伊藤雄一 北村 喜文 岸野 文郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.3811-3820, 2008-12-15

キャラクタの瞬目率を制御することによってキャラクタの魅力や心理状態の表現を操作する手法を検討し,キャラクタの瞬目アニメーションに関する設計指針を提案する.本研究では,2つのキャラクタ印象評定実験を行った.実験1では,刺激に中程度のリアリティを持つキャラクタモデル(男女2体ずつ計4体)を用い,瞬目率を9,12,18,24,36 blinks/minと変化させた場合の観察者の印象をSD法により評価した.実験2では,カートゥーンキャラクタモデル(男女,動物,未知の生物を各2体ずつ計4体)を用いて同様の実験を行った.これらの結果,18 blinks/minの瞬目率が最も親近性のあるキャラクタであると判断され,この傾向は人型キャラクタにおいて顕著であった.また,36 blinks/minなどの高頻度の瞬目を行うキャラクタは活発でない印象を与え,9 blinks/minといった低頻度の瞬目では知的な印象を与えることなどが分かった.
著者
高嶋 和毅 大森慈子 吉本 良治 伊藤雄一 北村 喜文 岸野 文郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.3811-3820, 2008-12-15

キャラクタの瞬目率を制御することによってキャラクタの魅力や心理状態の表現を操作する手法を検討し,キャラクタの瞬目アニメーションに関する設計指針を提案する.本研究では,2つのキャラクタ印象評定実験を行った.実験1では,刺激に中程度のリアリティを持つキャラクタモデル(男女2体ずつ計4体)を用い,瞬目率を9,12,18,24,36 blinks/minと変化させた場合の観察者の印象をSD法により評価した.実験2では,カートゥーンキャラクタモデル(男女,動物,未知の生物を各2体ずつ計4体)を用いて同様の実験を行った.これらの結果,18 blinks/minの瞬目率が最も親近性のあるキャラクタであると判断され,この傾向は人型キャラクタにおいて顕著であった.また,36 blinks/minなどの高頻度の瞬目を行うキャラクタは活発でない印象を与え,9 blinks/minといった低頻度の瞬目では知的な印象を与えることなどが分かった.The purpose of this study is to establish guidelines for managing the attractiveness of a character by changing the rate of the character's blinking. We conducted experiments to investigate the effect of the character's blink rate on a viewer's personal impression. The stimulus characters, humans with generic reality (male and female), cartoon-style humans (male and female), animals, and unidentified life forms, were presented as a 20-second animation with various blink rates: 9, 12, 18, 24 and 36 blinks/min. Subjects rated impressions of the presented stimulus character on a seven-point semantic differential scale. Results showed a significant effect of the character's blinking on viewer's impressions, and it was larger with the human-style character than the others. The results also lead to several implications and guidelines for the design of character representation. The blink animation of 18 blinks/min with a humanstyle character can produce the friendliest impression. The higher blink rates, i.e. 36 blinks/min, give inactive impressions while the lower blink rates, i.e., 9 blinks/min, give intelligent impressions.
著者
大森 慈子 山田 冨美雄 宮田 洋
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.183-189, 1997-03-31 (Released:2016-12-06)
被引用文献数
7

The purpose of the present study was to investigate the influences of speakers' eyeblink frequency on receivers' impression formation in person perception. One hundred and thirty-four subjects, 96 males and 38 females, participated in this study as the receivers. The speakers were presented on video display, and they blinked either frequently or rarely. Subjects then rated impressions of the speakers on a set of 32 items of SD-scale. A factor analysis of the ratings yielded 3 factors, interpreted as "dynamism", "intimacy", and "sincerity". The frequently blinking speakers were rated less dynamic, intimate, and sincere, than the rarely blinking speakers. The results indicate that frequent eyeblinks had negative influences on impressions.
著者
大森 慈子 廣川 空美 千秋 紀子 立平 起子
出版者
仁愛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、泣くことや涙に対する一般的な認識を捉えた上で、泣きと涙の定量化を試み、涙を流すことによる心身状態の変動を明らかにするものである。研究の結果、感動映画に対する泣きの程度に、内容の知識や以前に視聴した経験は大きく影響しなかった。また、他者の涙を見た際、笑顔や他の表情とは異なる感情反応が示された。綿糸、濾紙、綿球を使うことによって涙液量測定の可能性が得られた。さらに、泣くことに伴う唾液中コルチゾール値や心拍、瞬目といった生理的反応の変化が明らかになった。
著者
田多 英興 大森 慈子 廣川 空美 大平 英樹 友永 雅己
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.20, pp.57, 2004

ヒトにおける瞬目の行動研究はある程度知見が蓄積されており、発達的変化や、認知情報処理過程、さらにはストレスとの関連なども検討されている轣Aヒト以外の霊長類ではその知見は極めて限られている。そこで本研究では、瞬目行動の諸側面の比較研究の端緒として、まずヒト以外の霊長類における自発性瞬目の諸指標の系統比較を行なった。日本モンキーセンターで、ケージの中で自由に行動している個体を外からデジタルカメラ(30フレーム/秒)で撮影した。ビデオ記録をおこなった種は計84種であった。個体を特定できる種もあったが、集団で行動する小型の種では個体識別が困難であった。このような場合は複数の個体からのデータをプールした。瞬目が計数できる総観察時間が最低5分間になるように記録した。本発表では、予備的解析の終了した54種について報告する。瞬目率の平均については、最大でボンネットモンキーの20回/分であった。この値はヒトとほぼ同じであった。ついでトクモンキー(17.0)、ニホンザル(15.1)と続いた齦似宗5分間一度も瞬目をしなかったポト(0)、ついでレッサースローロリス(0.2)、オオギャラゴ(0.3)、ショウギャラゴ(0.3)、ワオキツネザル(0.4)と続いた。これらの種では数分間に1回という極めて少ない瞬目頻度を示した。興味深いことに、ヒト以外の霊長類では、瞬目が眼球運動または頭部運動と連動して生じることが非常に多く、54種の平均でみると、眼球/頭部運動なしで生起した瞬目はわずかに27.1%で、残りの多くは水平または垂直の頭部運動と連動して生じた。特に水平の運動と連動する瞬目は全体の50%に達した。さらに、眼瞼の運動速度もまたヒトと比べて非常に速いことが明らかとなった。平均すると194.2ms±44.6となり、ヒトの約半分の時間で眼瞼の開閉が行われている。最長でも323.4ms(エリマキキツネザル)で、ヒト (約400ms) に比べても速いことがわかる。最短は138.6ms(トクモンキー)で、これはヒトの閉瞼の時間に相当する。今後は、種間比較をさらに進めるとともに、上記の結果の成立要因について検討していく予定である。
著者
大森 慈子
出版者
仁愛大学
雑誌
仁愛大学研究紀要 (ISSN:13477765)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.59-69, 2002-11-01

本研究の目的は, 瞬目と印象の関係について, テレビニュース番組中のアナウンサーに対して形成される印象が, 瞬目が多い場合と少ない場合とではどのように異なるのかを調べることであった。被験者は, 大学生99名 (男子43名, 女子56名) で, 平均年齢は20.7歳 (年齢範囲17-27歳) であった。刺激としてテレビニュース番組を15sに編集したビデオを用い, そこに登場するアナウンサーの瞬目率によって低瞬目率条件 (24-40blinks/min) と高瞬目率条件 (60-88blinks/min) の2条件を設定した。アナウンサーは, 男性5名, 女性5名, 計10名であった。ビデオを見た後, ビデオ中のアナウンサーに対する印象がSD法 (7点尺度) で評定された。それに加え, ビデオを見ているときの感情状態に対する "快-不快" 評定が行われた。印象評定結果について主因子法で因子分析を行い, "親近性""社会的望ましさ" "力動性"の3因子を抽出した。各瞬目率条件における印象をアナウンサーと被験者の男女別に比較したところ, 男性アナウンサーは, 瞬目が多いほうがより社会的に望ましいという印象であった。また, 特に女性被験者は, 男性アナウンサーに対して瞬目が多いほうが親近性があると評定し, 女性アナウンサーに対しては瞬目が少ないほうが親近性があるとした。力動性に関する印象については, 瞬目と印象の関係は見られなかった。一方, 男性被験者も女性被験者も, 瞬目の多い女性アナウンサーを見ている時がより不快であると評定した。本研究では, 瞬目の多発が否定的に評価されるという先行研究を部分的にのみ支持する結果となったが, 瞬目の多少が, 形成される印象だけでなく, 相手の感情状態にも変化を与えることが示唆された。また, 刺激人物がアナウンサーであったという特異性が, 瞬目と印象の関係に影響を与えた可能性について議論された。
著者
大森 慈子 宮田 洋 Yasuko Omori Yo Miyata
雑誌
人文論究 (ISSN:02866773)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.67-78, 1998-02-20
著者
水田 敏郎 藤澤 清 吉田 和則 保野 孝弘 大森 慈子 宮地 弘一郎 権藤 恭之 堅田 明義
出版者
仁愛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究では,知的障害を有する高齢者を対象に認知機能の検討をおこなった.S1-S2パラダイムに基づき,S1を顔刺激としS2で提示される複数の顔刺激からS1を検出するものとし,ボタン押し反応や視行動,ならびに心拍反応から検討を行った.その結果,若年成人群ではS1-S2間隔における心拍反応において,第1減速-加速-第2減速の三相からなる一過性の変動が出現し予期的減速反応を反映したものと考えた.また,後半S2提示直後の刺激探索に関する方略の獲得にあわせて,反応時間の短縮が認められた.他方,高齢者群では正答率,平均反応所要時間などの指標はいずれも若年成人に比べると成績が劣っていた.心拍反応については個人差が大きかったが全体的に若年群に比べて変化が小さく,加齢による心拍変動の減少によると思われた.次に,知的障害高齢者を対象とした同様の心理機能の検討を試みた.その結果,知的障害を有する事例はS2として提示した複数の刺激のなかからターゲット刺激を検出するのが困難であった.そのうち1事例の反応所要時間は顕著に延長しサッケード潜時は比較的短かった.この事例の心拍反応には,わずかに予期的反応を反映した減速反応がみられた.また別の事例では,反応所要時間は比較的短くサッケード潜時は延長していた.本事例の心拍反応はS1提示直後から減速し,S1に対する低位的性格をもつ反応と位置づけた.また同事例では予期的反応がほとんど惹起されず,このことが原因となってサッケードの生起が遅れたと考えられた.以上より本パラダイムで心拍指標を用いて検討すると,刺激の分析を含めた認知過程ならびに予期的反応の生起過程を捉えることが可能になるといえる.また心拍に反映された2つの心理過程は,行動指標の結果にも合致し,知的障害高齢者の認知機能の評価に有効であることが指摘できた.