著者
車田 利夫 浦口 宏二 玉田 克巳 宇野 裕之 梶 光一
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.157-163, 2010 (Released:2011-01-26)
参考文献数
24
被引用文献数
1

1992年から2006年にかけて実施したライトセンサスの結果を用いて,南部を除く北海道の広域的なアカギツネ(Vulpes vulpes)の個体数の動向を分析した.網走,十勝及び根釧の各調査地域では,1990年代にアカギツネの相対密度指標値が約1/3にまで減少した.この個体数減少に対する捕獲や主要な餌資源である野ネズミ類の密度などの影響は検出できず,この時期に北海道のアカギツネに流行していた疥癬が個体数減少に関与したことが強く疑われた.一方,同じ疥癬流行地域にも関わらず,道北,上川及び日高では明確な相対密度指標値の減少傾向は認められなかったが,この原因は定かではない.
著者
梶 光一 吉田 剛司 久保 麦野 伊吾田 宏正 永田 純子 上野 真由美 山村 光司 竹下 和貴
出版者
東京農工大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

ニホンジカの島嶼化プロセスとメカニズムを解明するために、島に導入されたニホンジカの生態・形態・遺伝の年代的変化を調べた。餌資源化で体の小型化が生じ初産齢が上昇したが、間引きによって体重の増加と初産年齢の低下が生じた。餌の変化に対応して第一大臼歯の摩耗速度は初回の崩壊後に早まった。一方、臼歯列サイズは、減少から増加に転じた。有効個体群サイズおよび遺伝的多様性も一度減少したが、その後それぞれ安定および増加に転じた。以上は、餌資源制限下で形態・遺伝に対して正の自然選択が働いた可能性を示唆している。
著者
常田 邦彦 鳥居 敏男 宮木 雅美 岡田 秀明 小平 真佐夫 石川 幸男 佐藤 謙 梶 光一
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 = Japanese journal of conservation ecology (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.193-202, 2004-12-25
参考文献数
28
被引用文献数
14 5

最近数10年間におけるシカ個体群の増加は,農林業被害の激化をもたらしただけではなく,シカの摂食による自然植生および生態系の大きな変化を各地で引き起こしている.自然環境の保全を重要な目的とする自然公園や自然環境保全地域では,この問題に対してどのような考え方に基づいて対応するかが大きな課題となっている.知床半島のエゾシカは一時絶滅状態になったが1970年代に再分布し,1980年代半ばから急増して,森林と草原の自然植生に大きな影響を与え続けている.知床半島のシカは冬季の気象条件と餌によって個体数が制限されているとはいえ,メスの生存率は高く,かつ自然増加率が高いために高密度で維特されている.メスも大量に死亡するような豪雪でも来ない限り激減することはない.そのため,自然に放置した場合には,植生への影響は軽減されないだろう.知床におけるエゾシカの爆発的増加が,自熱生態的過程か人為的な影響による要因かを区分することは,現状ではできない.管理計画策定にあたって重要なのは,半島全体の土地利用と自然保全の状況に応じて地域ごとの管理目標を明確にし,総合的な計画を策定することである.また,モニタリング項目として絶滅リスク評価につなげられるような「植物群落の分布調査」が不可欠である.知床国立公園内や周辺地域での生息地復元や強度な個体数管理などを実施する場合は,生態系管理としての実験として位置づけ,シカと植生の双方について長期のモニタリングを伴う順応的な手法を採用していく必要がある.
著者
吉原 正人 鈴木 馨 梶 光一
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.134-144, 2016-09-25 (Released:2017-02-02)
参考文献数
48

都心(上野動物園)と郊外(雪印こどもの国牧場)のハシブトガラス(Corvus macrorhynchos japonensis)の捕獲調査個体を材料として、体格と栄養状態の地域間比較を試みた。上野・こどもの国いずれでもカラスの性的二型は明瞭で、オスはメスに比べて体重・嘴峰長・嘴高が有意に大きかったことから(P <0.01)、体格の地域間比較は成鳥・幼鳥とも雌雄別に実施した。体重は成幼・雌雄とも上野がこどもの国より小さかったが(P <0.01)、餌の確保・運搬や他個体への威嚇・攻撃など生存競争に有利に働く嘴(嘴峰長・嘴高)は逆に成幼・雌雄とも上野がこどもの国より大きかった(P <0.01)。栄養状態(栄養不良率)については、上野がこどもの国よりも悪く(P <0.01)、成鳥と幼鳥で比較すると、上野・こどもの国とも幼鳥の方が悪かった(P <0.01)。雌雄の栄養状態は、上野ではメスがオスに比べて悪かったが(P <0.05)、こどもの国では雌雄差がみられなかった(P >0.05)。捕獲季節を繁殖期(3〜7月)と非繁殖期(8〜2月)に分けても栄養状態を比較したが、繁殖期・非繁殖期とも上野がこどもの国より悪く(P <0.01)、上記の地域差に及ぼす捕獲季節の影響は認められなかった。以上から、生ゴミを餌資源として高密度分布する都心では体格が小型化して栄養状態が悪くなること、特に成長過程の幼鳥や体格でオスより劣るメスでは、栄養不良が顕著になることが示唆された。
著者
梶 光一
出版者
日本衛生動物学会
巻号頁・発行日
pp.1-1, 2005 (Released:2005-10-17)

大型草食獣は、個体数の激減後や環境が好転した場合、新たな好適な環境に持ち込まれた場合などに、環境収容力と個体数のギャップに反応して爆発的に増加すること、その結果、植生を破壊して餌不足に陥り、群れの崩壊が生じ、その後低密度となる、という食物仮説が一般に支持されてきた。しかし、実証的な研究は限られていた。そこで、エゾシカの個体数変動のパターンとメカニズムを明らかにするために、1980年代から洞爺湖中島や知床半島でモニタリングを開始した。もともとエゾシカが生息していなかった洞爺湖中島(面積約5平方キロ)には、1950_から_60年代に3頭が導入され、20数年間にわたって年率16%で増えつづけ、1983年秋に60頭/平方キロとなって植生を破壊し、翌冬大量死亡が生じた。群れの崩壊後、冬期の主要な餌であったササが食い尽くされて消失したにもかかわらず、それまであまり利用していなかった落ち葉に依存しながら年率6%でゆっくりと増加し、2001年には84頭/平方キロと初回のピークを越える高密度となり、その後再び群れの崩壊が生じている。一方、知床岬のエゾシカは1970年代初頭に再分布し、年率20%で増加を続け、1998年には118頭/平方キロと個体数のピークに達し、翌年冬に大量死亡が生じた。その後も個体数の回復と減少を繰り返し、増加率は冬期の気象の影響を受けている。これらの事例は、新天地や好適な環境では、低密度から出発した場合に爆発的な増加が生じること、餌資源制限と冬期の気象条件の組み合わせが個体数を調節していることを示唆している。洞爺湖中島や知床半島で見られたような爆発的増加は、1990年代に北海道東部で、2000年以降には北海道西部地域で生じている。増えすぎたエゾシカは、深刻な農林業被害のみならず、天然林の樹皮剥ぎ、列車事故、交通事故等の増加をもたらしている。また、最近では国立公園などの保護区において、自然植生に悪影響を与えるようになった。これらの問題に対処するために、北海道では1998年に農林業被害の軽減、絶滅回避、安定的な生息数水準の確保を目的とする「エゾシカ保護管理計画」を策定して、個体数の削減に努めている。 北海道では、エゾシカの分布域は生息数の回復と増加にともなって過去30年間に拡大を続けた。1980年代までは積雪が少なく、冬期の餌として重要なクマイザサとミヤコザサ地帯である北海道東部を中心に分布域が広がっており、シカの生息に不適当な多雪地である道西部と道南部を除いて、潜在的に分布可能なほとんど全ての地域に分布していた。しかし、1990年代に入ると、暖冬による積雪の減少とエゾシカの個体数増加に伴う個体群圧の影響によって、道西部地域にも急速に分布域が拡大したことが明らかになった。
著者
稲富 佳洋 宇野 裕之 高嶋 八千代 鬼丸 和幸 宮木 雅美 梶 光一
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.185-197, 2012-11-30
被引用文献数
1

北海道東部地域の阿寒国立公園においてメスジカ狩猟と個体数調整がエゾシカの生息密度に与えた影響を評価するために、1993年〜2009年に航空機調査を実施した。また、エゾシカの生息密度の変動に伴う林床植生の変化を明らかにするために、1995年〜2010年に囲い柵を用いたシカ排除区と対照区の林床に生育する植物の被度及び植物高を調査した。航空機調査の結果、生息密度は1993年の27.1±10.7頭/km^2から2009年の9.5±2.5頭/km^2へと減少した。1994年度のメスジカ狩猟の解禁後に生息密度が減少し始め、1998年度のメスジカ狩猟の規制緩和に伴って生息密度が急減し、1999年9月の個体数調整開始以降は、生息密度が低く維持されていることから、阿寒国立公園における生息密度の低下は、メスジカ狩猟の解禁と規制緩和並びに個体数調整による効果が大きいと考えた。林床植生調査の結果から、15種の嗜好性植物及び2種の不嗜好性植物について被度や植物高の変化を解析した。対照区では、嗜好性植物であるクマイザサやカラマツソウ属、エンレイソウ属の被度若しくは植物高が増加傾向を示し、不嗜好性植物であるハンゴンソウが消失した。阿寒湖周辺では、エゾシカの生息密度の低下によって、採食圧が低下したために林床植生が変化したことが示唆された。以上のことから、エゾシカを捕獲し、生息密度を低下させることは、高密度化によって衰退した林床植生を回復させるための有効な一手段であると考えた。
著者
大泰司 紀之 呉 家炎 余 王群 高 耀亭 揚 慶紅 彭 基泰 鈴木 正嗣 武田 雅哉 小泉 透 梶 光一 常田 邦彦 高槻 成紀 三浦 慎悟 庄武 孝義 YANG Qing-hong PENG Ji-tai GAO Yao-ting WU Jia-yan YU Yu-qun
出版者
北海道大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1988 (Released:1988-04-01)

《1.形態・系統学的研究》 年齢群別に標本の記載・検討を行う目的で年齢鑑定に関する研究を行い、第1切歯および第1大臼歯のセメント質組織標本により、正確な年齢鑑定ができること、および歯の萌出・交換・磨耗等によって、およその年齢鑑定ができることが判明した。体重は、2.5カ月〜3.5カ月の子鹿7例の平均の43kg、雄の場合1.5歳約70kg、2.5歳約180kg、7〜13歳の成獣は約205kg 、雌の6〜14歳では約124kgであった。胴長の平均は、成獣雄123.8cm、肩高はそれぞれ121.5、117.3cmであった。これまでに報告のない特微として、出生直後の子鹿にはニホンジカと同様の白班があり、生後2カ月、7月中旬頃には消失するることが挙げらでる。頭骨は他のCervus属の鹿に比べて鼻部顔面の幅が広く、眼下線窩が大きく深い。これは乾燥・寒冷地への適応、草原におけるcommunicationとの関係を推測させる。大臼歯のparasrastyle、mesostyleが発達していることは、固い草本を食べる食性に適応した結果と考え得る。角は車較伏の枝分かれをし、1歳で2〜3尖、2歳で3〜4尖、3歳以上で5〜7尖になるものと推定される。以上の結果などから、クチジロジカはアカシカに似るが、ルサジカより進化したものと考えられる。《2.地理的分布および生息環境》 チベット高原東部の海抜3000mから5000mにかけての高山荒漠・高山草甸草原・高山潅木草原に分布している。分布域は北緯29〜40度、東経92〜102度の範囲で、甘粛省中央部の南部、青海省東部、四川省西部、チベット自治区東北部および雲南省北部にまたがる。分布域の年降水量は200〜700mm、年平均気温は-5〜5℃、1月の平均気温は-20〜0℃、7月の平均気温は7〜20℃の間にある。森林限界は3500〜4000m、その上は高山草原であるが、4000〜4500m付近まではヤナギ類などの潅木がまばらに生えている。《3.生態と行動など》 主要な食物は草本類(カヤツリング科・禾本科・豆科)であり、冬期にはヤナギ類などの潅木の芽も食べる。胃内容や糞分析の結果では、クチジロジカはJarmanーBellの原理によると草食(Grazer)である。出産期は5月下旬から6月で、1産1子。初産は2歳または3歳で、毎年また隔年に通常12〜14歳まで出産する。最高寿命は、自然条件下では雄で12歳前後、雌はそれより長いものと推定される。群れは最大で200頭、平均35頭。雌と子および1歳の雄も加った雌群、雄群、および発情期にみられる雌雄の混群の3つの類型に分けられる。性比は2.2、100雌当りの子の数は29頭であった。夏期は標高い高山草原で過ごし、冬期は積雪の多い高山草原を避けて潅木林へ移動する。交尾期の最盛期は10月で、11月中旬に再び雄群・雌群に分かれる。妊娠期間は220〜230日と推定される。交尾期の社会組織はハレム型と交尾群型の2つがあり、ハレム型は雌が25頭以下の時にみられ、大きな角を持つ成獣雄が1頭だけ優位雄となって加わる。雌の個体数がそれより多くなると、複数の優位雄が参加する交尾群となる。音声行動には、うなり声と優位の雄が出す咆哮とがあり、特に咆哮は4〜5音節から構成される連続声で、クチジロジカ独特のものである。《4.保護管理について》 チベット高原のクチジロジカは、ヤク・ヒツジ牧業が同高原へもたらされた2000〜3000年前から、人類の影響を受け、「チベット解放」後は、家畜と人口が増えたこと、自動車道路が発達したこと、兵站が各地に出来て、銃が多数持ち込まれたことなどの直接・間接的な影響によって、分布域・生息数ともに大きく減少した。今後は、有蹄類の保護管理に従って、地域毎の適正頭数(密度)を算定したうえで、その頭数になるまでは哺護を禁止し、一定の密度に保つ必要がある。そのような体制の出来るまでの間は、各地に保護区を設定して減少傾向を止めることが最も現実的と考えられる。
著者
梶 光一 高橋 裕史 吉田 剛司 宮木 雅美 鈴木 正嗣 齊藤 隆 松田 裕之 松浦 由紀子 上野 真由美 及川 真里亜 竹田 千尋 池田 敬 三ツ矢 綾子 竹下 和貴 吉澤 遼 石崎 真理 上原 裕世 東谷 宗光 今野 建志郎
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

洞爺湖中島のエゾシカ個体群は、2度の爆発的増加と崩壊を繰り返して、植生に不可逆的な変化をもたらせた。その後落葉に周年依存するようになり、2008-2012年の間、高い生息密度(45~59頭/km^2)を維持していた。落葉はかつての主要な餌であったササよりも栄養価は低いが、生命・体重の維持を可能とする代替餌として重要であり、栄養学的環境収容力の観点から高密度を維持することが可能な餌資源であることが明らかになった。
著者
山本 さつき 鈴木 馨 松浦 友紀子 伊吾田 宏正 日野 貴文 高橋 裕史 東谷 宗光 池田 敬 吉田 剛司 鈴木 正嗣 梶 光一
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.321-329, 2013 (Released:2014-01-31)
参考文献数
35

銃器捕殺の勢子による追い込み狙撃法(n=4),大型囲いワナ(銃)(n=6),出会いがしらに狙撃するストーキング(n=9),シャープシューティング(n=14),および麻酔薬を用いた不動化捕獲の移動式囲いワナのアルパインキャプチャー(n=14),大型囲いワナ(麻)(n=8),待ち伏せ狙撃するフリーレンジ(n=10)を用いてニホンジカ(Cervus nippon)を捕獲した.肉体的ストレスの指標として測定したクレアチンキナーゼは,追い込み狙撃法(2,057±1,178 IU/L)がシャープシューティング以外の全ての捕獲方法より,また交感神経興奮の影響を反映するアドレナリン,ノルアドレナリンは,追い込み狙撃法(アドレナリン:16.500±4.655 ng/ml,ノルアドレナリン:20.375±8.097 ng/ml)が他の全ての捕獲方法より有意に高かった(P<0.05).精神的ストレスの指標として測定したコルチゾルは,囲いワナ(アルパインキャプチャー:2.63±1.90 mg/dl),大型囲いワナ(銃:1.38±0.50 mg/dl)および大型囲いワナ(麻:3.10±1.79 mg/dl)が他の捕獲方法より高い傾向が見られたが,これらは全てGaspar-Lópezほか(2010)により報告されたアカシカ(Cervus elaphus)の正常変動範囲内(1.30~6.49 mg/dl)であった.以上の結果から,追い込み狙撃法は身体的負荷が大きいこと,囲いワナは他の方法に比較して著しいストレス反応を伴う捕獲方法ではないことが明らかになった.よって,大量捕獲が可能な囲いワナで生息密度を低下させることは,アニマルウェルフェアに配慮した適切な個体数管理の手法になりうると考えられた.
著者
高橋 裕史 梶 光一 吉田 光男 釣賀 一二三 車田 利夫 鈴木 正嗣 大沼 学
出版者
The Mammal Society of Japan
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.45-51, 2002-06-30
被引用文献数
6

洞爺湖中島において移動式シカ用囲いワナの一種であるアルパインキャプチャーシステム(Alpine Deer Group Ltd., Dunedin, New Zealand)を用いたエゾシカ Cervus nippon yesoensis の生体捕獲を行った.1992年3月から2000年2月までに,59日間,49回の捕獲試行において143頭を捕獲した.この間,アルパインキャプチャーの作動を,1ヶ所のトリガーに直接結びつけたワイヤーを操作者が引く方法から,電動式のトリガーを2ヶ所に増設して遠隔操作する方法に改造した.その結果,シカの警戒心の低減およびワナの作動時間の短縮によってシカの逃走を防止し,捕獲効率(捕獲数/試行数)を約1.1頭/回から3.5頭/回に向上させることができた.
著者
鈴木 正嗣 梶 光一 山中 正実 大泰司 紀之
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.505-509, 1996-06-25
参考文献数
29
被引用文献数
13

北海道東部産のエゾシカ胎子87例で胎齢を推定し, 受胎日の変異と外部形態の発達過程とを明らかにした. 胎子の体重(W)と胎齢(T)との間には, T=(√^3<W>+2.730)/0.091関係式が認められた. この式を用いて胎齢を算出し, 捕殺日からの逆算により求められた推定受胎日は, 10月7日から翌1月17日の範囲で変異していた. しかし, その多くは10月中旬から11月上旬にかけて集中していた. また, 11月下旬以降に受胎したと思われる胎子9例のうち, 6例が1歳メスから採取された標本であった. これは, 北海道東部個体群の良好な栄養状態が, 1歳メスの成長と性成熟を冬期間にも可能にすることを示唆している. 胎子の外部形態においては, 感覚毛や一般被毛の発現時期と白斑の発現時期とが重複していなかった. また, いくつかの発達過程上の変化が, 特定の体重で起こることも確認された. これらの特性を利用することにより, 胎子成長は4段階のステージに分割できた. 各ステージにおける胎子の外部形態的特徴は, エゾシカ以外のニホンジカでも簡便な胎齢推定に役立つと考えられる.
著者
田口 洋美 佐藤 宏之 辻 誠一郎 佐々木 史郎 三浦 慎悟 高橋 満彦 原田 信男 白水 智 佐藤 宏之 辻 誠一郎 佐々木 史郎 原田 信男 白水 智 三浦 慎悟 神崎 伸夫 前中 ひろみ 高橋 満彦 岸本 誠司 中川 重年 梶 光一
出版者
東北芸術工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

本研究が開始された翌年平成18年度においてクマ類の多発出没が発生し、捕殺数は約5000頭、人身事故も多発した。本研究はこのような大型野生動物の大量出没に対する対策を地域住民の歴史社会的コンテクスト上に構築することを主眼とし、東日本豪雪山岳地域のツキノワグマ生息地域における狩猟システムと動物資源利用を「食べて保全」という市民運動へと展開しているドイツ連邦の実情を調査し、持続的資源利用を含む地域個体群保全管理狩猟システムの社会的位置づけとその可能性を追求した。