著者
安達 潤 吉川 徹
出版者
一般社団法人 日本小児精神神経学会
雑誌
小児の精神と神経 (ISSN:05599040)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.309-324, 2021 (Released:2021-01-05)
参考文献数
20

保護者の参加を伴う知的・発達障害の早期支援実践におけるICF情報把握・共有システム(安達,2018)の活用の効果を検討した.ICF情報把握・共有システムを用いて児の日常エピソードから支援関連情報を把握し,児の強みや支援効果の有無を確認して支援課題を絞り込み,支援者と保護者での情報共有・意見交換を通じて支援方法を考案・実行した.効果検証の質問票を行い,支援者からは環境要因を含む児の全体像を捉える大切さがわかった,保護者からは支援会議への参加で子育てのエネルギーをもらえたとの回答が得られた.活用前後の個別支援計画の比較では活用後の向上を認めた.一方,作業労力の軽減が今後の課題として示された.今後のシステム改善と運用方法の工夫は必要であるが,保護者が参画する早期支援実践への本システムの活用は,支援計画の実効性向上,支援者のスキルアップ,保護者の子育て支援によい効果をもたらすことが示された.
著者
室橋 春光 河西 哲子 正高 信男 豊巻 敦人 豊巻 敦人 間宮 正幸 松田 康子 柳生 一自 安達 潤 斉藤 真善 松本 敏治 寺尾 敦 奥村 安寿子 足立 明夏 岩田 みちる 土田 幸男 日高 茂暢 蓮沼 杏花 橋本 悟 佐藤 史人 坂井 恵 吉川 和幸
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

発達障害は生物学的基盤を背景とし、社会的環境の影響を強く受けて、非平均的な活動特性を生じ、成長途上並びに成人後においても様々な認知的・行動的問題を生ずる発達の一連のありかたである。本研究では発達障害特性に関する認知神経科学的諸検査及び、社会的環境・生活の質(QOL)に関する調査を実施した。脆弱性と回復性に関連する共通的背景メカニズムとして視覚系背側経路処理機能を基盤とした実行機能やワーキングメモリー機能を想定し、事象関連電位や眼球運動等の指標を分析して、個に応じた読みや書きなどの支援方法に関する検討を行った。また、QOLと障害特性調査結果の親子間の相違に基いた援助方法等を総合的に検討した。
著者
富士本 百合子 安達 潤
出版者
NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会
雑誌
自閉症スペクトラム研究 (ISSN:13475932)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.15-21, 2020-02-29 (Released:2021-02-28)
参考文献数
6

本研究の目的は、自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)のある当事者が運動制御を行なう場面や自己身体を認識する場面で、視覚情報と体性感覚情報の統合について検討することである。能動的な運動制御である描画運動をする図形描画課題と、受動的な触刺激位置弁別課題の2つの身体関連課題を設定し、検討を行なった。各課題ともに、視覚情報あり条件と視覚情報なし条件の2つ条件で行ない、視覚情報の有無が課題遂行に及ぼす影響を検討した。その結果、ASDのある当事者は視覚情報が得られず体性感覚情報のみを頼りに描画するとき、描画運動の初期で描画行動の調整が困難になることが示された。また触刺激位置弁別課題では、視覚情報が得られずに触刺激の提示された身体位置を判断する際にASDのある当事者は、課題の難度に左右されず身体表象の明確さに個人差が大きいことが示された。
著者
光永 俊郎 安達 潤子 蔵前 栄子 荒堀 圭子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.217-221, 1982-12-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
15
被引用文献数
1

1)マカダミアナッツの可溶性タンパク質を,水,食塩水,アルコール溶液,水酸化ナトリウム溶液を用いて分別抽出した.抽出率は97%であり,主画分は,アルブミンで,総タンパク質の約70%を占めていた.次いで,グルテリン,グロブリン,プロラミンの順であった.2)各タンパク質画分の電気泳動像は,それぞれ特徴のあるパターンを示し,各画分とも多種類のポリペプチドよりなり,プロラミン,グルテリン画分は,高分子ポリペプチドを多く含んでいた.3)各画分のアミノ酸組成は,グルタミン酸,アルギニンの高含量,含硫アミノ酸の低含量を特徴とし,アミノ酸価は,17.1から51.4であった.全タンパク質は51.4でごまのタンパク質とほぼ同じ値を示した.4)アルブミン画分は,ゲル濾過により,6画分にわけられた.さらにこれらの画分の電気泳動像は,それぞれ3~10種のパンドが認められ,極めて多種類の構成ポリペブチドよりなることを示した.
著者
安達 潤 貝崎 朋子
出版者
朝日大学
雑誌
岐阜歯科学会雑誌 (ISSN:03850072)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.67-72, 2008-10-20

初診時年齢25歳3か月の左右第二大臼歯の交叉咬合を伴うAngleII級2類の成人症例に対し,第1期治療として上顎にバイトプレート付きリンガルアーチを用い交叉咬合を改善し,第2期治療として非抜歯で上下顎にMulti Bracket System にて治療を行った.動的治療期間は19か月,保定後12か月経過した現在,良好なオーバージェット,オーバーバイトも維持でき左右第二大臼歯の交叉咬合も改善している.また前歯の適切なアンテリアガイダンスの確立により咬合状態および顎関節にも異常が認められず本人も満足している.