著者
大屋 栄一 宮保 進
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.33, no.7, pp.601-605, 1993-10-01 (Released:2017-08-01)

Very low calorie diets (VLCD) have many advantages, as they are inexpensive, safe and easy to give rapid and encouraging weight loss. On the other hand, many patients complain of psychic and somatic discomforts. Six simple obese patients (1 male and 5 females) had median body mass indexes of 32. 9 kg/m^2 and had median ages of 31 years. Associated medical problems included fatty liver, hyperlipidemia, and vertebral spondylosis in each 2 patients. Eating habits revealed irregular diet, anorexia, overeating, and unbalanced diet. In psychological tests, one male had near normal mentality, but 5 females showed some deviations of anxiety, dependency and hypomania. Affirmative attitude to self and/or others in egogram agreed well with our empirical assessment of patients. Typical weight loss during 2 complete formula diets and 4 combination diets was around 22 kg in 92 days. All patients demonstrated the elevation of the ketone body for starvation. Associated mental problems included anorexia (3/6) , depression (3/6), and insomnia (1/6) . Anorexia was the most important and concerned symptom since it was severe enough to suspect anorexia nervosa. Fortunately these problems were temporary, so VLCD could be continued without interruption. Other physical complaints were faintness and Gl symptoms (nausea, epigastralgia) , which were improved by conservative therapies. VLCD resulted in reliable weight loss in all cases. Among mental and physical complaints during VLCD anorexia occurred frequently. It was often severe enough to be suspicious of beginning of anorexia nervosa, but did not last long and VLCD could be continued. Consequently, psycho- somatic approach is needed to obese patients who undergo VLCD therapy.
著者
山村 至 越野 健 山村 真由美 宮保 進 布田 伸一 多賀 邦章 元田 憲
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.14, no.12, pp.1513-1519, 1982-12-25 (Released:2013-05-24)
参考文献数
19

近年ウイルス学的診断技術の進歩により,多数のウイルスが心筋炎を起こしうると考えられている.そのうちでもコクサッキーB群がウイルス性心筋炎をきたす最も頻度の高い原因と考えられている.われわれは頻度としては少ないが,臨床症状,胸部X線写真,心電図,ペアウイルス抗体価の4倍の上昇より,パラインフルエンザウイルス心筋炎が最も疑われた1症例を経験したので臨床所見と経過を記載した.この際心筋生検,201Tl心筋スキャンを施行し,臨床的には経過は良好であったが心筋生検の組織所見でかなりの心筋の変性を認め,急性期を過ぎた時点での201Tl心筋スキャンで,なお異常所見を得た.その後201Tl心筋スキャンは正常化している.心筋炎からうっ血型心筋症への移行も唱えられている点を考えると,心筋炎の予後,follow upの点でこれらの2つの検査が有用であると思われたので文献的考察を併せて行い報告する.
著者
山村 真由美 宮保 進 山村 至 多々見 良三 石瀬 昌三 大槻 典男 小田 恵夫
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.321-327, 1986

Pseudoxanthoma elasticum(PXE)は皮膚,眼,心血管系の弾力線維の変性を特徴とする遺伝的疾患と考えられている.今回著者らは,皮膚,皮膚組織所見,眼底に典型的なPXEの変化を有し,sicksinus syndrome (SSS) を伴った1例の心血管病変について文献的検討を加えて考察した.症例は59歳,女性.眼前暗黒感で入院,7年前に高血圧を指摘されたことがあるが入院時は正常血圧であった.臍周囲,頸部,腋窩,肘窩,鼠径部に対称性の黄色皮疹を認め,組織学的に変性弾力線維の増殖,カルシウムの沈着を認め,眼底に色素線条がみられた.心電図24時間連続記録にて,房室解離を伴うHR30以下の洞性徐脈,接合部補充調律を,電気生理学的検査により洞結節回復時間の著明な延長を認め,SSSを合併したPXEと診断したが眼前暗黒感が頻発するために恒久的ペースメーカーの植え込みを行った.冠動脈造影にて右冠動脈に狭窄を,心臓カテーテル検査で右心系,左室拡張末期圧の上昇を,左室造影にて左室壁の肥厚を認めた.左室肥大および左室拡張末期圧の上昇は過去に合併した高血圧症によるものと解釈された.本例におけるSSS,冠動脈狭窄および高血圧の既往の合併は一元的にPXEによるlarge,medium およびsmall arteryの壁の変化の可能性が示唆され,本症例を通じて,PXEの心血管病変は冠動脈,心ポンプ機能の検討の他,刺激伝導系も含めた詳細な検索と,十分な経過観察が必要であると思われた.
著者
石崎 武志 服部 絢一 松田 保 宮保 進 越野 健 藤村 政樹 岡藤 和博 南 真司 金森 一紀 佐賀 務 舟田 久
出版者
社団法人 日本呼吸器学会
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.86-97, 1985

肺真菌感染症を合併した21例の血液疾患を臨床床状, 胸部X線写真, 免疫血清学の観点から検討した. 起炎真菌はアスペルギルス17例, ムコール1例, 不明3例であった. 経気管支肺生検法で2例, 臨床経過で6例 (剖検所見で確認) を生前診断し抗真菌療法を行った. 抗真菌療法中に血液学的改善の得られた6例は治癒し, 改善の得られなかった2例は死亡した. 臨床症状として, 全例に通常の抗生剤不応性の熱発, 咳 (15例), 喀痰 (10例), 血痰 (10例), 胸痛 (9例), ラ音 (16例) 呼吸困難 (9例) を認めた. 胸部X線写真上, 肺炎様陰影 (12例), パッチイな浸潤影 (3例), びまん性微細網状小結節状影 (3例) シスト様影 (1例) を認め, air crescent sign を5例, 胸膜肥厚を9例に認めた.全例流血中アスペルギルスフミガーツス抗原・抗体とも陰性であった. 全体として, 注意深い臨床症状の観察, 胸部X線写真と経気管支肺生検法などによって早期に真菌性肺炎を診断し, 的確な抗真菌療法を開始することが, この致死的感染症治癒への一歩となる.