著者
桑名 正隆
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.10, pp.2446-2452, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5

膠原病・リウマチ性疾患の診療において,自己抗体検査は診断,病型分類,症状出現や予後の予測,活動性評価にきわめて有用なツールである.ただし,数多くある自己抗体検査を一括して測定するのではなく,それぞれの特性や測定原理を理解し,必要な項目を効率よくオーダーする.また,結果の解釈についても,臨床所見や経過を勘案しつつ判断することが求められる.
著者
濱口 儒人 藤本 学 長谷川 稔 小村 一浩 松下 貴史 加治 賢三 植田 郁子 竹原 和彦 佐藤 伸一 桑名 正隆
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.9, pp.1837-1843, 2009-08-20 (Released:2014-11-28)

抗U3RNP抗体は代表的な抗核小体型抗体の1つであり,全身性強皮症に特異的とされる.今回われわれは,金沢大学皮膚科で経験した抗U3 RNP抗体陽性全身性強皮症(systemic sclerosis:SSc)8例(女性6例,男性2例,発症時の平均年齢44歳)における臨床症状,治療,予後について検討した.病型分類ではdiffuse SSc(dSSc)が4例,limited SSc(lSSc)が4例だった.全例でレイノー症状を認め,指尖陥凹性瘢痕,手指の屈曲拘縮,びまん性の色素沈着を伴う例が多く,dSScでみられる皮膚症状を高率に有していた.一方,内臓病変に関しては,1例で強皮症腎を発症したものの,肺線維症や肺高血圧症,心病変など重篤な臓器病変を有する頻度は低かった.6例で皮膚硬化に対し中等量のプレドニゾロンが投与され,皮膚硬化の改善がみられた.観察期間中に死亡した症例はなかった.欧米では,抗U3 RNP抗体陽性SScはdSScの頻度が高く,肺線維症や肺高血圧症,心筋線維化による不整脈や心不全,強皮症腎などの重篤な臓器病変を有することが多いと報告されている.また,その予後は抗トポイソメラーゼI抗体陽性SScと同等で,予後不良例が少なくないことが知られている.したがって,本邦における抗U3 RNP抗体SScは欧米の症例と比較し,皮膚症状は類似しているものの臓器病変は軽症であると考えられた.しかし,抗Jo-1抗体陽性の抗ARS症候群を合併した症例や強皮症腎を生じた症例もあり,抗U3 RNP抗体SScの臨床的特徴についてさらに多数例での検討が必要と考えられた.
著者
瀬田 範行 桑名 正隆
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

関節リウマチ(RA)の末梢血中では既にCD146^+単球が活性化されていたが、関節修復に関わる可能性のあるCD14^+CXCR4^<high>単球は健常人より少なく、疾患活動性が高いRA患者ほど更に少なかった。一方、RAの腸骨骨髄中と末梢血中には関節破壊に関わる可能性のあるCD14^+CD15^+単球が多数存在したが、CD14^+CD15^+単球は健常人の末梢血中にも存在したため、CD14^+CXCR4^<high>単球とCD14^+CD15^+単球のバランスがRAの病態において重要である可能性が示唆された。
著者
桑名 正隆
出版者
慶應義塾大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

全身性硬化症(強皮症)患者ではトポイソメラーゼI(トポI)やRNAポリメラーゼI/IIIなど生命活動に必須な酵素に対する自己抗体が産生される。これら自己抗体は強皮症の発症を誘導しないことから、その産生は強皮症の病態に関連する付随的な現象と理解されている。これまでの研究成果から、抗トポI抗体産生は正常のT細胞レパトワに存在するトポIを認識する自己反応性CD4^+T細胞の活性化により誘導されることが明らかにされている。これらトポI反応性CD4^+T細胞は生理的な環境では発現されない抗原ペプチド(crypticペプチド)を認識することから、強皮症患者のいずれかの部位でトポIのcrypticペプチドが発現されている可能性が高い。そこで、申請者はトポI由来のcrypticペプチドの発現部位として、強皮症の病態の中心である線維芽細胞を想定した。その点を検証するため、強皮症患者の病変/健常皮膚または健常人皮膚より採取した線維芽細胞におけるトポIの過剰発現や分子修飾の可能性について検討し、以下の結果が得られた。1.強皮症病変部位の線維芽細胞におけるトポIのmRNA発現量は、強皮症患者の健常皮膚や健常人皮膚の線維芽細胞に比べて2-8倍上昇していた。2.免疫ブロット法による検討では、強皮症、健常人線維芽細胞でトポIの蛋白分子量に差はなかった。3.免疫沈降法による解析の結果、強皮症病変部位の線維芽細胞ではトポI分子が複数の蛋白と複合体を形成していることが明らかとなった。これらのトポI結合蛋白のうち少なくとも2つは強皮症患者健常皮膚や健常人皮膚の線維芽細胞ではトポIとともに免疫沈降されなかった。以上の成績より、強皮症病変部位の線維芽細胞ではトポIの発現が亢進し、他の蛋白(転写因子など)と結合することで過剰な細胞間マトリックスの産生や自己抗体産生にかかわっている可能性が示された。
著者
桑名 正隆
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.218-223, 2022 (Released:2022-11-22)
参考文献数
35

Idiopathic inflammatory myopathies (IIMs) are a group of disorders complicated by inflammation and resultant damage of skeletal muscles without known causes. Major advances have been recently made in the field of IIMs, including new classification criteria to better identify the patients with IIMs, and discovery of detailed muscle pathologic features and myositis–specific and myositis–associated autoantibodies that facilitates subgrouping of patients into more specific clinical phenotypes. IIMs are now classified into four major subgroups, i.e., dermatomyositis (DM), anti–synthetase syndrome (ASSD), immune–mediated necrotizing myopathy (IMNM), and inclusion body myositis (IBM). Patients with concomitant features of other connective tissue diseases are considered overlap syndrome. Almost all patients who used to be diagnosed as having ‘polymyositis’ are now re–classified as IBM, IMNM, or ASSD. IIMs are originally characterized by the presence of myositis, but it has been recently recognized that patients with typical DM rashes or myositis–specific autoantibodies plus interstitial lung disease without apparent skeletal muscle involvement are also included in this spectrum. Recent studies evaluating immunophenotypes of individual IIM subgroups have shown distinct pathophysiologies : type I interferonopathy and activation of the complement system in DM, type II interferon activation in ASSD, autoantibody–mediated complement activation in IMNM, and a primary role of CD8+ T cells in IBM. This information is useful in developing unique therapeutic approaches to individual IIM subgroups. Although corticosteroids are still the first–line therapeutic agents, their long–term use is known to increase serious side effects that affect patients' quality of life and survival. Attempts to minimize the accumulated dosage and duration of corticosteroids has been made in patients with systemic lupus erythematosus, and are now applied to patients with IIMs. For this purpose, initial combination of immunosuppressive drugs and molecular–targeting drugs is being actively introduced in the field of IIMs. Over the next few years, management of IIMs will undergo major advances and will be able to provide better medical care to the patients.
著者
桑名 正隆
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.243-250, 2018 (Released:2018-06-15)
参考文献数
28

要約:自己免疫疾患の多くでは,病原性を有する自己抗体が病態を直接誘導する.私たちはこれまでGPIIb/IIIa,β2 グリコプロテインI を認識するCD4+T細胞の詳細な解析を行い,これら自己反応性T 細胞は通常のプロセッシングで生成されない自己抗原由来の潜在性ペプチドを認識することを明らかにした.また,患者のみならず健常人の多くのT 細胞レパトワに自己反応性T細胞が存在するが,活性化フェノタイプは患者でのみ検出された.この事実は自己抗体産生が自己反応性CD4+T 細胞の存在により規定されるのではなく,その活性化を誘導する自己抗体由来の潜在性ペプチドの提示により規定されることを示す.したがって,何らかの環境要因により自己抗原の潜在性ペプチドが抗原提示細胞により提示され,さらに遺伝的素因,制御性T 細胞など免疫調節機構の破綻が加わることで自己免疫応答が誘導される.
著者
香月 有美子 鈴木 重明 高橋 勇人 佐藤 隆司 野川 茂 田中 耕太郎 鈴木 則宏 桑名 正隆
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.102-106, 2006 (Released:2006-04-30)
参考文献数
12
被引用文献数
6 6

Good症候群は胸腺腫に低γグロブリン血症を合併し,多彩な免疫不全状態を呈するまれな疾患である.我々はGood症候群に重症筋無力症(MG)を同時期に合併した症例を経験し,その免疫機能に関して評価した.症例は58才男性.四肢筋力低下,易疲労感のため受診し,抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性,胸腺腫からMGと診断.末梢血リンパ球数は正常であったが,著明な低γグロブリン血症(IgG 283 mg/dl, IgA 17 mg/dl, IgM 1 mg/dl)を認めた.拡大胸腺摘出術,副腎皮質ステロイド投与によりMGは寛解を維持しが,免疫グロブリンの定期的な補充にもかかわらず,呼吸器感染症やカンジダ症を繰り返した.経過中,副腎腫瘍,膵頭部癌と肝転移巣が判明し,細菌性肺炎により死亡した.免疫学的検討では,末梢血中のCD19+ B細胞が欠損していたが,各種マイトジェンに対するリンパ球増殖能は保たれていた.リコンビナントAChR蛋白により誘導されるT細胞増殖反応は低い抗原濃度でも観察され,MG患者に特徴的なパターンを示した.B細胞と結合する自己抗体を検出したが,本例では検出されなかった.Good症候群では免疫不全や自己免疫を含む多彩な免疫異常を呈することが示された.
著者
桑名 正隆
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.3, pp.470-475, 2018-03-10 (Released:2019-03-10)
参考文献数
11
被引用文献数
1