著者
糟谷 大河 小林 孝人 黒川 悦子 Hoang N.D. Pham 保坂 健太郎 寺嶋 芳江
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.31-45, 2016-05-01 (Released:2016-08-17)
参考文献数
45

3種の日本新産のチャツムタケ属菌,Gymnopilus crociphyllus (オオチャツムタケ),G. dilepis (ムラサキチャツムタケ)およびG. suberis (エビイロチャツムタケ)について,本州(茨城県,富山県,石川県,愛知県),鹿児島県(奄美大島)および沖縄県(西表島)で採集された標本に基づき,形態的特徴の記載と図を添えて報告した.核rDNAのITS領域を用いた分子系統解析の結果,これら3種はそれぞれ,最節約法のブートストラップ値で強く支持される単系統群を形成した.
著者
村松 芳多子 鈴木 亜夕帆 寺嶋 芳江 土橋 昇 渡邊 智子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.725-732, 2004-09-15
被引用文献数
1

Although, mushrooms have low nutritional value and are not easily digested, it is desirable to include them in the diet since they are rich in dietary fiber and vitamin D. This study evaluates the awareness of dietary habit and nutritional value among students studying nutrition and their families, with the objective of increasing the consumption of mushrooms and improving healthful dietary habits. Sixty percent of both the students and their families reported that they liked mushrooms, the orders of preference being shiitake, bunashimeji, maitake, and winter mushrooms (enokitake). Seventy percent of the students and their families ate mushrooms at least once a week. Tempura cooking style was least preferred the students. Both the students and their families value freshness and price when buying mushrooms, and purchase mushrooms because of their good taste. They also perceive mushrooms as being expensive.
著者
寺嶋 芳江
出版者
日本きのこ学会
雑誌
きのこの科学 (ISSN:13407767)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.101-108, 1996-10-31
被引用文献数
1
著者
寺嶋 芳江 渡辺 智子 鈴木 亜夕帆 白坂 憲章 寺下 隆夫
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.170-175, 2009

シイタケ培地へトレハロースを0.5,1,2,3,4%添加して栽培し,子実体の収量,トレハロース含有量,鮮度保持,食味への影響を試験した。その結果,収量には有意差のある変化を生じなかったが,0.5,1,2,3%添加培地から1回目に発生したMサイズ以上の子実体の個数割合が多くなった。無添加に比べて,2,3,4%添加培地からの子実体のトレハロース含有量は3回目までのいずれの発生回でも多くなった。鮮度については,2%添加ではいずれの発生回でも高い保持効果が認められ,特に4%添加では1回目に有意に高かった。官能検査では,2%と3%添加の場合に摂取時の「香り」,「食感」,「味」と「総合評価」が比較的高かった。
著者
中森 泰三 一澤 圭 Pham Hoang Nguyen-Due 寺嶋 芳江
出版者
日本土壌動物学会
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.106, pp.11-18, 2020

秋田県において菌類の子実体から得られた<i>Ceratophysella mediolobata</i> Nakamori, sp. nov. を記載した.また,沖縄県から本邦初記録となる<i>Ceratophysella liguladorsi</i> (Lee, 1974) が菌類の子実体から得られた. これらの2 種および<i>Ceratophysella tergilobata</i> (Cassagnau, 1954) は腹部第5 節に突起をもつ点で類似するが,<i>C</i>. <i>tergilobata</i> は他の2 種と上顎外片に1 本の副片毛をもつ点で区別でき(他の2 種は2 本),<i>C</i>. <i>mediolobata</i> sp. nov. は<i>C</i>. <i>liguladorsi</i> と腹部第4 節背面の後列の第3 毛を欠く点で区別できる(<i>C</i>. <i>liguladorsi</i> は第3 毛をもつ).DNAバーコードによる同定を可能にするために,<i>C</i>. <i>mediolobata</i> sp. nov. および<i>C</i>. <i>liguladorsi</i> のミトコンドリアのチトクロームC オキシダーゼサブユニットI 遺伝子および16S リボソームRNA 遺伝子の一部分の塩基配列を決定した.
著者
安井 瞭 岡本 透 寺嶋 芳江 Helbert Helbert 奈良 一秀
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.131, 2020

<p>外生菌根菌(以下菌根菌)は樹木の根に共生し、土壌中の無機栄養分を樹木に供給する菌である。琉球列島において広く分布する固有種の「リュウキュウマツ(以下松)」の根には、菌根菌が共生していることが明らかになっている。琉球列島には松が自生する島の他に人為的に松が導入された島が数多く存在する。このような人為的な松の導入と共に菌根菌も共に侵入する事例が小笠原諸島などでは明らかになっており、過去に松が植林されたとされる琉球列島の島々でも同様に菌根菌の共侵入が起こっていると考えられる。しかし、琉球列島においてはどの島にいつ頃松が導入されたのかという情報が明らかになっていない。そのため、本研究では江戸時代の国絵図や文献資料などから読み取った植生情報を活用し、琉球列島の島々の松林が自生か植林由来であるか起源を明らかにするとともに、植林の有無が菌根菌群集に与える影響について考察する。</p>
著者
寺嶋 芳江 Licyayo Dinah Corazon Matchoc 鈴木 彰
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.15-21, 2011
参考文献数
25

ナシ剪定枝から製造したおが粉のヒラタケ栽培への使用可能性を明らかにした.ナシおが粉から調製した培地からは,通常用いられているスギによる培地からと同量の子実体収量が得られた.化学分析結果によると,スギおが粉に比べてナシおが粉には菌糸体の成長に有用な遊離糖がより多く含まれていた.ナシおが粉を用いたヒラタケ栽培に適合する条件は,おが粉製造機で製造された粗い粒径のおが粉をそのまま用い,含水率65%(湿重/湿重)でふすま含有率40%(全乾重/全乾重)の培地を調製し,菌糸体のまん延後5日目に菌掻きを行うことであった.本研究成果は,資源再利用やリグノセルロースの生物的変換により,近年の全世界的な環境問題に対応できると考えられる.
著者
寺嶋 芳江
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.130, 2019

<p>ブ―タン王国は、北を中国、南をインドと接した小国である。ここでは宗教的理由、および自国のアイデンティティを確立するという観点から独自の森林施策を進め、木材利用のための伐採を極力制限して天然林のまま保全するという政策をとっている。食用きのこの人為的栽培として原木でシイタケが、稲わらでヒラタケが生産され、野生きのとしてマツタケと冬虫夏草が採取されている。森林資源の利用が著しく制限されている中で、木材の利用を前提とするシイタケの原木栽培、あるいは森林内での野生きのこ採取がどのように行われているのかを把握し、さらに現時点での問題点を提示する目的で調査を行った。森林の現状は2015年に行なわれた全国森林資源調査の結果、文献、および聞き取りによって把握した。きのこ生産状況については、国立きのこセンター資料と聞き取りにより調査した。ブータン王国における森林、原木シイタケ栽培と木材利用、野生きのこ採取と森林の保全についての現状を明らかにするとともに、森林利用の問題点を提示する。</p>
著者
安井 瞭 Helbert Helbert 寺嶋 芳江 奈良 一秀
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.130, 2019

<p>外生菌根菌(以下菌根菌)は樹木の根に共生し、土壌中の無機栄養分を樹木に供給する菌である。琉球列島において広く分布する固有種の「リュウキュウマツ(<i>Pinus luchuensis</i>)」の根には、菌根菌が共生していることが明らかになっている。琉球列島の島々はその形成史の違いにより2つのタイプに分けられる。古期岩類や火山活動によって形成された山地を有する島で、海進時にも海没しなかった「高島」と、琉球石灰岩からなる低平な島で海進時に海没したとされる「低島」である。高島のリュウキュウマツは自生のものであるが、低島のリュウキュウマツは1680年代以降に沖縄本島から移入されたものである。このように高島と低島では地史やマツ林の形成過程に違いがあり、これらの違いが菌根菌群集に影響している可能性が考えられる。本研究では琉球列島の低島に成立しているリュウキュウマツ林において、土壌中に埋土胞子群集として存在している菌根菌を分析し、これまでに調べられている高島のデータと比較することで、菌根菌群集の違いやその要因について考察する。</p>
著者
糟谷 大河 小林 孝人 黒川 悦子 Hoang N.D. Pham 保坂 健太郎 寺嶋 芳江
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.31-45, 2016

<p>3種の日本新産のチャツムタケ属菌,<i>Gymnopilus crociphyllus </i>(オオチャツムタケ),<i>G. dilepis</i> (ムラサキチャツムタケ)および<i>G. suberis</i> (エビイロチャツムタケ)について,本州(茨城県,富山県,石川県,愛知県),鹿児島県(奄美大島)および沖縄県(西表島)で採集された標本に基づき,形態的特徴の記載と図を添えて報告した.核rDNAのITS領域を用いた分子系統解析の結果,これら3種はそれぞれ,最節約法のブートストラップ値で強く支持される単系統群を形成した.</p>
著者
寺嶋 芳江
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.359-363, 1992-09-01

ナメコ2品種を用いて, 未利用樹種であるマテバシイについて培地基材としての適性をブナを対照として検討した。菌糸体伸長および腐朽については, マテバシイはブナよりも劣っていた。しかし, 米ぬかを10%加えた培地における収量性, 収量パターンおよび子実体の品質についてはブナと差はなかった。さらに, 培地添加物の量を増したり, 種類を変えることにより, 収量を増すことができた。マテバシイの鋸屑製造時に10%程度の樹皮が混入しても大きな影響はなく, ブナの代用基材としてマテバシイの価値は高いものと推察された。