著者
古川 祥子 藤原 和哉 尾本 美代子 村山 友樹 呉 龍梅 笹木 晋 熊谷 亮 五十野 桃子 秋根 大 小林 浩幸 高屋敷 典生 鈴木 浩明 島野 仁 野牛 宏晃
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.913-920, 2014

症例は21歳女性.2年前から繰り返す発熱,倦怠感,頭痛,動悸,嘔気が1ヶ月前より増悪し来院.血圧186/133 mmHg,脈拍106/分,体温38.5 ℃,血液検査上HbA1c 8.2 %,血糖356 mg/d<i>l</i>と糖尿病を認め,CRP 40.21 mg/d<i>l</i>, IL-6 100 pg/m<i>l</i>と高値だった.画像上<sup>123</sup>I-MIBGシンチグラフィーで集積のある7 cm大の左後腹膜腫瘤を認め,カテコラミン・メタネフリン高値であり褐色細胞腫と診断した.ドキサゾシン,プロプラノロールの他,発熱,炎症反応高値に対しナプロキセンを使用した結果,CRP 0.15 mg/d<i>l</i>, IL-6 1.7 pg/m<i>l</i>まで低下した.同時に耐糖能は改善し,インスリン療法を術前に中止し得た.IL-6高値を伴う褐色細胞腫では,ナプロキセンが二次性糖尿病を改善し,高血糖による手術リスクを減少し得ることが示唆された.
著者
小泉 美樹 風間 大吾 小林 浩
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.121-126, 2013-04-25 (Released:2013-05-15)
参考文献数
10

この調査では,農産品や地下水に存在するPb-214やBi-214の濃度状況や地域性,また,これらの濃度から計算される人への影響を求めることを目的とした。地下水中のPb-214やBi-214の検出濃度は土壌岩石組成により説明することができた。この結果から,地下水は地質の影響を反映していることが確認された。農産物への移行は,土壌岩石組成や種類,生育環境等,様々な要因が複雑に関与しており,地質要因を基に検出濃度を推定することはできないと考えられた。Pb-214やBi-214の検出濃度はいずれの試料も低く,年間の内部被ばくに対する影響は小さいと考えられる。
著者
森谷 修 小林 浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.2208-2217, 2003-08-15
被引用文献数
5

Synchronous CSMA with multiple CA方式の運用性の改善を図るべく,負荷トラヒックに応じて衝突回避(CA)用スロット数を適応的に設定する可変スロット方式について考察した.実現にあたっては,同時アクセス数の予測法やCAスロット数の設定法の確立がポイントとなる.実装例を用いたシミュレーションにより特性を評価したところ,多数のCAスロットを装備した固定スロット方式とほぼ同等の性能を発揮しながら,CAスロットの有効利用率を高めることによって,ネットワーク資源の効率的かつ安定な運用を実現した.さらに,固定スロット方式では不可避だったシステム管理者がネットワーク長や伝送速度に応じてCAスロット数を設定しなければならなかった運用管理上の煩雑さを回避できる見通しを得た.A contention-based access system with variable collision avoidance slots has been developed in order to improve operation abilities of a synchronous CSMA/MCA (carrier sense multiple access with multiple collision avoidance) system. This proposed system sets the number of CA slots adaptively according to offered traffic. Simulation results show that it provides high throughput performances comparable to those of fixed-slot systems with a lot of CA slots, avoiding the waste of network resources and complicated network managements on fixed-slots systems.
著者
持田 邦夫 小林 浩之 横山 保夫
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

ゲルマニウム-ゲルマニウム結合を骨格とする新しいσ共役系ポリマー(ポリゲルマン)を合成し、その薄膜における有機感光体としての評価を行った。以下、成果をまとめる。(1)σ共役系ポリゲルマンおよびその関連化合物の合成…従来のジクロロゲルマンのナトリウム金属還元法の他、ヨウ化サマリウム(II)による還元法や触媒による開環重合法の開発、さらにはπ系の置換したゲルマニウム-ゲルマニウム結合を骨格とする新しいポリマーの合成にも成功した。(2)ポリゲルマンは薄膜の物性研究…合成したポリゲルマンの可視・紫外吸収極大(300-350nm)やイオン化ポテンシャル(5-6eV)の物性研究を行った。(3)キャリヤ-輸送能力の検討…TOF法を用いて、その値が10^<-4>-10^<-5>cm^<-2>/V.sであることを見いだし、感光体として従来にない能力を有することがわかった。(4)イオンラジカルの研究…キャリヤ-輸送を理解するため必要なポリゲルミル陽イオンラジカルの研究を放射光を用いて行なった。発生した陽イオンラジカルの吸収極大は可視・紫外部に存在し、その分子量が伸びるに従い吸収極大が長波長にシフトをすることを見いだした。(5)ポリゲルマン薄膜の光、熱分解特性…溶液状態と比較しながら検討した。
著者
小林 浩
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.40, no.7, pp.828-834, 1988-07-01

2型糖鎖抗原に属するSialyl SSEA-1抗原を用いて婦人科疾患, 特に卵巣癌に対する腫瘍マーカーとしての有用性について検討するとともに, CA125との関連についても検討した. 子宮筋腫, 子宮内膜症, 良性卵巣腫瘍患者の平均値±標準偏差および陽性率は, 28.5±12.2U/ml(16.1%), 33.2±13.5U/ml (31.3%)および30.0±30.3U/ml (11.6%)であり, 子宮内膜症患者に比較的高い陽性率を認めた. 卵巣癌患者の臨床進行期別にその平均値±標準偏差および陽性率を求めると, I期は28.9±15.3U/ml(20.1%), II期は45.3±30.7U/ml(43.8%), III期は182.3±643.3U/ml(50.0%)およびIV期は63.2±70.4U/ml (72.2%)とその陽性率は臨床進行期が進むにつれて上昇した. また, 治療経過に伴うSialyl SSEA-1の変動は予後とよく相関した. CA125とのコンビネーションアッセイでは, Sialyl SSEA-1陽性でCA125陰性例は1例しか存在しなかつた. しかし, CA125と異なり, Sialyl SSEA-1は妊娠による影響が少ないため, 卵巣腫瘍合併妊娠における有用性はCA125より優れていた. 一方, 各種疾患腹水中や体液中のSialyl SSEA-1濃度を測定した結果, CA125と同様にチョコレート嚢胞内容液, 羊水中および卵巣癌患者腹水中に極めて高濃度の抗原が存在した. さらに, 子宮内膜症患者の腹水中濃度も比較的高値を示すため, これが血中濃度に反映している可能性が示唆された. 以上より, Sialyl SSEA-1抗原はCA125と同様, 子宮内膜症で比較的高値を示す傾向を認めたが, その陽性率はCA125より低率であつた. また, 卵巣癌の血清学的診断における有用性に関しては, 卵巣癌全体では47.2%に陽性を認め, 臨床的には予後をよく反映したが, 早期癌における陽性率が低く, 早期発見には不適当であつた. さらにCA125とのオーバーラップを認めたため, コンビネーションアッセイによる陽性率の上昇は期待できなかつた.
著者
小林 浩
出版者
社団法人 日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1051-1055, 2007-04-01

卵巣子宮内膜症性嚢胞から0.5〜1.0%の頻度で悪性化をきたすことが推定されている.45歳以上で6cm以上の腫瘍径を有する症例がハイリスクであると考えられ(4cmでも癌化の報告はあるが),卵巣子宮内膜症性嚢胞から癌化するまでは約5年の歳月を有する.閉経前の患者は長年(1〜15年)経過して徐々にチョコレート嚢胞が増大し悪性化をきたすのに対して,閉経後の患者は比較的短期間(1〜3年)で悪性転化をする可能性が示唆された.閉経期に増大するチョコレート嚢胞は悪性化を見逃さないように各種画像診断により評価すべきであると思われる.したがって,「閉経すればチョコレート嚢胞は治る」と患者に説明することは注意を要する.臨床的には,チョコレート嚢胞が悪性化する前には月経困難症等の症状が消失することが多い.病気が治癒したのではなく悪性化をたどっていると考える.また,エコーでは内部構造が黒くみえてくると要注意である.
著者
三浦 重典 小林 浩幸 小柳 敦史
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.410-416, 2005-12-05
被引用文献数
8 7

東北地域において中耕作業の省略と除草剤使用量の低減を目指したダイズの栽培技術を開発するために, 秋播き性の高いオオムギを利用したリビングマルチ栽培試験を行った.試験は, 2002年及び2003年の2年間実施し, リビングマルチ, 除草剤施用, 中耕の有無を組み合わせた処理区について, 雑草の生育量とダイズの生育・収量を調べた.2002年及び2003年ともに, リビングマルチ栽培では, 5月下旬にダイズと同時に条播したオオムギ(品種: べんけいむぎ)は, ダイズ(品種: タチナガハ)より3日早く出芽し, 6月下旬頃まではダイズの草高を上回っていたが, 7月上旬頃から葉が黄化し始めて8月上旬にはほぼ枯死した.両年ともリビングマルチ栽培では, 中耕作業や除草剤土壌処理を省略しても高い雑草防除効果が認められた.また, リビングマルチと除草剤を組み合わせた区では, リビングマルチのみで除草剤を使わなかった区より雑草乾物重が少なく, 両者の組み合わせにより雑草抑制効果は高まった.リビングマルチ栽培におけるダイズの収穫時期の乾物重は, 2002年は慣行栽培とほぼ同じで2003年は慣行栽培より劣った.しかし, 両年とも稔実莢数と百粒重が慣行栽培と同程度であったため, ダイズの子実収量はリビングマルチ栽培と慣行栽培との間で有意差が認められなかった.東北地域では, オオムギをリビングマルチとして利用することで, 倒伏の危険性は若干高まるものの, ダイズ作における中耕や除草剤土壌処理が省略可能であると判断された.
著者
森 靖 小林 浩 上野 洋一郎 森谷 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.355, pp.67-71, 2006-11-09
被引用文献数
1 1

発展途上国などの情報弱者地域への導入が期待されているflying S-CSMA/v-MCA方式は,衝突回避手続きに伴うRTT浪費問題を根本的に解決し,広域化を可能にするものである.方式開発にあたっては,これまで長短パケット数比を固定した静的なトラフィックを印加し,スループット特性や遅延特性などをシミュレーションにより評価してきた.ところで,近年急速に普及が進んでいるVoIPやストリーミングなどのリアルタイム系サービスに対応するには,QoS制御の導入が必須である.これに伴って,印加トラフィックを現在のサービス利用状況を反映したものに見直す必要が出てきた.大学キャンパス内で発生しているトラフィックを計測し,利用されているサービスやその利用頻度およびトラフィックパターンなどのモデル化を行い,トラフィックが動的に変動するシミュレーション環境を整備した.
著者
宮崎 政志 井田 一昭 宮崎 正和 猿渡 達郎 横田 英樹 小林 浩之 濱田 芳樹 杉山 裕一 新井 理恵 中村 裕紀
出版者
社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学会誌 (ISSN:13439677)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.298-304, 2007-07-01
被引用文献数
1

近年の電子機器には,小型化,高機能化および高速化が要求されている。一方,実装枝術には,これら電子機器の要求に対処するために,さらなる高密度化が要求されている。しかしながら,従来のプリント配線板上への2次元的な部品の高密度実装には限界がきており,樹指基板内に3次元的に部品を配置する部品内蔵技術が注目されている。われわれは,部品内蔵技術としてEOMIN(Embedded Organic Module Involved Nanotechnology)を開発した。EOMINの特徴は,銅コアに形成したキャビティ内に電子部品を内蔵させることと,銅めっき技術により内蔵した電子部品と電気的な接続を取る点てある。EOMINによるモジュール構造では,シミュレーションによる検討結果から,発熱量の大きな電子部品を内蔵したときに,発熱した熱を銅コアに拡散させ,効率的にマザーボード側に放熱できることがわかった。また,銅めっきを用いた内蔵部品との接続は,従来のはんだによる接続と比較し ヒートショック時の銅の塑性歪量が小さく,信頼性の高い接続技術であることがわかった。今回,われわれは,次世代の高密度実装技術としてEOMINを紹介する。