著者
野口 亮 黒田 健太 河村 光晶 矢治 光一郎 原沢 あゆみ 飯盛 拓嗣 小森 文夫 辛 埴 尾崎 泰助 近藤 猛
出版者
公益社団法人 日本表面真空学会
雑誌
日本表面真空学会学術講演会要旨集 2019年日本表面真空学会学術講演会 (ISSN:24348589)
巻号頁・発行日
pp.3Ha04S, 2019 (Released:2019-10-28)

非磁性のスピン分裂が生じるラシュバ効果は、スピントロニクスへの応用が期待されており、様々な物質でその発現が調べられている。本研究で我々は、Ag/Au(111)薄膜の量子井戸バンドにおいて膜厚と量子準位に依存したスピン分裂をレーザースピン分解ARPESによって見出した。さらに第一原理計算により、この振る舞いは量子閉じ込めによる電荷密度分布の変化によって説明できることを明らかにした。
著者
尾崎 泰弘
出版者
日本アーカイブズ学会
雑誌
アーカイブズ学研究 (ISSN:1349578X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.60-82, 2008-11-10 (Released:2020-02-01)

写真を豊かに活用していくためには、文書などと同様コンテクスト情報が重要である。特にこれまで意識されていなかった撮影の目的・動機や、写真撮影技術が写真師にほぼ独占されていた時代においては、撮影依頼者にも注目していく必要がある。しかし、歴史的な価値が高く地域史料として収集されている台紙付写真においては、これらの情報は伝存の過程で失われていることが多い。そこでその撮影年代を復元するために、写真台紙を史料学的に分析し、その特徴と撮影年代との関係を明らかにした。今後、このデータをより精緻にしていくためには、史料保存機関で写真台紙のデータを共有化していくことが必要である。そのための共通の基盤として写真史料学が今求められている。
著者
廣瀬 伸彦 高橋 雅彦 吉本 裕 利光 由紀 田中 愛 尾崎 泰史 戸浦 じゅん 御園 陽一 菅野 有造 芝本 隆 桑原 道雄 小笠原 陽
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.231-238, 2004-03-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
13

【目的】血液透析装置の消毒は主に次亜塩素酸ナトリウムが使用されるが, 消毒排液の環境汚染に対する影響が問題となっている. そこで残留性がなく, 環境汚染に対する影響の少ないオゾンが血液透析装置の消毒剤として期待される. われわれはオゾンが血液透析装置の消毒剤として有用か否かを基礎, 臨床の両面から評価した. 【方法】基礎: オゾンの安定性を電解質と有機物の添加試験から評価した. また, 血液透析装置内でのオゾン濃度の安定性を観察し, 装置プライミングボリュームとオゾン濃度減衰の関係を実験的に評価した. さらに, 透析液清浄化目的で使用される精密濾過膜へのオゾン水暴露試験を行った. 臨床: 個人用透析装置にオゾン水消毒を6週間施行し透析液エンドトキシン濃度, 細菌数を測定した. また, あわせて装置内の水経路各部位を肉眼的に観察した. 消毒行程は, 前水洗30分, オゾン水消毒30分, 後水洗30分とした. 対象に週1回次亜塩素酸ナトリウム消毒と酢酸洗浄を組み合わせた併用消毒を行った. 【結果】基礎: NaCl, アルブミンの添加でオゾン濃度は減衰した. 透析装置内でオゾン濃度は減衰し, 密閉系出口部で最も濃度減衰が大きかった. 精密濾過膜PEPA, PSはオゾン水で破壊された. 臨床: オゾン水消毒6週目に装置内にタンパク付着を認め, それに伴い装置内のオゾン濃度減衰は高値となった. 併用消毒では装置内の各部位に付着物は全く認めず, 装置内でのオゾン濃度減衰はなかった. 透析液中のエンドトキシン濃度, 細菌数は通常の次亜塩素酸ナトリウム消毒時と同程度であった. 【結語】基礎および臨床評価から考えると現状ではオゾン水単体での血液透析装置消毒に限界を感じる. しかし, 他の洗浄剤・消毒剤との組み合わせや洗浄消毒工程の変更, また装置内液流路構造の設計変更などの再検討により解決可能と思われた. したがって, 血液透析装置の消毒剤としてオゾンを用いる有用性は高いと考える.
著者
高村(山田) 由起子 尾崎 泰助
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.86, no.6, pp.488-492, 2017-06-10 (Released:2019-09-26)
参考文献数
18

グラフェンのケイ素版といえるケイ素の蜂の巣格子であるシリセンは,1994年の論文1)でその存在が理論的に予言されていたものの,実験的な合成報告があったのは最近である.黒鉛からの機械的剥離により得られるグラフェンと異なり,炭素と同じ14族元素の蜂の巣格子であるシリセンやゲルマネン,スタネンなどは母材となる層状物質が存在しないため,実験的な合成報告は単結晶基板上へのエピタキシャル成長によるものがほとんどであり,結晶構造と電子状態への基板の影響が無視できない.加えて,同定の決め手となる評価方法が存在せず,複数の相補的な分析法を併用する必要があり,なおかつ,得られた実験結果,特に電子状態の解釈を行うには,第一原理電子状態計算が不可欠であるなど,1つの研究室ではなかなか歯が立たない.本稿では,シリセンのような未知の2次元材料の研究を行うにあたって,実験と計算の協奏(競争?)がいかに重要であるかを,我々のこれまでの共同研究の成果を交えて論じてみたい.
著者
平沢 良和 山本 浩基 上野 順也 尾崎 泰 藤盛 嵩浩 好井 覚
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.CbPI1211, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】異所性骨化とは、通常骨化の起こらない組織に新生骨が発生する異常骨化現象である。整形外科やリハビリテーションの領域では、外傷後の拘縮した筋に関節可動域(Range of Motion;ROM)改善のための強制的外力が過度に加わった時に生じる化骨性筋炎として経験的に知られている。異所性骨化を併発すると、一旦運動療法を中止して局所の安静を図る必要があり、ROM制限の原因となることが多い。しかし、異所性骨化の診断には一般的に単純X線検査が用いられるため、X線像では軟部組織の評価は困難であり、異所性骨化がROMに及ぼす病態について不明である。今回、我々は異所性骨化を合併した大腿骨顆上骨折に対し、超音波検査(Ultrasonography;US)を行い、運動療法を継続した結果、正座が可能となるまで回復した症例を経験した。本研究の目的は、今回実施したUSでの異所性骨化の経時的変化について報告することである。【方法】対象は右大腿骨顆上骨折(AO/ASIF分類C1型)と診断された60歳代女性である。観血的整復内固定術(Zimmer NCB distal femoral plating system)後、膝蓋骨上内方に認めた腫瘤に対しUSを実施した。USにはGEヘルスケア社製LOGIQ9および10MHzリニアプローブを使用した。測定肢位は端坐位とし、測定部位は膝蓋骨直上から大腿骨長軸に近位へ5cm、内側へ3cmの部位で、腫瘤がプローブの中心となるように長軸走査を行った。大腿骨が鮮明に描出されるようにプローブの角度を調整し、膝関節屈曲-伸展の自動運動時の動態を撮像した。撮像した動画より腫瘤部の動態について定性的に観察を行った。測定は術後1ヵ月、術後2ヶ月、術後3ヵ月、術後7ヵ月に実施した。【説明と同意】対象には本研究の趣旨を説明し同意を得た上で実施した。【結果】術後1ヵ月のUSでは、腫瘤は高エコー像と低エコー像が混在する血腫であり大腿四頭筋との癒着を認めた。また血腫内部には音響陰影を伴う高輝度エコー像を認め、膝関節屈曲-伸展に応じて可動性を有していた。術後2ヵ月のUSでは血腫は骨化し、大腿骨との連続性を認めた。血腫と大腿四頭筋との癒着は剥離され、大腿四頭筋の滑走を認めていた。術後3ヵ月、術後7カ月のUSでは異所性骨化は経時的に縮小していた。【考察】異所性骨化の発生過程において、NicholasまたはKewalramaniらが述べる急性期の段階では、X線像での骨化は陰性であり、局所の腫脹、発赤、熱感やROM制限などの理学所見と、赤血球沈降速度、アルカリホスファターゼやクレアチニンホスホキナーゼなどの血液データが早期診断の指標となる。本症例では、局所の腫脹、熱感やROM制限を呈し、膝関節屈曲時に疼痛を認めたが、血液データによる評価は行われていなかった。後方視的にX線像を精査すると、術後1ヵ月の時点でわずかではあるが腫瘤部に仮骨形成を認めており、USでも血腫内部に仮骨と思われる音響陰影を伴う高輝度エコー像を認めた。しかし、当時はUSでの異所性骨化の動態に関する報告がなく、術後1ヵ月の時点では異所性骨化と判断できず、血腫が大腿四頭筋に癒着したものと考え、癒着剥離目的に大腿四頭筋の滑走を主眼とした膝関節屈曲-伸展の自動運動を継続した。術後2ヵ月のX線像では異所性骨化の形成を確認できたが、USでは大腿四頭筋と異所性骨化の癒着は剥離されており、また熱感や疼痛は消失しROMも拡大傾向であったため運動療法を継続した。機械的刺激が骨形成を促進すると考えられるため、異所性骨化の発生部位が関節運動により機械的刺激が加わるかどうかの判断が重要となる。術後1ヵ月では、仮骨を含む血腫は大腿四頭筋に癒着しており関節運動に伴い機械的刺激が加わり、骨形成を促進した可能性がある。術後2ヵ月では、X線像では異所性骨化を呈していたが、USでは大腿四頭筋などの軟部組織外に異所性骨化を認め、機械的刺激が加わらないと判断し、通常の大腿骨顆上骨折の運動療法を継続した。異所性骨化は経時的に吸収され術後1年のX線像では消失しており、運動療法を継続することで増悪することはなかった。本症例のX線像での異所性骨化は、USではKewalramaniが述べるcontiguous to boneであり、運動療法を継続することに問題はなかったと考える。【理学療法学研究としての意義】USでは軟部組織の動態観察が可能であり、異所性骨化の早期発見および発生部位を把握する上で非常に有用である。X線像だけで運動療法の中止を判断するのではなく、USにて異所性骨化の関節運動に伴う動態を判断した上で運動療法の適否を決定する必要がある。
著者
佐藤 幸紀 尾崎 泰助
出版者
北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科
雑誌
Technical memorandum (School of Information Science, Japan Advanced Institute of Science and Technology) (ISSN:09187561)
巻号頁・発行日
vol.IS-TM-2013-001, pp.1-58, 2013-07-25

2012年度に北陸先端科学技術大学院大学において学内で共同利用されている計算サーバや並列計算機を用いて行われた研究の概要および発表論文リストを紹介する.
著者
生岩 量久 竹内 安弘 鳥羽 良和 鳥畑 成典 谷沢 亨 尾崎 泰巳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.666-672, 2001-08-01
被引用文献数
23

電源が不要な光変調器を用いて多数のディジタル放送波(OFDM変調信号)を離れた場所に光ファイバで伝送できるシステムを開発した. 本システムは, 電波の受信点側に電源線を引く必要がなく, 設置工事・保守が容易であるとともに, 伝送線として光ファイバを使用できるため, 長距離伝送(約6km)が可能である. このため, 送信点から受信点への電波の回り込みを低減でき, 地上波デイジタル放送で予定されているSFN(Single Frequency Network:単一周波数ネットワーク)の実現に有効である. 本文においては主に, ディジタル放送波伝送に特有な課題の解決方法と伝送実験, 特に多波伝送特性評価結果について記述する.