著者
山口 智子 田村 麻美子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】いもジェンヌは、新潟市西区で栽培されているさつまいもで、品種は甘みが強くしっとりした食感が特徴の「べにはるか」である。2012年から新潟の砂丘地域における耕作放棄地解消のために栽培が導入され、ブランド化を目指した取り組みが行われている。ペーストを使った菓子の商品化や給食での利用も進んでいる。本研究では、さらなる普及を図るために、いもジェンヌの特性を明らかにし、家庭でおいしく食するための調理法を検討することを目的とした。<br><br>【方法】試料として、JA新潟みらいで栽培された平成29年産いもジェンヌ、市販品のべにはるか(新潟県産)、紅まさり(茨城県産)、紅あずま(茨城県産)、鳴門金時(徳島県産)、シルクスイート(茨城県産)、安納芋(新潟県産)を使用した。Brix糖度、還元糖量、β-アミラーゼ活性、抗酸化性の評価としてDPPHラジカル捕捉活性と総ポリフェノール量を測定した。加熱調理には、オーブン、電子レンジ、炊飯器を用い、加熱時間の異なるいもジェンヌの官能評価を行った。<br><br>【結果】生芋の糖度、還元糖量、β-アミラーゼ活性を測定した結果、いもジェンヌの糖度は、べにはるかに次いで高く、紅まさり、鳴門金時、シルクスイートよりも有意に高かった。還元糖量は安納芋に次いで高く、その他の品種より有意に高かった。β-アミラーゼ活性では、べにはるか、紅まさり、鳴門金時、シルクスイートよりも有意に高い値を示した。DPPHラジカル捕捉活性と総ポリフェノール量は、べにはるか及び他品種に比べてやや低い傾向にあった。3種類の加熱調理法の中で、いもジェンヌの甘さとしっとり感を最も引き出す調理法はオーブン加熱であり、抗酸化性も高かった。
著者
山口 智子 高橋 いく
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】米は主食として日本人の食生活の中心となる食材であるが、食生活の変化により米の消費量は減少している。その一方、ご飯をよりおいしく食べたいという消費者も増えており、量より質を求める傾向がみられる。近年、昔ながらのかまどで炊いたご飯に注目が集まっており、蒸しかまどが新たに開発されている。そこで本研究では、卓上型蒸しかまどで炊飯した米飯の特性について明らかにすることを目的とした。<br>【方法】平成25年度魚沼産コシヒカリを家庭用ハンディ精米機で精米して用いた。洗米後、米重量の1.2、1.3、1.4倍となるように加水し、30分間浸漬した後、ミニ蒸しかまど 1.5合炊き(小田製陶所)で炊飯した。炊飯時の温度変化を測定するとともに、米飯の水分含有率およびテンシプレッサー TTP-50BXⅡ(タケトモ電機)による物性の測定、官能評価を行った。比較対照として、加水量1.4倍で調製後、電気炊飯器にて炊飯した米飯を用いた。<br>【結果】蒸しかまどと炊飯器では炊飯時の温度上昇に大きな違いがみられ、蒸しかまどでの炊飯は約3分後から15分後にかけて徐々に温度が上昇するのに対し、炊飯器では2段階の温度上昇期がみられた。蒸しかまどで炊いた米飯の水分含有率は56.8%~60.6%、炊飯器で炊いた米飯は59.2%であった。蒸しかまどの米飯の物性を比較した場合、硬さ、こしともに加水量の多い方が値が低かった。付着性は加水量が多い方が値が高く、蒸しかまど1.2に対して1.3と1.4に有意差がみられた。粘りには有意差はみられなかった。炊飯器と蒸しかまど1.4を比べると、炊飯器の方が柔らかく、こしがあり、付着性が低いことがわかった。官能評価においては蒸しかまど1.4に比べて炊飯器で炊いた米飯が有意に好まれた。
著者
山口 智子 向井 志乃 魚谷 茂雄 大谷 壽一 澤田 康文
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.122, no.5, pp.331-338, 2002 (Released:2003-02-18)
参考文献数
10
被引用文献数
1

Phenytoin (PHT) exhibits nonlinear pharmacokinetics in the therapeutic range. Therefore a slight increase in dose may lead to considerable elevation of the serum PHT level. Although its bioavailability is dependent on the formulation, bioequivalence is considered to be preserved between the three major formulations, of tablet, 97% fine granules, and 10% powder. However, we experienced many cases of increases serum PHT concentration after changes in formulation from 97% fine granules to 97/4% hospital-made fine granules, and from the latter to 10% powder. Retrospective analysis revealed that these alterations were accompanied by 55% and 16% increases in the serum concentration-to-dose ratio of PHT, respectively. We investigated the factors of this increase by analyzing the weight of remaining powder in a package and the PHT content of each formulation. Each package of PHT formulation prepared with 97% fine granules and 10% powder was unsealed, and the contents were weighed to calculate the rate of recovery. The rate of ingestion was estimated by correcting the rate of recovery by PHT strength (i. e., 1.0 for 10% powder and 0.97 for fine granules). The rates of recovery and ingestion for 10% powder were 13% and 16% higher than those for 97% fine granules, respectively (p<0.01). In conclusion, Changing the PHT formulation from 97% fine granules to 10% powder may lead to a considerable increase in the serum PHT concentration and possibly induce PHT toxicity.
著者
山口 智子 松澤 良江 小谷 スミ子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 62回大会(2010年)
巻号頁・発行日
pp.247, 2010 (Released:2010-10-15)

目的 米粉パンはもちもち感やしっとり感があり、米の甘みが感じられ、腹持ちが良いなどの特徴を有している。しかし、小麦パンと比較すると水分含有率が高いため、硬化の進行が早く、作りたての食感を保つことは難しい。そこで本研究では、米粉パンの製造の際にトレハロースを添加することで、保存中に水分含有率と食感が保持できるかどうかを検討することを目的とした。方法 米粉パンの材料として、米粉・食塩・上白糖・オリーブオイル・ドライイースト・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC:SFE-4000、信越化学工業(株))・トレハロース・温湯を用い、180℃で焼成した。その後、ピュアパックに入れ25℃で5日間保存した。そして、保存1、2、3、5日目の試料について、水分含量を常圧乾燥法で、テクスチャー(硬さ、凝集性、付着性)を(株)山電製 卓上型物性測定器TPU-2S(B)を用いて測定した。また、トレハロースを添加した米粉パンと添加していない米粉パンについて、7段階評点法による官能評価を行なった。結果 トレハロースを添加した米粉パンは、保存日数が経過しても水分含有率の低下が少なかった。また、テクスチャーの変化を調べたところ、硬さと付着性の変化は少なく、硬化の進行が抑制される傾向がみられた。しかし、市販の小麦パンに比べるとテクスチャーの変化は大きく、柔らかな食感を保持することはできなかった。官能評価では、トレハロースを添加した米粉パンは添加していない米粉パンよりもきめの細かさやもちもち感、しっとり感などの食感が良いと評価され、総合評価でも有意に良く、好まれることが明らかになった。
著者
サントソ マルタ 山口 智子 的場 輝佳 髙村 仁知
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.202-213, 2014 (Released:2014-09-05)
参考文献数
30

パンギノキ (Pangium edule Reinw.) は,東南アジアおよび南太平洋諸島の熱帯植物であり,現地では,その種子から高含量のシアン化合物を取り除いた後に食される。パンギノキの種子はそのまま植物性食素材として消費するほか,穴埋め発酵により,特徴的なセイボリーなフレーバーを付け加えた香辛料として消費される。発酵した種子はクルワックと呼ばれる。これまでに,種子が高レベルの抗酸化活性および抗酸化成分を有することが報告されている。本研究では,パンギノキ種子における抗酸化活性および抗酸化成分の分布,ならびに穴埋め発酵および加熱調理の影響について,1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル (DPPH) 法,酸素ラジカル吸収能 (ORAC) 法,全フェノール量,アスコルビン酸量,ビタミンE量,脂肪酸組成を測定した。さらに,穴埋め発酵がパンギノキ種子の物性に及ぼす影響についても解析した。種子に含まれる抗酸化活性および抗酸化成分は,DPPHラジカル捕捉活性を指標とした場合,主に水系画分に存在したが,ORACを指標とした場合,水系,油系の両方に存在した。水系,油系の主な活性成分はそれぞれフェノール化合物およびγ-トコトリエノールであった。穴埋め発酵により,水系および油系の抗酸化活性は有意に増加したが,これはメイラード反応生成物によるものと思われる。同様に,加熱調理過程においても両方の画分で抗酸化活性が増加した。
著者
山口 智子
出版者
奈良女子大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2005

野菜には生活習慣病や老化を予防する機能性成分が多く含まれることが明らかになっている。近年、市場では色の異なる野菜や小型のものなど、見た目に珍しい野菜が出回わり、野菜を購入する際の選択肢が多様化している。そこで本研究では、野菜に含まれる機能性成分のうちラジカル捕捉活性とそれに寄与する成分について着目し、本年度は、野菜の品種、栽培条件、大きさ等に焦点をあて研究を行った。大きさの異なる野菜として、大ショウガと小ショウガの成分を比較したところ、アスコルビン酸量は相違ないものの、総ポリフェノール量やラジカル捕捉活性は大ショウガの方がやや高いという結果が得られた。次に、形状の異なる7品種のナスを用いて、塩もみ・浅漬け・揚げる・煮る・蒸す・焼くの各調理を行い、調理適性を明らかにするとともに、各調理法における美味しさに影響を与える食感について検討したところ、調理後のおいしさと食感、調理適性に品種間差があること、同品種内でもそのおいしさは調理法により差があることが示された。ラジカル捕捉活性は米ナスが最も高く、庄屋大長が最も低かった。栽培条件として、生育日数と機能性成分との関連性を調べたところ、ヤマトマナのラジカル捕捉活性は播種後11日目が最も高く、生育日数の増加に伴い低下し、26日目では11日目の約60%であった。総ポリフェノール量はラジカル捕捉活性と同様、生育日数の増加に伴い減少した。コマツナのラジカル捕捉活性と総ポリフェノール量もヤマトマナと同様の変動傾向を示した。さらに、LED照射によるカイワレダイコンの栽培を行い、LED照射の機能性成分への影響を検討したところ、LED照射試料では、太陽光に類似した波長を持つメタルハライドランプ照射に比べて各機能性成分は低値を示した。また、生物リズムが異なる変動を示すことが明らかとなった。