著者
岡本 一晃 松岡 浩司 廣野 英雄 横田 隆史 坂井 修一
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.80(1995-ARC-113), pp.201-208, 1995-08-23

我々は、スレッド制御を自然に行える実行モデルとして、コンティニュエーション駆動実行モデルを考案し、それに基づいてマルチスレッド処理を最適化する並列処理アーキテクチャRICA(educed Interprocessor?Communication Architectur)を提案している。現在開発を進めているRWC?1のプロセッサは、RICAに基づくマルチスレッド処理機構を有しており、通信や同期のオーバヘッドを削減することで大域的な並列処理性能の向上を図っている。本稿ではRWC?1プロセッサのマルチスレッド処理機構について述べ、RWC?1におけるスレッドレベル並列処理の基本動作を示す。
著者
長岡 浩司 韓 太舜 藤原 彰夫
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、主として量子推定理論と量子相対エントロピーに注目し、統計学的・情報理論的視点を通して量子系の情報幾何学の深化を図るとともに、幾何学的視点を通して量子系の統計学的・情報理論的諸問題に新しい光を当てることをも目指して研究を行った。主要な研究成果は以下の通りである。1.忠実な量子状態(正則な密度行列)全体の成す多様体上に導入されるFisher計量と(α=±1)-接続の成す双対平坦構造の一連の量子力学的対応物をできる限り統一的な視点のもとに整理するとともに、量子情報幾何構造の一般理論といくつかの個別構造の特徴、物理的・情報理論的意義などについて考察を行った。2.無数に考えられる指数型分布族の量子対応物のうち、推定論的に重要な意義を持つSLD(対称対数微分)にもとづいた量子指数型分布族に注目し、特に純粋状態から成る量子指数型分布族上の双対平坦構造が、複素射影空間(=純粋状態空間)上のFubini-Study計量(=SLD計量)の成すケーラー構造と密接に関係することを示した。また、純粋状態空間上ではRLD (右対数微分)に基づいたリーマン計量(RLD計量)は発散してしまうが、複素化された余接空間上ではこの計量は有限にとどまり、かつ推定論的な意義も保たれることを示した。これらの結果は未だ部分的知見に留まっているが、情報幾何の量子化・複素化への一つの方向性を示したものと言える。3.ボルツマンマシンは確率的ニューラルネットワークの一種であり、その平衡分布の成す集合は指数型分布族を成すことが知られている。我々は量子相対エントロピーおよびBKM計量から導かれる量子情報幾何構造の観点からボルツマンマシンの量子対応物を考え、古典的な場合との類似と相違について明らかにした。4.量子通信路の推定問題についてさまざまな研究を行い、情報幾何構造との関連を明らかにした。5.その他、関連研究として情報理論、量子情報理論、確率過程の情報幾何などに関する研究を行った。
著者
山田 明宏 幡野 健 松岡 浩司 照沼 大陽 江角 保明 左 一八 鈴木 康夫 西川 喜代孝 名取 泰博
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
ポリマー材料フォーラム講演要旨集 第13回ポリマー材料フォーラム
巻号頁・発行日
pp.161, 2004 (Released:2010-03-29)

生体内の細胞表層上には、糖タンパク質や糖脂質などの複合糖質中の糖鎖が外側に向かってアンテナ状に存在している。生体内に侵入してきたウイルスや細菌は、これらの糖鎖をマーカーとし、感染することが知られている。近年、糖鎖のもつ生理活性を高効率で発現させる糖鎖クラスター効果が注目を集め、様々な支持体を用いた糖鎖クラスター化合物の構築が盛んに行われている。これまで我々は有機ケイ素化合物であるカルボシランデンドリマーを支持体として液晶など様々な機能性基の集積化および物性評価を行ってきた。カルボシランデンドリマーは世代の拡張や分岐数・鎖長の制御が容易であるなどの特徴がある。この為、カルボシランデンドリマーを用いて糖鎖を集積化した場合、標的とするウイルス・毒素の糖鎖結合部位に適した分子設計がナノオーダーで可能であり、新たな糖鎖製剤となることが期待できる。
著者
安廣 重伸 佐藤 俊彦 田中 啓充 上野 亜紀 鶴岡 浩司 西江 謙一郎 柚上 千春 江戸 優裕
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ab0709, 2012

【はじめに、目的】 臨床場面において、足底板やテーピング等を用いて腓骨の操作をすることで、下肢の前額面上の運動をコントロールする場面を経験する。これに関する先行研究では、上島ら(2007)は入谷式足底板での外果挙上が、歩行時の骨盤の外方加速度を減少させたと報告し、腓骨の挙上が近位脛腓関節を介して脛骨を内上方に向って押し上げる力になった事をその要因として挙げている。このことから、腓骨の挙上または下制は、脛骨を介して膝関節の内外反運動に影響を及ぼす事が考えられる。そこで本研究では、膝の内反ストレスによって進行する(Andriacchi ら2004)とされる変形性膝関節症(以下膝OA)の症例を対象に、レントゲン画像を用いて脛骨に対する腓骨の高位と膝関節のアライメントの関係性について検討を行ったので報告する。【方法】 対象は2009年8月から2011年10月に当院で内側型膝OAに対し、片側人工膝関全置換術(以下TKA)を施行した症例のうち、レントゲン画像の使用に同意を得る事の出来た20名(40肢、男性5名、女性15名、平均年齢75±7.1歳)とした。対象者のTKA施行に際して医師の処方の下、術前検査の目的で放射線技師により撮影されたレントゲン画像(膝関節正面像・側面像・下肢全長の正面像)を用いて、以下の項目を計測した。計測項目は、腓骨下制量・腓骨長・Femoro-Tibial Angle(以下FTA)・Femoral Condyle-Femoral Shaft angle(以下FC-FS)・Tibial Plateau-Tibial Shaft angle(以下TP-TS)・Femoral Condyle-Tibial Plateau angle(以下FC-TP)・Posterior Proximar Tibial Angle(以下PPTA)とし、1mm及び1度単位で計測した。尚、腓骨下制量は、腓骨長軸に対して腓骨頭の外側隆起部及び脛骨高原最外側部からの垂直線をひき、成された2つの交点の距離として定義し計測した。そして、体格の影響を排除する目的で、腓骨下制量を腓骨長で除し、更に百分率で表すことで、腓骨下制率を算出して分析に使用した。統計学的分析にはFTA・FC-FS・TP-TS・FC-TP・PPTAの各々における左右差と腓骨下制率に関係があるかを対応のあるt検定を用いて検討した。尚、各項目において左右差がなかった対象者は群間比較からは排除して分析した。また、各膝関節アライメントと腓骨下制率に関係があるかをPearsonの積率相関係数を用いて検討した。有意水準は危険率5%(p<0.05)で判定した。【説明と同意】 対象者には本研究の主旨を説明し、レントゲン画像の使用に書面にて同意を得た。【結果】 計測の結果、腓骨下制量は28.1±4.2mm・腓骨下制率は8.7±1.2%であった。膝関節アライメントの指標として挙げた、FTAは181.4±3.9度・FC-FSは83.6±3.2度・TP-TSは94.5±3.5度・FC-TPは3.9±2.1度・PPTAは81.3±4.8度であった。膝関節アライメントの左右差と腓骨下制率の関係については、FTAの左右差による分類において有意な群間差を認め、FTAの大きい側の腓骨下制率は大きいことが分かった(p<0.01・n=19:1名は左右差なし)。FC-FS・TP-TS・FC-TP・PPTAの左右差による分類ではと腓骨下制率に群間差は認められなかった。膝関節アライメントと腓骨下制率との関係については、FC-FS・TP-TS・FC-TP・PPTAの全項目において有意な相関を認めなかった。【考察】 本研究の結果、左右の比較においてはFTAと腓骨の高位に関係が認められた。上島ら(2007)の研究を踏まえると、FTAの増大により腓骨が下制させられるのではなく、腓骨を上位で維持できなくなる事で、歩行時の膝関節外方化の是正が困難となり、内反ストレスが増大することで、FTAが増大すると考える。即ち、腓骨の挙上によって膝関節の内方化、腓骨の下制によって膝関節の外方化を促せる可能性があると考える。このことから、FTAなどの骨形態の変化がない場合でも、膝関節の内外反ストレスをコントロールする目的で腓骨の高位を操作することは効果が期待できると考えている。【理学療法学研究としての意義】 本研究により腓骨の高位とFTAに関係が認められ、腓骨の挙上は歩行時の膝関節の外反運動を生じさせ、下制は内反運動を生じさせると推察された。膝関節のアライメントを評価・治療する際、腓骨の高位を把握する事は重要であり、特に今回対象とした膝OAにおいては臨床的に有用と考える。
著者
松岡 浩司 阿部 浩通 今井 幸三
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.69-74, 2002-03-01

その病歴において両親から軟禁されるという体験があり、失立、失声等で発症した転換性障害の22歳女性症例を報告する。母親は一級身体障害者。幼少時より両親に交友関係や門限など厳しく制限されて生育した。中学生時過換気症候群を発症、高校入学後失立・失歩が出没するようになった。21歳時、恋人との交際を両親に狙反対され、自宅二階に軟禁状態となり、無断外出すると体制を与えられるようになった。この頃から失声も出現したため、近医より紹介入院(任意入院)となった。治療は①環境調整②両親への感情を患者に言語化させること、を目標とし、入院期間を限定した上で両親を含めた三者面談を頻回に行い、家族療法的アプローチを試みた。入院2ヶ月目、電話をきっかけに失声が消失したことから両親と会話が出来るようになり、その後の歩み寄りの過程で家族構造の歪みを双方が認識したことで症状が劇的に消失し退院となった。
著者
横田 隆史 松岡 浩司 岡本 一晃 廣野 英雄 坂井 修一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1600-1609, 1995-07-15
参考文献数
12
被引用文献数
4

超並列計算機の実現,特に,通信レイテンシンの隠蔽や並列性の自然な抽出において優位性を持つマルチスレッド・アーキテクチャでの超並列計算機を考える場合,細粒度・高頻度で非整列なパターンの通信に対する耐性や,通信レイテンシンの短縮について相互結合方式を検討しなければならない.また一方でOSなどの運用面での検討も必要である.本論文では,まずこのような超並列向けの相互結合網の要件を整理し,次に,間接多段網のスイッチを演算ノードに置き換えて得られるサーキュラ・オメガ網の特質に着目し,その定義を一般化することにより直接網のクラスDCE(Directed Cycles Ensemble)を定義する.そして,任意のDCE網の直積を考えることで多次元に拡張できることを示し,これによって得られる結合網のクラスMDCE(Multidimensional DCE extension)を提案する.代表的なDCE網,MDCE網について直径ならびに平均距離の解析を行い,さらに,シュミレーションにより5種類の通信パターンについて動的な転送特性の測定を行った結果,本稿で想定している超並列計算機に適用する場合のMDCE網の優位性が示される.
著者
長岡 浩司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.88, no.8, pp.874-885, 2005-08-01

情報幾何では, 確率分布を要素とする多様体上にフィッシャー計量及びα-接続という微分幾何学的構造を導入する. これは相対エントロピー(Kullback-Leiblerダイバージェンス)の幾何ともみなせ, 統計学や情報理論をはじめとする広範な確率論的世界にかかわっている. 本論文では, 量子状態(密度作用素)を要素とする多様体上にフィッシャー計量とα-接続(特にα=±1の場合)の類似物を導入するいくつかの試みについて紹介する. 単なる数学的事実の解説にとどまらず, それらの背景や動機, 今後の展望についても言及する.
著者
松岡 浩司
出版者
埼玉大学総合研究機構科学分析支援センター
雑誌
CACS forum
巻号頁・発行日
no.1, pp.42-45, 2010

An efficient separation between fully acetylated thiosialoside methyl esters and fully acetylated Neu5Ac2en methyl esters was accomplished by means of the SEC method. Purity and structural elucidation of the isolated compounds were performed by a combination of elemental analyses and spectroscopic analyses, including IR, 1H, and 13C NMR, and mass spectroscopic analyses.
著者
岡 浩司
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会中国支部研究集録
巻号頁・発行日
no.29, pp.36-37, 1988-08-01

昭和62年8月30日〜31日にかけて東シナ海から日本海へ北上した台風12号は, 最大瞬間風速39.7m, 降雨量は4mm (防府自衛隊北基地調)と典型的な風台風で, 出穂期前後を迎えていた瀬戸内沿岸の水稲に潮風害等大きな被害を及ぼしました。特に, 大道干拓(防府市大道)は, 東と南が海に面しており, 暴風が海側から直接吹き込んだため水稲の被害は甚大であったので, 本調査により実態の把握を行った。
著者
池田 浩二 長岡 浩司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.9, pp.2109-2115, 1993-09-25
被引用文献数
2

本論文では,隠れ素子なしのボルツマンマシンを用いた学習における結合パターンの決定という問題を扱う.これは,統計的モデル選択問題の一種である.モデルの良さを表す規範のとり方としては多くの方法が提案されているが、ここではMDL(minimum description length)を用いた選択法を考える.ボルツマンマシンにおける結合パターンの総数は素子数と共に爆発的に増加するので,すべてのモデルの中からMDL最小となるモデルを探索する従来の方法では,計算量的に膨大な負担を強いられる.また,MDLを求める際の対数ゆう度の計算では,あらゆる状態に関するエネルギー値をすべて求めるという手続きが必要であり,これはボルツマンマシンの分散並列性を大きく損なう.そこで,MDLを用いたモデル選択において計算量を軽減するための方策として,「隣接モデル探索」および「対称化ゆう度差SLD」という二つのアイデアを導入する.簡単な場合について計算機シミュレーションを行い,これらの方法の有効性を検証する.