著者
川勝 均
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.447-450, 1990-09-24 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
堀 貞喜 石田 瑞穂 青井 真 井上 公 大久保 正 岡田 義光 小原 一成 笠原 敬司 木村 尚紀 熊谷 博之 汐見 勝彦 関口 渉次 根岸 弘明 野口 伸一 松本 拓己 山水 史生 藤原 広行 功刀 卓 浅野 陽一 関根 秀太郎 廣瀬 仁 松原 誠 安逹 繁樹 伊藤 喜宏 針生 義勝 松林 弘智 松村 稔 宮川 幸治 山品 匡史 坂無 雅子 雷 楓 伊東 明彦 岩田 知孝 ト部 卓 川勝 均 木下 繁夫 工藤 一嘉 纐纈 一起 佐藤 春夫 佐藤 比呂志 武井 恵雄 中尾 茂 平田 直 平原 和朗 堀家 正則 松澤 暢 山北 聡 綿田 辰吾 山野 誠
出版者
独立行政法人防災科学技術研究所
雑誌
防災科学技術研究所年報 (ISSN:09186441)
巻号頁・発行日
vol.15, pp."I-12"-"I-16", 2004-09-06

地震調査研究推進本部の総合基本施策(「地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策(平成11年4月23日)」)、及び調査観測計画(「地震に関する基盤的調査観測計画(平成9年8月29日)」、「地震に関する基盤的調査観測計画の見直しと重点的な調査観測体制の整備(平成13年8月28日)」、「地震に関する基盤的調査観測等の結果の流通・公開について(平成14年8月26日)」)等に基づき、高感度・広帯域地震観測施設と強震観測施設を整備し、観測網の維持・管理・運用を行う。これら基盤的観測網と防災科研の在来地震観測網から得られるデータの収集・処理を行い、気象庁、大学等のデータと合わせて蓄積・流通・公開を行う。また、防災科研が海外に整備した観測施設についても、円滑な維持・管理とともに、観測方式の高度化を行いつつ、データの収集・処理・蓄積・公開を行う。さらに、各観測網から得られるデータを用いて、高度な地殻活動のモニタリングを実施し、地震活動状況の推移を判断するための研究成果を創出する。
著者
金嶋 聰 川勝 均
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1995

阿蘇火山広帯域地震計ネットワーク観測(ASO94)の実施中の阿蘇火山は、表面活動サイクル(数年程度の周期を持つとされている)中の『湯溜り』と『土砂噴出』のステージにあった。観測期間中においては、15秒に及ぶ長周期の微動の発生と爆発的な土砂噴出が顕著な現象であった。これまでに短周期の微動の起こり方や土砂噴出などに対応して、数種類の長周期微動が観測されている。これら長周期微動は、継続時間20〜30秒を持つ1〜2サイクルの孤立したイベントとして観測されることが多い。また周期15秒を基本モードとし、7.5秒や5秒程度の高次モードを持ち(川勝ほか、1994)、震源は中岳第一火口の南西深さ1から1.5kmである点(松林ほか、1995)で共通している。さらに、基本モードの波形を用いてモーメント・テンソル解を推定すると、等方震源成分と火口列に平行(北北西-南南東)な鉛直クラック成分の混合と解釈できる解を持つ。以下にこれまでに分類できている2種類の長周期微動についてその特徴をまとめる。(1)連続的な短周期微動発生が無い“静穏"期(1994年4、11月):引きで始まり、最初に短周期(2Hz程度)の振動を伴う。基本モードが卓越する場合や高次モードが優勢な場合がある。(2)土砂噴出が頻発している時期(1994年9月):押しパルスが卓越するが、小さい引きで始まる事が多い。短周期振動は伴わない。高次モードに対応する周期(5-7秒)が卓越する。爆発的な土砂の噴出の100秒程前に、超長周期の押し(膨張)の変位が生じる。この変位に伴い、長周期微動と同じ震源位置を示すパルスも発生する(松林ほか、1995)。このパルスは長周期微動(2)に類似した特徴を備えているが、多くの場合卓越する周期はより長く、長周期微動の基本モードの周期(15秒)程度である。噴出の直前には長周期微動(1)と酷似したシグナルが現れ、小さな短周期振動がはじまる。この短周期振動が30〜40秒継続した後、大きな引きの長周期パルスに伴い短周期振動の振幅が急増する。この時刻が概ね火口湖からの土砂噴出に対応する(川勝ほか、1995)。噴出開始後、超長周期変位は収縮に転じ、長周期パルスの振幅は小さくなる。収縮が止まると短周期振動も終了する。長周期微動(1)は、始まりが引きであること、および土砂噴出直前の波形に似ていることから、震源での減圧による収縮とそれに続く振動と考えるのが自然である。最初の短周期微動は水蒸気の移動など圧力解放のきっかけに対応している可能性が考えられる。長周期微動(2)は、押しが卓越すること、土砂噴出直前の膨張に伴うパルスに類似すること、から高温ガスとの接触による地下水の突発的蒸発がもたらす震源での圧力の増加に対応する可能性が考えられる。