- 著者
-
中村 亮一
鶴岡 弘
加藤 愛太郎
酒井 慎一
平田 直
- 出版者
- 公益社団法人 日本地震工学会
- 雑誌
- 日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
- 巻号頁・発行日
- vol.20, no.1, pp.1_1-1_12, 2020 (Released:2020-01-31)
- 参考文献数
- 15
関東地方には約300点の加速度計から構成される高密度なMeSO-netが展開されており,2008年から連続波形記録が蓄積されている.これら高密度観測記録を用いることで,より高分解能の三次元減衰構造を求めることができることが期待される.ただし,各地震計は地中約20mの深さに設置されており,観測波形記録には地表からの反射波の影響が含まれると考えられるため,これらの影響を考慮してゆく必要がある.そこで,まず波形記録のスペクトルに現れる特徴を調べた.その結果,地中設置のためスペクトルに谷が形成されていることが確認できた.次に,MeSO-netとK-NET及びKiK-net記録を用いた三次元Q値とサイト増幅特性の同時インバージョンを行い,地中設置による地盤増幅特性への影響について解析を実施した.ここで,地盤増幅は卓越周期からグループ化し,それぞれのグループで同じ増幅をもつと仮定する手法であり,K-NET及びKiK-netの地表観測地点は8グループに分け,MeSO-netの地中記録は,それとは別の2グループに分けた.その結果,減衰構造は先行研究と整合した結果が得られた.地中設置の場合でも,その増幅率を適切に考慮することにより減衰構造を求めることができることを確認した.また,平均的にみて地中記録の増幅特性は地表の岩盤サイトに類似しており,地表の地盤の差異による影響に比べて小さいことがわかった.