著者
松本 拓己 伊藤 喜宏 松林 弘智
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.427-443, 2006-03-31 (Released:2010-03-11)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

The 2004 Mid Niigata Prefecture earthquake (MJ6.8) that occurred on October 23, 2004 is the 2nd largest intra-plate earthquake after F-net, the broadband seismograph network of the National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention (NIED) was established with a dense and homogeneous distribution all over Japan. We determined moment tensor solutions of the main shock, aftershocks, and earthquakes occurred around mid Niigata prefecture from January 1997 to October 22, 2004, using a surface wave with an extended method of the NIED F-net routine processing. The horizontal distance to the station is rounded to the nearest interval of 1km, and the variance reduction approach is applied to a focal depth from 2km with an interval of 1km. We obtain the moment tensors of 117 events with MJ exceeding 2.8 and spatial distribution of these moment tensors. The focal mechanism of main shock, aftershocks, earthquakes before main shock, is mainly of the reverse fault type with P axes trending WNW-ESE. But the focal mechanism of 15 percent aftershocks is the strike-slip type. There are high dip angle reverse faults, in deep part, and low dip angle reverse faults in shallow part.
著者
松林 弘智
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.283-295, 2007 (Released:2010-06-25)
参考文献数
21
被引用文献数
1

時系列解析に用いられる一般的なウェーブレット変換は,変換結果を定量的に解釈するには不適当な性質を含んでいる。例えば連続ウェーブレットでは,ごく短い時間幅の波形データがその前後の変換結果に繰り返し反映される。また離散ウェーブレットでは,同じ時系列データであっても変換の開始サンプルが異なるだけで,変換結果が大きく変化する。 マッチング追跡法(Mallat, 1993)やその拡張である高速マッチング追跡法(戸田, 2001)はこれらの欠点を解決した変換方法であった。しかしこの手法にも欠点がある。マッチング追跡法では,計算資源への負荷と周波数領域での変換結果の偏りの問題が,また高速マッチング追跡法では,変換する波群の処理順の決定方法や,使用するウェーブレットとデータの波形形状との相違による変換結果への影響という問題が存在する。 本研究ではメイエ(Meyer)ウェーブレットの定義より複素メイエウェーブレットを開発した。このウェーブレットにより周波数領域での偏りと,使用するウェーブレットとデータの波形形状との相違の問題に対処した。さらにこのウェーブレット関数と新たに考案したアルゴリズムより,複素メイエマッチング追跡法を開発した。処理順や計算資源の問題に対処したのみならず,波形形状を数値化するパラメータである位相を出力することが可能となった。例えば時期をずらして同じ観測点で同種の地震波について位相を比較した場合,震源の時間変化を反映する情報となる。 本研究では,阿蘇火山南方の防災科学技術研究所広帯域地震観測網の砥用観測点での波形データへ複素メイエマッチング追跡法を適用することで,阿蘇火山の地下活動に伴う超長周期地震波(Kaneshima et al., 1996)が記録されていることを明らかにした。また,期間ごとの波形形状情報である位相の比較を行い,期間によって地震波の震源の状態の変化していることを示唆する結果をえた。
著者
堀 貞喜 石田 瑞穂 青井 真 井上 公 大久保 正 岡田 義光 小原 一成 笠原 敬司 木村 尚紀 熊谷 博之 汐見 勝彦 関口 渉次 根岸 弘明 野口 伸一 松本 拓己 山水 史生 藤原 広行 功刀 卓 浅野 陽一 関根 秀太郎 廣瀬 仁 松原 誠 安逹 繁樹 伊藤 喜宏 針生 義勝 松林 弘智 松村 稔 宮川 幸治 山品 匡史 坂無 雅子 雷 楓 伊東 明彦 岩田 知孝 ト部 卓 川勝 均 木下 繁夫 工藤 一嘉 纐纈 一起 佐藤 春夫 佐藤 比呂志 武井 恵雄 中尾 茂 平田 直 平原 和朗 堀家 正則 松澤 暢 山北 聡 綿田 辰吾 山野 誠
出版者
独立行政法人防災科学技術研究所
雑誌
防災科学技術研究所年報 (ISSN:09186441)
巻号頁・発行日
vol.15, pp."I-12"-"I-16", 2004-09-06

地震調査研究推進本部の総合基本施策(「地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策(平成11年4月23日)」)、及び調査観測計画(「地震に関する基盤的調査観測計画(平成9年8月29日)」、「地震に関する基盤的調査観測計画の見直しと重点的な調査観測体制の整備(平成13年8月28日)」、「地震に関する基盤的調査観測等の結果の流通・公開について(平成14年8月26日)」)等に基づき、高感度・広帯域地震観測施設と強震観測施設を整備し、観測網の維持・管理・運用を行う。これら基盤的観測網と防災科研の在来地震観測網から得られるデータの収集・処理を行い、気象庁、大学等のデータと合わせて蓄積・流通・公開を行う。また、防災科研が海外に整備した観測施設についても、円滑な維持・管理とともに、観測方式の高度化を行いつつ、データの収集・処理・蓄積・公開を行う。さらに、各観測網から得られるデータを用いて、高度な地殻活動のモニタリングを実施し、地震活動状況の推移を判断するための研究成果を創出する。