著者
平嶋 宗
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.23, 2009

「問題を作ること」の学習上の意義は様々に論じられている.本稿では,作問学習を知的に支援するシステムの設計・開発・評価の基盤として,問題を作る過程およびその意義を議論するための参照モデルを提案する.
著者
吉高 淳夫 尾崎昂 平嶋 宗
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.1421-1430, 2009-04-15

映像への効率良いアクセスを実現するためには映像の構造化が不可欠であり,また構造化を行うためにはカット検出だけでなくシーン境界検出等,相互に関係するショットをまとめる処理が必要である.映画やドラマにおいては,2種類の類似したショットが交互に繰り返される,ショット・リバースショットが会話の場面等で多用されるという特徴がある.ショット・リバースショットはカメラ操作をともなわない静的なショットから構成されることが比較的多いため,キーフレームの色領域に関する空間関係の類似度評価等,画像の静的特徴により検出するものが多かった.しかし,パン,チルト等のカメラ操作が施される場合もあり,そのような映像では全体が変化するために従来の静的な類似性判定では検出することは困難である.このようなショット区間の検出は映画のシーン境界検出やインデクシング,検索に必要であり,カメラワークを含むものも検出できることが精度向上のために望まれる.本論文ではカメラワーク成分をキャンセルする処理を施すことで一様な動きをした背景部分の除去を行い,残された主体部分の類似性判定に基づきショットどうしの類似性を判定することによって,カメラワークを含むショット・リバースショットの場面を抽出する手法を提案する.そして,カメラワークキャンセルを考慮しない従来検出法との比較により,提案手法の効果について評価した.
著者
茅島 路子 平嶋 宗 東本 崇仁 溝口 理一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

メタ認知活動の一つとして,観察している現象や自分の認知活動過程を抽象語彙で表現 する活動を提案している.本発表では,自分の認知活動の結果をEBSのシミュレーションとして観察し,抽象語彙で言語表現することと問題解決能力との関係を探る.
著者
國近 秀信 古賀 崇年志 出山 大誌 村上 卓見 平嶋 宗 竹内 章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.210-219, 2008-02-01
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究の目的は,学習者が構成した英文からアニメーションを生成しフィードバックする英作文学習支援システムの実現である.本システムの支援対象は「意図したことが表現できていない誤り」であり,学習者自身に誤りを気づかせるため,誤りをアニメーションにより可視化する.本システムは,原則として学習者が構成した英文の内容をそのまま可視化するが,陽に表現すべき情報が欠落していた場合はそれが顕在化するように可視化する.本論文では,誤りの可視化方法の実現とその評価について述べる.利用者が可視化された誤りに気づくか否かについて調査したところ,ほとんどの誤りに気づくことができ,本手法の有効性が確認された.
著者
松田 憲幸 柏原 昭博 平嶋 宗 豊田 順一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.326-335, 1997-01-25
被引用文献数
13

プログラミングを行うためには, プログラマは少なくとも, プログラムの動作について明確に理解しておく必要がある. しかしながら初心者の場合プログラムの個々の命令の振舞いを理解できても, プログラム全体の動作を正しく理解できなかったり, プログラム仕様から動作を想定できない場合がよく見られる. このような初心者を対象とする場合, 動作とプログラムコード動作とプログラム仕様の対応関係について説明することが重要となる. 本論文では動作の理解が特に難しい再帰プログラムを対象に, プログラムの動作を介したプログラミングを支援する知的教育システムについて述べる. 筆者らは再帰プログラミングのモデルを想定した上で, 学習者にとって理解が容易となるようにプログラムの動作を表現し, これをプログラムの振舞いと呼んでいる. 本論文ではこの振舞い表現を用いて, 再帰プログラムの設計過程および理解過程を支援する方法について論じる. 特に, 雛形を用いた解法による設計過程の支援ならびに, 振舞い表現の可視化による理解過程の支援について述べる. 更に振舞い表現の評価実験についても述べる.
著者
平嶋 宗 柏原 昭博 豊田 順一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.273-274, 1994-09-20

本稿では、教育支援システムの高度化を指向して、学習者自身による誤りの認識修正を誘導する手法を提案する。教育的観点においては、誤りの発生は学習者の問題解決能力や知識を発展させる絶好の機会である。この機会を生かすためには、正しい問題解決方法を天下り的に教えるのではなく、学習者自身が能動的に誤りの認識と修正を行えるように誘導することが重要となる。このためには、学習者が自分の解答が誤りであると認識し、正しい方向に修正してゆくために十分な、しかも学習者が能動的に考える余地を残した情穀を選択・提供する能力が教育支援システムに求められる。学習者自身による能動的な誤りの認識・修正を支援する手法としては、mapping instruction、analogical mapping、ソクラテス式教授法を挙げることができる。これらは学習者自身による誤りの認識修正を支援するために有用な事実の選択・提示法として定式化することができる。前二者は、正しいものを学習者に理解させることに重点が置かれており、その結果として誤りが認識・修正されると解釈できる。ソクラテス式教授法は、反例によってより直接的に学習者に誤りを認識させる方法も含んでいるが、この方法は解答がYes/Noに限られた宣言的な問題解決の領域で有効なものであった。本稿では、手続き的な領域を対象として、学習者に誤りの存在を伝え、修正方向を示唆する方法として、誤り投影法(Error Projection)を提案する。この方法では、学習者の解答が誤りであることを伝えることに重点を置いており、その解答の誤りを元の問題に関する挙動シミュレーションや問題自身等へ投影する。挙動シミュレーションに誤りが投影されると、多くの場合学習者が不自然と認識できるシミュレーションとなり、また一見自然に見える場合でも、正しいシミュレーションとの比較によりどのように誤っているのかを認識しやすくなる。また、誤りの修正も正しいシミュレーションとの差異を埋めることとして方向付けることができる。問題に対して投影された場合には、元の問題との差異が存在するにも関わらず、その答えが一致する問題が生成されることになり、その差異が解答に影響するはずであることを学習者が知っていれば、学習者は誤りの存在を認識できる.また,誤りの修正は、問題間の差異を問題解決に反映させることとして方向付けることができる。mapping instrctionやanalogical instrctionが正解を基点として正しさを強調することによる誤りの認識修正支援であるのに対して誤り投影法は、誤りを基点として誤りであることを強調するものとなっているまたソクラテス式教授法とは異なり、手続き的な領域で有効な方法となっている。以下では、高校程度の力学問題での立式の誤りを対象として、挙動シミュレーションに対する誤りの投影と、問題に対する誤りの投影について述べる。
著者
松田 憲幸 高木 佐恵子 曽我 真人 堀口 知也 平嶋 宗 瀧 寛和 吉本 富士市
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J91-D, no.2, pp.324-332, 2008-02-01

初心者のための鉛筆デッサンの基礎は,対象を見えたまま正確に描きとる写実であり,獲得が難しい技能である.初心者は自己の写実の誤りに気づくことができない,あるいはデッサン画全体に漠然とした違和感を感じることができても,具体的に写実の何が誤りかを判断できず,同じ誤りを繰り返す.反復練習を指導する教師は,写実の誤りを理解させるため,描く対象と異なった立体物をイメージさせるたとえ(比喩)を用いる.学習者は比喩説明を聞く過程で徐々に,明らかに異なるイメージの写実と感じるようになり,ついに自己の写実の誤りに気づくと考えられる.本論文は学習者の鉛筆デッサン画像に含まれる写実の誤りを顕在化した三次元モデルを構築する手法を検討する.本手法は誤った写実による1枚の画像から,誤りを映し出し,かつ直感的に不自然さを感じさせる三次元モデルを構築する.写実の8種の誤りを対象に,デッサン画像の誤りを特徴づける15個の特徴量を用いて三次元モデルのスケーリング変換を定義した.三次元モデルを表示する顕在化ツールを実装した.学習者が本ツールを用いることで,鉛筆デッサンに含まれる写実の誤りに気づきやすくなると期待できる.