著者
後藤 理咲子 北神 慎司
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.81-90, 2023-02-28 (Released:2023-03-31)
参考文献数
27

本研究の目的は,嘘に伴う認知的負荷が有効視野を狭めるかについて検証することであった.実験では,参加者は嘘つき群と統制群のいずれかに割り当てられた.参加者はディスプレイに提示されたトランプカードを記憶した後,カードと同じ内容(一致条件)または異なる内容(不一致条件)を回答し,回答後に現れる光点の位置を同定するよう求められた.嘘つき群と統制群の相違は教示であり,嘘つき群の参加者は嘘をつく時には真実を話しているかのように振る舞い,実験者を騙すよう求められたが,統制群の参加者は求められなかった.光点の正答率から相対的に有効視野を測定した結果,嘘つき群は統制群よりも有効視野が狭まったが,一致条件と不一致条件の有効視野に差は示されなかった.以上の結果は,意図的に相手を騙すこと(嘘の意図性)による負荷は有効視野を狭めるが,事実と異なる内容を回答すること(嘘の虚偽性)および嘘をつく時に真実らしく振る舞うことによる負荷は有効視野を狭めないことを示唆するものである.
著者
市村 一雄 川端 善彦 岸本 真幸 後藤 理恵 山田 邦夫
出版者
農業技術研究機構花き研究所
雑誌
花き研究所研究報告 (ISSN:13472917)
巻号頁・発行日
no.2, pp.9-20, 2002-09

バラ切り花の開花と花持ちの品種間差を25品種を用いて調べた。開花速度には品種間差が認められ,完全に開花しない品種も存在した。花持ちにも著しい品種間差が認められ,最も長い品種はカリブラの14.5日であり,最も短い品種はブライダルピンクの3.8日だった。国内で生産されている主要10品種(カリブラ,コンフィティ,ジェルファルレイ、ソニア,ティネケ,デリーラ,ノブレス,パレオ90,ブライダルピンク,ローテローゼ)を用いて,花持ちに関与する要因について解析した。花持ち日数と花弁の厚さあるいは蒸散速度との間に有意な相関関係は認められなかった。糖の不足と導管閉塞が花持ちが短い原因になってるか調べるために,切り花を20g・liter-1スクロース,200mg・liter-1,8-ヒドロキシキノリン硫酸塩(HQS)および両者を組み合わせた連続処理を行った。スクロース単独,HQS単独および両者を組み合わせた処理はそれぞれ,2,2 および4品種の花持ちを有意に延長した。一方,花持ち日数が8日以上の品種とローテローゼでは,花持ちを延長することができなかった。これらの結果は,いくつかの品種において,花持ちの短い原因が導管閉塞または糖の不足,あるいはその両者に因っていることを示唆している。
著者
後藤 理絵 竹林 正樹 関根 千佳 福田 洋
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.294-301, 2022-11-30 (Released:2022-12-26)
参考文献数
24

目的:20~40歳代の労働者向け口腔健康行動促進冊子作成のプロセス評価を行うこと.事業内容:20~40歳代労働者を対象に,ナッジを設計した口腔健康行動促進の漫画冊子を作成した.プロセス評価として作成担当者の意識の変化と作成コスト,読者の満足度等を調べた.作成担当者の意識はインタビュー,作成コストは実績から把握し,満足度等はナッジ群(ナッジ型漫画冊子を配布)と対照群(情報提供型冊子を配布)に無作為に割り付けた上でウェブ調査を行った.事業評価:作成後に担当者の意識向上が見られ,作成コストは約88万円だった.読者による冊子の印象(解析対象:ナッジ群119人,対照群120人)は,表紙は「面白そう」(ナッジ群,対照群の順に48.7%, 25.8%),「読みやすそう」(79.0%, 48.3%),「イラストが良い」(57.1%, 28.3%),「情報量が多い」(26.9%, 59.2%),「読むのが不快」(7.6%, 18.3%)で,いずれもナッジ群は有意に評価が高かった.表紙と本編の印象が一致する傾向の項目も見られた.歯周病の知識は,ナッジ群のみ有意に増加した.以上から,ナッジ型漫画冊子は読者の評価が高く,知識向上に役立ち,特に表紙のナッジが重要と示唆された.結論:ナッジ型冊子は,総じて好印象であり,有意な知識向上につながった.ただし,回答に応じて付与された経済的インセンティブが結果に影響した可能性がある.今後は経済的インセンティブのない条件で調査を行う必要がある.
著者
市村 一雄 川端 善彦 岸本 真幸 後藤 理恵 山田 邦夫
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.292-298, 2003-07-15
被引用文献数
10 37

道管閉塞と糖質の不足がどの程度バラ切り花の花持ちが短い要因となっているか検討するため,'ソニア'切り花を200mg・liter^<-1>8-ヒドロキシキノリン硫酸塩(HQS),20g・liter^<-1>'スクロースおよびHQSとスクロースを組合わせた溶液で処理した.切り花は23℃,相対湿度70%,12時間日長,光強度10μmol・m^<-2>・s^<-1>の条件下で保持した.どの薬剤も花持ちを延長させたか,スクロース単独処理の方がHQS処理よりも花待ち延長効果が高かった.スクロース処理はHQS処理よりも花弁の展開を促進し,切り花の新鮮重の低下とブルーイングの発生を抑制した.茎の水通導性は,スクロース処理により収穫後2日目以降急激に低下した.それに対して,HQSおよびスクロースとHQSを組み合わせた処理では収穫直後とほぼ同じ値で推移した.茎の細菌数はどの区においても次第に増加した.スクロース単独処理は細菌数の増加を促進したが,HQSおよびスクロースとHQSを組み合わせた処理は細菌数の増加を抑制した.花弁中のグルコース,フルクトースおよびスクロース濃度はスクロースおよびスクロースとHQSを組み合わせた処理により,HQS処理よりもはるかに高く維持された.以上の結果より,本実験条件下においては可溶性糖質の供給不足のほうが道管閉塞よりもバラ'ソニア'切り花の品質を低下させる重大な原因であることが示唆された.
著者
市村 一雄 上山 茂文 後藤 理恵
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.534-539, 1999-05-15
被引用文献数
5 6

バラ切り花における可溶性炭水化物, 特にミオイノシトール, メチルグルコシドおよびキシロースの役割を調べるため, 30g・liter^<-1>スクロースと200mg・liter^<-1>8-ヒドロキシキノリン硫酸塩(HQS)の連続処理によるバラ切り花の器官別の炭水化物含量の変動を調べた.この処理により, 品質保持期間は延長し, 切り花全体の新鮮重は高く維持された.これは花弁の新鮮重の増加によっていた.花弁では, 収穫時にはフルクトース, グルコースおよびスクロースが主要な構成炭水化物であった.キシロース濃度は収穫時には低かったが, 収穫後3日目には著しく増加した.処理の有無によりそれぞれの炭水化物濃度に著しい差はなかった.花弁を除いた花器では, グルコース, フルクトースおよびスクロースが主要な炭水化物であったが, 処理により著しく変動することはなかった.茎ではスクロース, フルクトース, メチルグルコシドが主要な炭水化物であった.これらの炭水化物濃度は時間の経過にともない減少したが, スクロース処理はこの減少を抑制した.葉ではスクロースが最も多く, ミオイノシトールがこれに次いだ.スクロース濃度は収穫後著しく減少したが, 処理によりこの減少は抑制された.ミオイノシトールは処理の有無による変動はほとんどみられなかった.つぼみに各種炭水化物を処理したところ, メチルグルコシドとキシロースは開花を促進したが, ミオイノシトールは促進しなかった.以上の結果より, メチルグルコシドとキシロースはバラ切り花において代謝糖として機能していることが示唆された.
著者
峰村 今朝明 後藤 理 東山 三樹夫 白井 克彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J93-A, no.12, pp.833-834, 2010-12-01

単母音スペクトルのz変換表示からべき級数展開表現への拡張を検討した.単母音スペクトルはべき級数展開において周波数幅約120 (Hz)ごとに基点を置いた6次関数で表現できる.更にべき級数展開表現を用いた多項式の零点分布により,話者の違いを確認した.