著者
斎藤 里美
出版者
日本教師教育学会
雑誌
日本教師教育学会年報 (ISSN:13437186)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.76-86, 2021 (Released:2023-03-27)
参考文献数
12

Data-driven education and its aims of adaptive learning are substantially transforming the roles of schools and teachers. It has not only introduced drastic changes to pedagogical methods but also impacted the utilization of time and space at schools. It has also altered the goals and assessment in education. Therefore, this paper examined the impact of the shift to data-driven education on the role and development of teachers from the perspectives of policies, research trends, and teaching practices. The results of the study yielded the identification of three significant roles which teachers will be expected to play in the future: the collector and analyst of data on learning and teaching, the examiner of the educational value of teaching practices that cannot be reflected in the data, and the coordinator who shares anew the public role previously fulfilled by schools and teachers with children, their parents, and the community. However, such roles involve intensive responsibilities and could increase the difficulties of the teaching profession if we depend only on teachers to fulfill them. In such a context, studies on teacher education confront the need to redefine the roles played by teachers in public education.
著者
園山 大祐 小山 晶子 丸山 英樹 林 寛平 二井 紀美子 島埜内 恵 池田 賢市 菊地 かおり 有江 ディアナ 見原 礼子 辻野 けんま 本所 恵 布川 あゆみ 斎藤 里美 中田 麗子 福田 紗耶香
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

第1にEUの教育政策目標に対して各国の予防、介入、補償がどこまで達成されているか明らかにした上で、第2にセカンド・チャンス教育およびノンフォーマル教育にみるグッド・プラクティス校を中心に質的調査を経年比較する。これらを通じて、公教育における課程主義による資格取得を目指す欧州と、就学義務によって卒業資格を目指す日本との比較から、教育と職業訓練の学校教育化のメリットと、学校嫌悪、不登校、不本意入学による進路変更や中退問題等にみる学校教育化のデメリットとノンフォーマル教育のメリットについて検討する。
著者
斎藤 里美
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.410-420, 2017-12-31 (Released:2018-04-27)
参考文献数
25
被引用文献数
1

本稿の目的は、人工知能とエンハンスメントの汎用化が「学ぶ意味」や「学力」をどのように変容させるのか、教育学にもたらす課題は何かを考察することである。人工知能による教育への影響については、すでに内閣府(2017a)が言及している。そこでまずはこの資料を分析し、有用性の観点から学習を意味づけることの限界を指摘した。次に倫理学研究からのエンハンスメント批判を援用しながら、人工知能とエンハンスメントの時代においては、有用性と対極の「現在的レリバンス」や「教養」「学びへの信頼と希望」によって「学ぶ意味」と「学力」を再定義する必要があることを示した。
著者
田中 望 斎藤 里美 岡崎 敏雄 山田 泉 林 さとこ 上野 田鶴子 大橋 敦夫 大谷 晋也 古川 ちかし
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

今回の3年間の研究の結果として概略つぎのようなことが判明した.1. アジアからの外国人女性たちに対する日本語教育は,多くの場合,抑圧的な構造をもち,彼女たちを日本人につごうのよい「疑似日本人」にしたてるために機能する,同化的なものであること.2. それに対して,日本人による支援活動のなかに,アジアからの外国人女性たちにコミュニティでの声をもたせることに成功している少数の例があること.3. 地域社会では,抑圧的な日本語教育と声をもたせるための支援活動のあいだで,どちらをとるかの議論がおこっており,外国人に日本語を教えるというパラダイムに変更を迫る動きがあること.なお,3年間の調査を通じて,もつとも重要な成果といえるのは,調査研究そのものに対する見直しを被調査者から突きつけられたことである.このことは,エスノグラフィ的調査といえども,調査のもつ搾取的構造から逃れられないことを意味しており,調査のあり方に根本的な反省を加えなければならないことになった.今後は,調査研究という枠組みをはなれて,研究者といえどもたんなる「異者のかかわり」として地域社会と関係をもつというあり方を追求する必要があると思われる.