著者
北崎 朋希 有田 智一
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.639-644, 2013

本研究では、全国の都市再生特別地区の指定手続きの運用実態を明らかにすることで、都市再生特別地区の課題及び運用改善の方向性を提示することを目的としている。現在、都市再生特別地区は13自治体に60地区指定されており、約7割弱が東京都と大阪市に指定されている。このうち東京都では、民間提案制度を用いた指定を行う方針である一方で、大阪市は通常手続きによる指定を行う方針を採用している。 これらの自治体における指定手続きの実態を把握すると、「不確実性の高い公共貢献に対する評価、不明確な緩和容積率の設定根拠、不十分な公共貢献の評価と緩和容積率の設定体制、不完全な都市計画決定事項以外の履行担保」という課題が存在した。この課題を克服するためにも、公共貢献の評価や緩和容積率の設定に際して、学識経験者や地元住民の代表者等、不動産鑑定士、会計士、コンサルタント等の実務者の多様な主体が必要と考えられる。
著者
河野 泰明 大村 謙二郎 有田 智一 藤井 さやか
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.44.3, pp.847-852, 2009-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
19
被引用文献数
2

本研究では、企業城下町における中核企業の公共的役割の変化と中核企業と行政の関係性およびそれに伴う企業城下町の市街地構造の変化を明らかにすることを目的とする。本研究では、宇部興産の社史や宇部市史の資料、宇部興産内部資料や宇部市議会録による文献調査および宇部興産等の関係機関へのヒアリング等で調査を進めた。その結果、中核企業が市街地形成に果たした役割は以下のようにまとめることが出来る。企業発足からバブル崩壊までは中核企業が市街地形成を主導してきたが、バブル崩壊後には企業経営の悪化から不動産資産処分により行政との矛盾が生じている。以上より、宇部市において宇部興産の公共的役割は徐々に低下してきているが市街地形成に与える影響は少なくない。そのため行政との新たなるパートナーシプが市街地形成の取り組みが必要とされている。
著者
村本 浩一 藤井 さやか 有田 智一 大村 謙二郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.42.3, pp.727-732, 2007-10-25 (Released:2017-02-01)
参考文献数
11

本研究では日立製作所の企業城下町である日立市を事例として、社有施設の整備プロセスを明らかにするとともに、近年進展している社有地の利用転換の実態と今後のあり方についての示唆を得ることを目的としている。戦後からの企業所有の社宅・寮などを中心とした土地・建物ストックの形成過程とその用途転用の実態の調査及び日立ライフへのインタビュー等を実施し、以下の点が明らかになった。1)日立製作所は大規模な社有地を既成市街地内に所有し、90年代から旧社宅地を中心に用途転用を進めており、これが日立市の市街地構造に与える影響は大きい。2)日立製作所では社有施設を事業所単位で保有してきたが、それらの用途転用は実質的に系列会社の日立ライフが担当し、これまでは住宅・商業用途の立地バランスをある程度考慮した用途転用がなされてきた。3)しかし、今後は日立製作所本社レベルで社有施設の再編方針が検討される方向にあり、必ずしも日立市の都市構造に配慮した再利用がなされるとは限らない恐れがあり、行政と企業の協力による土地利用転換方針の検討が現状では不十分である。
著者
松浦 きらら 藤井 さやか 有田 智一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.285-290, 2013-10-25 (Released:2013-10-25)
参考文献数
7
被引用文献数
1

本研究では都区部におけるUR賃貸住宅団地が有する団地屋外空間を取り上げ、URによる団地屋外空間設計手法が持ちうる課題を抽出することと、団地屋外空間が地域内で活用される実態の把握を通じて今後の団地屋外空間への設計指針への示唆を得ることを目的としている。団地屋外空間の設計内容と活用実態について、地区内の複数の遊び場と対象地を比較すること、対象団地における設計内容と活用実態の比較検討をする際に団地敷地内における配置計画に着目することによって、団地屋外空間が団地居住の児童のみならず周辺地域児童にとっても活用できる遊び場である可能性を検討する。調査結果からは、都区部におけるUR賃貸住宅団地には公的機能・配置を有する屋外空間が豊富に存在し、地域資源として貢献できる可能性があることを把握した。活用実態としては、UR所有の屋外空間であったとしても団地全体の配置計画上団地外居住児童による利用が活発となる場合があり、そのために設計時の利用構想内容と活用実態に齟齬が生じうることが明らかになった。
著者
岡田 忠夫 有田 智一 大村 謙二郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.319-324, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
8

本研究は、大手町・丸の内・有楽町地区における新丸ノ内ビルディングの開発事例を対象として、公民間の協議における議論の分析を通じて、新たな公共貢献のあり方について検討することを目的とする。本研究で明らかになったことは、以下の点である。第一に、正規の都市計画手続き前の公民間の協議において、建物形態・導入用途機能・容積ボーナスなどの事業計画が確定しており、この段階の協議の重要性が明らかになった。第二に、事業者側からの、敷地外公共施設整備への貢献や、環境まちづくり支援機能や新規創業支援機能の導入など、多様な公共に貢献する内容が提案されている。第三に、こうした事業者からの提案の多様化に対応するために、行政においても容積率ボーナス対象とする範囲の多様化やプロジェクト評価方法の柔軟化が図られている。
著者
大村 謙二郎 有田 智一 小俣 元美
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 第38回学術研究論文発表会 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
pp.58, 2003 (Released:2003-12-11)

本稿では、長い地方自治の伝統があり、基礎自治体である市町村の都市計画権限が大きく、自治体毎に独自性を持った計画文化を維持してきたドイツを対象として、自治体都市計画プランナーの職能形成の実態を明らかにすることを目的とする。ボッフム、ドルトムント、デュイスブルグ、ミュンスター及びハノーバーの5都市を対象とし、都市計画行政を実際に担当する職員を対象として実施したアンケート及びヒアリングの結果に基づき、(a)ドイツの自治体都市計画プランナーの組織と人事システム、(b)自治体都市計画プランナー職能形成の実態、(c) 今後の自治体都市計画行政の方向性と都市計画プランナーの関わりについて明らかにした。
著者
伊藤 彰良 有田 智一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.831-836, 2014

本研究では、同業種の店舗が特定エリアに集積している専門店街に着目し、その形成過程、現在の空間特性、またどのような主体が業種集積に影響を与えたのかについて明らかにすることを目的とする。事例として都内で最も特徴的なアパレル小売店の集積地でありながら、一般的な商業集積の特徴(巨大ターミナル駅、大規模百貨店等の立地等)を有していない原宿を対象とする。本研究の結果として以下の項目が明らかとなった。 1)時代ごとにアパレル小売店の集積したエリアが異なる 2)エリア毎に扱う価格帯が異なる店舗集積となっている 3)新規起業の企業を育てる地元企業・組織の役割や、地域に相応しくない業種の参入を抑制する地域活動の役割が重要であった
著者
大村 謙二郎 有田 智一 小俣 元美
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.58-58, 2003

本稿では、長い地方自治の伝統があり、基礎自治体である市町村の都市計画権限が大きく、自治体毎に独自性を持った計画文化を維持してきたドイツを対象として、自治体都市計画プランナーの職能形成の実態を明らかにすることを目的とする。ボッフム、ドルトムント、デュイスブルグ、ミュンスター及びハノーバーの5都市を対象とし、都市計画行政を実際に担当する職員を対象として実施したアンケート及びヒアリングの結果に基づき、(a)ドイツの自治体都市計画プランナーの組織と人事システム、(b)自治体都市計画プランナー職能形成の実態、(c) 今後の自治体都市計画行政の方向性と都市計画プランナーの関わりについて明らかにした。
著者
大澤 義明 鈴木 勉 秋山 英三 吉瀬 章子 宮川 雅至 小市 俊悟 渡辺 俊 堤 盛人 藤井 さやか 竹原 浩太 有田 智一 田中 健一 小林 佑輔 櫻井 一宏
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題は,老朽化する都市インフラ整備の選択集中に関して,独自にデータ収集し,実証分析を実行し,同時に理論的知見を導くことを通じ,施設整備に関する具体の政策を提言することを目的としている.最初に研究基盤を構築した上で,逐次廃止手法の効率性評価,リスク分析における効率性と冗長性とのトレードオフ構造等に関する理論研究・実証研究を展開した.様々な自治体と意見交換・情報収集することから,実装対象を北海道網走郡津別町,茨城県土浦市,茨城県常総市に絞り,研究・理論の自治体への実装を進めた.
著者
有留 健太朗 有田 智一 藤井 さやか 大村 謙二郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.709-714, 2010-10-25

本研究では、「用途」に係る紛争に関して議会等への請願・陳情に至った事例の全国データを対象として、用途に係る問題の発生構造を把握し、用途がもたらす負の外部性の解決に向けた調整の実態について明らかにすることを目的とする。本研究で得られた知見は以下の通りである。まず、用途に関する負の外部性の評価項目として、(1)交通、(2)安全、(3)防火、(4)衛生、(5)時間、(6)上位計画との不適合、(7)既存施設・活動との親和性、(8)地域環境特性の変容、の8分野が見出された。用途地域制との関係性については、(1)現行用途規制で規定がない(墓地等)、(2)現行用途規制下での用途の定義が曖昧あるいは時代に適合していない(スーパー銭湯等)、(3)現行用途規制で対応できない詳細項目による問題の発生(営業時間、施設管理等)、(4)用途規制上許容されているが問題が発生(ワンルームマンション)、の4類型が主に見出された。ケーススタディより、負の外部性の解決に向けた調整は、基本的に民民間の任意交渉で行われる場合が多く、建築主の利益に関わる事項は変更等が困難である実態が明らかになった。
著者
有田 智一
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:挑戦的萌芽研究2010-2011
著者
朴 根午 大村 謙二郎 有田 智一
出版者
公益社団法人 都市住宅学会
雑誌
都市住宅学 (ISSN:13418157)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.59, pp.51-56, 2007-10-25 (Released:2012-08-01)
参考文献数
5

The purpose of this paper is to clarify the actual situation and the problem of land use control in greenbelt areas around Seoul Metropolitan Area. The case study area is Siheung City which is located in a neighborhood of Seoul City. The main findings are as follows: 1) In the land of the case study area, the classification of land category was largely changed to road sites by the local government. 2) The mixture of factories, warehouses and residential houses have appeared in the case study area. 3) Land prices in the case study area have increased evidently since the removal of the greenbelt in 2001-2002. Consequently, we suggest the trial of partial control technique at the time of cancellation of greenbelt, because this could be applied for considering the actual situation andtopographical characters in released greenbelt areas.
著者
有田 智一
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、建築許可制導入を想定した際の今後の建築審査会のあり方に関する研究を行うことである。全国の建築審査会を対象として、特例許可、審査請求、運営等に関する実態の分析を行った。また比較対象としてアメリカの特例許可の運用実態との国際比較を実施した。今後の日本の建築審査会では、「民主的観点:民意の反映」の仕組みと、「科学的客観性:専門的知見に照らした裁量的判断」のバランスが求められる。