著者
宮原 史 堤 盛人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00132, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
23

高齢化が進行するインフラを保全してゆくためには,必要な技術力を有する技術者が継続的に確保できるように,研修を評価し,改善するマネジメントの方法論を確立する必要がある.しかし,インフラの保全は暗黙知に支えられている部分も大きいと言われるように,研修の効果を評価しようにもそもそも目標となる技術力の全体像や構成要素が明らかでないことが課題となる.そこで本研究では,教育分野で開発されたブルーム・タキソノミーの枠組を用いて筆者らが先行研究にて具現化した技術力の一例を用いて,道路橋の点検に関する研修の技術力向上効果を評価するとともに,改善案を立案し得ることを示す.そして,インフラの維持管理に関する研修を評価,改善する方法論を提示する.
著者
岡本 直久 川田 真理絵 石田 東生 堤 盛人 谷口 綾子 諸田 恵士
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.801-806, 2008-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
5

本論文では、つくばエクスプレスの周辺地域における住民の交通行動の変化と、交通手段に対する意識の変化を把握し、つくばエクスプレス開業が住民に与えた影響を把握することを目的としている。2005年8月24日、つくば市と秋葉原を結ぶつくばエクスプレスが開業し、つくば市とその周辺地域では、路線バスの再編や駅の新設・道路整備などが行われ、地域内の交通体系が大きく変化したことが期待される。結果として、駅などの幹線公共交通へのアクセス手段について、つくばエクスプレス開業前に比べて住民がより合理的に交通手段を選択する傾向が示唆され、アクセス手段の交通サービスレベルが変化していることが伺えた。
著者
清水 英範 堤 盛人 森地 茂
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

(1) 基準点となりうる地物の整理江戸朱引内全域にわたり、古地図と現代図との目視による対照を行い、TINの位相を保持している基準点となる地物300点を整理した。(2) TINを拡張した幾何補正手法の有効性と限界の確認TINとアフィン変換を統合した幾何補正手法を従来の常套手段である多項変換等と比較し、その有効性を確認した。また、TINとアフィン変換を統合した幾何補正手法の限界を例示し、TINと多項変換を統合した幾何補正手法との比較も行った。本研究においては線形街路の多い江戸城下町を対象としていることから、TINとアフィン変換を統合した幾何補正手法を用いている。(3) 古地図分析支援システムに要求される機能の確認都市計画史等の文献を調査することにより、古地図分析支援システムとして要求される機能を確認した。(4) 古地図の土地利用図の作成TINとアフィン変換を統合した幾何補正手法により天保御江戸絵図(1843)を朱引内全域にわたり幾何補正し、大名屋敷や神社・仏閣などの土地利用ごとにポリゴン化した。これにより、現在の文京区に相当する地域の土地利用図の作成を行った。(5) 古地図分析支援システムの有効性の確認幾何補正した古地図の構成要素をベクター化することにより、古地図の定量的分析を支援することが可能となる。さらに、現代のGISデータを用い、当時の空間的状況と地形との関係を分析することが可能となる。(3)において確認したGISの機能を用い、(4)において幾何補正した天保御江戸絵図を対象に、主要街道の縦断線形の分析、標高・地形と土地利用の関係の分析、眺望に関する分析を行い、システムの有効性を確認した。眺望に関する分析においては、CG技術を用い鳥瞰図の作成も行った。
著者
江端 杏奈 吉田 崇紘 爲季 和樹 瀬谷 創 堤 盛人
出版者
一般社団法人 地理情報システム学会
雑誌
GIS-理論と応用 (ISSN:13405381)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1-10, 2021 (Released:2023-10-03)
参考文献数
29
被引用文献数
1

This study highlights spatial associations of the hometown tax payment, which is a tax donation program to municipalities of taxpayers' favorite choices in Japan and is called as Furusato Nozei. The program has become an important source of revenue for low-funded municipalities. With increasing donations, the disparity between municipalities widens. To the best of our knowledge, thus far, no study has discussed the spatial characteristics from a quantitative perspective. In this study, a local indicator of spatial associations, the local Moran statistic, is used for hotspot analysis of donations made to each municipality. The results indicate the presence of spatial agglomerations, where taxpayers are aware of high return rates of their donations or reconstruction assistance for the Great East Japan Earthquake. The results also suggest that when adjacent to a municipality receiving the donation higher than the average, municipalities can be 7.8% more likely to become the same class.
著者
宮原 史 堤 盛人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集H(教育) (ISSN:18847781)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.20-37, 2022 (Released:2022-03-20)
参考文献数
34

社会資本の整備や維持管理を支える土木技術者の力量,すなわち技術力は,学校教育や研修のみならず様々な業務上の経験を通じた学習によって向上すると考えられる.しかし,これまでのところ,土木技術者の技術力と“経験”の関係については十分な考察がなされていない.土木技術者の戦略的な人材育成を実現するためには,様々な経験の技術力向上効果を明らかにするとともに,経験を人材育成のシステムに組み込む方法を確立する必要がある.本研究ではその手始めとして,道路構造物を維持管理する技術力の向上を目的とした地方整備局職員の研究所への出向経験に着目し,インタビュー結果の分析に基づき経験を通じた学習内容と技術力向上効果を整理する.また,これらの整理を踏まえて,経験を人材育成のシステムに組み込む方法論を提示する.
著者
村上 大輔 堤 盛人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.31-43, 2015 (Released:2015-04-20)
参考文献数
21

サンプル(標本)の適切な抽出方法の設計は,統計学における大きな関心事の一つである.空間データを対象とした空間統計学の一種である地球統計学においてもその重要性は同様であり,サンプル地点の配置の議論が近年活発化している.本研究では地価公示・都道府県地価調査における標準地・基準地の選定の問題,本稿では特に削減の問題を例に,地球統計学に基づくサンプリングデザインの方法の応用を試みる.まず,標準地・基準地がどのように選定されているかを概観する.次に,地球統計学の関連研究を簡単に整理した上で,地価公示・都道府県地価調査の主旨に整合したサンプリングデザインの方法を提示する.最後に,提示した方法を用いて茨城県内の地価公示と都道府県地価調査における標準地・基準地の地点を削減する問題を解きその有用性を確認する.
著者
吉田 崇紘 堤 盛人
出版者
一般社団法人 地理情報システム学会
雑誌
GIS-理論と応用 (ISSN:13405381)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.79-89, 2017-12-31 (Released:2019-12-31)
参考文献数
24

Demographic composition, e.g., population composition by age-groups, is one of the most basic information for discussing regional issue or planning. The present study compares the future Japan through 2010-2060, estimated by National Institute of Population and Social Security Research, with all municipalities in 2010 from the perspective of demographic compositions classified by fiveyear age groups (0-4, 5-9, ..., 90+). The (dis-)similarity of compositional data can be measured with Aitchison distance, one of the core concepts of compositional data analysis. We create choropleth maps based on Aitchison distance. The maps, for example, indicate that the demographic composition of Sobetsu-cho of Hokkaido prefecture of 2010 is the most analogous of the future of Japan of 2060.
著者
大澤 義明 鈴木 勉 秋山 英三 吉瀬 章子 宮川 雅至 小市 俊悟 渡辺 俊 堤 盛人 藤井 さやか 竹原 浩太 有田 智一 田中 健一 小林 佑輔 櫻井 一宏
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題は,老朽化する都市インフラ整備の選択集中に関して,独自にデータ収集し,実証分析を実行し,同時に理論的知見を導くことを通じ,施設整備に関する具体の政策を提言することを目的としている.最初に研究基盤を構築した上で,逐次廃止手法の効率性評価,リスク分析における効率性と冗長性とのトレードオフ構造等に関する理論研究・実証研究を展開した.様々な自治体と意見交換・情報収集することから,実装対象を北海道網走郡津別町,茨城県土浦市,茨城県常総市に絞り,研究・理論の自治体への実装を進めた.
著者
谷口 守 石田 東生 岡本 直久 堤 盛人 谷口 綾子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

現在、エクメーネは荒廃が続いており、その構造面からの修復を本気で考えねばならない段階にある。特に都市域のコンパクト化やスマートシティ化といった政策や、およびエコロジカル・フットプリントなど適切な評価指標の開発も必要である。本研究ではそれら諸課題に主に統計的な観点から対応するとともに、対応する都市計画制度や意識改革に至るまで、次の時代のための新たな解決策の提示を行った。
著者
岡本 直久 堤 盛人
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は休日交通を考慮した交通網計画の策定に資することを目標とし、休日交通の時空間分布特性について、経年的な道路センサス休日調査データの比較を行い、道路整備と分布の関係について定量的に考察した。また、将来的な自動車交通需要を検討するうえでは、不確実な要因の影響を無視することが出来ないため、燃料価格と交通量との ヨ係について、時系列データによるモデルを構築し、短期的・長期的な影響について整理した。