- 著者
-
籠谷 恵
朝倉 隆司
佐久間 浩美
- 出版者
- 日本公衆衛生学会
- 雑誌
- 日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
- 巻号頁・発行日
- vol.68, no.5, pp.349-362, 2021-05-15 (Released:2021-06-03)
- 参考文献数
- 39
目的 本研究は,養護教諭のキャリア発達に資するためプラトー化の関連要因を明らかにすることを目的とした。方法 2017年3月に東京都,神奈川県,埼玉県,千葉県の小学校,中学校,高等学校のうち1,000校を層化無作為抽出し,養護教諭1,000人に調査票を送付した。養護教諭の専門職的自律性(変革),職場におけるソーシャル・サポート,仕事関連ストレッサーからワーク・エンゲイジメントを介してプラトー化につながるという概念枠組みを作成し,階層的重回帰分析とパス解析により検証した。結果 335人の養護教諭のデータを分析対象とした。パス解析の結果,内容的プラトー化に影響していたものは,ワーク・エンゲイジメント,主体的学習,質的負担,経験年数であった。ワーク・エンゲイジメントには主体的学習,追求,情報的サポート,道具的サポート,情緒的サポート,役割の曖昧さ,養護教諭の職位が影響していた。パスモデルの適合度は,CFI=1.00, RMSEA=0.00, SRMR=0.01と概ね良好であった。決定係数は,内容的プラトー化がR2=0.41,ワーク・エンゲイジメントがR2=0.45であった。階層プラトー化に影響していたものは,ワーク・エンゲイジメント,主体的学習,学歴,職位,スクールカウンセラーの配置であった。ワーク・エンゲイジメントには主体的学習,追求,情報的サポート,道具的サポート,情緒的サポート,役割の曖昧さ,職位が影響していた。パスモデルの適合度は,CFI=1.00, RMSEA=0.00, SRMR=0.01と概ね良好であった。決定係数は,階層プラトー化がR2=0.25,ワーク・エンゲイジメントがR2=0.45であった。結論 プラトー化の低い養護教諭は,ワーク・エンゲイジメントと主体的学習が高いことが示唆された。養護教諭のプラトー化を防ぐには,主体的学習を高める支援や職場環境づくり,経験年数を考慮した現職研修などが求められる。