著者
吉川 泰弘 稲葉 睦 浅井 史敏 尾崎 博 遠藤 大二 澁谷 泉 山下 和人 北川 均 新井 敏郎 高井 伸二 杉山 誠 上地 正実 鎌田 寛
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

わが国の全16獣医系大学における参加型実習に入る段階の学生の質を全国一定水準に確保することを目的とし、知識を評価するCBT (Computer-Based Testing)と技能と態度を評価するOSCE (Objective Structured Clinical Examination)の二つからなる獣医学共用試験について、CBT問題作成システム、問題精選システム、問題出題システム、評価システムを開発し、平成25年と26年に渡り、16大学を対象としてCBTトライアルを実施した。同時に、OSCE試験の態度と技能を確認する医療面接試験並びに実地試験を開発した。
著者
伊藤 直人 杉山 誠
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.191-198, 2007 (Released:2008-06-05)
参考文献数
42

狂犬病ウイルスは,人および動物に致死的な神経症状を主徴とする狂犬病を引き起こす.ワクチンによって効果的に予防できるにもかかわらず,本病の世界的な流行状況は好転していない.安価で安全な弱毒生ワクチンの開発ならびに治療法の確立が本病の制圧の鍵である.この目標を達成するためには,狂犬病ウイルスの病原性発現機序を解明することが重要となる.本稿では,狂犬病ウイルスの病原性に関する現在までの研究について紹介し,これをどのように狂犬病の制御に応用するのかについて考察する.
著者
中村 幸子 岡野 司 吉田 洋 松本 歩 村瀬 豊 加藤 春喜 小松 武志 淺野 玄 鈴木 正嗣 杉山 誠 坪田 敏男
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.15-20, 2008-03
被引用文献数
2

Bioelectrical impedance analysis(BIA)によるニホンツキノワグマ(Ursus thibetanus japonicus)(以下,クマ)の体脂肪量FM測定法確立を試みた。クマを横臥位にし,前肢および後肢間の電気抵抗値を測定した。その値をアメリカクロクマに対する換算式に当てはめ,クマのFMを求めた。2005年9月から翌年の1月までの間,飼育下クマを用いて体重BMおよびFMを測定したところ,BMとFMの変動は高い相関(r=0.89)を示した。よって,秋のBM増加はFM増加を反映していること,ならびにBIAがクマのFM測定に応用可能であることが示された。飼育クマの体脂肪率FRは,9月初旬で最も低く(29.3±3.3%),12月に最も高い値(41.6±3.0%)を示した。彼らの冬眠開始期までの脂肪蓄積量(36.6kg)は約252,000kcalに相当し,冬眠中に1,900kcal/日消費していることが示唆された。一方,2006年6月から11月までの岐阜県および山梨県における野生個体13頭の体脂肪率は,6.9〜31.7%であった。野生個体のFRは飼育個体に比較して低かった。BIAを用いて,ニホンツキノワグマの栄養状態が評価でき,この方法は今後彼らの環境評価指標のツールとしても有用であると思われる。
著者
源 宣之 湯城 正恵 杉山 誠 金城 俊夫 高田 純一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.497-501, 1988-07-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
21
被引用文献数
4 4

DNAおよびRNA型動物ウィルスに対するグルタールアルデヒド (GA) の不活化効果を塩素剤およびヨウ素剤での成績と比較検討した. GAのロタウイルスに対する不活化効果は感作温度の上昇によって強まったが, 22℃と37℃との間では大きな差を認めなかった. また, その効果は蛋白質の存在によって強い影響を受けなかった. GAは用いたすべてのウィルスに対して塩素剤やヨウ素剤と同等またはそれ以上の効果を示し, なかでもロタウイルスを他の2剤より速やかに不活化した. また, 希釈したGAの不活化能は室温解放放置しても75日間にわたり維持された.
著者
柳井 徳磨 杉山 誠 平田 暁大 酒井 洋樹 柵木 利昭 吉川 泰弘
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine = 日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-10, 2003-03-01
参考文献数
43
被引用文献数
1

動物園動物および野生動物の感染症をモニターすることは,動物の損失を食止めるために極めて重要であり,野生動物の保護管理,家畜衛生,人獣共通感染症の防止に大きく寄与する。そのため,我々は野生動物の疾病コントロールに有用な最新の情報を共有する目的で,ワークショップ「動物園および野生動物の感染症2002」を企画し,情報交換を試みた。今回,現在,最も緊急性の高い感染症,あるいは注意を喚起したい感染症として,動物園動物におけるクラミジア症(鳥類,ヘラジカ),サル類におけるエルシニア症,爬虫類におけるクリプトスポリジウム症および動物園および野生動物における海綿状脳症について取り上げた。その他,今後,我が国で問題になりうる幾つかの感染症についても概説した。動物園動物および野生動物の感染症コントロールを目的とした野生動物医学会内でのネットワーク形成,さらに公的な野生動物感染症研究センターの設立が望まれる。
著者
杉山 誠司
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.61-72, 1999 (Released:2001-04-01)
参考文献数
10
被引用文献数
1

日本福祉大学図書館は,電子図書館を構築中である。われわれの図書館では,電子図書館構築にむけて数々の改革を手がけてきた。電子図書館のための情報インフラストラクチャの整備,電子コンテンツの品揃え,Web・データベース連携技術の獲得,Web OPACの改革,図書館員の情報発信能力の拡大などである。電子図書館は実用の段階に入った。実用の段階であるということは,利用者から電子図書館は便利であるという評価を獲得することこそ重要である。そのためには,図書館機能の基本機能とも言える図書館利用者に一次資料提供を広げることである。また,図書館サービスをインターネットを通じて利用できるようにする。具体的には,Webを使って,図書館サービスを統合することが必要である。そのために,情報発信ツールとしてWebのツールを作成した。インターネットの時代に,図書館へ寄せられた利用者の期待に応えるには,図書館に情報専門家としての力を蓄えることこそ重要である。
著者
金城 政勝 源 宣之 杉山 誠 伊藤 直人 淺野 玄 金城 政勝
出版者
琉球大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

エマージング感染症の多くの病原体は野生動物や昆虫と共存し、自然界で密やかに感染環を形成している。そこで本研究では、野生動物や吸血昆虫から種々の病原体や抗体を検出して、わが国に既に侵入しているあるいは侵入する恐れのある新たなウイルス性感染症をいち早く補足し、それらの予知法を考察しようとするものである。最終年度である本年度は、岐阜及び西表島での昆虫採集を引き続き行い、それらからのフラビウイルス(日本脳炎ウイルス、ウエストナイルウイルス、ダニ脳炎ウイルス及びデングウイルス)遺伝子の検出を試みた。また、蚊由来培養細胞C6/36細胞を用いてウイルス分離も試みた。1)岐阜及び西表島における蚊の採取:本研究期間内において、最終的に20,919匹及び40,423匹の蚊がそれぞれ岐阜及び西表島で採取された。岐阜で採取された蚊のうち最も多かったのはイエカ属(80.0%)で、ハマダラカ属(17.2%)がそれに続いた。一方、西表島では、クロヤブカ属(62.7%)及びヤブカ属(32.7%)の蚊が大きな割合を占めた。2)RT-PCR法を用いた蚊からのフラビウイルス遺伝子の検出:同一のプライマー・セットを用いて日本脳炎ウイルス、ウエストナイルウイルス、ダニ脳炎ウイルス及びデングウイルスの遺伝子を検出することができるRT-PCR法により、685プール(1プール50匹、計29,966匹)の蚊からウイルス遺伝子の検出を試みた。しかしながら、目的の増幅産物を得ることができなかった。以上にことから、上記のウイルスは岐阜及び西表島に高度に浸潤していないことが示唆された。3)蚊由来培養細胞を用いたウイルス分離:C6/36細胞に接種した599プールのうち、34プールが明瞭な細胞変性効果(CPE)を発見した。このうち西表島のヤブカ属のプールから分離されたCPE発現因子について各種生物性状を調べたところ、上記ウイルスとは異なるフラビウイルスであることが示唆された。今後、このウイルスの哺乳動物に対する病原性等を詳細に検討する予定である。