- 著者
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長田 尚子
鈴木 宏昭
三宅 なほみ
- 出版者
- 日本知能情報ファジィ学会
- 雑誌
- 知能と情報 (ISSN:13477986)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.5, pp.525-535, 2005-10-15 (Released:2017-05-02)
- 被引用文献数
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本研究では, 教育学科の専門教育への橋渡しとしての位置づけを持つ導入教育において, 学生の協調的な学習を支援するために, 情報技術を活用した授業の設計を検討している.対象とする授業は, 「レポートの書き方」を目的とする基礎的な演習であり, 学力低下という問題領域において論証に基づくレポートを書くことが最終課題である.そこで学生は, 領域が包含するあいまいさに遭遇するとともに, 自律的な学習者として専門領域において研究を始めていくにあたっての困難に直面する.このような状況において, 領域の理解と論ずるべき問題の発見につなげていくために, 学生相互のインタラクションを促進する協調学習の枠組みをジグソー法で構成した.また, 協調過程における気づきに基づいて, 各自の考えを吟味するための支援環境としてのblogの導入を行った.結果として, 多様な論点によって構成された領域の議論への参加と, blog上に考えをまとめて公開する活動を通じて, 学生自身による吟味が起こり, 問題発見が促進されることを確認した.今回の結果は, ジグソー法とblogの活用によって, 導入教育時期の学生の新しい学習スタイルへの適応を支援できる可能性を示唆するものである.