著者
楠瀬 雄三 村上 健太郎
出版者
日本景観生態学会
雑誌
景観生態学 (ISSN:18800092)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.149-155, 2014-12-25 (Released:2015-12-25)
参考文献数
13

We investigated the population size structure of Glehnia littoralis at three beaches, Nishikinohama, Okadaura, and Satoumi-koen Park, in Osaka in 2008 and 2013. There was a correlation between leaf size and the number of seeds produced. Population Size structure was greater at Okadaura than at the other beaches. Therefore, it was estimated that the greatest seed production occurred at Okadaura. Okadaura is located in the Kashii river estuary, and it was believed that seeds could easily be carried to the offshore. We therefore consider that Okadaura is the most important source of seeds among the three beaches.
著者
河上 康子 村上 健太郎
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.59-66, 2014-04-05 (Released:2019-04-25)
参考文献数
27

1996年から2002年の期間に海岸性甲虫類の調査を行った,播磨灘・大阪湾・紀伊水道沿岸部の43地点の海浜について,それぞれの面積および孤立度(近接する海浜までの距離)と,海岸性甲虫類の種構成の関係について解析を行った.海浜の面積を説明変数に,海岸性甲虫種の種数,および出現した全甲虫種の種数を目的変数にした単回帰分析の結果,いずれも有意な決定係数がえられ,面積が広いほど出現種数が増加する傾向が見られた.しかし,海岸性種数,全種数ともに決定係数は弱く,面積以外の要因も種数に影響する可能性が示唆された.さらに,調査地点のうち3地点以上の海浜から出現した22種の海岸性甲虫種について,種の在/不在データを目的変数に,海浜の面積と孤立度を説明変数にしたステップワイズ変数選択によるロジスティック回帰分析を用いて解析し,海岸性甲虫の在否に海浜の面積や孤立度が影響するかを検討した.その結果,9種が面積によって有意に説明され,同様に孤立度により1種が有意に説明された.
著者
山下 真一 村上 健太 田口 光正
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.497-505, 2017-10-15 (Released:2017-10-15)
参考文献数
22
被引用文献数
1

医学・産業利用が近年拡大しているイオンビームは,イオン種(元素)とエネルギーの組み合わせ次第で多様な照射効果が表れる。本稿では,イオンビームの最大の特徴である高い電離密度(トラック構造)と原子衝突について概説する。水中でのトラック構造と水分解生成物の収量の相関,結晶材料中の典型的な損傷形成過程のほか,今後の展望として未解明の課題にも触れる。
著者
村上 健太郎 前中 久行 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.15-20, 2003 (Released:2005-09-16)
参考文献数
21
被引用文献数
4 4

京都市内の孤立林22箇所および京都盆地周辺にある山林内において, 生殖様式や受精様式,染色体の倍数性の異なるシダ植物の種数,優占度を調べた。山林と孤立林における二倍体種,高倍数体種の種数および被度を比較した場合,孤立林において二倍体種の種数,被度は減少した。孤立林の林床では,山林に比べて,高倍数体無配生殖種の割合が高かった。これは無配生殖種が,必ずしも水分を必要としない,より簡便な生殖法を持っていることが影響していると考えられた。自家受精ができない二倍体種は,十分な湿度と他の個体から生じた複数の胞子がある場所でしか更新することができないので,孤立距離の増大や林床の乾燥化とともに移入率が低下すると考えられ,高倍数体無配生殖種や林床性の二倍体種の割合は都市化の指標となりえることが考察された。
著者
田邊 恵三 村上 健太
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.65, no.10, pp.596-597, 2023 (Released:2023-10-10)
参考文献数
2

国内において新型燃料の導入に向けた動きがある。新型燃料の導入は燃料棒の熱的負荷の緩和等,原子力安全の向上に寄与するが,海外で十分実績のある燃料であっても,国内への展開は遅れている。 原子力安全部会では,新型燃料導入を題材に,新技術を導入する際の課題を整理するため,セミナー形式で「新型燃料の導入に向けた道筋 ―安全評価技術の継続的向上の視点から―」を開催した。新型燃料の導入に付随する新たな安全評価技術の導入や規制プロセス,安全研究,規制機関との対話などさまざまな議論が展開された。新技術の導入には産官学の連携が必要不可欠である。本シリーズでは,原子力事業者,学会,規制の各々の視点から,ハードウェアおよびソフトウェアの新技術導入に係る現状の課題を整理し,改善の方向性を示す。
著者
村上 健太 山本 章夫
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.65, no.10, pp.606-607, 2023 (Released:2023-10-10)
参考文献数
4

新型燃料の場合,海外で実績があるとしても,メーカ毎の設計の違いが解析結果に与える影響を評価することが必要である。商業機密に留意しながらも,代表的な製品に対する試験結果を外挿するような判断の仕組みを整えることが好ましい。統計的安全評価コードは,個々の要因がパフォーマンスに与える影響を詳細に分析するためのプラットフォームの役割を果たす。その普及には,95/95値に代表される評価基準を関係者の共通理解とする必要がある。核燃料の場合,過渡・事故時の挙動の評価が特に重要である。材料試験炉という基盤インフラが危機的な状況にあるなか,安全機能と物理現象の関係を丁寧に整理し,個々の試験の意義を明確に定義する姿勢が求められる。
著者
村上 健太郎 森本 幸裕 堀川 真弘
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.38-43, 2011 (Released:2012-03-14)
参考文献数
24
被引用文献数
4 1

近畿地方の市街地 164 箇所の人為的ハビタット(石垣,壁,建物間の隙間,路傍)におけるシダ類の種組成と気候条件との関係を,CCA (正準対応分析), TWINSPAN (二元指標種分析),指標種分析を用いて調査した。CCA の第1軸スコアは暖かさの指数や寒さの指数とよく対応し,気温変化の軸と考えられた。第2軸スコアは乾湿計数や冬季降水量とよく対応し,空中湿度などの乾湿に関する変化の軸と考えられた。TWINSPAN によってシダ類群集は4区分され,それぞれイヌワラビ型,イノモトソウ型,イヌケホシダ型,イシカグマ型と判断された。また,イヌワラビ型,イノモトソウ型,イヌケホシダ型,イシカグマ型の順に温かさの指数や平均気温は大きくなり,イシカグマ型,イヌワラビ型,イノモトソウ型,イヌケホシダ型の順に乾湿係数や降水量はより小さく,乾燥が厳しくなった。今後,このような群集タイプの変化に着目することで,気候変動の目安となる可能性があると考えられた。
著者
村上 健太郎 上久保 文貴
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.820, 2005

大阪府南部から和歌山にかけての沿岸部は,温暖な地域として知られ,暖温帯から亜熱帯地域にかけて生育する植物の分布北限となっている。特に,年平均気温15℃,年最低気温平均値-3.5 ℃の等値線はヒガンバナ科ハマオモトの分布限界であり,ハマオモト線として知られている。しかし,近年,年間を通して気温は上昇傾向にあり,今後植物分布に大きな影響を及ぼす可能性がある。そこで本研究では,近年の気温上昇にともなって,大阪府周辺のハマオモト線付近を分布限界とする植物の分布について調べ,気温変化との関連を考察した。まず,1938年に描かれたハマオモト線に近い19府県の1980年代以降の気象観測所データと1990年代初めまでに作成された各県植物誌による植物分布データを,市民向けに開発された地理情報分析支援システムMANDARAに入力し,ミミズバイ,タイミンタチバナなど30種の分布限界域における気温データをえた。次に,大阪市立自然史博物館および兵庫県立人と自然の博物館のハーバリウムにおいて,大阪府および兵庫県の上記南方系植物30種の採集地および採集年代を調べ,1980年代以前と1990年代以降で,分布に差があるかを調べた。その結果,ヤナギイチゴなど,一部の種では,分布が北上している可能性が示唆された。また,先述した分布限界域の気温データを用いて,これらの植物の大阪府付近での現在の分布限界域について推定すると,多くの植物が現状では京都市付近まで分布拡大可能であると推定された。本研究でとりあげられた種のうち,自生個体が京都市付近にまで分布拡大している例は少ないが,都市域の石垣などの人工物に適応しているイヌケホシダや京都市内の二次林に移入したアオモジなど,人為によって持ち込まれた可能性が高い種については,大阪府_から_京都市において確実に分布を拡大している。今後は,各種の分散力やハビタットの選考性に関する調査を行い,より正確な分布拡大予測を行いたいと考えている
著者
村上 健太郎 松井 理恵 森本 幸裕 前中 久行
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.139-144, 2004-08-31
被引用文献数
4 7

1996年に造成後,8年が経過した都市内復元型ビオトープ「いのちの森」において,現段階でのシダ植物の種多様性の評価を試みた。種数一面積曲線を用いて,「いのちの森」の近郊にある孤立林39箇所との比較を行ったところ,「いのちの森」の種数は,高い水準にあることがわかった。また,「いのちの森」の木道下では,シダ植物の種数は他の孤立林比較調査区に比較して多かった。ただし,木道下以外の林床では,種数,対数逆Simpson指数ともに高い程度にあるとは言えなかった。よって,「いのちの森」は,他の孤立林に比べると,種数が多いと言えるが,これは木道下の適度に暗く湿った隙間環境が種数を増加させていると考えられた。
著者
村上 健太郎
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

人為的硬質構造物(ハードスケープ;例えば壁、石垣、建造物間隙)はもともと崖や露岩地あるいは林床にすんでいた生物の代替生育地になりうるが、日本ではそのような視点の研究は少ない。そこで、ハードスケープが動植物の高い種多様性を保持し稀少種の生育場所として機能しうるかについて野外調査(歴史的遺産の古いハードスケープやどこにでもある市街地のハードスケープなどを対象とした生物調査)と文献調査(ハードスケープに生物が生育するという事例の整理)から検討し、ハードスケープを用いた緑化や、都市緑地保全あるいは人工構造物保全に役立つ知見を得るための研究を行う。特に石垣等に生育するシダ植物に焦点を当てて研究する。
著者
村上 健太郎 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.63-68, 2018-08-31 (Released:2019-05-10)
参考文献数
33
被引用文献数
1

近畿~中国地方の鉄道駅周辺の市街地におけるハードスケープ即ち人為的で硬質な景観構成要素からなるハビタット(壁,石垣,建造物間隙,路傍間隙)に生育するシダ植物群落4,473 箇所のデータを分析し,シダ植物のハードスケープハビタットの選好性に関する基礎資料を得るための研究を行った。分析の結果,4 種のハビタットの中で最も選好されていたのは石垣であった。もともと岩上や樹幹,崖に生育する種だけでなく,森林種も多くの種が石垣を選好していた。ただし,森林種の29.3%は建造物間隙選好種であった。さまざまなハードスケープにおける植物の選好性を理解することは,長期的な視野に立った都市の生物多様性保全手法の開発に役立つだろう。
著者
村上 健太郎
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.263-268, 2004-10-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
37
被引用文献数
2 2

Accurate assessment of the habitual dietary intake is pre-requisite to accurate studies on diet and health, but underestimation of the dietary intake has been apparent in numerous studies. If the underestimation of dietary intake was consistent, a solution to the problem would be relatively easy, because such techniques as energy adjustment should improve estimates of the food and nutrient intake. If, however, underestimation of the dietary intake was a selective phenomenon, it would be much more difficult to solve the problem. A limited number of studies in Western countries have examined whether all foods and nutrients are underestimated to the same degree or only specific foods and/or nutrients are selectively underestimated by using the observed food intake, the measured total energy expenditure with/without 24-hour urinary nitrogen excretion, and the Goldberg cut-off technique as reference methods. These investigations are summarized in the present review. The bulk of the data from these studies suggests that when the energy intakee has been underestimated, such underestimation of the food and nutrient intake is selective rather than consistent. However, little information about those foods that are selectively underestimated is available, so further research is needed to identify such foods.
著者
村上 健太郎
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

食環境データセット(店舗名と住所をもとに開発)と既存の女子学生のデータセット(約300の市区町村に居住する約1000人)を用いて、食環境と栄養素摂取量(24時間畜尿による)との関連を検討した。近隣に駄菓子屋/パン屋が多いひとほど、尿中カリウム排泄量が少なく、尿中ナトリウム・カリウム比が高かった。また、米屋が多いひとほど、カリウム排泄量が少なく、スーパー/食料品店が多いひとほど、カリウム排泄量が多かった。さらに、八百屋が多いひとほど、ナトリウム・カリウム比が低かった。