著者
佐藤 洋介 村田 伸 甲斐 義浩 相馬 正之 中江 秀幸 村田 潤
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.37-41, 2014-04-01 (Released:2014-08-06)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

[目的]本研究は,等尺性肘関節屈曲筋力の発揮筋力を漸増した際の,上腕三頭筋の関与を明らかにすることを目的とした。[方法]健常成人女性15名を対象とした。平均年齢は20.5±0.9歳であった。被験筋は右上肢の上腕二頭筋・上腕三頭筋とし,各被験筋の最大随意等尺性収縮を算出した。最大肘関節屈曲筋力に対し10%から80%まで10%毎に随意的肘関節屈曲筋力を漸増させた際の各被験筋の筋活動を測定し,比較・検討した。[結果]上腕二頭筋の積分筋電図(IEMG)は最大肘関節屈曲筋力の40%発揮時で有意な増加が認められ,上腕三頭筋のIEMG は最大肘関節屈曲筋力の50%発揮時から有意な増加が認められた。また上腕二頭筋と上腕三頭筋の筋活動は,それぞれ随意収縮力と有意な正の相関を認めた。[結論]肘関節屈曲における40%以上の負荷量では主動作筋である上腕二頭筋が活動し,50%以上の負荷量では上腕二頭筋だけでなく,上腕三頭筋も運動に関与することが示唆された。
著者
村田 伸 村田 潤 津田 彰
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.601-607, 2008-10-20
被引用文献数
5 3

〔目的〕高齢者女性の足把持力と胸椎後彎角との関連性を検討した。〔対象〕地域在住の高齢者女性37名(平均74.7±5.9歳)である。〔方法〕足把持力,胸椎後彎角,片足立ち保持時間などを測定し,相関分析や共分散分析を用いて検討した。〔結果〕足把持力と胸椎後彎角ならびに片足立ち保持時間の三者には互いに有意な相関が認められ,胸椎後彎角が大きいほど足把持力が弱く,片足立ち保持時間が短いという関係が認められた。さらに,胸椎後彎角高値群と低値群の2群間の比較から,年齢を調整しても胸椎後彎角と足把持力ならびに片足立ち保持時間との関連が示された。〔結語〕胸椎後彎角が大きい高齢者女性は足把持力が弱く,立位バランスが低下していることが示唆された。<br>
著者
古後 晴基 村田 伸 村田 潤 安部田 章 上城 憲司
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.19-22, 2012 (Released:2013-03-08)
参考文献数
8

本研究は,健常成人女性12名(年齢21.3±0.6歳)を対象に,マッサージによる末梢循環動態に与える影響を検証する目的で,マッサージ前後の足趾容積変動およびサーモグラフィーによる手背部皮膚温度分布の変化を調査した。15分間の安楽座位を対照課題とし,実験課題は15分間のマッサージ(肩部,腰背部,下腿部)を実施した。その結果,マッサージ実施後の足趾容積変化量は,-0.83±0.26ml/100ml/?(平均±標準誤差)であり,有意に減少した(P<0.05)。皮膚温度分布の変化は,安楽座位およびマッサージ有のいずれにおいても上昇傾向を示したが,有意な差は認めなかった。これらのことから,マッサージによる末梢循環動態の受ける影響は,下肢のむくみ軽減や皮膚温度の変化を反映することが示唆された。
著者
村田 潤
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

若年者と高齢者の手指感覚識別時の手指循環動態,および手指感覚閾値を測定し,加齢による手指循環調節能と手指感覚機能変化について検討した.その結果,手指の感覚情報処理にともなう手指血流量変動量が加齢により減少することを明らかにした.さらに,この手指血流変動の応答は感覚機能減弱にも関連していた.また,手指体積変動により手指感覚閾値が影響を受けることが判明したことから,感覚識別時の手指循環変動は手指体積変化に反映し,皮膚物性値に作用して体性感覚感度を変調させていることが示唆された.
著者
北原 糺 村田 潤子 小畠 小畠 奥村 新一 江崎 光彦
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.91, no.8, pp.845-849, 1998-08-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
11

In this paper, a very rare case of vasculo (angio)-Behcet's disease initiated with hoarseness due to inflammatory aortic aneurysm, is presented. A 35 year-old male with persistent hoarseness for half a month was revealed to have left recurrent laryngeal nerve palsy. Chest X-ray films showed slight enlargement of the aortic arch. CT demonstrated direct evidence of a saccular type aortic aneurysm at the branched area of the left subclavian artery. Aortic angiography demonstrated two additional aortic aneurysms at the right subclavian artery and in the lower abdominal area. The patient subsequently underwent emergency surgery for treatment of these aneurysms. The histopathological characteristics of the representative aortic aneurysmal lesions suggested a diagnosis of “vasculo-Behcet's disease”. Behcet's disease is usually characterized by oral and genital ulceration, folliculitis and uveitis. This patient, however, displayed no previous evidence of these symptoms. We would like to emphasize that some cases of left recurrent laryngeal nerve palsy require urgent management.
著者
村田 潤子 土井 勝美 小畠 秀浩 北原 糺 近藤 千雅 奥村 新一 久保 武
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.102, no.5, pp.605-612, 1999-05-20
被引用文献数
3 1

真珠腫性中耳炎の手術時に内耳に瘻孔が形成されていた症例についてその臨像を検討し, 特に瘻孔の位置や進展度と術前・術後の骨導聴力との相関について調べることを目的とした. 対象としては大阪労災病院耳鼻咽喉科, 大阪大学医学部耳鼻咽喉科, および関連各施設耳鼻咽喉科で平成4年から平成8年の間に初回手術を施行した症例のうち, 骨迷路にびらんまたは骨欠損がみられた症例を選び, 瘻孔の進展度にはDornhofferとMilewski<SUP>1) </SUP>の分類に準じてI, IIa, IIb, IIIの4段階に分類した. 内耳瘻孔症例としては, 進展度IIa以上の24症例24耳を対象とした. このうち半規管, 前庭にのみ瘻孔を有したのは21症例であった. 蝸牛に瘻孔を有したのは残りの3例で, すべて蝸牛に単独に瘻孔があり, 進展度はIIIであった. 軸位断での術前CT診断を施行していたのは14症例で, 内耳瘻孔についての陽性率は71.5% (10症例) であった. 術前骨導聴力は蝸牛に瘻孔を有した症例が, 半規管, 前庭に瘻孔を有した症例よりも悪かったが, 半規管, 前庭に瘻孔を有した症例の中で, 進展度による大きな差異はみられなかった. 全例に鼓室形成術を施行した. 半規管, 前庭に瘻孔を有した症例の中で, 進展度IIaの症例13例中で術後骨導聴力低下と判定されたのは2例 (15%) で, 進展度IIb以上の症例8例では, 3例 (38%) であった. このように, 進展度IIaの症例に比べてIIb以上の症例で術後に骨導聴力の悪化が起こりやすい傾向がみられた.
著者
村田 伸 大田尾 浩 村田 潤 堀江 淳
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.101-104, 2011 (Released:2011-03-31)
参考文献数
16
被引用文献数
6 4

〔目的〕本研究は,Frail CS-10の有用性を検討するために,ADLとの関連について検討した。〔対象〕虚弱もしくは軽度要介護高齢者159名(男性65名,女性94名)とした。〔方法〕Frail CS-10と大腿四頭筋筋力について,FIM-MならびにFIM-M下位項目との関連をスピアマンの順位相関係数を用いて性別毎に検討した。〔結果〕Frail CS-10と大腿四頭筋筋力は,男女ともに今回評価したFIM-MおよびすべてのFIM-M下位項目とそれぞれ有意な相関が認められた。ただし,その相関係数から関連の強さを判断すると,FIM-Mのすべての項目でFrail CS-10の方が大腿四頭筋筋力よりも関連が強かった。〔結語〕従来から下肢機能の代表値として用いられている大腿四頭筋筋力よりもFrail CS-10の方が,虚弱高齢者のADLとより関連することが示唆された。