著者
川西 幸貴 森畠 康策 加藤 順 村田 顕也 深津 和弘 玉置 秀彦 伊藤 大策 和田 有紀 一瀬 雅夫
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.112, no.1, pp.62-69, 2015-01-05 (Released:2015-01-05)
参考文献数
30

症例は37歳女性.腹痛を主訴に入院,前医で特発性の慢性偽性腸閉塞症と診断されたが,当院での精査の結果,抗gAChR抗体陽性の自己免疫性自律神経節障害が原因疾患であると疑われた.コリンエステラーゼ阻害薬やステロイド,免疫調節薬の使用,単純血漿交換や二重膜濾過血漿交換,胃・腸管の減圧目的で胃瘻および腸瘻を内視鏡的に造設,大量免疫グロブリン療法とさまざまな治療を行ったが,治療抵抗性であった.
著者
西口 麻奈 渡邊 有史 上中 智香子 古川 福実 小森 涼子 安井 昌彰 村田 顕也 伊東 秀文 立石 千晴 鶴田 大輔 石井 則久 金澤 伸雄
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.126, no.13, pp.2433-2439, 2016-12-20 (Released:2016-12-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1

大阪府出身の74歳男性.65歳時に四肢の異常感覚が出現し,67歳頃から歩行困難となった.70歳時に顔面と四肢に環状・不整形の浸潤性紅斑が出現し,73歳時に皮膚病理所見と血中ACE高値からサルコイドーシスと診断され,以前から腎障害に対して内服していたプレドニゾロンを継続した.74歳時に当院神経内科に入院し多発性単神経炎と診断され,皮疹について当科紹介となった.兎眼を呈し,皮膚スメア検査と病理組織のFite染色にて多数のらい菌を認め,多菌型ハンセン病と診断した.多剤併用療法にてスメア菌量は減少したが,血中ACE値上昇を伴って皮疹と神経症状が徐々に悪化したため,1型らい反応と診断しプレドニゾロンを増量した.
著者
中村 政明 坂本 峰至 蜂谷 紀之 村田 顕也
出版者
国立水俣病総合研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

我々は、成人のMeHg曝露による健康影響を調査した。被験者は、日本の伝統的な捕鯨の発祥地の太地町の住民194人。毛髪水銀濃度の幾何平均が14.9μg/gで、鯨肉摂取量と有意に相関したことから、太地町住民が鯨肉摂取によるMeHg高曝露群であることが示唆された。毛髪水銀濃度と神経所見の間に有意な相関はなかった。また、MRSで、感覚野と小脳のNAA/ Cr比が正常だったことから、明らかな神経細胞の減少がないことが示唆された。全血水銀とSe濃度の有意な正の相関がみられ、全血水銀/Seモル比は1以下だった。これらの所見は、充分なSe摂取がMeHg曝露の有害影響がなかった原因の1つである可能性を示唆した。
著者
中根 俊成 向野 晃弘 南 ひとみ 磯本 一 樋口 理 岡西 徹 村田 顕也 井戸 章雄 松尾 秀徳 中尾 一彦 安東 由喜雄
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.309c, 2017 (Released:2017-11-25)

【背景】Autoimmune gastrointestinal dysmotility(AGID)は2008年に米国より提唱された疾患概念であり,食道・胃の運動障害や慢性偽性腸閉塞(CIPO)の一部が相当する.抗自律神経節アセチルコリン受容体(gAChR)抗体による自己免疫性自律神経節障害(AAG)の限局型とも言われているが,臨床像および治療反応性に関する検討は世界的にも少なく,本邦における検討が急務である.【目的】本邦におけるAGIDの臨床像,治療反応性を明らかにする.【方法】1)抗gAChR抗体陽性AAG患者123症例における消化管運動障害(食道機能障害,胃不全麻痺,麻痺性イレウス)の頻度,臨床像,治療内容と反応性を調査する.2)新たにアカラシア28症例,CIPO14症例における抗gAChR抗体陽性頻度,臨床像を検討する.【結果】1)123症例のうち,上部消化管障害を48症例(39%),下部消化管障害を89症例(72%)に認め,そのうち食道機能障害6症例,胃不全麻痺1症例,麻痺性イレウス3症例を確認し,一部には免疫治療による改善症例が存在した.2)アカラシアでは6症例,CIPOでは7症例の抗体陽性者が存在し,自律神経障害(乾燥症状や膀胱機能障害など)の併存を確認した.【結論】AGIDは重度の消化管症状を呈するが,抗gAChR抗体陽性症例が存在し,それらでは自律神経障害の併存が確認された.AGIDがAAGの限局型に相当するか,さらなる集積と検討が必要であるが,免疫治療によって制御できる可能性が示された.
著者
村田 顕也
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.627-632, 2017 (Released:2017-04-30)
参考文献数
43

Immune–mediated necrotizing myopathy (IMNM) is recently defined subgroup of idiopathic inflammatory myopathies. IMNM is characterized by significant necrosis, with muscle fiber regeneration, but without or with little inflammatory cells on muscle biopsy. IMNM may be associated with myositis–specific autoantibodies against signal recognition particle (SRP), or against 3–hydroxy–3–methylglutaryl–coenzyme A reductase (HMGCR). Typical clinical features such as severe muscle weakness, highly elevated serum creatine kinase (CK) levels, as well as resistance to conventional immunosuppressive therapy. Severe limb muscle weakness, neck weakness, dysphagia, respiratory insufficiency and muscle atrophy were more frequently observed in patients with anti–SRP antibodies than that in with anti–HMGCR antibodies. The pathophysiological mechanisms of these diseases are poorly understood, and therapeutic strategies for treating patients have not yet been validated. Most patients in both types were initially treated with corticosteroids. Additional immunotherapies were needed in patients with anti–SRP antibodies. In addition, one third of IMNM therapy do not show known specific autoantibodies. This review provides an overview of this disease entity and focuses on its clinical features and immunotherapy.