著者
池田 結佳 松岡 久美子 須田 美香 太根 ゆさ 平松 純子 山内 まどか 薄井 聡子 森本 尚子 藤井 靖史
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.135-145, 2022 (Released:2023-03-10)
参考文献数
33

【目的】読み書きに困難を抱える児童を対象に、視覚関連基礎スキルアセスメント(WAVES)を用いて視覚認知機能を評価し、支援への活用を検討すること。【対象および方法】対象は2020年3月から2021年6月の帝京大学病院小児科LD外来受診者のうち、WAVESと見る力に関するチェックリストを実施した30名(男児25名・女児5名、年齢9.8±2.1歳)。WAVESを行い下位検査評価点と4つの指数を算出した。【結果】下位検査評価点の平均値の多くが標準値より低かったが、線なぞりの合格点と比率、形なぞりの比率は標準値より高かった。4つの指数では、視知覚+目と手の協応指数(VPECI)と視知覚指数(VPI)が標準値より低く、VPIが最も低かった。目と手の協応全般指数(ECGI)と目と手の協応正確性指数(ECAI)は標準値より高かった。【考按】視知覚指数(VPI)は読み書き困難を持つ児童では低く、過去の報告と同様の傾向を示した。眼科検査、言語検査、心理検査と合わせてWAVESを活用することで苦手の背景にある児童の特性を推測し、読み書き指導に有用な情報を与える可能性がある。
著者
田中 絵理 小林 義治 小島 美里 大野 恵梨 松岡 久美子
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.157-163, 2015 (Released:2016-03-19)
参考文献数
18

【目的】光干渉断層計(optical coherence tomography以下OCT)を用いた上方視神経低形成(Superior segmental optic hypoplasia 以下 SSOH)の視野欠損部位に対応する網膜層構造の検討をすること。【対象と方法】SSOH4例6眼、正常10例20眼[それぞれ平均年齢20.3±1.2歳(平均値±標準偏差)、21.5±3.0歳、平均屈折(等価球面)-3.58±2.3D、-3.46±2.3D]を対象とした。spectral-domain OCTを用いて下方視野欠損部位に対応する上方網膜および上下対称である下方網膜を、中心窩を基点とし30度刻みで7.5mmのラインスキャンを施行した。検討項目は①SSOH群と正常群の神経線維層厚の比較、②SSOH群と正常群のその他網膜層厚(神経節細胞層+内網状層厚および内顆粒層~網膜色素上皮層厚)の比較とした。【結果】①SSOH群と正常群の神経線維層厚の比較では、上方においてSSOH群が正常群に対して有意に菲薄化していた。下方では有意差はみられなかったがSSOH群で薄い傾向にあった。②SSOH群の神経節細胞層+内網状層厚は正常群と比較し薄い傾向にあった。内顆粒層~網膜色素上皮層厚の比較では有意差はみられなかった。【結論】SSOH群の神経線維層の菲薄化は上方および下方に生じていた。神経線維層欠損部の外層の網膜厚に変化はみられなかった。また本測定法で強度近視に影響されず神経線維層欠損を確認することが可能であった。
著者
山田 仁一郎 松岡 久美
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.17-28, 2014-03-20 (Released:2014-06-30)
参考文献数
32

本研究では,大学発ベンチャーにおける企業家研究者の中長期的な関与の変化と離脱に至る過程を,心理的オーナーシップの観点から考察する.バイオ系2社の比較事例分析の結果,企業家研究者の技術とその事業に対する責任の認識から生まれる心理的オーナーシップは,企業家研究者とベンチャーやその利害関係者との関係の変化や離脱に影響することが明らかになった.
著者
小鷲 宏昭 西岡 大輔 山口 咲子 安達 恵利香 松岡 久美子 林 孝雄
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.231-237, 2017

<p><b>【目的】</b>色覚検査において正常と診断されても色弁別能が弱いものは、Low normal color visionと呼ばれる。今回我々は、色覚検査では正常色覚と診断できるが、アノマロスコープにて混色等色域の拡大がみられる、Low normal color visionと考えられた父娘例を経験したので報告する。</p><p><b>【症例】</b>17歳、女子。母親に色覚異常を指摘され来院した。今まで色覚検査を受けたことはなく、私生活においても不便さを感じていなかった。石原色覚検査表Ⅱで誤読3表、Panel D-15はminor errorsであった。アノマロスコープでは正常Rayleighにて混色30-40へ等色範囲の広がりがみられたが、1型・2型Rayleighでは等色は起こらなかった。日常生活では赤と茶、青と緑を誤認することがあった。後日、両親に色覚検査を施行し、母親は全検査において正常であった。父親は石原色覚検査表Ⅱにて誤読1表、Panel D-15はno errors、アノマロスコープにて混色35-40へ等色範囲の軽度な広がりがみられたが、色誤認の経験はなかった。</p><p><b>【結論】</b>父娘ともアノマロスコープにて等色域の拡大がみられたことから、Low normal color vision と考えられた。石原色覚検査表やPanel D-15においておおむね正常と判定されても、僅かな誤りがある場合はアノマロスコープで精査することが重要である。</p>
著者
根立 研介 中村 俊春 平川 佳世 安田 篤生 稲本 泰生 深谷 訓子 劔持 あずさ 松岡 久美子 宮崎 もも 中尾 優衣 田中 健一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

美術史の転換期の問題は、何を強調するかで、美術史の語り方が大きく変わってくることもある。本研究は、従来美術史で語られてきた枠組みを再検討するための試みである。特に、大きな成果は、通常日本の古代末期に登場したとされてきた彫刻の和様の問題である。近年の日本史学の成果を取り入れると和様の成立は、中世初期とすることが可能かと思われ、和様は日本の中世期を貫く重要な様式であったことなどを明らかにした。また、この和様の成立には、中国の唐から宋への転換期の問題も深く関わることを明らかにした。
著者
松岡 久美 山田 仁一郎
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

事例研究を積み重ねることで地域における文化的な事業の創出のメカニズムを探った。その結果、ダイナミックな資源の活用・循環・創出を行うためには、社会的起業家を中心として、住民、行政、企業等の制度固有の論理を持つ利害関係者集団が互いの利害を「相互資源化」して集合的行為として関与することが不可欠となることを指摘した。また、事業の成立には長い時間を要するため、事業体からの起業家個人の離脱という課題が新たな論点として浮かび上がることを指摘した。