著者
松本 忠夫
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

野外調査:昭和62年6月15日から6月21にかけて, 沖縄県の西表島・石垣島・沖縄本島に出かけ, クチキゴキブリ及びオオゴキブリの生息状況調査を行った. 調査項目は, コロニー組成, 天敵相, 巣構造, 生息地の環境条件などであった. この調査には研究補助者として大学院生1名を同行させた. クチキゴキブリのコロニーについては約100ユニット, オオゴキブリのコロニーについては約20コロニーを採取し, その組成を詳細に調べることができた.飼育実験: 現地より採取して実験室に持ち帰った昆虫に関して下記のような行動実験を行った.(1)成虫と子虫の間の行動上の関係:クチキゴキブリの初齢幼虫は自分の親の回りに集まるが, オオゴキブリではそのような傾向を持たない事が分った.(2)成虫の防〓行動/捕食者のムカデに対拠させたところ, クチゴキブリの成虫は積極的に子虫をまもる行動に出るが, オオゴキブリにはそのような性質を持たない事が分った.(3)雌雄の配偶行動/クチキゴキブリ類の〓成虫の雌と雄がペアーを作ったところ, 相互に翅を食い合うという大変特異な行動様式が観察された.(4)子虫の成長/両種とも成虫に至るまで7齢を経る事が分った. また, クチキゴキブリの初齢幼虫は親より隔離すると充分成長できない事が分った
著者
松本 忠明
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.352-358, 2012

帝人在宅医療株式会社では,東日本大震災発生直後から被災地をはじめ,停電エリアの在宅酸素療法患者への支援活動を実施した.震度5弱以上の被災地には約2万5,000人に及ぶ当社酸素濃縮装置の使用者がおり,地震発生直後から災害対応支援システム(D-MAP)を活用した安否確認を開始.仙台に災害対策本部,東京に災害支援本部を設置して,全国から応援要員の派遣や酸素濃縮装置,酸素ボンベの緊急配送を行い,避難所や医療機関で酸素療法が継続できる体制を整備した.今後の課題としては,「地震災害対策マニュアル」の改訂を進めるとともに,緊急時の携帯用酸素ボンベへのスムーズな移行,低流量で乗り切るための呼吸リハビリテーション指導など,患者指導の支援があげられる.加えて,災害時支援における行政,医療機関,在宅酸素事業者の連携体制の確立が重要である.
著者
松本 忠博 池田 尚志
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.23-51, 2008-01-10 (Released:2011-03-01)
参考文献数
39
被引用文献数
1 2 3

手話は言語でありろう者の母語である.手話と音声言語の間のコミュニケーションには手話通訳が必要となるが, 手話通訳士の数は圧倒的に不足している.両言語間のコミュニケーションを支援する技術が期待される.本論文は日本語と手話との間の機械翻訳を目指して, その一つのステップとして, 日本語テキストから手話テキストへの機械翻訳を試みたものである.機械翻訳をはじめとする自然言語処理技術はテキストを対象としているが, 手話には文字による表現がないため, それらを手話にそのまま適用することができない.我々は言語処理に適した日本手話の表記法を導入することで, 音声言語間の翻訳と同様に, 日本語テキストから手話テキストへの機械翻訳を試みた.日本語から種々の言語への機械翻訳を目的として開発中のパターン変換型機械翻訳エンジンjawをシステムのベースに用いている.目的言語である手話の内部表現構造を設定し, 日本語テキストを手話の表現構造へ変換する翻訳規則と, 表現構造から手話テキストを生成する線状化規則を与えることで実験的な翻訳システムを作成した.日本手話のビデオ教材等から例文を抽出し, その翻訳に必要な規則を与えることで, 日本語から手話に特徴的な表現を含んだ手話テキストへの翻訳が可能であることを確認するとともに, 現状の問題点を分析した.
著者
高田 真樹 松本 忠 茂呂 征一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CST, コンカレント工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.89, pp.61-68, 2001-05-18
被引用文献数
4

P/Tペトリネットの状態方程式Ax=b (A∈Z^<m×n>, b∈Z^<m×1>)の任意の非負整数非同次解は,generator, (u_i, ν_i)を用いて表すことができる(χ=Σα_iu_i+Σβ_jν_j). generator, (u_i, ν_i)を求める際の計算複雑度によって7つのレベルに分けられる. 特に, レベル6において極小T-インバリアントの非負整数重みつき一次結合と非負整数特解1個(ただし, 一般に複数個存在する)の和で表される. これは最も簡単な形式であり, 可到達問題を考える上で最も有用であると思われる. そこで, これらのgenerator (極小T-インバリアントu_i∈U_6と非負整数特解ν_j∈V_6)を効率的求めることが望まれる. 本論文では, レベル2のAx=0^<m×1>に対するgeneratorU_2 (拡大接続行列の整数基底)からレベル6のAx=bに対するgenerator (U_6, V_6)を同時に導出する方法を示している.
著者
石田 光晴 武田 武雄 斎藤 孝夫 鹿野 裕志 松本 忠 高橋 功
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.496-501, 1988
被引用文献数
4 2

黒毛和種去勢牛8頭を用いて,屠殺前1年間の肥育期間中における皮下脂肪をバイオプシーによって採取し,その脂肪酸組成を調査した.供試牛は4頭ずつA,B2群にわけ,A群は主に濃厚飼料を多給,B群では濃厚飼料と稲ホールクロップサイレージを給与し,飼料による差を検討した.さらに屠殺後の皮下脂肪,筋肉間脂肪および腎臓周囲脂肪の脂肪酸組成を比較した.バイオプシーによる皮下脂肪の脂肪酸組成は,肥育期間中徐々に全飽和脂肪酸の割合が増加し,試料採取開始から最終時期までに8-10%程度増加した.季節的には,寒い時期の12月から2月にかけて,飽和脂肪酸のパルミチン酸とステアリン酸の割合が低くなり,不飽和脂肪酸のパルミトオレイン酸とオレイン酸の割合が高くなった.5月から10月の暖かい時期はその逆の傾向がみられた.飼料別では,A群はB群と比較して,全不飽和脂肪酸の割合は肥育期間中約5%高い値を示したが,飼料の差異は脂肪酸組成に有意な差を示さなかった.この傾向は,屠殺後の各蓄積脂肪においても同様であった.部位別では,体表部に近い皮下脂肪から深部の腎臓周囲脂肪にかけて,全不飽和脂肪酸の割合が減少し,部位間で有意差が得られた.また,皮下脂肪の腹側と背中側では,背中側の方が不飽和脂肪酸の割合がやや高かった.
著者
安部 琢哉 KIRTIBUTR N SLAYTOR M KAMBHAMPATI S THORNE B BIGNELL D.E HOLT J 杉本 敦子 武田 博清 山村 則男 東 正彦 松本 忠夫 SLAYTOR Michael THOME Barbara L HOLT John A SLAYTOR M. KIRTIBUTR N. KAMBHAMPATI エス THORNE B. BIGNELL D.E. HOLT J. GRIMARDI D.
出版者
京都大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

本研究は、熱帯陸上生態系で植物遺体の分解に大きな役割を果たしてシロアリが、地球規模で適応放散による多様化を遂げた道筋と機構を明らかにすることを目的とする。シロアリにおける(1)微生物との共生による植物遺体の利用、(2)社会性の発達、(3)食物貯蔵・加工の3過程に注目し、これらに系統進化(DNA解析による分子系統や形態や共生微生物に基づく系統進化)および生物地理に重ね、それに理論的な検討を加えた。特にシロアリの多様化の鍵を握る(1)下等シロアリから高等シロアリへの進化、(2)キノコを栽培するシロアリの起源、(3)社会性の進化と多様性について仮説を提出すると共に、(1)空中窒素固定とセルロース・ヘミセルロース分解、(2)土を食べるシロアリの適応放散、(3)シロアリが地球上でのメタン生成に果たす役割について質の高いデータの提出を目指した。(1)下等シロアリから高等シロアリへの進化中生代白亜紀の遺存森林であるオーストラリアのクイーンスランドの熱帯林とそれに隣接する、第三紀に発達したサバンナにおいてシロアリ種組成を比較した。その結果、前者では下等シロアリが、後者では高等シロアリが卓越していた。このことから、高等シロアリが森林でなくサバンナで進化して熱帯林とサバンナで適応放散を遂げたとの新しい仮説の提出しつつある。(2)キノコを栽培するシロアリの起源シロアリ主要グループの分子系統樹を作成して、キノコシロアリが高等シロアリの中で最も古い時代に分化し、下等シロアリのミゾガシラシロアリ科と近縁であることを明らかにすると共に、キノコシロアリ巣内のキノコ培養基とミゾガシラシロアリ科のイエシロアリの巣内構造物の化学組成を特にリグニン含量を比較することにより、シロアリにおける糞食とキノコ栽培の起源に迫りつつある。(3)シロアリにおける社会性の進化と多様性シロアリ地球規模での多様化を微生物との共生と社会性の進化に注目して検討し,これをT.Abe,S.A.Levin & M.Higashi編(1997):Biodiversity(Springer)中で展開した。(4)空中窒素固定、セルロース・ヘミセルロース分解材を食べるコウシュンシロアリでは体を構成する窒素の50%が空中窒素起源であること、しかし土を食べるシロアリでは空中窒素固定能が低いこと、また下等シロアリでも共生原生動物だけでなくシロアリ自身もセルロースやヘミセルロースを分解する酵素を作ることなど、これまでの常識をくつがえすデータを次々を提出した。(5)土を食べるシロアリの適応放散過程カメルーンの熱帯林で土壌食シロアリの安定同位体分析と腸内容物分析を行い、土食いへの指標として安定同位体比が有効であることを明らかにした。次いでオーストラリアでシロアリ亜科のシロアリの土食いへの進化過程を安定同位体分析、セルロースが分解酵素の活性分析、ミトコンドリアDNAを用いた系統解析から解明し、Termesグループで土食いへの進化が一回起こったことを示した。またTermesグループがアメーバと共生関係を持つことを明らかにした。(6)生態系におけるシロアリの役割シロアリの代表的なグループにおけるメタン生成のデータを実験室で集めると共に、タイの森林で野外調査を行った。シロアリが地球上でのメタン生成に果たす役割についての精度の高い答えを出しつつある。(7)「シロアリの多様化プロセス」ワークショップ世界中の関連分野の研究者を招き、シロアリ研究の現在までの成果をまとめた教科書を編集する目的で国際ワークショップを1997年3月に開催した。
著者
中村 明 速水 悟 津田 裕亮 松本 忠博 池田 尚志
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.1375-1389, 2009-04-15

単語間の大域的な依存関係をトピック(話題)としてモデル化する言語モデルの1つであるLDA(Latent Dirichlet Allocation)を複数個統合する方式によって,言語モデルを高精度化・安定化できることを示す.新聞記事コーパスを用いた実験の結果,提案方式では単一のLDAからなる同一規模のモデルと比較して,つねに推定精度が向上・安定化することを確認した.単一LDAでは潜在トピック数<i>C</i> = 100前後を境に性能が低下するのに対し,提案方式では過適応が抑制され,はるかに大きい総トピック数(= 各モデルの潜在トピック数の総和)まで性能が向上し続ける.また提案方式によるunigram確率を用いて<i>N</i>-gram確率(<i>N</i>&ge;2)を補間することにより,trigramのパープレキシティを従来方式より大幅に削減できる.さらに本論文では,提案方式を予測入力に基づくテキスト入力支援(predictive text entry)に応用することを想定し,テキスト入力支援に適した言語モデル評価指標i-PPを提案する.この指標はパープレキシティの拡張であり,任意文字数の読み入力時点における平均単語分岐数を表す.この指標を用いた評価の結果,提案手法では入力読み文字数<i>l</i> = 2の時点まで通常のパープレキシティと同程度にi-PPを削減でき,従来方式よりも高精度に予測候補を絞り込めることが確かめられた.
著者
小原 慎太郎 吉田 憲司 松本 忠義 片岡 勲
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集 : JSME annual meeting
巻号頁・発行日
vol.2006, no.3, pp.5-6, 2006-09-15

In this research, the practical correlation and flow regime model is proposed on the basis of heat transfer coefficient analyzed from boiling heat transfer experiment, under temperature control, using following experimental parameter: mass flux in upstream [kgm^<-2>s^<-1>] and sub-cooled temperature in upstream [K]. As the result, it is indicated that forced convective boiling heat transfer coefficient under high mass flux condition show higher value than that of pool boiling. Correlation for heat transfer coefficient and experimental value agree well in DNB region and is demonstrated adequacy and practicability. This flow regime model is presupposed as high concentration droplet flow. And it is also noted that the gravity and centrifugal force affect to the heat transfer coefficient in some experimental condition for horizontal straight or curve tube.