著者
橋本 亘 谷口 真一郎 柴田 隆一郎
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.363-366, 2013-06-15 (Released:2013-10-16)
参考文献数
8

急性大動脈解離(acute aortic dissection: AAD)に類似した症状を呈し,診断に苦慮した急性特発性脊髄硬膜外血腫(acute spontaneous spinal epidural hematoma: ASSEH)の1例を経験した。症例は49歳の男性。ゴルフプレー中に背部痛が出現し救急搬送された。搬入時は苦悶表情で心窩部痛と背部痛を認め,血圧は192/100mmHgと高値であった。搬入後,一過性に両下肢脱力を認めたが改善した。発症様式や症状から急性大動脈解離などの循環器疾患を疑い精査を進めた。しかし諸検査を行ったが確定診断は得られなかった。入院後も背部痛は続いており,一過性に両下肢脱力を認めていたことより磁気共鳴画像検査(magnetic resonance imaging: MRI)を行ったところ頸椎~胸椎レベルに脊髄硬膜外血腫を認め,ASSEHと診断した。神経症状が安定しており保存的加療を行い後遺症なく自宅退院となった。ASSEHの発生は稀であるが,急性期の診断や治療の遅れが後遺症を残す可能性がある疾患であり,救急鑑別疾患のひとつとして認識することが重要である。
著者
柴田 隆行
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.50, pp.86-98, 1999-05-01 (Released:2009-07-23)

Man soll die Geschichte der Philosophie von den alten Philosophien überhaupt unterscheiden, weil jene dieselbe ist, die verschiedenen alten Philosophien unter einem bestimmten Kriterium nacheinander ordnet. Und sogar die Geschichte der Philosophie ist von der Historiographie der philosophischen Lehren und von der Biographie der sogenannten Philosophen dadurch unterschied, daß sie das Logische als das Kriterium hat. Aber heutigentags ist das Logische in der Geschichte der Philosophie oft ableugnet. Was würde denn die Geschichte der Philosophie ohne das Logische sein?Ich untersuche hier erstens die Geschichte der Philosophiegeschichte, und zweitens analyse zwei Versuche der Einteilung der Philosophiegeschichte, und drittens schlage ich eine Einteilung derselben vor.
著者
柴田 隆子
雑誌
人文
巻号頁・発行日
no.16, pp.131-147, 2018-03

本論では1980 年代のテレビ番組における言説と映像を分析し、「小劇場ブーム」と観客像との関係を明らかにする。NHK の演劇番組やニュース番組では、小劇場演劇は1985 年に始まる小劇場建設ラッシュとそれを享受する若い観客が注目された。一方、若者向け番組では文化における情報の送り手と受け手の境界が揺らいでいることが議論されていた。ダンスや音楽の場面で舞台が紹介されるこれらの番組で描かれたのは、演劇の同時代文化としての側面である。そこで語られる観客の多様なイメージは、批評やメディアの描く文脈を反映したものであった。1980 年代の小劇場演劇は集団創作が注目に値する。多くの女性を含む従来の演劇的慣習に従わない作り手たちは新しい想像力を手にし、舞台を記号的に読み解く若い観客は、その創作の共犯者であった。番組映像から見えてくるのは「小劇場ブーム」という現象は小さな劇場という場と小劇団の増加であり、その結果、集団創作のスタイルとそれを支える新たな想像力が客席を含めた演劇領域に広まったといえる。
著者
柴田 隆史 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.212-221, 2019-10-15 (Released:2020-12-22)
参考文献数
17
被引用文献数
2

教育の情報化に伴い,学校の教室でタブレット端末を利用する機会が増えている.教室でのタブレット端末の利用は,明るい室内環境の中で決められた自分の座席で用いるなどと日常生活での利用とは異なるため,学校での児童の利用について人間工学的視点により検討することは重要である.そこで本研究では,小学校でのタブレット端末利用における,児童が抱えるユーザビリティの問題と身体疲労に着目した検討を行った.本研究の目的は,児童のタブレット端末利用の実態を明らかにすることであり,そのために,小学校でタブレット端末を1年以上使用した小学1年から6年までの児童830名を対象として,タブレット端末の使いやすさと児童の身体的側面への影響に関するアンケート調査を実施した.その結果,児童の約57%がタブレット端末の画面に蛍光灯が映りこんで見にくいと感じていることや,3人に1人の児童が眼や首,肩などに身体疲労を感じていることが明らかになった.それにより,ICTを活用した学習環境の構築のためには,児童がタブレット端末を無理なく使える対策を講じる必要性が示唆された.
著者
村山 保史 三浦 節夫 柴田 隆行 シュルツァ ライナ 岩井 昌悟 西尾 浩二 Conway Michael 味村 考祐 東 真行
出版者
大谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は、井上円了と清沢満之の遺稿(複数のノート)から発見された東京大学在学時の外国人哲学教師による西洋哲学関係の未公開講義録とそれに関連する学習録の公開作業を通じて日本における西洋哲学の初期受容の一形態を解明し、あわせて、その後の井上と清沢の思想発展過程の一端を解明することを目的としている。そしてこの目的を果たすために以下の3つの課題を設定している。研究課題1a:東洋大学が所蔵する井上の哲学関係ノートを公開すること。研究課題1b:大谷大学真宗総合研究所が所蔵する清沢の哲学関係ノートを公開すること。研究課題2:東京大学の最初期の哲学教育が私立大学の教育にどのように継承されたのかを初期の哲学館と真宗大学における教育内容の確認を通じて解明すること。平成30(2018)年度は研究課題1aと1bを重点課題とした。より詳細には、研究課題1aと1bに関して平成30年度は以下の作業を行った。(A)編集:ノートの翻刻・翻訳作業。この作業については、井上ノートを翻刻(翻訳)するメンバー(3名)と清沢ノートを翻刻・翻訳するメンバー(6名)を選出し、井上ノートについては「古代哲学 明治十七年六月 井上円了」「最近世哲学史」等の9冊のノートの翻刻に当たり、「古代哲学 明治十七年六月 井上円了」ノートの前半部分と「東洋哲学史 巻一(井上哲次郎口述)」ノートの全体の翻刻を公開した。清沢ノートについては、先行する科研研究(平成25〔2013〕年度~平成27〔2015〕年度)「日本における西洋哲学の初期受容―フェノロサの東大時代未公開講義録の翻刻・翻訳―」において翻刻・翻訳したフェノロサの「哲学(史)」講義の部分(カントまで)に続くフィヒテからシェリング部分の仮の翻刻・翻訳を作成するとともに、これまで日本では講義録の公開例がなかったブッセの「古代哲学史」講義の仮の翻刻・翻訳を作成した。
著者
神山 伸弘 石川 伊織 板橋 勇仁 栗原 裕次 柴田 隆行 田中 智彦 東長 靖 橋本 敬司 早瀬 明 久間 泰賢 権左 武志
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ヘーゲルの世界史哲学講義(1822/23)については、本邦では、その世界像を結ぶための文化接触資料が必ずしも明確でなく、そのオリエント論に対する評価も低い。この事情を批判しながら、本邦ではじめてその資料源泉を探求しつつ本講義を翻訳し訳註を付するなかで、ヘーゲルのオリエント世界像は、ヨーロッパに映った近代オリエント世界像として反歴史的な空間的併存を示すとともに、ヨーロッパ的普遍史を脱却する歴史的理解も示しており、これらを通じて-ロマン派批判も込められたかたちでの-オリエントとヨーロッパの相互承認関係を展望していることが明らかになった。
著者
柴田 隆子
雑誌
人文
巻号頁・発行日
no.16, pp.131-147, 2018-03

本論では1980 年代のテレビ番組における言説と映像を分析し、「小劇場ブーム」と観客像との関係を明らかにする。NHK の演劇番組やニュース番組では、小劇場演劇は1985 年に始まる小劇場建設ラッシュとそれを享受する若い観客が注目された。一方、若者向け番組では文化における情報の送り手と受け手の境界が揺らいでいることが議論されていた。ダンスや音楽の場面で舞台が紹介されるこれらの番組で描かれたのは、演劇の同時代文化としての側面である。そこで語られる観客の多様なイメージは、批評やメディアの描く文脈を反映したものであった。1980 年代の小劇場演劇は集団創作が注目に値する。多くの女性を含む従来の演劇的慣習に従わない作り手たちは新しい想像力を手にし、舞台を記号的に読み解く若い観客は、その創作の共犯者であった。番組映像から見えてくるのは「小劇場ブーム」という現象は小さな劇場という場と小劇団の増加であり、その結果、集団創作のスタイルとそれを支える新たな想像力が客席を含めた演劇領域に広まったといえる。The aim of this paper is to clarify the relationship between a phenomenon known as the 'Little Theater boom' and audience images from TV programs in the 1980s, analyzing their discourses and pictures. NHK Theater and News programs described the activity of the Little Theater (Sho-gekijo) increasing theater spaces in Tokyo from 1985 onwards, focusing on getting young audiences on the bandwagon. On the other hand, the youth TV program discussed the indecisive boundary between a sender and a receiver in cultures. These TV programs emphasized the facet of theater activities as contemporary culture with dancing and music in their spectacles. The various images of new audiences, who supported contemporary culture, reflected critical and media discourse. The remarkable creative style of the Little Theater in 1980s was a group project. The creators, many of whom were women, did not rely on traditional theater conventions, thereby gaining a new imagination. The young audiences, interpreting theatrical signs on the stage, were also accomplices in that creation. The 'Little Theater boom' phenomenon increased the number of Little Theater spaces and companies. As a result of the phenomenon, the collaborative style of such creative group projects and their imaginations spread in the area of theater, including to the audiences.
著者
柴田 隆行
出版者
東洋大学社会学部
雑誌
東洋大学社会学部紀要 (ISSN:04959892)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.5-19, 2015-11
著者
柴田 隆史
出版者
社団法人 日本印刷学会
雑誌
日本印刷学会誌 (ISSN:09143319)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.72-77, 2023 (Released:2023-05-15)
参考文献数
24

A major change in school education in recent years has been that each student now utilizes a digital device to learn. Although the use of digital devices is expected to have positive effects on learning, there are also concerns about the negative effects of increased opportunities for children to utilize digital devices and the increased time spent using them. Therefore, it is necessary to consider children from an ergonomic perspective, such as improving the ease of use of digital devices and reducing the fatigue caused by their use. This paper introduces the use of digital devices in the classroom and discusses considerations for children's health regarding the use of Information and Communication Technology (ICT) in school education, focusing on the environment in which digital devices are used and the differences between digital devices and paper media.
著者
渡邉 光浩 佐藤 和紀 柴田 隆史 堀田 龍也
出版者
鹿児島女子短期大学
雑誌
鹿児島女子短期大学紀要 = Bulletin of Kagoshima Women's College (ISSN:02868970)
巻号頁・発行日
no.58, pp.127-132, 2021

日本語入力スキルの指導について,国内外のタイピングや日本語入力スキルの実態・指導に関わる論文の調査等の結果をレビューした.これらのレビューから示唆される日本語入力スキルの指導方略を(1)教科等の授業において練習時間を設ける(2)ホームポジションの位置と各キーの位置を覚えさせることから始め,後から速度や精度を高める(3)ローマ字での入力について①濁音・拗音②訓令式・ヘボン式にこだわらないこと③かな・英数,半角・全角の切替・変換を指導する(4)意図的に活用する機会を設けたり,主体的に活用できるようにしたりする,の4点に整理した.
著者
柴田 隆史
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.79-84, 2019 (Released:2019-12-25)
参考文献数
26
被引用文献数
1

学校教育ではICT活用が推進され,子どもたちが教室でタブレット端末を利用する機会が増えている。しかしその一方で,子どもの視力低下や視覚疲労などの健康面への影響が懸念されている。実際に,学校保健統計調査によると,小学生の裸眼視力における1.0未満の割合は毎年増加している。本稿では,学校教育における情報化の状況や,児童のタブレット端末利用による身体疲労,学校でデジタル機器を安全安心に用いるために検討されている指針について解説した。