著者
今西 亜友美 柴田 昌三 今西 純一 寺井 厚海 中西 麻美 境 慎二朗 大澤 直哉 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.641-648, 2008 (Released:2009-11-30)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

ヒノキ林化した都市近郊二次林をアカマツまたは落葉広葉樹主体の林相に転換させることを目的として,母樹を残した小面積 (0.06~0.09 ha) の伐採を行った。3 つの伐採区 (上部,中部,下部) のいずれにおいても伐採後に消失した種はなく,伐採後3 年目には10 種以上の種数の増加が確認された。中でも,落葉広葉樹林の主要構成要素を含むブナクラスの種が上部と中部では6 種,下部では4 種増加し,林相転換に一定の効果が得られたと考えられた。前生稚樹は伐採後にほとんどの個体が枯死し,伐採後の林相には大きく寄与していなかった。散布種子についてはその大部分がヒノキで占められており,風散布種であるヒノキはプロット内に多量の種子を散布することで伐採後の林相に大きな影響を与えると考えられた。また,伐採後3 年目には新たな種の出現がほとんどみられなかったことから,林相が単純なヒノキ林では周囲からの新たな種の供給は少ないと考えられた。伐採面積の最も大きかった上部の伐採区 (0.09 ha) では,相対日射量が60% 以上あり,ヒノキの発芽と生存率が抑制されたと考えられ,アカマツとヒノキの混交する林相への転換が期待された。一方,中部と下部の伐採区では,全実生個体数のうちヒノキが50% 以上を占めており,今後,選択的除去などの人為的な管理が必要であると考えられた。
著者
青木 達司 柴田 昌三 森本 幸裕
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.447-450, 2011 (Released:2012-09-05)
参考文献数
10

The Katsura Hedge, a bamboo hedge, and its rear stand of Phyllostachys nigra var. Henonis at the Katsura Rikyu (the Katsura Imperial Villa) in Kyoto were investigated. For the hedge, the number of culms was 815, and the mean diameter at breast height (d.b.h.) of these culms was 4.3cm. The mean d.b.h. of culms at its rear stand was 5.0cm in 2004 and 5.1cm in 2005. The culms for the hedge were thinner than those at the rear stand irrespective of the location, perhaps this is because thinner culms are easy to make into the hedge. For the stand, the mean d.b.h. differed according to location, with culms at flat sites and slopes neighboring flat areas thicker than those on slopes not adjacent to flat sites. Different maintenance may be needed according to the location.
著者
藤澤 茂樹 奥隅 豊栄 安元 信廣 柴田 昌三 田中 伸一 小澤 徹三
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.351-356, 2009-11-30
被引用文献数
1

近年,表土をのり面緑化に利用する工法が行なわれており,その利用方法の一つとして,表土マット移植工法を考案して,高速道路建設工事において施工した。採取した表土マットは,ミヤコザサの地下茎や萌芽性の木本植物の根系などを含み,緑化資材として有効と考えられる。その効果が明らかになり始めた既施工地では,表土マットに含まれる木本植物からの萌芽を確認しただけでなく,ミヤコザサの活着ならびに地下茎の伸長も確認することができた。さらに,条件のよいのり面では木本種が侵入して階層構造を形成しつつあることから,表土マット移植工法が切土造成地における植生復元を早期に行える工法であることが確認できた。
著者
森本 淳子 丸山 宏 柴田 昌三
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.485-488, 1997-03-28
参考文献数
10
被引用文献数
6 5

美しい花を咲かせる木本植物の観賞を目的とした二次林管理として,光環境の調整による花芽率のコントロールが提唱されている。しかし,花芽率の予測には,植物の生態学的特性を考慮した評価が必要である。そこで,関西地方の二次林に多く自生するコバノミツバツツジの開花のメカニズムを解明することを目的に,連続的に日射量を測定し,花芽率・当年枝の構成・枝の動態を調べた。そ結果,5月〜8月の日射量が410MJ・m^<-2>・month^<-1>以下の生育場所では花芽分化は確認されず,明るいほど当年枝にしめる繁殖枝の割合が高くなること,繁殖枝の腋芽から伸長する栄養枝の数は光環境の影響を受けにくいことなどが明らかになった。
著者
中村 太士 森本 幸裕 夏原 由博 鎌田 磨人 小林 達明 柴田 昌三 遊磨 正秀 庄子 康 森本 淳子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

森林、河川、農地生態系について、物理環境を基盤とした生息場評価手法を確立した。また、それぞれの生態系において、生息場の連結性や歴史的変化、倒木などの生物的遺産を考慮する新たな復元手法を開発し、実験的に成果を得た。また、魚類、昆虫、植物、両生類、鳥類、貝類、哺乳類など様々な指標生物を設定し、モニタリングや実験結果によりその成否を評価する手法を確立した。環境経済学や社会学的立場から、再生事業や利用調整地区の導入に対する地域住民、利用者の考え方を解析し、将来に対する課題を整理した。
著者
柴田 昌三
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.84-89, 1987-03-31
被引用文献数
1 2

植栽された竹笹類の管理方法を考えるために、クマザサとオカメザサを用いて地下茎の季節的な動きを調査した。クマザサは8月の伸長が非常に悪く、6月と9月に盛んな伸長を示した。9月の旺盛な伸長がクマザサにとって非常に重要であることがわかった。オカメザサの地下茎は7月から11月の5ヶ月間しか伸長しない。夏から初秋にかけて活発な伸長を行い、特に7月後半から8月前半の旺盛な伸長が重要であることが示された。