- 著者
-
庄子 康
栗山 浩一
- 出版者
- 一般社団法人日本森林学会
- 雑誌
- 日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
- 巻号頁・発行日
- vol.81, no.1, pp.51-56, 1999-02-16
- 参考文献数
- 8
- 被引用文献数
-
2
自然公園における過剰利用は, 利用者の快適な利用を妨げるだけでなく, 景観や生態系に対しても悪影響を及ぼしている。本研究では利用料金の導入を取り上げ, その中でも利用者を抑制する効果について議論する。任意の協力金200円を導入している雨竜沼湿原を対象地として, CVM(仮想的市場評価法)を用いて協力金に対する支払意志額を推定し, これをもとに利用料金について考察を行う。支払意志額の質問方法には支払カード方式, 二項選択方式の二つの方式を用い, 比較を行った。推定結果は支払カード方式では中央値500円, 平均値453円, 二項選択方式では中央値2,186円, 平均値3,322円となり, 質問方法によって推定結果が大きく異なった。この原因には, 手掛りバイアスをはじめとするバイアスの存在が考えられた。さらに結果として, 利用料金の額と抑制効果の関係, 道外の訪問者・花の知識が多い人・協力金の存在を知っていた人の支払意志額が高いことが示され, この点から利用料金には過剰利用を抑制する効果がある一方, 問題点も存在し, 導入においては双方の事実を踏まえる必要があると考えられた。