著者
澤田 肇 五十嵐 太郎 北山 研二 栗田 啓子 南 明日香
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

パリがどのようにフランスの、そしてヨーロッパの首都としての外観と機能とイメージを形成していったのかを多角的に問うことが、本研究の目的である。シンポジウムや研究会における発表と議論の過程で、自らにふさわしいイメージを自己増殖していくかのような都市風景を構築するパリのダイナミズムが、複数の異なる専門分野からのアプローチを組み合わせることで一層浮き彫りになることを確認できた。
著者
栗田 啓子
出版者
公益財団法人 国際交通安全学会
雑誌
IATSS Review(国際交通安全学会誌) (ISSN:03861104)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.113-120, 2021

<p>本稿の目的は、フランスにおいて都市間鉄道の時間帯・曜日別運賃が広く支持されている要因を2種類の社会・文化的側面から解明することである。第一の側面として、フランスでは、通勤・通学客を主体とする都市内交通と観光客を主体とする都市間交通が明確に区別されていること、第二の側面として、フランスに固有の政府のエンジニアが公共交通の価格設定や差別料金の理論化に取り組み、差別料金が社会全体の利益に貢献することが納得的に示されたことを明らかにした。</p>
著者
栗田 啓子
出版者
経済学史学会
雑誌
経済学史研究 (ISSN:18803164)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.20-36, 2014 (Released:2019-08-23)

The paper raises two issues: first, it shows unique characters in the history of economic thought in France, and second, it clarifies the disciplinary position of the History of Economic Thought in French higher education at the end of the nineteenth century. Thus, the paper in-tends to define the historical contexts in which the academic discipline of the History of Eco-nomic Thought gained such social and institu-tional significance in France at the time. An examination of the nineteenth-century process of French institutionalization of eco-nomics in higher education demonstrates a rival-ry between the “Grandes Ecoles” and the uni-versities. Classical economics in Say’s tradition dominated the former institutions, excepting a few engineering schools where mathematical economics was introduced. In universities, the course of economics was instead established first in law faculties, and the History of Eco-nomic Thought was introduced as training for law students in economics. Gide and Rist wished to show the students various trends of econom-ics and, for that purpose, published their History of Economic Doctrines as a course textbook. Both authors were Protestants and support-ers of Dreyfus during the famous affair (1894― 1906). They sided more or less with the eco-nomic ideas of Walras and social economics. Their common scientific outlook involved a method of balanced grouping, mapping, and the assessment of various theories by way of inhib-iting a particular inclination to endorse any one of them. This method served their common cen-tral goals of relativizing different theories, and resulted in successful abating of the dominance of classical economics of the time. It was these ideas, in fact, that characterized their works. Fi-nally, their ideas were able to show the signifi-cance of newly emerging trends and theories like mathematical economics and social eco-nomics. JEL classification numbers: B 19, B 31, N 33.
著者
栗田 啓子 Keiko Kurita
雑誌
経済学論究 (ISSN:02868032)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.133-157, 2015-09-20
著者
葭内 朗裕 兼平 孝 栗田 啓子 竹原 順次 高橋 大郎 本多 丘人 秋野 憲一 相田 潤 森田 学
出版者
北海道歯学会
雑誌
北海道歯学雑誌 (ISSN:09147063)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.12-24, 2011-09-15

本研究は,北海道国民健康保険団体連合会(以下,"北海道国保連合会"と略)から提供を受けた平成19年5月のレセプトデータに基づき,北海道内の国民健康保険被保険者のうち,満70歳以上で歯科医療機関を含む医療機関を受診した者を対象に,現在歯数,欠損補綴状況,歯周病罹患状況と被保険者1人あたりの医科診療費との関連およびレセプト1件あたりの医科診療費から現在歯数と生活習慣病の罹患状況との関連について調べたものである.その結果,平均医科診療費は,1)現在歯が20歯未満の高齢者は,20歯以上の高齢者に比べ,1. 2~1. 3倍,中でも現在歯数が0~4歯の高齢者は,20歯以上の高齢者に比べ,1.4~1.6倍と有意に高いこと,2)歯の欠損部の補綴処置を受けていない高齢者は,受けている高齢者に比べ,1.1倍程度と統計学的に有意ではないがやや高い傾向にあること,3)重度の歯周病を有する高齢者は,歯周病がない,あるいは軽度の高齢者に比べ,統計学的に有意ではないが,1.1~1.3倍程度とやや高い傾向にあること,などが明らかとなった.また,生活習慣病による平均医科診療費(レセプト1件あたり)は,1)現在歯が20歯未満の高齢者は,20歯以上の高齢者に比べて1.1~1.3倍,中でも現在歯数がO~4歯の高齢者は,20歯以上の高齢者に比べて1.2~1.7倍と有意に高かった. 2)悪性腫瘍,糖尿病,高血圧性疾患,虚血性心疾患,脳血管障害では,現在歯が20歯未満の高齢者は,20歯以上の高齢者に比べるとそれぞれ1.1~1.4倍,中でも現在歯数が0~4歯の高齢者は,20歯以上の高齢者に比べ,1.4~1.7倍といずれも有意に高かった.
著者
栗田 啓子
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.541-562, 1983
被引用文献数
5 18

幼児齲歯の多発, 発症の原因を解明する目的で, 北海道辺地の幼児について, 2541名を対象として, 生活習慣6項鼠を設定し, 齲蝕罹患に及ぼす影響を偏相関係数を用いて分析した。併せて, コーホートを用いた経年的研究および細菌学的検索をも実施して, 次のような結果を得た。<BR>1. 牛乳摂取によって乳前歯および乳臼歯の齲歯多発は抑制傾向を有意に示していた。<BR>2. 清涼飲料摂取によって乳前歯, 乳臼歯とも齲歯多発傾向が強くみられ, 乳臼歯齲蝕の重症化にも影響を及ぼすことが明らかにされた。<BR>3. 甘味菓子類の摂取は, とくに乳前歯の齲歯多発および, 乳臼歯齲蝕の重症化に対して強い影響がみられた。<BR>4. 齲蝕罹患に対する影響を清涼飲料と甘味菓子類とを比較して検討したが, 全歯および乳前歯の齲歯多発には清涼飲料が有意に関与し, 乳臼歯齲蝕の重症化には甘味菓子類のほうがより強い影響を示していた。<BR>5. 間食摂取については, 齲歯を多発させる傾向は有意に認められなかった。<BR>6. 子供自身による刷掃の齲蝕抑制効果は極めて少なかうた。<BR>7. 母親による刷掃については, 指標に用いた各齲歯数および乳臼歯顔蝕の重症化に対して, 偏相関係数による分析では有意な抑制傾向を認めた。<BR>8. コーホート分析の結果は, 偏相関係数を用いた分析結果を支持し, 生活習慣の改善によって齲歯の多発および重症化を抑制し得ることを明示した。<BR>9. 幼児の歯垢中の総レンサ球菌数, Str. mutans菌数について検索した結果, 生活習慣と齲蝕罹患との相関関係を微生物学的検査からも明らかにした。また, 歯垢を材料とした齲蝕活動性試験 (カリオスタット) 48時間値と幼児の生活習慣との関係について検索したが, その結果は各生活習慣の要因の齲歯多発または抑制傾向を明示した。
著者
深貝 保則 栗田 啓子 高 哲男 中山 智香子 西沢 保 姫野 順一 矢後 和彦
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

4年間の研究期間中に随時、Professor Micheal Freeden(オックスフォード大学マンスフィールド・コレッジ)およびProfessor Hansjorg Klausinger(ウィーン経済経営大学)の2名の海外共同研究者をはじめ、7ケ国15名の海外研究者の参加を得て、研究集会やセミナーなどを開催した。研究集会にあたっては当該の科学研究費補助金の研究組織メンバーをはじめ、国内の近接領域の研究者若干名も加わって、英文のペーパーによって討論をおこなった。19世紀の先進国のあいだでは「進歩」と「自由」を軸にした経済統治(経済についてのガヴァナンス)が比較的順調に進んだ。統一国家の形成それ自体が課題であったドイツやイタリア(および日本)は別格としても、原子論的・個人主義的社会像をベースにおいたブリテンや、実証主義を軸にエンジニア・エコノミストによる経済のアレンジを進めたフランスでは典型的に、進歩に信頼を寄せる方向にあった。しかし19世紀終盤になると、この枠組は大幅に修正を迫られた。現実的な歴史基盤の面でいえば、外交および経済を外延的に拡張させるストラテジーが相互に衝突を起こす可能性に直面しただけではない。各国の内包的な利害の面でも、産業化と都市化のうねりの帰結をめぐって社会階層間で、また一国経済の方向づけとその国際的連関のあり方をめぐって産業利害と金融利害との間で新たな調整を必要とする局面に差し掛かったからである。この研究課題の遂行を通じて、19世紀末からの局面転換を思想史的な観点から捉えた場合に、有機的なヴィジョンが持った構想力の重要性が確認された。T. H.グリーンやデュルケムに担われた有機体説的な社会観と、ダーウィンやスペンサーによって典型的に展開された進化論はともに、世紀転換期以降の社会のあり方や経済的な統治を構想する上で重要な役割を果たしたのである。