著者
松河 秀哉 大山 牧子 根岸 千悠 新居 佳子 岩﨑 千晶 堀田 博史
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.233-244, 2018-01-31 (Released:2018-02-05)
参考文献数
13
被引用文献数
3

本研究では,様々な制約から活用が難しかった授業評価アンケートの自由記述の分析に関し,ある大学で実施された9年分,約6万件のデータに対して,潜在ディリクレ分配モデル(LDA)に基づいたトピックモデルによる分析を行い,170のトピックを抽出した.抽出したトピックに対しては,一定の手順に従ってラベルを付与し,ラベルの妥当性を検証した.その結果,ラベルには十分な妥当性が確認され,トピックモデルによる分類が全体的には人間の感覚に適合したものであることが示された.本研究ではさらに,自由記述を科目群の情報と紐付けて分析を行い,各科目群に存在するトピックの割合や,全体の傾向と比較した各科目群のトピック分布の特徴について,クロス表による情報の可視化を行った.こうした分析手法は今後Institutional Research (IR),Learning Analytics (LA)等での応用が期待される.
著者
村上 正行 佐藤 浩章 大山 牧子 権藤 千恵 浦田 悠 根岸 千悠 浦西 友樹 竹村 治雄
出版者
教育システム情報学会
雑誌
教育システム情報学会誌 (ISSN:13414135)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.276-285, 2020-10-01 (Released:2020-10-01)
参考文献数
8

In this paper, we introduce school-wide teaching and learning support practices by using digital learning tools for students and faculties during the COVID-19 pandemic. Right after the COVID-19 pandemic affected the higher-education in Japan, Osaka University built a Teaching Class Support and Response Team during the new semester to develop school-wide online teaching and learning supports due to the campus closure. The team offers multi-faceted support tools such as LMS help desk, orientation videos via YouTube channel for first-year students, and teaching online guidelines during the semester. Through our practices, we find the significant issue of teaching at the university during the COVID-19 era. The issue is: how we conduct classes to combine face-to-face and learning online in the same semester. To resolve this issue, we believe that universities need to develop an organizational comprehensive support system for teaching and learning. We also expect that scholars would share their expertise, idea, and practices of teaching under practices the COVID-19 pandemic by using an academic society.
著者
村上 正行 浦田 悠 根岸 千悠
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.19-26, 2020-12-01 (Released:2021-06-01)
被引用文献数
1

本稿では,大学でのオンライン授業のデザインについて説明し,コロナ禍において大学で実践されたオンライン授業に関する情報および著者が実践したオンライン授業について紹介する。そして,対面とオンラインを組み合わせたブレンデッド教育やハイフレックス授業について説明し,今後のニューノーマルにおける大学教育のあり方について検討する。
著者
齊藤 知範 根岸 千悠
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.10, 2011

<B>1.はじめに</B><BR><BR> 本報告では、若年女性の犯罪不安について、質的アプローチを導入することによる新たな枠組みを提示した上で、犯罪不安と都市空間における行動制約や防犯対策との関係について、試論的に考察を加えるものである。<BR> 犯罪不安がどのような社会的属性の人々に集中しやすいかは社会によって異なりうるが、重要な特徴のひとつとして、男女差の存在を挙げることができる。すなわち、他の諸要因を統計的にコントロールした上でも、女性のほうが男性よりも犯罪不安が高い傾向にあることが知られている(Ferraro 1995)。こうした男女差は、先進諸国において、比較的共通して観察されるパターンである。<BR> 一方で、犯罪不安は、主観的で多面的なものであり、生活世界を含めてその内実を深く知ろうとするほど、計量的手法だけでは、構造を解明する上で一定の限界があると考えられる。このため、質的手法が適する場合があり、諸外国においても、質的アプローチによる研究が行われてきた(若林 2009)。他方、吉田(2006)は、地理学におけるジェンダー研究を包括的に検討しつつ、育児等の再生産の舞台である郊外の住宅地における防犯のための監視性の高まりについて、ジェンダーの観点から考察を加えている。<BR><BR><B>2.先行研究</B><BR><BR> 犯罪学においては、犯罪や非行を犯す人間の心理や社会的環境要因に着目する犯罪原因論と、犯罪が起きやすい状況(場所、時間帯など)を生む条件や環境に着目する環境犯罪学の2つが、主要な説明理論として挙げられる。犯罪原因論はもとより、環境犯罪学においても、犯罪の被害に遭いうるターゲットが抱える犯罪不安や選択する防犯対策については、それほど考察がなされているとはいえない。<BR> 他方、小学生の防犯教育に関する実践的研究は比較的多くなされており、大西(2007)のレビューに詳しい。また、根岸(2011)は、公立高校の3年生(21名)を対象とする防犯の実験授業を実施しており、犯罪に関するリスクの情報を生徒に対して適切に伝達したり犯罪統計に関するリテラシーを身につけさせたりすることや犯罪不安の緩和などを目的とした、高校生の防犯に関するカリキュラム開発を行い、授業実践上の課題について明らかにしている。一方で、成人の犯罪不安や被害防止のためになされる防犯行動を空間との関わりにおいて検討した研究は、比較的少ないのが実状である。<BR><BR><B>3.研究の方法</B><BR><BR> 以上のような問題関心にもとづき、報告者は、大都市および郊外地域に居住する若年女性を対象として、質的調査を実施した。具体的な内容としては、つきまといや声かけなどのヒヤリハット事案への遭遇経験、犯罪不安の状況や背景、防犯情報への接触、防犯のために講じている対策や行動などについて尋ねるものであり、これを半構造化面接によって実施した。この安全・安心に関する質的調査は、犯罪不安と若年女性の社会生活との関係などについても、把握しようとする内容であった。<BR> 本報告では、この調査について予備的な分析を行い、第1節で提示した問いに関して若干の考察を加えることとしたい。<BR><BR><B>参考文献</B><BR><BR>Ferraro, Kenneth F., 1995. Fear of Crime: Interpreting Victimization Risk, State Univ of New York Press.<BR>根岸千悠, 2011, 「「犯罪について考える」授業の開発 ―犯罪の実態と認識の乖離および環境犯罪学に着目して―」『授業実践開発研究』4, 37-43.<BR> 大西宏治, 2007, 「子どものための地域安全マップへの地理学からの貢献の可能性」『E-Journal GEO』2, 1, 25-33.<BR> 齊藤知範, 2011, 「犯罪学にもとづく子どもの被害防止」『ヒューマンインタフェース学会誌』13, 2, 123-126. <BR>若林芳樹, 2009, 「犯罪の地理学-研究の系譜と課題-」金沢大学文学部地理学教室編『自然・社会・ひと-地理学を学ぶ』古今書院, 281-298. <BR>吉田容子, 2006, 「地理学におけるジェンダー研究-空間に潜むジェンダー関係への着目-」『E-Journal GEO』1, 22-29. <BR>
著者
大山 牧子 根岸 千悠 山口 和也 オオヤマ マキコ ネギシ チハル ヤマグチ カズヤ Oyama Makiko Negishi Chiharu Yamaguchi Kazuya
出版者
大阪大学全学教育推進機構
雑誌
大阪大学高等教育研究 (ISSN:21876002)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.15-24, 2016-03-31

This study aimed to suggest an opinion for the design of a flipped classroom through examining acase study in which the practicality of a flipped classroom in chemistry lessons was studied. In recent years, deep learning for students has become a matter of strong interest for higher education. Flipped learning has become widespread in higher education. This new instructional strategy is different from the ones used in a conventional classroom in which students carry out desk work. In a flipped classroom, instructional content is delivered online and outside the classroom. On the other hand, group work is conducted inside the classroom. This study focused on the use of a flipped classroom in a “Basic Inorganic Chemistry” class for sophomores in Osaka University. It was found that most students were satisfied with this method. Students established their own strategy of self-learning through watching videos and deeply understood the instructional content through mutual teaching and learning in group work. The findings demonstrated that the factors that promote a flipped classroom include designing students’ activities, learning objectives, and learning environment inside and outside of class (both before and after class).
著者
根岸 千悠 ネギシ チハル NEGISHI Chiharu
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書 (ISSN:18817165)
巻号頁・発行日
vol.249, pp.7-14, 2012-02-28

千葉大学大学院人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書第249集「社会とつながる教員養成に関する実践的研究」藤川大祐編"Practical Research on the Teacher Training Connected with Society" Report on Research Project No.249今日、学校に求められるもの、教員に求められるものは非常に多様化している。教員養成系大学・学部では、学校だけでなく社会と積極的につながり、幅広い見識や視点を持った教員を養成することがより一層求められる。このような状況の中、本報告書の執筆者である教育学部学生らは、大学を基盤としつつも、学校を飛び越え、社会とつながる様々な取り組みをおこなっている。そこで本稿では、「社会とつながる教員養成」の各事例を「1.大学による授業科目の受講」、「2.学生による研究としての授業づくり」、「3.越境型の研究会への参加」の3つに分類した。そして「社会とつながる教員養成」の持つ可能性と課題を整理し、今後のあり方を検討した。