- 著者
-
森田 孝夫
佐々木 厚司
- 出版者
- 京都工芸繊維大学
- 雑誌
- 特定領域研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 1998
本研究の目的は,阪神・淡路大震災においてさまざまな生活支援施設の地震対応を調査し,実時間で最適な地域施設の対応システムを開発することである。研究実績をまとめると次の通りである。1, 地域施設の対応システム開発(医療福祉系):医療福祉系施設において,日常活動の非常時展開,および地域活動の拠点的展開に対応するために,共用スペース規模の量的充実に対する建築計画的配慮と,異分野や異属性のサービスのマネージメントの必要性が明らかになった。2, 地域施設の対応システム開発(消防・救助系):甚大な被害を受けた地区では,地域施設・設備も被害を受ける可能性が高いために,人間集団の協力に頼る率が高くなる。焼失型では,芦屋市や神戸市長田区真野地区のような民間消防団や企業消防団といった集団力を発揮させるソフト計画が必要となる。ただし,前提条件は局地的な被害実態と広域的な被害実態の両方の迅速な把握である。3, 地域施設の対応システム開発(商業系):コンビニエンスストアが早期に稼働する実態が判明したが,その他の施設の対応は期待できない。むしろ被害者自身が被害が小さかった地域の商業施設へ出かけたり,他府県に住む親類などによる個人的な運搬が非常に活発に行われた。問題はそのような行動ができない災害弱者に対して支給する緊急生活支援物資の調達・配送ネットワークの確立が必要である。