著者
耳塚 寛明 苅谷 剛彦 樋田 大二郎
出版者
東京大学教育学部
雑誌
東京大学教育学部紀要 (ISSN:04957849)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.29-52, 1982-03-10

The aim of this study is to find the relations of school organizational structure and non-organizational treatment to students career formation. We studied the relation of "Student Subculture and School Organization in Japanese High school" in 1979, which was reported in this bulletin in 1981. In that study, we showed the importance of school organization and teachers' perspecctives as intervening variables. In this study, we focused on student career formation as an output variable. And we researched how student career formation is influenced by organizational and non-organizational features of the individual school. We tried three case studies. Each case contains two schools which have the same background. By this method, we could clarify school organizational and non-organizational effect on student career formation with any other variables controlled. The data we used are sub-samples of the former study in 1979. The number of the survey objects include 6 high schools, 6 staffs a school, 750 students and 68 teachers.
著者
樋田 大二郎 岩木 秀夫 耳塚 寛明 大多和 直樹 金子 真理子 堀 健志 岡部 悟志
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

実証研究の結果、日本の高校では確かにゆとりから学力回帰の流れが起きており、学力向上のためには、かつてのメリトクラシーとトラッキングの組み合わせによる構造に起因する動機付けでは無く、また内発的動機付けに期待する多様化の制度改革も一段落して、今日では学校生活の楽しさと個別的面倒見主義による動機付けが強調され、あるいはそれを支える新自由主義的競争原理の導入などが進行していた。しかし、そうした動向は主体性や創造性などの従来からの教育的価値を損なう危険を秘めていた。研究グループは、シンガポールとの国際比較研究から、代案として複線型教育体系もしくはその要素の一部を日本に導入することを検討した。
著者
樋田 大二郎 岩木 秀夫 耳塚 寛明 苅谷 剛彦 金子 真理子 大多和 直樹
出版者
聖心女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

われわれが1979年以来行ってきたデータの再分析、および日本、シンガポールの再調査を行っている。シンガポールは、非常に学歴が重視される国であり、研究者の間ではメリトクラシー(能力と努力の結果が支配する)の国であると考えられている。こうした背景には、シンガポールの国際社会やアジアにおける軍事的、経済的位置づけやさらには多民族の融合というこの国独自の事情がある。しかし、それだけでなく、人々を学習に駆り立て、学習の結果を人材の社会的配分の基準にすることを正当化するような考え方や仕組みが存在する。一昨年度以来のわれわれの調査では、シンガポールは、教育政策においてアファーマティブ・アクション(マイノリティへの優遇:大学入学枠の確保、点数の加算など)や救済重視的な社会的敗者対策はとらずに、競争参加への機会均等をすべての国民に対して保証する/競争の結果に基づいて地位配分を行う/競争の結果に基づいて地位配分が行われるプロセスと基準を明確化し納得させる/競争の内容(学習の内容と方法)を明示化し納得させる/競争の内容(学習の内容と方法)を「学問中心」ではなく、生徒の興味、企業からの要請や国際社会からの要請に応じたものにしている/競争の内容(学習の内容と方法)が卒業後の生活と結びついていることを生徒に認知させ、納得させる/競争の結果に基づいて手厚いエリート教育と手厚い大衆教育を行う/敗者復活の機会を用意する、などの教育政策を採っている。しかし、こうしたシステムのあり方に加えて、授業面で、私たちの知見では、シンガポールは、授業内容が卒業後の進路とレリバンスが高く、それを可能にするために、コース設置、教員採用、カリキュラム、教科書などが、現場裁量に任せられる部分が大きく、ガンバが進路先とコミニュケーションを親密にとっている。