著者
尾﨑 正和 幸田 恭治 堀 健志 山下 裕司 古川 裕之
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.223-229, 2017-04-10 (Released:2018-04-10)
参考文献数
9

Acetaminophen is approved up to 4,000 mg per day as an analgesic agent in Japan and displays analgesic effects depending on dosage. On the other hand, acetaminophen has some interactional effects. The mechanism of the interaction between acetaminophen and warfarin has not been elucidated, and no interactional cases have been reported in Japan either. However, two cases of marked PT-INR elongation were recognized by two inpatients in our hospital, Japanese males in their 50s and 60s who were treated with concurrent chemoradiotherapy using 70 Gy radiotherapy delivered as 2 Gy daily and triweekly 100 mg/m2 cisplatin, that had been prescribed both drugs. Each PT-INR lapsed into loss of control; the maximum for one was more than 20 which was unmeasurable and for the other, 9.48, given vitamin K2 (VK2) immediately was antagonistic to warfarin. Concomitant drugs of warfarin were promptly checked again to see if it was related to the plasma protein binding ratio and hepatic cytochrome P450 inhibition reaction. Furthermore, each liver function test was also normal. As a result of consideration on these two, the dosage of acetaminophen has possible implications. It could be caused by the active metabolite of acetaminophen, NAPQI (N-acetyl-para-benzoquinone imine), as reported by basic research of VK cycle inhibitory action; however, the mechanism is not completely clear yet so future research is required to clarify this point. In any case, it is necessary to regularly measure PT-INR through the combination of warfarin and acetaminophen.
著者
乾 彰夫 樋口 明彦 佐野 正彦 平塚 眞樹 堀 健志 三浦 芳恵 Andy BIGGART
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.120-131, 2021-06-25 (Released:2023-06-26)
参考文献数
36

1990年代以降,若者の大人への移行は著しく長期化した。若年労働市場の悪化は離家や家族形成に深刻な影響を与えている。しかし国による社会保障制度の差は,それらへの影響に違いをもたらしていることが考えられる。すなわち若者への保障が厚い制度のもとでは労働市場でのリスクは必ずしも直接に離家や家族形成に影響を与えない一方,それが乏しい制度のもとでは影響が直接的であることが予想される。本研究では若者の離家と家族形成への社会保障制度の効果について,日英比較を通しての検証を行う。日本の若者への社会保障は極めて限定的である。一方イギリスのそれは近年大きく後退したもののなお一定の厚みがある。分析結果からは,家族形成において,イギリスでは労働市場におけるリスクに対して社会保障が一定の緩和機能を果たしている一方,日本ではその効果はほとんど見られないことが示された。
著者
乾 彰夫 佐野 正彦 平塚 眞樹 堀 健志 岡部 卓 杉田 真衣 樋口 明彦
出版者
東京都立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は、若者の大人への移行に、教育、労働市場、社会保障、家族などの諸制度・慣行が与える影響を、先進国間の比較を通じて明らかにすることと、それを通じて若者の移行支援にかかわる制度・政策へのインプリケーションを得ることを目的としている。そのため本研究では、日本・イギリス・ドイツ・スイス・ノルウェーを対象に、パネル調査データなどを用いて、教育・労働市場・社会保障・家族の諸制度・慣行が若者の移行に与えている影響を比較するという方法をとる。第一年度となる2018年度は、①学校から仕事へ・離家・家族形成の三移行のわが国のこの間の変化及びそれらに関わる諸制度等を概観するとともに、②海外共同研究者の協力を得て対象各国の状況を概観した。さらに③これらを踏まえ、比較枠組みについて海外共同研究者を交えて検討するとともに、④比較研究に利用するパネルデータ等の検討を行った。なお日本データについては、当初予定していたYouth Cohort Study of Japanに加え、厚労省21世紀成年者縦断調査データを利用する可能性を検討するため、同データの利用申請手続きを行った。また⑤先行して試行的に分析検討を行ってきた日英比較について、海外研究協力者とともに国際学会で発表するとともに、国際ジャーナルに投稿した。
著者
乾 彰夫 佐野 正彦 堀 健志 芳澤 拓也 安宅 仁人 中村 高康 本田 由紀 横井 敏郎 星野 聖子 片山 悠樹 藤田 武志 南出 吉祥 上間 陽子 木戸口 正宏 樋口 明彦 杉田 真衣 児島 功和 平塚 眞樹 有海 拓巳 三浦 芳恵 Furlong Andy Biggart Andy Imdorf Christian Skrobanek Jan Reissig Birgit
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、代表者らグループが2007~2012年度に実施した「若者の教育とキャリア形成に関する調査」を踏まえ、①そのデータの詳細分析を行い、現代日本の若者の大人への移行をめぐる状況と課題を社会に公表すること、②他の先進諸国の同種データと比較することで日本の若者の移行をめぐる特徴と課題を明らかにすること、の2点を研究課題とした。①に関してはその成果を著書『危機のなかの若者たち』(東京大学出版会、410 頁、2017年11月)として刊行した。②に関しては海外研究協力者の参加の下、イギリス・ドイツ・スイスとの比較検討を行い、2017年3月国際ワークショップ(一般公開)等においてその結果を公表した。
著者
苅谷 剛彦 堀 健志 安藤 理 平木 平木 有海 拓巳 漆山 綾香 日下 田岳史 井上 公人 高橋 渉 中西 啓喜
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、公立-私立、大都市-地方という教育における分化の進行を背景に、地方の公立高校のはたす役割はどのようなものかを、ユニークな教育実践に取り組む公立進学校に焦点を当て、実証的に明らかにすることを目的に行われた。地方の公立進学高校は、大都市部の私立中高一貫校と同じ土俵にのって、大学進学競争を強化しようとしているだけなのか。地方のための/地方からの人材形成という機能を、どのようにとらえ、どのように実践しようとしているのか。そして、その成果は、生徒たちの実際の進路形成や価値意識の形成として、どのように現れているのか。本研究では、たんに大学進学の実績を上げることに汲々としている進学高校ではなく、教育改革のねらいにも符合する「プラスアルファ」の教育をも合わせて実践している地方公立高校を中心に取り上げ、総合的な調査研究を行うことによって、これらの問題を明らかにした。研究方法としては、特色のある教育を実践している地方の公立普通科高校を含む、11 校の高校に対する質問紙調査と、12校の高校を対象とした質問紙調査による。質問紙調査においては、同一対象者に対し、継続的な調査を行うパネル調査という方法を用いた。この方法を用いることで、高校時代の教育経験が、卒業後にどのような影響を及ぼしているのかを追跡することが可能になるからである。パネル調査として、高校3年次を対象とした生徒を、さらに卒業後1年目、2年目と二度にわたり追跡した。こうしたパネル調査を用いることで、プラスアルファの教育の効果を、時間をおいてとらえようとしたのである。これらの調査の結果、以下の知見が得られた。(1)地方から大都市の難関大学に進学することにより、地域間再分配政策に賛成しやすくなるというかたちで社会的責任が形成されること、(2)高校時代に学校行事に熱心に参加していた生徒ほど大学で自ら学んだり、成果を発表したりできていること、そして、(3)学校行事には出身階層下位の生徒が参加しやすいことを考慮すると、高校時代の学校行事には、階層下位の生徒が大学で学習しやすい環境を整えるという意味で階層間格差縮小の機能があるということである。これらの知見により、生徒たちの意識の差異を確認することで、高校段階における「プラスアルファ」の教育がその後のキャリア・社会生活(今年度は大学生活)に及ぼす影響を把握できたことになる。
著者
樋田 大二郎 岩木 秀夫 耳塚 寛明 大多和 直樹 金子 真理子 堀 健志 岡部 悟志
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

実証研究の結果、日本の高校では確かにゆとりから学力回帰の流れが起きており、学力向上のためには、かつてのメリトクラシーとトラッキングの組み合わせによる構造に起因する動機付けでは無く、また内発的動機付けに期待する多様化の制度改革も一段落して、今日では学校生活の楽しさと個別的面倒見主義による動機付けが強調され、あるいはそれを支える新自由主義的競争原理の導入などが進行していた。しかし、そうした動向は主体性や創造性などの従来からの教育的価値を損なう危険を秘めていた。研究グループは、シンガポールとの国際比較研究から、代案として複線型教育体系もしくはその要素の一部を日本に導入することを検討した。