著者
横山 悟
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Institute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.9, pp.9-16, 2016-02-28

近年、学科試験を受けない形で大学に入学させる、アドミッションオフィス入学試験(AO入試)方式や推薦入試などによる入学者選抜方式の利用が増加している。主に高校における成績、各種部活動や委員会などの活動実績、志望理由、面接、小論文などにより、入学希望者を多角的に評価し、入学者を選抜する方法である。しかし、中央教育審議会の場などにおいて、これらのAO入試や推薦入試が大学生の基礎学力低下を引き起こしている可能性がある、と危惧する声も上がっている。このような状況に対し、本論文では、中学・高校・大学において必修科目とされている英語科目の成績を指標とし、入学試験の方式により分類した初年次学生の英語に関するテスト結果のうち、初年次前期の講義開始前に行った英語科目のプレースメントテスト、及び初年次前期の英語科目にて全学的に行った共通定期試験のスコアを項目反応理論による解析を通じて、入学試験区分によって実際の大学入学者の学力差が見られるのかを検証した。結果として、プレースメントテスト、定期試験ともに、AO入試の区分の学生のスコア平均は低く、学科試験を課す入試区分の学生のスコア平均が高かった。一方、学校法人内での特待生推薦入試の区分の学生はスコア平均が高く、一般入試やセンター試験など実質的に学科試験がある入学区分と同等の学力を持っていた。特待生推薦入試の区分では、全ての学生が特待生になるわけではないが、特待生の枠での採用が設定されていることから、学費の減免を目的として、優秀な学生が受験してきている可能性が示唆される。以上より、AO入試・推薦入試の区分が全て学力不足である、という短絡的な一般化には至らないことが確認され、特待生枠などの設定により、学科試験が課されずとも学力が高い学生を確保する方法がある可能性が示された。
著者
千葉 克裕 吉本 啓 横山 悟
出版者
文教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

日本における英語学習において、初級学習者は L2 英悟の語彙を日本語の翻訳を介して理解しているか、また上級になると直接第2 言語を処理するようになるか、という習熟度の変化にともない第2 言語語彙処理プロセスが変化するかどうかを脳磁図(MEG)を用いて観察した。分析の結果から上級者は単語認知処理において処理速度が速く、また初級者は脳のより多くの部位を使用して意味処理を行っていると判断された。
著者
横山 悟
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.9, pp.9-16, 2016-02

近年、学科試験を受けない形で大学に入学させる、アドミッションオフィス入学試験(AO入試)方式や推薦入試などによる入学者選抜方式の利用が増加している。主に高校における成績、各種部活動や委員会などの活動実績、志望理由、面接、小論文などにより、入学希望者を多角的に評価し、入学者を選抜する方法である。しかし、中央教育審議会の場などにおいて、これらのAO入試や推薦入試が大学生の基礎学力低下を引き起こしている可能性がある、と危惧する声も上がっている。このような状況に対し、本論文では、中学・高校・大学において必修科目とされている英語科目の成績を指標とし、入学試験の方式により分類した初年次学生の英語に関するテスト結果のうち、初年次前期の講義開始前に行った英語科目のプレースメントテスト、及び初年次前期の英語科目にて全学的に行った共通定期試験のスコアを項目反応理論による解析を通じて、入学試験区分によって実際の大学入学者の学力差が見られるのかを検証した。結果として、プレースメントテスト、定期試験ともに、AO入試の区分の学生のスコア平均は低く、学科試験を課す入試区分の学生のスコア平均が高かった。一方、学校法人内での特待生推薦入試の区分の学生はスコア平均が高く、一般入試やセンター試験など実質的に学科試験がある入学区分と同等の学力を持っていた。特待生推薦入試の区分では、全ての学生が特待生になるわけではないが、特待生の枠での採用が設定されていることから、学費の減免を目的として、優秀な学生が受験してきている可能性が示唆される。以上より、AO入試・推薦入試の区分が全て学力不足である、という短絡的な一般化には至らないことが確認され、特待生枠などの設定により、学科試験が課されずとも学力が高い学生を確保する方法がある可能性が示された。
著者
横山 悟 マナロ エマニュエル 田中 エリス伸枝 高橋 慶 橋爪 寛 ジョン ヒョンジョン 川島 隆太
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.145, pp.13-17, 2012-07-14

外国語の習熟度の一側面として、処理時間の速度という側面がある。本研究では、日本人英語学習者による英文理解の速度を計測し、その速度と英語の習熟度との関係性を探る。その目的のため、習熟度のバラつきがある日本人英語学習者群に対し、英語習熟度テストと英文のself-paced reading taskを課し、両者の関係性を探索的に探った。本論文では、その実験結果を報告する。
著者
Manalo Emmanuel 鈴木 雅之 田中 瑛津子 横山 悟 篠ヶ谷 圭太 Sheppard Chris 植阪 友理 子安 増生 市川 伸一 楠見 孝 深谷 達史 瀬尾 美紀子 小山 義徳 溝川 藍
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

3年目である本年は、21世紀型スキルの促進ということに焦点を当てて研究を行った。この結果、様々なワークショップや授業を開発した。具体的には、大学教員の質問スキルの向上を目指すワークショップの開発、小学校教員による効果的な学習法指導の開発、高校生の批判的思考と探究学習を促進する実践の提案などを含む。さらに、教育委員会と連携した実践なども行った。こうした研究の結果、研究代表者であるEmmanuel Manaloと分担研究者である植阪友理を編者に含む、英語の書籍を刊行した。この書籍は、自発的な方略を促進するためのあり方を具体的に提案するものであった。この本の論文はいずれも、査読付きであり、このうち9本は本プロジェクトに関わるメンバーが執筆している。のこり10本は海外の研究者が執筆している。海外の著者にはアメリカのUCLA (University of California Los Angeles) やPurdue University、スイスの ETH Zurich、ドイツの University of Munster (Germany) 、University of Hong Kongなどといった一流大学の研究者が含まれており、国際的な影響力も大きなものとなったと考えられる。さらに、日本心理学会、教育工学会などといった国内学会において発表を行った。さらに、EARLI (European Association for Research in Learning and Instruction) やSARMAC (Society for Applied Research in Memory and Cognition) といった国際学会においても発表した。