著者
松岡 耕史 三沢 幸史 横山 雄一 島田 真太郎 伊藤 富英
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.377-384, 2021-06-15 (Released:2021-06-15)
参考文献数
21

アームサポートであるMOMOは,主に神経難病患者に対して利用されているが,回復期リハビリテーション病棟での利用報告はほとんどない.そこで,MOMOを回復期リハビリテーション病棟入院中の脳血管障害患者や脊髄損傷患者4例に対して,日常生活における生活支援機器と,訓練におけるリハビリテーション機器として利用し,MOMOの活用方法について検討した.その結果,スプーンやパーソナルコンピュータの操作など,生活動作で利用できた他,上肢訓練の補助機器として利用することができた.これらより,MOMOは,回復期リハビリテーション病棟の対象者に対して,生活支援機器やリハビリテーション機器として活用できる可能性が考えられた.
著者
横山 雄一
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.90-101, 1998-02-01 (Released:2010-08-10)
参考文献数
50
被引用文献数
5 9 1

Involuntary clenching is common during physical exercise; therefore, the purposeof this study was to elucidate the relationship between stomatognathic function and physical exercise as well as role and mechanism of involuntary teeth clenching during physical exercise.In 15 healthy, fully dentate males (mean age 26.5±2.1), electromyographic activities from jaw closing (JM), sternocleidomastoid, biceps brachial (BB), and rectus femoral (RF) muscles; mandibular positions; and muscle strength during both isometric elbow flexion and knee extensionexercises were recorded and analyzed.From the analysis of electromyographic activities and mandibular position, the subjects were divided into two groups, Clenching group (n=9) and Non-clenching group (n=6). The subjects in the Clenching group showed involuntary clenching during the exercise and their mandibular positions were located at the inter-cuspal position. The onset of electromyographic activity of JM was earlier than that of the agonist (BB, RF) in the 7 subjectsof the Clenching group. In the Clenching group, both elbow flexion and knee extension strength with involuntary clenching were lowered when voluntary mouth opening was directed during the exercise.These results suggested that stomatognathic function and physical exercise had an interdependent relationship and involuntary clenching during physical exercise could be explained by a so-called feedforward mechanism.
著者
横山 雄一 松岡 耕史 三沢 幸史 島田 真太郎 伊藤 富英
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.794-800, 2023-12-15 (Released:2023-12-15)
参考文献数
15

MOMOは主に神経難病や高位脊髄損傷患者の上肢機能支援として活用されるアームサポートである.本研究は,脳卒中後にうつ病やアパシーを呈し,リハ拒否や意欲低下が見られた症例に対し,MOMOを活用した介入を実施した.その結果,自身の身体状態を悲観的に捉える症例の自己効力感の向上を促すことに成功し,Apathy Rating Scale(ARS)やMotor Activity Log(MAL)のスコア改善へと繋がった.これらより,MOMOを活用して意味のある作業への参加を援助することで,対象者の自己効力感が向上し,生活全般に対して意欲的となるといった精神的賦活効果の一助となる可能性が示唆された.
著者
田村 誠朗 北野 将康 東 幸太 壷井 和幸 安部 武生 荻田 千愛 横山 雄一 古川 哲也 吉川 卓宏 斎藤 篤史 西岡 亜紀 関口 昌弘 東 直人 角田 慎一郎 細野 祐司 中嶋 蘭 大村 浩一郎 松井 聖 三森 経世 佐野 統
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.450-455, 2017 (Released:2018-01-25)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

症例は65歳女性.X-17年に間質性肺炎合併多発性筋炎と診断されステロイド薬が開始.X-8年に関節リウマチを合併しタクロリムス(Tac)が併用となっていた.X年2月上旬から全身倦怠感と高血圧が出現,さらに血液検査で,血小板減少,溶血性貧血,破砕赤血球,LDH高値,高クレアチニン血症を認めたことから,血栓性微小血管障害症(TMA)と診断.TMAの原因としてcalcineurin inhibitor(CNI)腎症を疑い,Tacを中止し血漿交換を開始した.以降,破砕赤血球は消失し,血小板減少,溶血性貧血は改善したが,高血圧,腎機能低下が遷延したため腎生検を施行.その結果はTMAの病理組織像であった.ただしCNI腎症としてはTacの血中濃度は既存の報告と比較し低く,また薬剤中止後も腎機能低下が遷延していた点が非定型的であった.後に抗PL-7抗体が陽性であることが判明.本症例は強皮症の診断基準は満たさなかったが,同抗体陽性例では強皮症を合併したとする報告がある.すなわち潜在的な強皮症素因を背景にCNI腎症が重篤化した可能性が示唆された.抗PL-7抗体陽性の患者にTacを投与する際はTMAの発症に十分留意する必要がある.
著者
横山 雄一 井口 和弘 臼井 茂之 平野 和行 ヨコヤマ ユウイチ イグチ カズヒロ ウスイ シゲユキ ヒラノ カズユキ Yuichi YOKOYAMA Kazuhiro IGUCHI Shigeyuki USUI Kazuyuki HIRANO
雑誌
岐阜薬科大学紀要 = The annual proceedings of Gifu Pharmaceutical University
巻号頁・発行日
vol.62, pp.68-74, 2013-06-30

グリセロールは肝臓における糖新生や脂質合成の材料であるため、肝臓へのグリセロール流入量の変化は様々な代謝経路に変調をきたす。アクアポリン9(AQP9)は、主に肝臓において発現が見られ、水分子のみならず、グリセロールや尿素などの低分子溶質をも透過させるチャネル型膜蛋白質である。AMP-activated protein kinase(AMPK)は生体内のエネルギーセンサーであり、糖・脂質代謝の恒常性維持に働くセリン/スレオニンキナーゼである。本研究では、AMPKの活性化剤である、5-aminoimidazole-4-carboxamide-1--D-ribonucleoside(AICAR)を、ヒト肝癌由来HepG2 細胞に作用させたところ、AQP9 mRNA の発現量が顕著に減少することを確認した。レポータージーンアッセイや転写因子forkhead boxa2(Foxa2)遺伝子をノックダウンさせた実験の結果から、Foxa2 は、AICAR によるAQP9 遺伝子発現抑制に関わる重要な転写調節因子であることを見出した。AICAR により活性化されたAMPK は、Akt のThr-308 残基とSer-473 残基のリン酸化を促し、それに伴いFoxa2 がリン酸化されて核内から核外へと移行することを明らかにした。したがって、肝臓でのグリセロール輸送の観点からAMPK によるコントロールのもとに、AQP9 は肝臓へのグリセロールの流入量を変化させ、糖・脂質代謝調節に寄与している可能性が示唆された。