著者
河合 真梨子 福和 伸夫 護 雅史 飛田 潤
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.74, no.636, pp.409-416, 2009-02-28 (Released:2009-11-02)
参考文献数
13
被引用文献数
3

This paper proposes a new place-name classification table considering geographical features and soil characteristics, which helps interpretation of seismic hazard maps. This table is classified into two soil groups (stiff soil and soft soil) based on the origin of their Chinese characters. We select bus-stop name from many kinds of place-name. This reason is the following two points. Distribution density of bus-stop is almost evenly in the city, bus-stop name mostly remain past place-name. The validity of the new place-name classification table and bus-stop name is clarified through case studies on the three major metropolitan areas of Japan.
著者
杉山 充樹 吉岡 優樹 平井 敬 福和 伸夫
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.20, no.7, pp.7_101-7_119, 2020 (Released:2020-11-30)
参考文献数
27
被引用文献数
1

1995年の兵庫県南部地震以降,我が国の震度観測体制は飛躍的に整備された.本論では,日本の震度観測の開始から現在に至るまでの変遷をまとめた.気象庁地震カタログの震度データの分析により,震度観測点密度が高くなると,より震源に近い位置での強震観測記録が増え,観測最大震度が増大することを定量的に示した.また,全国を震度観測点を基準にボロノイ分割した領域ごとに,表層地盤増幅度や人口分布を考察することで,同程度の規模の地震でも,観測点密度が高く,軟弱な地盤が広がる人口集積地帯の直下で発生すると観測最大震度が大きくなることを示した.さらに,観測最大震度の年代差・地域差を定量的に示し,気象庁,K-NET,自治体それぞれの震度観測点配置の特徴を明らかにした.
著者
護 雅史 福和 伸夫 飛田 潤
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、未曾有の被害が予測されているこの大震災に対して、有限かつ変動するヒト・コト・モノ・カネで、莫大な情報量の中から学術的に重要な被害調査情報を取捨選択するための、いわば「データトリアージ」と効率的な被災調査行動戦略の策定を、満足化手法により実現しようとするものである。研究成果としては、過去の地震被害調査状況調査の取りまとめや、被害予測等に必要なデータの収集とデータベース化とともに、WebGISによる公開システム等について検討した。さらに、2011年東日本大震災関連の情報収集に努め、情報集約拠点を設置した。また、戦略立案システム構築にあたって必要となる、想定東海地震、東南海地震、南海地震の地震動評価やこれらを用いて災害時に重要施設となる小学校の被害予測を行った。
著者
豊沢 純子 唐沢 かおり 福和 伸夫
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.480-490, 2010-12-30
被引用文献数
13

本研究は,脅威アピール研究の枠組みから,小学生を対象とした防災教育が,児童の感情や認知に変化を及ぼす可能性,および,これらの感情や認知の変化が,保護者の防災行動に影響する可能性を検討した。135名の小学校5年生と6年生を対象に,防災教育の前後,3ヵ月後の恐怖感情,脅威への脆弱性,脅威の深刻さ,反応効果性を測定した。また,防災教育直後の保護者への効力感,保護者への教育内容の伝達意図と,3ヵ月後の保護者への情報の伝達量,保護者の協力度を測定した。その結果,教育直後に感情や認知の高まりが確認されたが,3ヵ月後には教育前の水準に戻ることが示された。また共分散構造分析の結果,恐怖感情と保護者への効力感は,保護者への防災教育内容の伝達意図を高め,伝達意図が高いほど実際に伝達を行い,伝達するほど保護者の防災行動が促されるという,一連のプロセスが示された。考察では,防災意識が持続しないことを理解したうえで,定期的に再学習する機会を持つこと,そして,保護者への伝達意図を高くするような教育内容を工夫することが有効である可能性を議論した。
著者
高橋 広人 福和 伸夫 岸浦 正樹
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.16, no.9, pp.9_46-9_66, 2016 (Released:2016-08-29)
参考文献数
47
被引用文献数
1 1

強震動予測及び液状化評価を目的とした表層地盤のモデル化手法を提示し、名古屋市域を対象に適用した。適用したモデルの妥当性を示すとともに、1944年昭和東南海地震による旧名古屋市の住家被害と地盤条件、震動特性との関係について考察した。表層地盤モデルは38600本のボーリング資料に基づいて9層の地層年代に区分し、地層年代別にN値と土質を標高1m刻みで水平方向に50m×50mメッシュ単位で補間し、これらを累積することで構築した。微動計測に基づくH/Vスペクトルのスペクトル形状や地震応答解析による地震動の増幅に基づいて表層地盤モデルの妥当性を確認した。1944年昭和東南海地震を想定した強震動予測及び液状化評価結果は、連区(学区)別の住家被害と対応がよく、地盤モデルに基づいて被害要因を解釈できる可能性について示した。
著者
田中 佑治 福和 伸夫 飛田 潤 護 雅史
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.17, no.35, pp.79-84, 2011-02-20 (Released:2011-02-18)
参考文献数
7
被引用文献数
2 5

We constructed a database from published materials and other data on base-isolated buildings. The database contains some items that have not been analyzed before, for example, clearance and design earthquake waves which show the performance of base-isolated buildings. Using the constructed database, we analyzed the present situation and trends of base-isolated buildings in Japan.
著者
豊沢 純子 唐沢 かおり 福和 伸夫
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.480-490, 2010 (Released:2012-03-27)
参考文献数
23
被引用文献数
24 13

本研究は, 脅威アピール研究の枠組みから, 小学生を対象とした防災教育が, 児童の感情や認知に変化を及ぼす可能性, および, これらの感情や認知の変化が, 保護者の防災行動に影響する可能性を検討した。135名の小学校5年生と6年生を対象に, 防災教育の前後, 3ヵ月後の恐怖感情, 脅威への脆弱性, 脅威の深刻さ, 反応効果性を測定した。また, 防災教育直後の保護者への効力感, 保護者への教育内容の伝達意図と, 3ヵ月後の保護者への情報の伝達量, 保護者の協力度を測定した。その結果, 教育直後に感情や認知の高まりが確認されたが, 3ヵ月後には教育前の水準に戻ることが示された。また共分散構造分析の結果, 恐怖感情と保護者への効力感は, 保護者への防災教育内容の伝達意図を高め, 伝達意図が高いほど実際に伝達を行い, 伝達するほど保護者の防災行動が促されるという, 一連のプロセスが示された。考察では, 防災意識が持続しないことを理解したうえで, 定期的に再学習する機会を持つこと, そして, 保護者への伝達意図を高くするような教育内容を工夫することが有効である可能性を議論した。
著者
平井 敬 福和 伸夫
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.77, no.673, pp.341-350, 2012-03-30 (Released:2012-07-02)
参考文献数
15
被引用文献数
1

The 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake (M 9.0) is the greatest earthquake in Japan. Analysis of GPS network, such as GEONET by Geospatial Information Authority of Japan, has revealed the crustal deformation distribution due to the earthquake. On the other hand, the crustal deformation distribution can be estimated from the displacement waveform calculated by integrating the accelogram observed by strong motion seismometer. This method would be used complementary with GPS analysis. In this study, we calculated the crustal deformation distribution due to the 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake from the accelograms recorded on strong motion observation network K-NET and KiK-net by National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention. The crustal deformation distribution calculated from strong motion records is consistent with that by GPS observation. In addition, the displacement waveforms estimated from strong motion records are in good agreement with that from 1 Hz GPS analysis.
著者
高橋 広人 福和 伸夫 飛田 潤 古瀬 勇一
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
no.22, pp.559-562, 2005-12-20
被引用文献数
2

The system for managing facilities in Nagoya University is developed. This system offers not only the information of buildings and the arrangement of the gas tube and soil survey results, etc. to the facilities manager, but also the information of disaster prevention and safety (the earthquake resistance of the buildings and the surface layer, etc.) to public users. We hope all users come to be interested in disaster prevention by using this system.
著者
西澤 崇雄 大野 富男 大西 稔 福和 伸夫
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.14, no.28, pp.465-470, 2008-10-20 (Released:2009-03-17)
参考文献数
4

As seismic retrofit for Aichi prefectural office building, base isolation retrofit method was recognized by Aichi prefectural assembly and we started further study for basic design. We had to budget the seismic retrofit cost for coming year and we investigated important matters for cost such as building foundation level, necessary volumes of soil improving and so on. And we had to decide seismic criterion of retrofit building. We had to study about tender method in addition. This report is summary of basic design.
著者
河田 恵昭 岡 二三生 片田 敏孝 福和 伸夫 田村 圭子 鈴木 進吾 今村 文彦 目黒 公郎 牧 紀男 浦川 豪 中林 一樹 永松 伸吾 高橋 智幸
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

本研究では、逆転の発想に基づき、加害側の災害の立場から、南海トラフ巨大地震や首都直下地震によって、過酷事象が発生し、未曽有の被害をもたらすにはどのように“人間社会を攻めればよいのか”を考究して、巨大災害が起こった時の現代社会の様々な弱点を見出し、その中で被害が極端に拡大する可能性のある「最悪の被災シナリオ」被害を軽減するためには、新たに縮災を定義し、減災だけでなく、災害による被害が発生することを前提にして、すみやかに回復するという新たな概念が必要であることを示した。そして、これを実現するには、防災省を創設し、国難災害が起こるという前提に立って、日常的に準備する必要があることを明らかにした。
著者
福和 伸夫 飛田 潤 護 雅史
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

東海・東南海・南海地震や首都直下地震に対する地震防災戦略が策定されたにも関わらず国民の防災対策は遅々として進んでいない。その最も大きな原因は、地震災害の発生をまだ十分に「納得」せず、「わがこと」と捉えていないことにある。そこで、この研究では、国民が地震災害の発生の危険性について十分に「納得」し、さらに災害がわが身に降りかかったときの状況を「わがこと」と感じるためのウェブシステムを構築する。このウェブシステムは、インターネット接続環境さえあれば、時間や場所を選ばず、誰もが地震時に経験する揺れや、周辺の状況をリアルに体感できるものとする。平成22年度は、まず、相互分散運用でデータを相互参照できるシステムをWebGIS上に構築し、分散する地図・空中写真・標高・地下構造などのデータを利用して、当該サイトの立体地形・建物画像・地盤モデルなどを自動生成する新たなシステムを開発した。次に、PC画面上を床応答変位で移動する室内画像に、家具を転倒させる動画機能を持たせると共に、ウェブ上で、室内写真・屋外写真などを入力すると、当該居室の揺れを予測し、この床応答変位で写真をPC画像上で移動させるソフトを完成させた。さらに、相互分散運用型データベースシステム、WebGIS、強震動・応答予測システム、PC上を画像が移動する動画生成システム、床面と壁面と側面の動画を表示する3台のプロジェクターを同時制御するPCが、連携して動作する全体システムを構築し、Webを介した入出力で全てを制御できるバーチャルウェブ振動台を実現した。最後に、名古屋市域を対象としたプロトタイプシステムをウェブ上で公開した。これに加え、国や自治体が評価した地震動に対する揺れ体感も可能にした。
著者
福和 伸夫 山岡 耕春 中野 優 飛田 潤 佐藤 俊明 鈴木 康弘 馬場 干児
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

1891年に発生した濃尾地震の時に「震災の帯」として報告された「震裂波動線」の生成原因の解明を目的とした本研究によって、以下が明らかになった。濃尾平野に関する資料収集を行い、愛知県による深部地盤構造調査の結果について資料収集と既存資料との比較検討を行い、総合的な3次元の深部地盤構造モデルを構築した。震裂波動線に関連する岐阜県内の測線に強震計を並べて設置し地震を観測した。側線は養老断層による基盤の段差から堆積平野側に、約10kmの間に配置した。得られた地震動の波形を調べた結果、養老断層の存在によって励起された表面波の存在が確認された。さらにこの表面波と実体波が干渉とすると思われる断層から数kmの地域で地震動の増幅が見られた。この現象はFEMを用いた波動場の計算機シミュレーションにより、このような地震動の増幅が起きることが確認された。地下構造として濃尾平野に類似したいくつかのモデルで計算を行ったが、どれでも基盤の段差があれば地震動の増幅が見られた。濃尾地震の震源モデルについては、特にその存在が示唆されながら、明らかな証拠が得られていない岐阜-一宮線の断層の存在について検討した。濃尾地震のときに観測されたとされる水準変動を説明する断層モデルとしては、従来の垂直の断層よりも、傾斜が75度の逆断層のほうが良いことがわかった。一方、この地域で現在も発生している余震と思われる微小地震のメカニズムから応力場を推定すると、岐阜-一宮線がかって滑ったという証拠は得られなかった。岐阜-一宮線の断層の存在については、さらなる検討が必要である。震裂波動線に関しては、被害に関する資料を再分析すると、被害の多かった地域は線状ではなく、岐阜地域から濃尾平野南東部にかけて面上に分布しているようである。この結果は、被害が大きかったのはむしろ地盤や震源の特性によるものである可能性もある。