著者
牛山 素行 今村 文彦 片田 敏孝 吉田 健一
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.150-158, 2004 (Released:2004-06-01)
参考文献数
12
被引用文献数
4 8

近年急速に整備されつつある豪雨防災情報の実災害時における効果を評価する観点から,現地調査を行った.調査は2007年7月に台風6号および前線によって,最近30年で最大規模の被害(浸水家屋約700棟など)を生じた岩手県東山町・川崎村を対象とし,水文データの収集,現地でのヒアリング,アンケート調査(有効回答700)などを行った.災害時に,インターネットなどのリアルタイム雨量・水位情報を参照した回答者は5%程度であり,24%の回答者はシステムの存在を知っていたが利用していなかった.川崎村では74%の回答者が,避難などの判断に際して「雨量・水位などの情報を参考にした」と答えた.同村では防災行政無線を通じて国土交通省観測の水位情報などをリアルタイムに伝達しており,この情報が参考にされたものと思われる.車の移動,畳上げなどの家財保全行動の成功・失敗と,雨量・水位情報の取得成功・失敗の相関を見たところ,情報取得に成功した回答者は,家財保全行動に失敗した率が低いという関係が認められた.リアルタイム情報に対する関心自体は高く,情報が的確に伝われば,避災行動の成功につながる可能性が示唆された.しかし,災害時の情報伝達手段としてインターネット等は一般化しておらず,最新技術に過度な依存をせず,複数の情報伝達手段を活用することが効果的と思われる.
著者
片田 敏孝 桑沢 敬行 金井 昌信 児玉 真
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.191-198, 2004-10-29 (Released:2007-12-21)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

防災施設に想定外力が設定されていることからも明らかなように, 自然災害に対する「安全」は限定的なものであるにもかかわらず, 多くの住民は正常化の偏見などの様々な心理的要因により, 過大な「安心」を感じている. 本稿では, 2003年5月に発生した宮城県沖の地震を事例に, 津波襲来の危険にさらされた住民の心理と避難行動の関連について詳細に分析した結果から, 住民意識の問題点を明らかにし, そのうえで, 津波災害に対する「安心」の一概念を提案し, その視点から住民の津波避難に関わる対策や防災教育のあり方を検討するとともに, 自然災害に対する安全・安心な社会の実現のための社会技術について提言した.
著者
金井 昌信 上道 葵 片田 敏孝
出版者
日本災害情報学会
雑誌
災害情報 (ISSN:13483609)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.273-281, 2018 (Released:2021-04-01)
参考文献数
17

東日本大震災の教訓として、“津波てんでんこ”の重要性が指摘されている。片田(2012)は津波襲来時の釜石市の児童生徒とその保護者の避難実態から、“津波てんでんこ”が実現された要因として、家族間の信頼関係が構築されていたことを指摘している。この実績を参考に、東日本大震災以後、小中学校の防災教育において、津波避難に関する信頼関係の構築を目指して、家族で防災会議を開くことを促している地域もある。しかし、家族での相談が、家族間の信頼関係の構築および“津波てんでんこ”の実現にどの程度影響するのかは明らかにされていない。そこで本研究では、児童生徒とその保護者の関係を対象に、“津波てんでんこ”促進策として、家族間の津波避難に関する相談の実施状況に着目し、その“津波てんでんこ”促進効果を検証することを目的とする。分析の結果、家庭で避難方法について相談しておくことが子どもの適切な避難を選択することにつながることが確認された。さらに、子どもが適切な津波避難行動が実行できないかもしれないと保護者が思うと、“津波てんでんこ”が実行される可能性が低くなることが確認された。以上の結果より、家庭での津波避難に関する相談をすることを通じて、子どもは適切な行動をしようと思うようになり、それを保護者が信頼することによって、“津波てんでんこ”が実行される可能性が高まることが確認された。
著者
片田 敏孝 及川 康
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.78-88, 2010 (Released:2010-03-19)
参考文献数
22

洪水調節を目的に含むダムには明らかに洪水調節機能があるにもかかわらず,その事実が人々に正確に認識されることは一般に希であり,とりわけ洪水災害直後においては“加害者としてのダム”のイメージ,あるいは消極的に表現したとしても“効果のないダム”のイメージが顕在化することが多いのが実情と思われる.本論文は,ダムの洪水調節機能に対する住民理解が,構造物として備え持つ実際の洪水調節機能のありようと大きく乖離しているのが実態であるならば,それは正しく是正されるべきとの立場のもと,そのような乖離の背景を整理するとともに,乖離を是正するための方策の方向性を検証したものである.
著者
及川 康 児玉 真 片田 敏孝
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.786, pp.89-101, 2005-04-20
被引用文献数
2 3

本研究では, 水害の進展過程に応じて住民が周辺状況の変化を察知し, 種々の災害情報を入手する中で, それをどのように受け止めて危機意識の形成に結びつけるのか, さらには, 如何にして対応行動に移すのか, という一連の心理的過程と対応行動の関係に着目し, その特性を時系列的かつ定量的に把握した. これらの検討では, 水害時における避難勧告・指示の発令は直接的に住民の避難行動の意思決定に影響を与え, 避難準備情報は家財保全行動を促す効果を持つこと, また, それら避難情報が発令される以前に提供される災害情報は, 早期の危機意識の醸成を促すことなどを定量的に示した. また, 洪水ハザードマップの公表等による事前の災害教育の実施により, 住民が自宅の潜在的浸水可能性を正しく認識し, 対応行動に反映させる効果を示した.
著者
片田 敏孝 児玉 真 桑沢 敬行 越村 俊一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.789, pp.93-104, 2005-05-21
被引用文献数
3 17

2003年5月の宮城県沖の地震では, 三陸沿岸各地で震度4~6弱が観測され, 津波襲来が直ちに懸念された. しかし, 地震後に著者らが宮城県気仙沼市の住民を対象に実施した調査によると, 津波を意識して避難した住民は, 全体のわずか1.7%であった. このように避難率が低調となった要因を把握するため, 住民の避難行動とその意識的背景を分析した結果, 避難の意思決定を避難情報や津波警報に過度に依存する姿勢や, 正常化の偏見による危険性の楽観視, 過去の津波経験による津波イメージの固定化といった住民意識の問題点が明らかとなった. 本稿では, これらの問題点を解決するための津波防災教育として, 固定化された津波災害のイメージを打破すること, また, 情報に対する過度な依存心を改善することの必要性など, 今後の津波防災のあり方を提言した.
著者
本間 基寛 片田 敏孝
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1321-1325, 2009 (Released:2010-03-05)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

This study reviewed problems of tsunami hazard map from the view point of residents and municipalities, and pointed out an importance of the linkage between a tsunami forecast and a tsunami hazard map. And, the method of making tsunami hazard map linked the JMA tsunami quantitative information system was proposed. About 4000 tsunami propagation tsunami were calculated for Owase-city, and the fault parameters were categorized into 7 ranks of tsunami forecast height, then the maximum inundation area at each categories were evaluated by the run-up calculations. This hazard map could help municipalities to rapidly issue an evacuation warning, to reduce a failure of evacuation warning, and to extend the warning area in case of large tsunami.
著者
片田 敏孝 及川 康 金井 昌信 結城 恵 渥美 公秀 淺田 純作 結城 恵 渥美 公秀 淺田 純作
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、「災害に強い地域社会の形成技術の開発」を最上位の目標に掲げ、地域社会が自然災害からの被害軽減に対して効率的に機能するよう形成されるための技術の一般化を図ることをもって我が国の防災科学に資することを目的としている。具体的には、災害文化を地域に再生させるためのコミュニケーション手法やコミュニティが希薄な地域におけるコミュニケーション手法などの開発や実践から得られた知見を一般化し、その体系化を図った。
著者
金井 昌信 片田 敏孝
出版者
日本災害情報学会
雑誌
災害情報 (ISSN:13483609)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.103-113, 2011 (Released:2021-04-01)
参考文献数
17

平成22年2月28日に南米チリ沖で発生した地震津波に伴って津波警報が発表された。しかし、17年ぶりに大津波警報が発表され、また太平洋沿岸全域に津波警報が発表されたにもかかわらず、住民の避難率は低調であった。そこで本稿では、この度に津波警報発表時における住民避難の実態を把握することから、今後の津波襲来時の津波避難を誘発するための社会対応策を検討した。まずこの度の津波警報発表時に把握された課題としては、自宅が避難情報の対象であったのかどうかを把握していない住民が多く存在したこと、発表された津波予想到達時刻に津波が襲来しなかったことを理由に避難先から帰宅してしまったこと、過去の津波警報のはずれ経験がこの度の津波警報を軽視する方向に作用したこと、津波警報や避難情報以外の社会的対応が津波襲来可能性認識を低下させたことが挙げられる。これらの結果を踏まえて、今後の津波避難促進策として、“津波警報がはずれたことを是とする態度”の形成を促すこと、“「今が緊急事態である」という社会的雰囲気を社会全体でつくりだす”ことを提案した。
著者
及川 康 片田 敏孝
出版者
日本災害情報学会
雑誌
災害情報 (ISSN:13483609)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.66-73, 2015

<p>2013年5月に中央防災会議の南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループは、「南海トラフ巨大地震対策について」と題する最終報告において「地震予知は一般的に困難である」とする立場を表明した。本稿では、このような「予知は困難」とする政府見解が住民にどのように受け止められる可能性があるのかについて、アンケート調査に基づき検証を行った。</p><p>曖昧さを嫌って物事を二律背反的なものとして思考しやすい住民の心理傾向を前提とするならば、多くの住民は"予知の三要素(時期・規模・場所)"を具体化に明確化してくれる情報を望む傾向にあるものと考えられ、そのような要望に直接的に応えてくれる可能性を秘めた従来の地震予知という制度は、原則的には大きな期待とともに受容される可能性が高いと言える。しかしながら、このたびの「予知は困難」とする見解は、そのような住民の感情とは基本的には逆行するものであると言え、ともすると否定的な反応を示す住民が少なくないことも想定され得る。</p><p>インターネット調査という制約下であることから解釈には注意を要するものの、本稿で検証に用いた回答者集団においては、否定的な反応を示す回答者が大勢を占める状況ではなく、肯定的反応と否定的反応の回答者が混在する状況となっていた。また、曖昧さを嫌って物事を二律背反的に捉える心理傾向が強い回答者ほど、「予知は困難」とする見解に対する否定的反応が現れやすいという傾向が示された。</p>
著者
片田 敏孝 児玉 真 及川 康
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.786, pp.77-88, 2005-04-20
参考文献数
25
被引用文献数
2 2

水害進展過程においては, 河川情報や気象情報などの多くの災害情報が住民に伝達されるが, これらの災害情報が住民に積極的に取得されているとは必ずしもいえない状況にある. このため, 災害情報伝達においては, 住民に情報を積極的に取得しようとする意図, すなわち情報取得態度を形成させることが重要となる. 本研究では, 平成14年台風6号に関する福島県郡山市民の情報取得行動を事例に, 住民の災害情報の取得構造を考察し, 情報取得態度の形成過程とそれに基づく災害情報取得行動や危機意識の醸成が循環的な構造にあることを実証的に明らかにした. また, 情報取得態度の形成を規定する要因を明らかにすることで, 災害情報が住民に積極的に取得されるための条件を検討した.
著者
片田 敏孝 木村 秀治 児玉 真
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.498-508, 2007 (Released:2007-12-20)
参考文献数
31
被引用文献数
2 1

近年,ハード対策のみによる防災施策の限界が認識されるようになり,住民の自発的な対応行動による被害軽減のあり方が重要視されるなか,住民の意識啓発の重要なツールとしてハザードマップが位置づけられるようになった.しかし現状は,公表されたハザードマップが住民に認知され,かつそこに表示される災害リスク情報が適切に理解されているとはいえない状況にある.本稿では,洪水ハザードマップを事例に,現状における洪水ハザードマップの運用に係る課題を,住民,行政それぞれの観点から整理した.また,地域防災力の向上には行政と住民とのリスク · コミュニケーションが必要不可欠との認識から,洪水ハザードマップをそのコミュニケーションのためのツールとして活用することの重要性と効果的な運用のあり方について提示した.
著者
及川 康 片田 敏孝
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F5(土木技術者実践)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.38-47, 2016

2013年3月に気象庁は,「災害イメージの固定化」を助長してしまうことが危惧されていた従前までの津波情報(津波注意報・津波警報・大津波警報)の運用ルールを改め,定量的表現を排して3段階の定性的表現のみとするなど,総じて概略化の方向での改定を行った.本稿では,このような改定が一般住民にどのように受け止められる可能性があるのかについてアンケート調査に基づき検証を行った.その結果,改定後の運用ルール下においては「災害イメージの固定化」を払拭して迅速な避難行動を促進し,人的被害の軽減に貢献できる可能性がより高まったこと,しかしそれに対する住民評価は否定的なものが大半を占めていること,その背景には「曖昧さを嫌って物事を二律背反的に捉える心理傾向」が影響を及ぼしている可能性があること,などが把握された.
著者
片田 敏孝 児玉 真 桑沢 敬行 越村 俊一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.789, pp.789_93-789_104, 2005 (Released:2006-04-07)
参考文献数
17
被引用文献数
15 17

2003年5月の宮城県沖の地震では, 三陸沿岸各地で震度4~6弱が観測され, 津波襲来が直ちに懸念された. しかし, 地震後に著者らが宮城県気仙沼市の住民を対象に実施した調査によると, 津波を意識して避難した住民は, 全体のわずか1.7%であった. このように避難率が低調となった要因を把握するため, 住民の避難行動とその意識的背景を分析した結果, 避難の意思決定を避難情報や津波警報に過度に依存する姿勢や, 正常化の偏見による危険性の楽観視, 過去の津波経験による津波イメージの固定化といった住民意識の問題点が明らかとなった. 本稿では, これらの問題点を解決するための津波防災教育として, 固定化された津波災害のイメージを打破すること, また, 情報に対する過度な依存心を改善することの必要性など, 今後の津波防災のあり方を提言した.
著者
片田 敏孝 廣畠 康裕 青島 縮次郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.419, pp.105-114, 1990-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
22
被引用文献数
3

Rural depopulation problems in Japan are caused by excess of out-migration from rural areas. The out/in-migration of a person from a rural area is based on the evaluation of his/her life environment. Its process is dynamic and different from each other according to his/her life cycle stage and individual attributes. The effects of countermeasures for rural depopulation problems should be estimated by amount of out/in-migration through such decision making process. Standing on these viewpoints, we have developed a Dynamic Out/In Migration Model by using Dimension-Nested and Time-Nested Logit Model.
著者
河田 恵昭 岡 二三生 片田 敏孝 福和 伸夫 田村 圭子 鈴木 進吾 今村 文彦 目黒 公郎 牧 紀男 浦川 豪 中林 一樹 永松 伸吾 高橋 智幸
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

本研究では、逆転の発想に基づき、加害側の災害の立場から、南海トラフ巨大地震や首都直下地震によって、過酷事象が発生し、未曽有の被害をもたらすにはどのように“人間社会を攻めればよいのか”を考究して、巨大災害が起こった時の現代社会の様々な弱点を見出し、その中で被害が極端に拡大する可能性のある「最悪の被災シナリオ」被害を軽減するためには、新たに縮災を定義し、減災だけでなく、災害による被害が発生することを前提にして、すみやかに回復するという新たな概念が必要であることを示した。そして、これを実現するには、防災省を創設し、国難災害が起こるという前提に立って、日常的に準備する必要があることを明らかにした。
著者
今村 文彦 片田 敏孝 牛山 素行 越村 俊一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

人間は知覚機能などを通じて外的な脅威に関する情報と自分の現在の状況を収集し,その相互関係で危険を認識する.さらに,避難行動の際にも経路の状況を判断して,より安全に避難場所へ移動しようとする.このような知覚機能を重点に置き情報と人間行動の関係を検討することを目的とした.研究の中で,過去の災害データ,ハザードマップ,体験型学習,避難訓練を通じて,住民や行政担当者にどのようにして認知されそれが知識化し,どの位の期間まで記憶化されるのかを調査研究を行った.その中で,2003年5月の宮城県沖の地震では,三陸沿岸各地で震度4〜6弱が観測され津波襲来が直ちに懸念されたが,津波を意識して避難した住民は,全体のわずか1.7%であった.この要因を把握するため,住民の避難行動とその意識的背景を分析した結果,避難の意思決定を避難情報や津波警報に過度に依存する姿勢や,正常化の偏見による危険性の楽観視,過去の津波経験による津波イメージの固定化といった住民意識の問題点が明らかとなった.このような現状を踏まえ災害情報の受取側の課題を解決するために,津波災害を対象に地域および学校での2種類の取り組みを実施した.1つは,住民参加型の津波防災サイン検討会における住民参加型防災対策の実施であり,地域住民のみならず観光客も対象とした津波避難サインの設置を目指した.もう1つは,体験・参加型の学校での学習である.いずれも,課題を解決する内容を含んでいるものの,既存の活動や教育プログラムに取り込む方法や継続的な内容にする工夫が必要であることが分かった.