著者
山野 泰穂 田中 信治 菅井 有 松下 弘雄 斎藤 彰一 三澤 将史 堀田 欣一 竹内 洋司 佐野 寧 永田 信二 河野 弘志
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1648-1669, 2020-12-25

Introduction山野 本号は「大腸鋸歯状病変の新展開」ということで,本誌ではしばしば鋸歯状病変に関して特集されていますが,大腸鋸歯状病変,さらにはSSA/P(sessile serrated adenoma/polyp)に関しては概ね市民権を得ており,多くの内視鏡医が知っている病変であると思います.SSA/PはMSI(microsatellite instability)陽性大腸癌の前駆病変であろうと分子生物学的にも解析が進んでおり,adenoma-carcinoma sequence,de novo pathwayに次ぐ第三の発癌ルートserrated neoplastic pathwayとしてmalignant potentialも高いのではと考えられています. 一方,実臨床では鋸歯状病変,特にSSA/Pは本当に悪性度が高いのかという疑問があります.これまで長い間,SSA/Pは過形成性ポリープと見分けがつかず,非腫瘍として扱われ放置されてきた歴史,むしろadenomaのほうが前癌病変として問題であると考えられてきた歴史があります.
著者
永田 信二
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.236-237, 2016-02-25

症例の特徴 verrucous carcinomaは1948年にAckerman1)によって報告された白色調隆起性病変を形態学的特徴とする,予後のよい角化の強い高分化型扁平上皮癌である.発生部位は頭頸部,口腔,皮膚,生殖器,子宮などにみられるが,食道はまれである2).
著者
林 宇一 永田 信
出版者
一般財団法人 林業経済研究所
雑誌
林業経済 (ISSN:03888614)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.1-13, 2016 (Released:2017-04-27)
参考文献数
6
被引用文献数
1

日本林業は、森林組合等の法人林業事業体の労働者と林家及び非法人林業事業体の労働者により担われている。国勢調査の「従業上の地位」分類では、それぞれ役員を含む【雇用者】とそれ以外の非【雇用者】に対応すると考えられる。それらについて、産業分類上の「林業」就業者と職業分類上の「林業作業者」の動向を1980年から2010年について明らかにすることを目的とした。非【雇用者】・「林業」就業者では、「農林漁業作業者」が95%以上で、【雇用者】・「林業」就業者では「林業作業者」が60~65%、「事務従事者」が20%強であった。いずれでも「林業作業者」が増加傾向にあった。「林業作業者」 の産業構成を見ると、「協同組合」の定義変更の影響は【雇用者】において顕著で、非【雇用者】においてはそもそも「協同組合」就業者はいなかった。また「従業上の地位」を踏まえて林業労働者総数の推計を行なったところ、2010年については7万4千人となった。
著者
上東 治彦 中村 幸生 森山 洋憲 溝渕 正晃 菅野 信男 永田 信治 味園 春雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.10, pp.840-848, 1999-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

高知県で育成された酒造好適米品種「吟の夢」について, 高知県産「山田錦」を対照として酒造適性試験, および醸造試験を行った結果, 以下のような知見を得た。(1) 吟の夢は, 山田錦に比べ稈長が17cm程度短く, 耐倒伏性やイモチ耐病性には中程度の強さを示す。山田錦対比119%の多収であり, 心白発現率は75.3%と高い。(2) 70%精白米の酒造適性試験では, 吟の夢の玄米千粒重は25.0gと山川錦より1.6g程度小さいが, 20分および120分吸水性ともに山田錦より高く, 消化性のBrix, フォルモール窒素は山田錦とほぼ同程度, 粗タンパク含量は吟の夢が4.32%と山田錦よりやや低かった。(3) 吟の夢と山田錦の老化の起こり易さを比較した結果, 吟の夢が老化しやすかった。(4) 40%精白米の小仕込試験においては, 吟の夢の精米時間は短い傾向を示したが, 無効精米歩合や白米の粒度分布の変動率は山田錦とほぼ同じであった。40%精白米の粗タンパク含量およびPB-II/PB-I比は吟の夢が山田錦より低かった。製成酒では吟の夢は山田錦より日本酒度の切れ, アルコール生成が良好であり, 酸度, アミノ酸度, 紫外部吸収は低くて, 官能評価も良好であった。(5) H 10 BYの吟の夢の実地醸造では, 吟の夢の白米千粒重は対照品種より小さかったが, 粗タンパク含量は対照品種より低いものが多く, 兵庫県産山田錦とほぼ同等であった。製成酒のアミノ酸度は, 対照品種と同等であった。
著者
上東 治彦 加藤 麗奈 森山 洋憲 甫木 嘉朗 永田 信二 伊藤 伸一 神谷 昌宏
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.4, pp.310-317, 2014
被引用文献数
1

発酵促進効果のあるチアミンを用いた吟醸酒小仕込み試験を行い,さらに実地醸造でのチアミン添加試験を行った結果,以下のような知見を得た。<br>1.ピルビン酸の残存しやすいAC-95株を用いた小仕込み試験において,チアミンを原料米1トン当たり1 g添加することにより発酵が促進され,ピルビン酸もピーク時で約1/7まで減少した。また,酸度やアミノ酸度は減少し,香気成分は増加した。<br>2.酒質を大きく変えることなくピルビン酸を低減させるためにはチアミン添加量は0.1~0.3 g/トン程度が適当であった。<br>3.チアミンを含む発酵助成剤フェルメイドKの添加によりピルビン酸が減少するとともにアルコール収量は増加した。<br>4.実地醸造においてチアミンを0.1~0.3 g/トン添加した結果,対照に比べモロミ中のピルビン酸が約半分に低下した。
著者
林 宇一 永田 信
出版者
林業経済研究所
雑誌
林業経済 (ISSN:03888614)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.2-17, 2012-01

国勢調査の産業分類では、森林組合の多くが「林業」ではなく、「協同組合(他に分類されないもの)」に分類されていると考えられる。そうであれば、「林業」就業者のみを捉えたのでは産業としての林業の雇用力を過小評価することになる。本研究では、国勢調査における産業分類と職業分類において林業がどのように扱われてきたか、定義上の変遷と数値上の変遷を整理することにより明らかにし、併せて産業としての林業を担う就業者総数を推計した。推計にあたっては、「林業」以外に分類される事業所における林業部門の「林業作業者」と非「林業作業者」の構成比が、「林業」における構成比と同一であると仮定し、「林業」以外に分類される事業所における「林業作業者」数を基に、それら事業所における林業部門の就業者数を推計した。結果、林業労働者総数は2005年現在で71,906人と推計され、全就業者数の0.12%に該当する。
著者
田村 早苗 永田 信 立花 敏 大橋 邦夫
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.93-98, 1998-03-20
参考文献数
2
被引用文献数
4

1955〜95年の「国勢調査」産業別就業者数のデータを用いてコウホート分析を行なった。全産業と建設業はほぼ同様なコウホート分布を示し,農林漁業と全産業とは全く異なる分布形態を示した。55年以降の農林漁業における労働の中心的世代は1930〜40年生まれコウホートで,全産業に比べて高齢化が顕著である。また,世代交替が行われていないことも全産業との大きな相違であった。年令階層別に見ると,15〜19歳の純参入は急激に減少した。また,75〜80年と90〜95年にかけての2つの期間で50歳以下の幅広い年代で参入の超過が見られた。しかし,そのコウホート比は非常に小さく,この年齢層の参入超過が構造化するには至っていない。林業就業者の減少は55〜65年に集中していた。前半は25〜29歳を中心に退出が大きく,後半は広範な年齢層に広がった。高度成長期,まず若い人達が他産業から求められ,その後さらに多くの労働力が求められた様子が観察できた。将来的に広範な年齢層で減少が続けば林業就業者は1万2千人と推計される。しかし,中年層以下の参入超過が構造化すれば3万人と推計された。
著者
奥山 洋一郎 永田 信
出版者
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林
雑誌
東京大学農学部演習林報告 (ISSN:03716007)
巻号頁・発行日
no.123, pp.1-15, 2010-07

森林教育の場である学校林がその所在する市町村の立地により,どのような差異があるのかについて,2001 年に実施した学校林現況調査データを分析することで明らかにした。学校林現況調査において所在が確認された学校林から,森林教育を実施することが多いと想定される小学校と中学校を抽出した。その上で,その所在市町村を農業地域類型と振興山村指定状況から5 地域に分類して,そのうち都市地域(都市),平地農村(農村),山間農業地域(山村)の3 地域の所在する学校林3637 箇所について分析した。<改行>その結果,都市の学校林は,校地から距離が近く,樹種は針葉樹のみという学校林は比較的少数であり,広葉樹や果樹も含めて多様な林相を持つ割合が大きかった。また,設置目的は,教育目的に類するものの割合が比較的大きかった。管理については,学校関係者のみで実施している例が多いが,外部主体では地域住民の関わりが大きい。利用に関しては,他の立地条件に比べて活発であり,半数近い学校林で利用されていた。山村は,校地から遠隔地の学校林が多く,樹種は針葉樹のみという学校林が多かった。設置目的は林業教育が多く,また学校の財産としての利用を目的とした伐採の実績も多かった。管理主体では,森林組合の割合が他よりも多かった。利用状況は一番低調であった。農村については,都市と山村の中間的な性格を持つことがわかった。ただし,設置目的や利用内容を見ると基本財産としての目的が比較的多く,財産としての森林整備も実施されていた。この点は,地域共同体の組織力とも関わりがあると予想される。学校林の整備と利用を活性化するためには,これら立地による相違を意識した,例えば都市においては森林ボランティア団体,山村においては地域共同体等の地域主体との連携が必要である。The differences in school forests depending on their location in cities, towns and villageswere examined using data from the school forest situation survey which was carried out in 2001.Data for elementary and junior high schools were extracted from the school survey where theirexistence was identified in the school forest situation survey. Municipalities were classified byagricultural area type and designated area under the Mountainous Regions Development Laws.Then, 3637 school forests was analyzed, being located in city areas, flatland farm villagesand mountain village areas. It was found that school forests located in city areas were close indistance to the school premises and most of them had diverse growing stocks. In the managementof these forests, community residents played a relatively major role. A number of them wererelatively actively used with half of such school forest exhibiting some type or usage. Schoolforests located in mountain villages were more distant from the school and many of them wereexclusively coniferous in their composition. The purposes to which these were put were mainlyforestry education, and there were many cases of felling for use by the school. Forest owners'cooperative supported the management. The number of those used was lower than in otherareas. The farm village showed results that were between those of a city and mountain villages.However, they were likely to be used for school property purpose than forests in the othercategories. To activate the maintenance and use of school forests, it was necessary to strengthenthe relationship between the local players depending on the differences of the location conditions.
著者
福島 康記 菊間 満 有永 明人 加藤 衛拡 赤羽 武 永田 信
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1987

林野所有権の特徴は、耕地のそれのロ-マ法的な単一絶対的性格に対して、過渡的性格を広く残しているところにある。地租改正・林野官民有区分とその後の林野政策において大面積の入会地の国公有化を図り、そのことが、各地に複雑な過渡的所有を生んでいったのである。国有林野においても、様々な地元利用の制度化にみられるように、部分的な利用権を認めたうえではじめて成立する所有権でしかなかった。山梨県有林もその例であり、入会団体の保護義務の代償に産物・土地売り払い代金と土地利用代金の一部交付など、現代に至るまで地元関係を存続させている。最近の共有地の観光開発に関して、開発の形態や利益の地元保留など所有形態が一定の影響を与えている。現代経済体制は資本がすべてに優越し、林野的土地問題は一国の資源・土地問題の一環に組み込まれているのだが、林業内部の矛盾は林野的所有の資本に対する優位として現れ、小規模所有者にあっては林業放棄を、大規模所有者にあっては伐採規模縮小と伐採の間断化をもたらしたが、そのことが素析生産に重くのしかかり、業者数の著しい減少が見られる。農家の林業について、農山村畑作地帯の複合経営農家において、間伐期を迎えて間伐木の自家生産が収益を生むようになり林業への積極性が生まれ、林業が農林家の再生産の安定的契機になろうとしている地域がある。諸外国においても、環境保護対策やレクリエ-ション需要の高まりに対応するため、森林所有権に対する制限が課せられる趨勢にある。アメリカ合衆国のいくつかの州において林業施業に対する制限が強化され、ドイツにおいて連邦森林法が制定されて、森林を国民休養の場として利用する休養林と入林権の規定が設けられた。
著者
有賀 秀子 林 友子 永田 信一 祐川 金次郎
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.177-186, 1978-10-31

継続採取した農家婦人10名,非農家婦人18名の乳汁および飲用水について,硝酸・亜硝酸およびジメチルアミン含量と,人血液中の硝酸・亜硝酸および血色素量の測定を実施した。1.人乳中の硝酸と亜硝酸の合計含量は,分娩後3〜5日目には平均2.67ppmであったが,2週間後までに急激に減少し,約1/2量になった。40日目以降では0.5ppm前後にまで減少するが,60日後やや増加した。初乳中硝酸・亜硝酸含量の個体差は大きいが,日数の経過とともにその差は小さくなった。2.人乳中亜硝酸含量は,初乳で0.025ppm程度で,その後やや増加するが,60日目には初期の1/2量にまで減少した。3.人乳中ジメチルアミン含量の個体差は大きいが,75%の試料が0.1ppm以内にあり,他の一般食品に比べ低い値であった。4.人血液中の硝酸・亜硝酸含量は,分娩後3〜14日目の者についてみると,平均1.11ppmで,0.5〜1.5ppmの範囲に全体の80%が分布していた。乳汁中含量に比べその約1/2量と低かった。5.人血液中の血色素量は,分娩後の経過日数により大きく異なり,6〜8日目で正常値の者は約60%であった。6.飲用水中の硝酸・亜硝酸含量は,地下水の場合は水道水に比べはるかに高く,乳幼児に推奨されている3ppm以下のものは50%に満たず,また飲用水基準の10ppmを超えるものも約10%程度みられた。