著者
平田 昌弘 米田 佑子 有賀 秀子 内田 健治 元島 英雅 花田 正明 河合 正人
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.9-22, 2010 (Released:2014-03-15)
参考文献数
27

The reproduction and identification of ancient dairy products in East Asia were conducted based on “SEIMINYOUJYUTU” which is the order ancient document available in East Asia and contains detailed explanation about milk processing, and then the spread pathway of these milk processing techniques into East Asia was discussed in this paper. As the results of reproduction and identification experiments, RAKU was identified as sour milk, KANRAKU could not be identified, ROKURAKU was identified as unmatured type cheese such as KHOROOT of Mongolian pastoralists and KURUT of Turki pastoralists, and SO was identified as butter and butter oil. Since some imprecise descriptions were found in SEIMINYOUJYUTU through the reproduction experiment, it was considered that Kashikyou, the author of SEIMINYOUJYUTU, was the just editor to use various texts which were gathered from different ethnic origins on milk processing and did not conduct processing milk products by themselves. The milk processing such as sour milk (RAKU) making from raw milk, butter (SO) making from sour milk (RAKU) by churning, butter oil (SO) making from butter by heating are wide spread techniques and still used among the current pastoralists in West Asia, South Asia, Central Asia and Inner Mongolia. As the comparison with components in milk products and the milk processing techniques of pastoralists in the Asian continent, it was concluded that the milk processing techniques adopted in SEIMINYOUJYUTU were mainly influenced from the pastoralists in North Asia and/or Central Asia.
著者
有賀 秀子 高橋 セツ子 倉持 泰子 浦島 匡 筒井 静子
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.253-260, 1988-03-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

古代の乳製品といわれる生酥,熟酥,醍醐につき,「本草網目」(李時珍著)の記述を根拠としてその再現を試みた.製造は,(加熱濃縮)-(静置•凝固層分離)-(攪拌再加熱)-(静置固化)-(オイル溶離)の様式に従い行なった.凝固層分離により生酥を得,再加熱濃縮により熟酥を得た.熟酥を冷却固化し孔をうがって室温に放置し,自然に溶離したオイル状物質を醍醐と判断した.製造過程で得られた知見は以下に示す.生酥は,生乳を静かに攪拌しながら83~85°Cで120分程度加熱し,一夜静置後凝固層を集めることによって得た.その成分組成は固形分が約60%で,タンパク質含量対脂肪含量比は約1:4,芳香性のクリームよう食品であった.熟酥は,生酥を湯煎により20分程度加熱することにより得られ,鮮やかな黄色の半流動体で,ゼリー強度,粘性率ともにマヨネーズに比べはるかに大きいが,赤色辛みそより小さく,光沢のある脂肪性の食品であった.固形分含量は約80%を占め,タンパク質含量対脂肪含量比は1:5.5前後であった.熟酥は一夜静置し冷却固化した後,孔をうがっておくと,試料温度25°C以上で透明な明るい鮮やかな黄色のオイル状物質が孔の周縁に溶離してきた.このオイル状物質を「本草網目」の記述にもとづく醍醐であると判断した.本試験により得られた醍醐は,バターオイルよう食品で,製造様式からみて,モンゴルの乳製品シャルトスに類似した食品と考えられる.一方,酥については,生酥および熟酥はそれぞれ醍醐製造の第2段階および第3段階で得られる中間産物で,現代の乳製品中では,他にその類似品は見当らない.
著者
有賀 秀子
出版者
酪農総合研究所
雑誌
酪総研
巻号頁・発行日
vol.1357, no.159, pp.6-7, 1992-10-01
著者
有賀 秀子
出版者
デーリィマン社
雑誌
酪農大百科
巻号頁・発行日
pp.607-609, 1990-11-01

デーリィマン社「酪農大百科」1990年11月1日 607-609頁より転載
著者
渡部 恂子 池田 なぎさ 水谷 潤 佐藤 直子 金 世琳 平井 智子 有賀 秀子
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-8, 1998 (Released:2015-10-31)
参考文献数
26
被引用文献数
1

中国内蒙古草原地帯における伝統的発酵乳エードスンスー, アイラグおよびチェゲーのの3種類から計10試料を採取し, 理化学性状の分析と微生物の分離同定を行った。また, 製法が類似しているカルピス酸乳との関連性を検討した。内蒙古発酵乳10試料ならびにカルピス酸乳のすべてから乳酸菌と酵母が分離された。理化学性状の分析結果から, エードスンスーは発酵が緩慢であるため, 乳酸やアルコールの生成量が少なく, アイラグは製法や原料の違いで成分組成や微生物叢に差異が見られた。チェゲーは原料乳が馬乳であるため成分組成は他の発酵乳と異なったが, カルピス酸乳の主要菌種であるLactobacillus helveticusが優勢に分離された。アイラグの数試料からはL. helveticusのほかヘテロ発酵乳酸桿菌が分離され, カルピス酸乳との類似性が示唆された。また, アイラグ, チェゲーからケフィール粒の構成菌であるLactobacillus kefirgranumが多数検出された。
著者
中村 正 菅井 理子 男澤 綾 有賀 秀子 小疇 浩 キュラ キーユキア 荒井 威吉 浦島 匡
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.9-14, 1999 (Released:2015-10-31)
参考文献数
12
被引用文献数
1

ケニアの一般家庭より伝統的発酵乳であるMaziwa lalaを採取し, その菌叢および流動特性について検討した。生菌数はMaziwa lala (A) で5.2×107 c.f.u/ml, (B)で1.3×109 c.f.u/mlであった. また, Maziwa lala (A), (B) からそれぞれ分離した45菌株, 54菌株を同定試験に供した結果, 主要菌種はLact. lactis subsp. lactisとLeuc. mesenteroides subsp. mesenteroides dextranicumであり, これらが全菌株の90%以上を占めていた。 スキムミルク培地で, これら主要菌種であるLact. lactis subsp. lactis, Leuc. mesenteroides subsp. mesenteroides dextranicumおよびこれら2種を混合 (1:1) したものを培養し, 粘性試験を行った。その結果, 混合培養したものが最も粘性が高く, また, 風味が良かったことから, これら2菌種がMaziwa lalaの製品特性を形成するものであることが示唆された。
著者
有賀 秀子 高橋 セツ子 倉持 泰子 浦島 匡 筒井 静子
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.253-260, 1988
被引用文献数
1 1

古代の乳製品といわれる生酥,熟酥,醍醐につき,「本草網目」(李時珍著)の記述を根拠としてその再現を試みた.製造は,(加熱濃縮)-(静置•凝固層分離)-(攪拌再加熱)-(静置固化)-(オイル溶離)の様式に従い行なった.凝固層分離により生酥を得,再加熱濃縮により熟酥を得た.熟酥を冷却固化し孔をうがって室温に放置し,自然に溶離したオイル状物質を醍醐と判断した.製造過程で得られた知見は以下に示す.生酥は,生乳を静かに攪拌しながら83~85°Cで120分程度加熱し,一夜静置後凝固層を集めることによって得た.その成分組成は固形分が約60%で,タンパク質含量対脂肪含量比は約1:4,芳香性のクリームよう食品であった.熟酥は,生酥を湯煎により20分程度加熱することにより得られ,鮮やかな黄色の半流動体で,ゼリー強度,粘性率ともにマヨネーズに比べはるかに大きいが,赤色辛みそより小さく,光沢のある脂肪性の食品であった.固形分含量は約80%を占め,タンパク質含量対脂肪含量比は1:5.5前後であった.熟酥は一夜静置し冷却固化した後,孔をうがっておくと,試料温度25°C以上で透明な明るい鮮やかな黄色のオイル状物質が孔の周縁に溶離してきた.このオイル状物質を「本草網目」の記述にもとづく醍醐であると判断した.本試験により得られた醍醐は,バターオイルよう食品で,製造様式からみて,モンゴルの乳製品シャルトスに類似した食品と考えられる.一方,酥については,生酥および熟酥はそれぞれ醍醐製造の第2段階および第3段階で得られる中間産物で,現代の乳製品中では,他にその類似品は見当らない.
著者
平田 昌弘 米田 佑子 有賀 秀子 内田 健治 元島 英雅 花田 正明 河合 正人
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.9-22, 2010

The reproduction and identification of ancient dairy products in East Asia were conducted based on "SEIMINYOUJYUTU" which is the order ancient document available in East Asia and contains detailed explanation about milk processing, and then the spread pathway of these milk processing techniques into East Asia was discussed in this paper. As the results of reproduction and identification experiments, RAKU was identified as sour milk, KANRAKU could not be identified, ROKURAKU was identified as unmatured type cheese such as KHOROOT of Mongolian pastoralists and KURUT of Turki pastoralists, and SO was identified as butter and butter oil. Since some imprecise descriptions were found in SEIMINYOUJYUTU through the reproduction experiment, it was considered that Kashikyou, the author of SEIMINYOUJYUTU, was the just editor to use various texts which were gathered from different ethnic origins on milk processing and did not conduct processing milk products by themselves. The milk processing such as sour milk (RAKU) making from raw milk, butter (SO) making from sour milk (RAKU) by churning, butter oil (SO) making from butter by heating are wide spread techniques and still used among the current pastoralists in West Asia, South Asia, Central Asia and Inner Mongolia. As the comparison with components in milk products and the milk processing techniques of pastoralists in the Asian continent, it was concluded that the milk processing techniques adopted in SEIMINYOUJYUTU were mainly influenced from the pastoralists in North Asia and/or Central Asia.
著者
中村 正 菅井 理子 男澤 綾 有賀 秀子 小疇 浩 キュラ キーユキア 荒井 威吉 浦島 匡
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.9-14, 1999
被引用文献数
1

ケニアの一般家庭より伝統的発酵乳であるMaziwa lalaを採取し, その菌叢および流動特性について検討した。生菌数はMaziwa lala (A) で5.2×10<sup>7</sup> c.f.u/ml, (B)で1.3×10<sup>9</sup> c.f.u/mlであった. また, Maziwa lala (A), (B) からそれぞれ分離した45菌株, 54菌株を同定試験に供した結果, 主要菌種は<i>Lact. lactis</i> subsp. <i>lactis</i>と<i>Leuc. mesenteroides</i> subsp. <i>mesenteroides dextranicum</i>であり, これらが全菌株の90%以上を占めていた。<br/> スキムミルク培地で, これら主要菌種である<i>Lact. lactis</i> subsp. <i>lactis</i>, <i>Leuc. mesenteroides</i> subsp. <i>mesenteroides dextranicum</i>およびこれら2種を混合 (1:1) したものを培養し, 粘性試験を行った。その結果, 混合培養したものが最も粘性が高く, また, 風味が良かったことから, これら2菌種がMaziwa lalaの製品特性を形成するものであることが示唆された。
著者
有賀 秀子 林 友子 永田 信一 祐川 金次郎
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.177-186, 1978-10-31

継続採取した農家婦人10名,非農家婦人18名の乳汁および飲用水について,硝酸・亜硝酸およびジメチルアミン含量と,人血液中の硝酸・亜硝酸および血色素量の測定を実施した。1.人乳中の硝酸と亜硝酸の合計含量は,分娩後3〜5日目には平均2.67ppmであったが,2週間後までに急激に減少し,約1/2量になった。40日目以降では0.5ppm前後にまで減少するが,60日後やや増加した。初乳中硝酸・亜硝酸含量の個体差は大きいが,日数の経過とともにその差は小さくなった。2.人乳中亜硝酸含量は,初乳で0.025ppm程度で,その後やや増加するが,60日目には初期の1/2量にまで減少した。3.人乳中ジメチルアミン含量の個体差は大きいが,75%の試料が0.1ppm以内にあり,他の一般食品に比べ低い値であった。4.人血液中の硝酸・亜硝酸含量は,分娩後3〜14日目の者についてみると,平均1.11ppmで,0.5〜1.5ppmの範囲に全体の80%が分布していた。乳汁中含量に比べその約1/2量と低かった。5.人血液中の血色素量は,分娩後の経過日数により大きく異なり,6〜8日目で正常値の者は約60%であった。6.飲用水中の硝酸・亜硝酸含量は,地下水の場合は水道水に比べはるかに高く,乳幼児に推奨されている3ppm以下のものは50%に満たず,また飲用水基準の10ppmを超えるものも約10%程度みられた。