著者
飯高 敏晃 池田 隆司 土屋 旬 星 健夫 宮崎 剛
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

原子分子の視点に基づいたシミュレーションにより、含水鉱物の新高圧相の予測、高温高圧下の水の水素結合状態、氷高圧相のプロトン伝導の解明、水素ハイドレートの高圧相転移、水素化物の高温超伝導、多結晶ダイアモンドの破壊シミュレーションなど、いままで知られていなかった高圧下での水(水素)の振る舞いの一端を明らかにした。今後の中性子散乱実験との協業により一層の解明が進むことが期待される。
著者
小長井 一男 東畑 郁生 清田 隆 池田 隆明
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

2005年10月8日パキスタン・インド国境近くのカシミール山岳地でM7.6の地震が発生した。実数は9万人を超えると推測され、この地震がパキスタン社会に与えた影響が極めて深刻であることは言うまでもない。しかし同時にこの地震は、その後長期に継続する地形変化の引き金となり、被災地の復興に様々な問題を投げかけている。本年度で実施した研究の実績は主に以下の2点に集約される。(1)Hattian Ballahに出現した巨大な崩落土塊の変形については前年度までにをモンスーンの前後で精密GPSによる計測を行って、この土砂ダムの決壊にいたる懸念があり万が一の決壊時の流出解析を行い、この結果はState Earthquake Reconstruction & Rehabilitation Agency(SERRA)やMuzaffarabad市、そしてJICAにも報告されていた。この決壊は2010年2月9日に現実のものとなり、下流部に最高17m程度の洪水が押し寄せ30余りの家屋が流された。男子1名の犠牲者が報告されたが警戒していた住民の避難があったことが犠牲者を最小限に抑えたものと思われる。決壊に至った詳細を現地計測をもとにとりまとめ現地機関に報告するとともに、International Jopurnal "Landslides"にも2編の投稿を行っている(1篇は登載決定)。(2)カシミール地方の中心都市Muzaffarabad東側に南北に走る断層背面に露出したドロマイト混じりの斜面から流出する土砂はこれまでに谷沿いの家屋の多くを1階~2階レベルまで埋め尽くしていた。今年度はパキスタンが未曾有のモンスーン豪雨被害を受け、対象地域の様相は激変した。砂防堰堤の作られた沢とそうでない沢の被害の様相は大きく異なりこのような状況を調査し更なる対応への提言としてとりまとめている。
著者
寺倉 清之 池田 隆司 Boero Mauro
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (Low temperature science) (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.57-69, 2006-03-22

多様な状況下で多様な振る舞いを示す水の性質の解明は,長い研究の歴史にも拘らず,なお物理化学, 生物の主要な研究課題となっている.第一原理分子動力学法に基づく計算機シミュレーションによる 水の研究から,水の基本的性質,超臨界水の物理と化学,高圧下のメタンハイドレードなどについて 解説する.
著者
池田 隆 RAOUF A. Ibrahim
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,自由液面を有する正方形断面の剛体容器が水平方向に正弦励振またはランダム励振を受ける場合,容器内に二つの振動モードが同時に発生する液面スロッシングの内部共振現象について,非線形性を考慮した数学的モデルを構築し,数値計算と実験によりスロッシング挙動を明らかにするとともに,スロッシング波高を精度良く予測できることを示した.また,液面スロッシングの内部共振現象を利用した正方形断面容器が構造物の制振装置として有効であることを示した.
著者
池田 隆政 伊藤 大雄 吉田 亮
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.87-92, 2010 (Released:2010-01-26)
参考文献数
23

ニホンナシ短果枝葉の飽和光下光合成速度(光合成能力)の季節変化を携帯型光合成測定装置を用いて調査した.予備試験の結果,光合成能力の測定のためのチャンバー内条件として通気速度500 μmol・s−1,光合成有効放射束密度1,500 μmol・m−2・s−1が適当であった.また,光合成速度は午前9時以降減少することから,測定は9時までに終了することとした.ニホンナシ‘幸水’(露地栽培)および‘ゴールド二十世紀’(露地およびハウス栽培)短果枝葉の光合成能力は,満開後30~60日に最高値(15~20 μmol・m−2・s−1)に達し,その後収穫期あるいはその直前までほぼ同じ値が維持された.着果負担のなくなった収穫期後は次第に低くなり,10月以降は急激に低下した.葉肉コンダクタンスの変化は,光合成能力とほぼ同様であり,光合成能力は,主に葉肉活性に影響されていることが示された.以上の結果より,ニホンナシ短果枝葉の光合成能力は着果期間中高いレベルが維持されていることが明らかになった.