著者
渡邉 裕子 蒲原 毅 佐野 沙織 白田 阿美子 小野田 雅仁 池澤 善郎 相原 道子
出版者
Japanese Dermatological Association
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.122, no.9, pp.2321-2327, 2012

58歳,男性.25歳時に尋常性乾癬が発症し,33歳時に霧視の自覚と共に非肉芽腫性前部ぶどう膜炎がみられ乾癬性ぶどう膜炎と診断された.シクロスポリン内服で加療されたが治療に難渋し,58歳時に膿疱性乾癬が発症した.シクロスポリンを中止しインフリキシマブを開始後,皮膚症状と共に眼症状の著明な改善が得られた.再発性,難治性の乾癬性ぶどう膜炎に対しインフリキシマブは有効な治療法と考えられた.自験例および本邦における乾癬性ぶどう膜炎のまとめでは,初発症状は,視力低下が最も多く,次いで霧視,充血,眼痛の順に多くみられた.ぶどう膜炎発症時の乾癬の臨床病型は,関節症性乾癬が31例中13例(42%)と最も多く,次いで尋常性乾癬が31例中10例(32%),膿疱性乾癬が31例中7例(23%)であった.乾癬性ぶどう膜炎患者の25例中23例(92%)で関節症状がみられ,23例中22例(96%)でHLA-A2がみられた.ぶどう膜炎に対し皮疹出現の先行例が約90%にみられ,皮疹出現から長期経過後にぶどう膜炎が生じている例が多かった.関節症状とHLA-A2を有する乾癬では,ぶどう膜炎を合併する危険性があり注意が必要と考えられた.
著者
茂木 太一 吉川 大輝 曽根 大地 村田 佳子 渡邉 雅子 渡邉 裕貴
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.31-38, 2014 (Released:2014-07-11)
参考文献数
15

良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん(benign adult familial myoclonic epilepsy:BAFME)における難治性の振戦様ミオクローヌスにプリミドンの追加投与が有効であった症例を報告する。症例は39歳女性。てんかん及び振戦様ミオクローヌスの濃厚な家族歴が存在した。17歳時、手のふるえが出現。24歳時、全身けいれんが初発。29歳時、てんかんと診断されバルプロ酸およびクロナゼパムが開始されたが手のふるえは改善せず、年単位での全身のけいれんが持続した。36歳時、レベチラセタム追加以降、全身のけいれんは消失した。しかし、手のふるえは悪化し下肢や体幹にもふるえが出現し39歳時に当院紹介。各種検査にてBAFMEと確定診断したうえでAmerican Academy of Neurologyによる本態性振戦の治療ガイドラインを参考にプリミドンを追加したところ振戦様ミオクローヌスは抑制された。このことから本態性振戦に有効性が示されているプリミドンはBAFMEにおける振戦様ミオクローヌスにも効果が期待できる可能性が考えられた。
著者
渡邉 裕美 後藤 隆 高野 龍昭 栗原 拓也 人見 朋子 青木 愛
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

夜間対応型訪問介護が創設されて2年経過したが、利用者が少なく経営が厳しい。事業所数も100箇所あまりで大都市圏人口地域に偏在し、夜間帯サービスの空白圏がある。どのような人にどのようなケアプランを作成すれば24時間ホームケアを支えられるか、サービスの利用効果やサービス利用方法が周知される必要がある。夜間対応型単独使用で24時間ケアが成り立つわけではなく、定期訪問介護に加えて夜間対応型訪問介護のコールと随時訪問が届くためには、ケアマネージャーが鍵となる。さらには医療ニーズへの対応も不可欠である。現在、夜間ケアを必要とする人の多くは病院や施設にいる。ケアマネージャーと医療機関間で、前方連携・後方連携がなされれば、地域で暮らし続ける支援となるであろうことが示唆された
著者
渡邉 裕美 村嶋 幸代 後藤 隆 田口 敦子 浅野 いずみ 辻 泰代
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

研究目的は24時間ケア医療と介護の包括支援体制の方向性を探ることである。実態を把握するために、大都市圏で夜間ケアに先駆的にとりくんでいるA自治体において全域調査を行なった。結果、要介護認定者数に対する夜間対応型訪問介護利用者の比率は圏域によって異なるものの、その割合は、0.25%~0.73%と1%にも満たなかった。定期訪問実人数は0人の事業所もあれば、28人に639回の事業所もあった。随時訪問利用回数は、4回の事業所もあれば、104回の事業所もあった。定期より随時が多く行われていた。コールを押しても訪問せずに電話対応のみという事業実態もあった。別のB自治体では、介護施設を拠点に24時間訪問介護と夜間対応型訪問介護が一体運営でとりくまれており事業所ヒアリングを行なった。24時間包括ケアの潜在利用者を病院から地域にもどすための退院支援のヒントをまとめた。2012年4月創設される「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」を読み解き、研究成果をふまえた、医療と介護の包括支援体制をすすめるための方法論を示した。
著者
渡邉 裕樹
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

平成20年度は,(1)計算機代数を応用した形式的検証手法および(2)高信頼なデータパスジェネレータに関する研究を平行して実施し,それぞれ以下の成果を得た.(1)大規模な算術演算回路に対する効率的な機能検証手法の実現を目指し,まず,重み数系と整数方程式を用いて算術演算回路を統一的に表現可能なデータ構造を提案した.このデータ構造に対する検証手法として,グレブナー基底や多項式簡約など計算機代数の手法に基づく手法を提案した.また,従来の形式的検証手法との比較し,算術演算回路の種類に応じて提案手法と従来手法を切り替えることで,検証時間を大幅に削減できることを明らかにした.(2)提案手法に基づく検証系を組み込んだモジュールジェネレータを開発した.本システムは,多入力加算や積和演算などの多様な算術アルゴリズムをライブラリとして有し,その組み合わせで900種類を越える演算器モジュールを自動生成することができる.また,計算機代数に基づく形式的検証を適用することにより,64ビットの演算器であれば数分以内に検証することができる.本システムを公開したWebページ(http://www.aoki.ecei.tohoku.ac.jp/arith/mg/)は,平成20年度末までに12万件以上利用されている.以上の研究により,計算機代数に基づく算術演算回路の形式的設計手法を提案し,その有効性を示すとともに,実用性の高い演算器モジュールジェネレータを実現した.