著者
石田 憲治 嶺田 拓也 粟生田 忠雄 田村 孝浩 日鷹 一雅 谷本 岳 小出水 規行 若杉 晃介 栗田 英治 芦田 敏文
出版者
独立行政法人農業技術研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

水田における魚類や水生昆虫などの生物の行動特性と水田及び周辺の植生や土壌、水利条件などの環境特性、さらには水田の水環境にかかわる社会条件から生物多様性向上要因を分析した。その結果、(1)生物多様性向上に有効な湿地環境復元に水田冬期湛水が有効であること、(2)初期湛水深、湛水田の配置、湛水期間の工夫で現行の利水条件下でも湛水可能面積の拡大が可能であること、(3)一部の水生昆虫では冬期湛水より通年湛水場所を確保する水管理が重要であること、などを明らかにした。
著者
中島 直久 野田 康太朗 守山 拓弥 森 晃 渡部 恵司 田村 孝浩
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.I_225-I_234, 2018 (Released:2018-11-01)
参考文献数
35

春季におけるトウキョウダルマガエルの生息場保全策の検討に向けて, 本種が冬眠から目覚めて地上へ這い出す際に残す這い出し穴の形状を特定し, ニラ畑と裸地の2圃場において這い出しの時期と, その時の地温および降水量との関連を調べた.対象地の這い出しは4月中旬~5月下旬に行われ, 2山のピークが確認された.調査日間の日平均這い出し穴数, 日最高・最低地温, 期間最大連続雨量を指標とすると, 這い出しは日最高地温が12~15℃の範囲で開始した.両圃場において日平均這い出し穴数と期間最大連続雨量との間に正の相関関係が認められた.これらの結果から, 本種は日最低地温が特定の温度以上において降雨がある場合に, 越冬を終了して地上へ這い出すと推測された.
著者
田村 孝之 中村 稔 喜連川 優 高木 幹雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.189-190, 1992-09-28

スーパーデータベースコンピュータ(SDC)は,現在我々が開発中の高並列関係データベースサーバである.SDCは,数台(4~6台)のマイクロプロセッサと磁気ディスク装置とを共有バスで密結合して処理モジュールとし,さらに複数の処理モジュールをネットワークで疎結合したハイブリッドアーキテクチャをとる.また,結合演算に対するアルゴリズムとして,"バケット分散GRACEハッシュ"法を採用し,これをハードウェアで支援するために,"バケット平坦化機能"を有するオメガネットワークの提案がなされている.このネットワークは,各スイッチ素子自体が局所的な履歴に基づいて適応的なルーティングを行ない,競合によるスループットの低下と処理モジュール毎の負荷の偏りに起因する性能向上の限界とを同時に解決することを目指したものであり,その有効性はすでにシミュレーションにより確認されている.また,バケット平坦化機能にはこれまでにいくつかの拡張が施されてきたが,処理モジュール数はネットワークの大きさに等しいと仮定され,ネットワークの性質から2^nに限られてきた.しかし,各処理モジュールの故障に対するロバスト性を向上させ,また,処理の規模に応じて徐々にシステムを拡張できるようにするには,任意のモジュール数が許されることが望ましい.そこで今回,これまでの制限を除き,ネットワークの大きさと異なる任意数の処理モジュールの間で負荷分散を可能にするアルゴリズムを開発した.本論文では,この新たなアルゴリズムを用いた時のネットワークの動作特性を,シミュレーションによる解析結果に基づいて述べる.
著者
菅原 享 宮下 晃 三田村 孝 飯田 武揚
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4, pp.597-603, 1988-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
23
被引用文献数
1

cis-ジクロロジアンミン白金(II)錯体(以下cis-DDPと略記する)には制がん作用があり,現在各種がんの臨床治療に広く使用されている。このcis-DDPは生体内において特異的にがん細胞のDNAと結合し,そのDNAの複製を阻害することが知られている。このような事実を踏まえて,白金錯体の配位子を種々変えた新規の白金錯体の報告が数多くだされているが,担体配位子に硫黄含有配位子を用いた白金族錯体についての研究は,ほとんどなされていない。そこで担体配位子に硫黄含有配位子を用いた白金族錯体であるジクロロ(2-アミノエチルスルポニル)白金(II)錯体およびジクロロ(2-アミノエチルスルポニル)パラジウム(II)錯体を新規に合成し,UV,UV差スペクトル,解離塩化物イオンなどの測定から,これらの白金族錯体のがん細胞障害性,DNAおよびDNA構成ヌクレオシドとの相互作用を研究した。その結果,がん細胞増殖抑制・障害性では,ジクロロ(2-アミノエチルスルホニル)白金(II)錯体ではアドリアマイシン耐性マウス白血病細胞に,ジクロロ(2-アミノエチルスルホニル)パラジウム(II)錯体ではマウスメラノーマ細胞に対してそれぞれがん細胞障害性を示すことがわかった。また,DNAおよびヌクレオシドとの相互作用では,ジクロロ(2-アミノエチルスルホニル)白金(II)錯体とジクロロ(2-アミノエチルスルポニル)パラジウム(II)錯体との結合様式に差異があることが示唆された。
著者
菅原 享 飯田 武揚 河野 淳夫 宮下 晃 三田村 孝
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.4, pp.719-724, 1987-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1

cis-ジクロロジアンミン白金(II)錯体(以下cis-DDPと略記する)には制がん作用があり,現在臨床治療に広く使用されている.このcis-DDPは生体内において特異的にがん細胞のDNAと結合し,そのDNAの複製を阻害することが知られている。このようなことから,白金錯体の配位子を種々変えた新規の白金錯体の研究が数多くなされているが,担体配位子に硫黄含有配位子を用いた白金錯体についての研究は,ほとんど報告されていない。そこで担体配位子に硫黄含有配位子を用いた白金錯体であるジクロロ(2-アミノエチルスルホニル)白金(II)錯体を薪規に合成し,IRおよび13C-NMRスペクトル,元素分析,原子吸光分析などでその構造を解析し,この白金錯体とDNA構成ヌクレオシドとの相互作用をUV差スペクドルおよび解離塩化物イオン濃度を測定して研究した。その結果,ジクロロ(2-アミノエチルスルホニル)白金(II)錯体とDNA構成ヌクレオシドのUV差スペクトルには等吸収点が観測され,この系でのUV差スペクトルに関与する化学種が二成分存在し,それらが平衡をなしていることが示唆された。また,DNA構成ヌクレオシド存在下で,この白金錯体から解離する解離塩化物イオン濃度を測定したところ,白金錯体1molに対して塩化物イオンが2mol相当解離していることが明らかになり,この白金錯体は塩化物イオンを解離し,DNA構成ヌクレオシドと錯形成を行なっていることがわかった。さらに合成した白金錯体はアドリアマイシン耐性白血病細胞に対して特異的ながん細胞増殖抑制・障害性を示すことがわかった。
著者
野田 康太朗 中島 直久 守山 拓弥 森 晃 渡部 恵司 田村 孝浩
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.165-173, 2020-03-28 (Released:2020-04-25)
参考文献数
26
被引用文献数
3

本研究では,トウキョウダルマガエルを対象とし,第一に PIT タグの個体へおよぼす影響およびタグリーダーによる探知能力の両面から,越冬個体の探知に適した手法か検討した.第二に,対象地にて PIT タグを挿入した個体の越冬場所の探知を試みた.さらに,栃木県上三川町の水田水域において越冬個体の探知を試みた.PIT タグが個体へおよぼす影響を調べるため,PIT タグを挿入した群と挿入していないコントロール群を 15 日間飼育したところ,斃死及びタグが脱落した個体はおらず,体重の増減にも両群間に有意な差は見られなかった.探知能力の検討では PIT タグを土中に埋める試験区を設け実験した.その結果,深度 20 cm までの読み取りは可能であったが,30 cm より深くは読み取れなかった.さらに,栃木県上三川町で実施した水田水域における越冬個体の探知では,30 個体の越冬場所を確認した.Neu 法により解析したところ,30 個体の越冬地点は,畑地に集中していることが明らかとなった.また,越冬深度は 7.4-27.0 cm,平均 18.3±4.7 SD [cm] であった.この結果から,水田水域に生息するカエル類と比較し,本種はより深い地中で越冬する生態を有する可能性もあった.一方で,越冬深度の違いが PIT タグと掘削という手法の違いに起因する可能性もある.なお,本研究の結果は冬期湛水水田が卓越した地域において実施された事例的な研究である.今後は PIT タグを用いた越冬個体の探知方法により,異なる気象条件の地域,営農方法や圃場構造等が異なる地区での知見を集積することが望まれる.
著者
田村 孝
出版者
千葉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

今年度は、ペルガモン王国の遺した遺物(美術品)について、集中的な研究を行った。第一に、8月にベルリンのペルガモン美術館を再訪し、ここに所蔵されている「ゼウスの大祭壇」に施されている浮彫の実見と写真撮影をおこなった。この王国がいかなる意図をもってこのような巨大な浮彫を造り、公衆の目に触れるところに展示したのかは、王国のおかれた国際的な立場や国王権力の大きさを表象していると考えられるが、そうした意義を深く追求かつ考察するためにも、まず実見が重要なのである。さらに平成19度の訪問した際に見られなかったペルガモン国王「アッタロス一世」の頭像も実見・撮影した。第二に、同じ調査旅行でローマ国立博物館所蔵の「妻を殺して自害するガリア人の首領像」、「アッタロス二世全身像」、またヴァティカン美術館に所蔵されている「ガリア人頭像」、「戦うペルシア人像」、カピトリーニ美術館所蔵の傑作「瀕死のガリア人像」、ナポリ国立考古学博物館に所蔵されている「エウメネス二世青銅頭像」、「フィレタイロス頭像」などペルガモン彫刻の傑作(あるいはその模刻像)を実見し撮影に成功した。第三に、J.J.Politt, Art in the Hellenistic Age, Cambridge, 1986(2008) ; F.Queyrel, L'autel de Pergame, Paris, 2005を始めとするヘレニズム時代の美術史(彫刻史)関係の著作を精読した。これらは古代東地中海世界のヘレニズム諸王国がおのれの政治権力を内外に広く知らしめる表彰として、神話世界における大征服物語に関する浮き彫りを施した巨大記念建築物を造りあげたことを詳述した著作で、ヘレニズム時代における一王国が戦乱の相次いだ時代をどのようにして生き抜いていったのかを考察する上で極めて重要な意義をもつものなのである。
著者
安井 隆宏 田村 孝之 小口 正人 喜連川 優
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.203, pp.79-84, 1999-07-23

分散メモリ型並列データベースシステムは, スケーラビリティに優れており, 近年の大規模化しつつあるデータベース処理に非常に適しているといえる。しかしながら, ノード数が増えると, ノード間の負荷に偏りが生じ易くなる。この問題を解決するために, 我々は, ライトディープハッシュ多重結合演算の結合演算フェーズにプロセッサ間でハッシュラインの移動を行い負荷の均等化を行う動的負荷分散アルゴリズムを提案し, PC 100台をATMスイッチで結合したPCクラスタシステムを用い, 30ノード規模での実験と検討を行って来た。今回, 我々は処理ノード数の増大に対し問題となる主記憶の制限を緩和すべく, ハッシュテーブル及びマイグレーションテーブルを動的に再構築する機構を導入した。本稿では, 実験結果から本動的負荷分散手法の100ノード規模の環境における有効性を示す。