著者
安藤 佑介 徳川 広和 甲能 直樹
出版者
瑞浪市化石博物館
雑誌
瑞浪市化石博物館研究報告 (ISSN:03850900)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.167-173, 2022-12-27 (Released:2022-12-27)
参考文献数
12

A paleontological restoration of the early diverging pinniped, enaliarctine gen. et sp. undet., which was described and identified by Kohno et al. (2021), was presented as a 3D model. The form was reconstructed based on MFM18009 (complete skull, distal half of the left mandible, the atlas, distal half of the left humerus, proximal half of the left ulna, the third metacarpus, thoracic vertebrae and ribs) and restored by the last author’s scientific comments.
著者
甲能 直樹 安藤 佑介 楓 達也
出版者
瑞浪市化石博物館
雑誌
瑞浪市化石博物館研究報告 (ISSN:03850900)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.125-135, 2020 (Released:2021-04-09)
参考文献数
25

A pinniped fossil was found at the construction site of the Togari-Tsukiyoshi City Road in Akeyo-cho, Mizunami City, Gifu Prefecture, Japan in September 2020. We briefly report this new discovery of a partial skeletal bones belonging to a single individual (MFM18009), which was recovered from the lowermost part of the Yamanouchi Member of the Akeyo Formation, the Mizunami Group (lower Miocene: ca 18 Ma). MFM18009 is consisted from a complete skull, distal half of the left mandible, the atlas, distal half of the left humerus, proximal half of the left ulna, the third metacarpus, thoracic vertebrae and ribs. MFM18009 seems to belong in the Pteronarctos-Pacificotaria species complex of pinnipediforms, and is provisionally identified as Enaliarctine genus and species undetermined.
著者
甲能 直樹 高泉 幸浩
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.1-6, 1992-11-30 (Released:2017-10-03)

Two isolated teeth belonging to the subfamily Halitheriinae (Carus, 1868) are described from the Late Miocene Aoso Formation of Sendai Prefecture, northern Japan. One of the teeth, the left upper third molar, is relatively large in size and has a centrally located hypoconule that is coalesced with a reduced hypocone. These characters are typical of somewhat derived halitheriine dugongids so far known in the eastern Pacific and Atlantic realm. This record is the first occurrence of the subfamily Halitheriinae from the western Pacific region and provides evidence that the halitheriine had been distributed in the Late Miocene age western Pacific Ocean before the hydrodamalines migrated from the eastern to the western North Pacific. It indicates a more complicated migratory and evolutionary history of the Pacific dugongids than previously known in the Pacific Ocean.
著者
甲能 直樹 長谷川 善和
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.162, pp.801-805, 1991-06-28
被引用文献数
3

埼玉県東松山市付近に分布する中部中新統神戸層下部の礫岩層より, イマゴタリア亜科に属する鰭脚類の臼歯化石が発見された。当該標本は歯冠高が低く, 歯冠の遠位舌側に極めて発達のよい歯帯を持つことなどから, セイウチ科のイマゴタリア亜科に属する鰭脚類の, 左上顎第2もしくは第3前臼歯と判断される。北太平洋沿岸域におけるこの仲間の記録としては, これまでに知られる限り最も古いものの一つとなる。当該標本は, 単離した1個の臼歯であるため属種を決定できないが, プロトコーンシェルフがよく発達していることや, 2歯根であるなど原始的特徴を保持しており, ほぼ同時代から知られているセイウチ類の祖先とされる, ネオテリウム類の臼歯に最もよく類似している。このことから, 当該標本は最古の鰭脚類であるエナリアルクトス類から, セイウチの系統に分かれた初期の仲間のひとつであったろうと思われる。
著者
甲能 直樹
出版者
千葉県立中央博物館
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本年度の研究では、仙台の中新統から産した最古のセイウチ科鰭脚類、Prototaria Planicephala Kohno,1994(以下化石セイウチ)のタイプ標本の頭蓋腔を完全に剖出した上で、脳の印象模型(エンドキャスト)を作製し、各部位の比較神経解剖学的な記載を行なった。この過程で、化石セイウチの大脳表面の各機能単位を決定するため、現生鰭脚類および陸生食肉類との解剖学的特徴を比較検討し、とくに現生食肉類との相同関係に基づいて各大脳溝および大脳回(いわゆる脳の皺)を同定した。さらに、電気神経生理学によって明らかにされている現生食肉類の脳の機能分布との比較から、化石セイウチの脳の機能分布地図の復元を試みた。化石セイウチの脳神経は、現生鰭脚類と異なり嗅神経(嗅球)の発達が比較的よく、嗅感覚は海洋生活への依存度がより強い現生鰭脚類に比べて鋭かったことがわかった。また、三叉神経第2枝(上顎神経)が極めてよく発達しており、上唇部を中心とした上顎神経支配領域の感覚がすでに現生鰭脚類と同程度に発達していたことがわかった。大脳形態については、全体に側方への拡大が目立ち、とくに冠状脳回(前側頭部)が目立って拡大していることから、吻部の触覚機能の強化(洞毛の発達)が推定認された。また、後S字状脳回(最前側頭部)も拡大の傾向が認められることから、顔面の運動機能と感覚を司る領域全体が著しく発達していることが改めて確認できた。しかしながら、初期のセイウチ科鰭脚類が、まず最初に魚食適応したのか、あるいは沿岸域の雑食性であったのかを明かにするために、更に詳しい大脳表面の解析が今後の課題となる。
著者
和久 大介 佐々木 剛 米澤 隆弘 甲能 直樹 佐々木 浩 安藤 元一 小川 博
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

&nbsp;ニホンカワウソは環境省発行の第 4次レッドリスト(2012)で絶滅が宣言された.しかし,本種の分類学的位置づけは混乱したままである.本種は,大陸に現存するユーラシアカワウソ <i>Lutra lutra</i>と近縁種であることは複数の先行研究で認められているが,日本固有種 <i>Lutra nippon</i>かユーラシアカワウソの亜種なのか意見が分かれている.そのため,環境省のレッドリストで本州以南の個体群について <i>Lutra lutra nippon</i>と記載しているが科学的根拠があるわけではない.そこで我々研究グループは,神奈川県城ヶ島産のニホンカワウソ標本に残存していた筋組織から DNAを抽出し,ミトコンドリアDNAに基づいてカワウソ亜科と系統解析を試みた.標本サンプルから抽出した DNAは,薬品や長期保存による DNAの断片化とその量の減少が予想された.そこで,Multiplex PCR法により約 350-500塩基の断片を増幅し,ダイレクトシーケンシング法で配列を決定した.この方法でニホンカワウソの配列を 7,325塩基決定した.また,同じ方法でサハリン産ユーラシアカワウソと中国・重慶由来の飼育下繁殖ユーラシアカワウソのミトコンドリア DNA全長配列を決定した.決定したニホンカワウソ配列を,サハリン /中国 /韓国の 3地域のユーラシアカワウソの配列と ClastalW2.1でアライメントしたところ,ニホンカワウソに特徴的な塩基サイトがND1,co2,co3の 3つのアミノ酸コード領域で7塩基認められた.これらのニホンカワウソに特徴的な塩基サイトを含む配列データを系統樹推定に用いた.推定は RAxML ver.7.2.8プログラム上において進化モデル GTR+I+Gを用いておこない,ニホンカワウソとサハリン /中国 /韓国のユーラシアカワウソの系統類縁関係を評価した.
著者
遠藤 秀紀 横畑 泰志 本川 雅治 川田 伸一郎 篠原 明男 甲能 直樹 佐々木 基樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

旧食虫類における多系統的な形質を機能形態学的に検討した。筋骨格系、消化器系、泌尿生殖器系、感覚器系、皮膚・表皮系などを旧食虫類の諸目間で形態学的に比較検討を行った。その結果、それぞれの器官において、形態学的類似や差異を確認することができ、真無盲腸目、皮翼目、登攀目、アフリカトガリネズミ目などの旧食虫類諸群間の多系統的進化史理論を確立することができた。