著者
岡本 昌 真田 純子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.1-12, 2016 (Released:2016-01-20)
参考文献数
8
被引用文献数
4

本研究は,広域的な連携をベースに保全のあり方を考える基礎研究として,以下の2点を目的とした.1)徳島県全域を対象に,棚田・段畑の石積みの保存状態の現状と技術継承の実態を明らかにすること.2)石積みの技術を明確にし,技術の違いや汎用性を明らかにすること.その結果,高齢化や過疎化による労力不足や後継者不足で,棚田や段畑の石積みの維持・保全ができていない地域が多いこと,石積みの基本は共通しており,石の特性の違いを知り,山石で積む技術を習得すれば,県内全域で積むことが可能であることが明らかとなった.
著者
真田 純子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 第38回学術研究論文発表会 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
pp.101, 2003 (Released:2003-12-11)
被引用文献数
2 1

東京緑地計画は日本で最初に作られた地域計画のマスタープランであり、日本の緑地計画史においても重要な存在である。本研究では東京緑地計画における環状緑地帯の計画作成経緯とその位置づけを明らかにすることを目的とした。環状緑地帯の計画が出る以前に、ほぼ同じ位置に行楽を目的とした環状景園地計画が存在していた。環状景園地は環状緑地帯計画の決定と共に廃止されるが、環状緑地帯の区域は環状景園地の区域をベースにしており、風光明媚な土地が選ばれていた。
著者
森本 果歩 中川 嵩章 真田 純子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.961-968, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
15

路線的商業地域は、戦前期に行われたほとんどの都市計画で採用されたが、計画意図や指定後の土地利用変化は明らかになっていない。この研究は、道路の規模や沿道の土地利用といった特徴からみた計画意図の変遷と,指定後の土地利用変化を把握し,戦前期の東京都市計画における路線的商業地域の性質を明らかにすることを目的とする。東京都市計画の指定の状況と指定時の議論を分析すると、戦前期では、路線的商業地域は主に住居地域内で使われていた。①計画街路の商業発展を補助する ②計画街路が完成するまでの間、既に商業発展している路線を代替商業中心地にする ③商業地を路線的に連続させる 上記の3つの計画意図がみられ、沿道の用途面と体裁面が考えられていた。指定後の沿道の土地利用変化をみると、効果がみられた路線もあればそうでない路線もあるが、都市を商業的に発展させる手段としての汎用性があったことが,戦前期に全国的に広まった理由と考えられる。
著者
金子 玲大 山中 英生 真田 純子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F5(土木技術者実践) (ISSN:21856613)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.94-102, 2022 (Released:2022-09-20)
参考文献数
18

本研究では,空石積みの修復活動のオーガナイザーに半構造化インタビューを行い,参加者がいかにしてオーガナイザーになるのかを把握し,さらに継続的に活動を続ける可能性が高まる場のマネジメントの在り方について考察した.その結果,オーガナイザーに共通する前提として類似する石積みに対する思いと活動を取り巻く環境を有していることなどが分かった.また,活動を実践することによる変化の特徴として様々な役割を果たさざるを得ない実践を経験したこと,即興的なコーディネート,ルールの原則の理解,修復作業のアレンジという4つの特徴が見られた.これらより活動のマネジメントとして,役割分担を固定しない,ルールの優先順位の伝達,雑談を促すの3つを示した.
著者
三山 幹木 真田 純子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.11-21, 2022 (Released:2022-04-20)
参考文献数
9

未曽有の災害が想定外の被害をもたらしている昨今,インフラの要求性能として,被災後に構造物としての機能をゼロにしない“粘り強さ”など単なる構造物の強さだけでは測れない特質が注目されている.環境的な観点からも評価されている伝統的な技術である空石積みの強度計算だけでは測れない構造物としての「強さ」の検証を行った. 本研究では四国・九州から計452件の擁壁・護岸の被災事例を収集し,写真を構造物の破壊箇所ごとに分類を行い,破壊時の挙動を観察した.観察の結果,空石積みは壊れた後にも効果を発揮しうる構造物であり,(1)小さく壊れること,(2)壊れたときの機能がゼロになりにくいこと,(3)復旧が容易であること,(4)二次被害の危険性が少ない可能性があることを明らかにした.
著者
真田 純子
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録 平成16年度日本造園学会全国大会
巻号頁・発行日
pp.14, 2004 (Released:2004-09-01)

東京保健道路計画について、まずその成立過程を明らかにし、保健道路の発案者が北村徳太郎であることを明らかにした。次に北村の公園道路、慰楽地、自然観、風景術に関する考え方を整理したうえで、保健道路の路線説明を分析した。その結果、保健道路は東京市郊外のよい風景を有名無名問わず見せ、紹介する役割を持っていたこと、またそのため、保健道路は単独で完結した施設ではなく、そこを利用すること、周囲との環境などとあわさって始めて施設として意味をなすことがわかった。
著者
真田 純子
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.639-644, 2013 (Released:2014-05-08)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

The concern with planning of compact city has been growing. But few city practices it. It is quite likely that Japanese people have a fixed idea as linear urban district. Because Japanese cities developed along the intercity roads, instead European cities developed in the walls. The actuality of linear commercial district may be the knowledge to consider about the compact city adapted for Japanese cities. For this reason, this paper aims to clear the actuality of linear commercial district in the connection with previous urban area or new city planning roads. It can be comprehend the image of the urban area or its ideal dimension. For this purpose this paper treats 120 cities that adopt land use control. The analysis gives the following results: 1)117cities adopt the linear commercial district, 2) 90cities fixed linear commercial district along the new planned roads, and it means create new roadside shops. 3) Almost cities fixed it along the wide roads. 4) The mean of zoning of linear commercial district described in documents didn’t reflect each cites’ condition. 5) About 60% of the cities planned networked linear commercial district on bigger area than existent urban district.
著者
小川 徹 真田 純子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.38-48, 2012 (Released:2012-06-20)
参考文献数
50
被引用文献数
2

国立公園などの自然風景地における利用と保護のバランスは,国立公園制度の開始前から現在に至るまで課題となっている.本研究では本多静六の風景利用策を取りあげ,風景利用策における個別の計画を整理した上で,本多自身が何を風景資源ととらえ,それを生かすためにどのような空間改変を考えていたのかを明らかにすることを目的とした.その結果,風景利用策の背後に4つの考え方があったこと,風景資源は,風景地全体のイメージ,風景地内部の眺め,その土地の特徴を良くあらわす植物や地形などのほか,本多自身が「こうあるべき」と思う理想像の場合もあったこと,しかしそれらを生かすための空間改変については相互に矛盾する部分もあったことを明らかにした.
著者
中嶋 悠人 山中 英生 真田 純子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_747-I_754, 2014 (Released:2015-05-18)
参考文献数
8
被引用文献数
1

クロスバイク,ロードバイク等のスポーツサイクル(以下SC)は,普及しているシティサイクル(以下CC)に比べ,高速・長距離・長時間の走行が可能であり,全身運動にも優れているので,中距離通勤や健康活動に適しており,環境や健康に資する自転車利活用する上でSCの活用が着目されている.また,車道で走行するSC利用者は,歩道走行が中心のCC利用者に比べて,安全走行の手本(マナーリーダー)になり得ることが期待される.本研究では,SC利用者が,CC利用者よりも本来の自転車ルール・マナーに対する認知及び走行態度の安全性が高まっているかについて検証することを目的に,両者の自転車ルール認知度,運転態度を比較した.その結果,SC利用者の中でもレベルが高いロングサイクリストがマナーリーダーになる可能性を有していることが明らかになった.
著者
山中 英生 滑川 達 真田 純子 松浦 正浩
出版者
徳島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

公共事業の社会的合意形成において涵養とされる「中立的第三者」を制度的に成立するため、本研究では,(1)那賀川流域フォーラム(2002-2004)(那賀川の河川整備計画策定に当たって形成された参加型検討会)、(2)沖洲マリンピア整備手法検討委員会(2002) (高速道路ICの海浜埋立事業の見直しを行った委員会)(3)月見が丘海浜公園ワークショップ(2003-2005)(海浜埋立地の大規模公園設計ワークショップ)(4)北常三島交差点安全施策検討会(2005-2006)(幹線道路交差点安全施策,地域及び沿道住民,利用者,関係行政機関によって、コンセンサスビルディングの手法を忠実に実施した事例)(5)吉野川河川整備計画「住民の意見を聴く会」(2006-2008)(流域委員会に代わる方式として2006年度より始められた会。国土交通省が中立的ファシリテータとしてNPOを選定。NPOは行動規範,中立性確保のための条件を公表し、運営に当たった。)の5事例を対象として、多様な参加形態における「中立的第三者」が成立する上で必要な要件を分析した,平成21年度は,平成20年度までに実施した,以下の徳島県内の5事例に関するヒアリング,アンケート調査をもとに,我が国のPIにおける中立的第三者の成立性を明らかにした.また,吉野川河川整備計画「住民の意見を聴く会」のファシリテータグループのファシリテーションの行為言動を記録したビデオを用いて,ファシリテータの行為・言動が中立性に及ぼす影響について分析して、中立的第三者としての職能,倫理,契約、中立的第三者を社会的な役割として構成するためのロスターの試行と課題を整理した。