著者
岡本 昌 真田 純子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.1-12, 2016 (Released:2016-01-20)
参考文献数
8
被引用文献数
4

本研究は,広域的な連携をベースに保全のあり方を考える基礎研究として,以下の2点を目的とした.1)徳島県全域を対象に,棚田・段畑の石積みの保存状態の現状と技術継承の実態を明らかにすること.2)石積みの技術を明確にし,技術の違いや汎用性を明らかにすること.その結果,高齢化や過疎化による労力不足や後継者不足で,棚田や段畑の石積みの維持・保全ができていない地域が多いこと,石積みの基本は共通しており,石の特性の違いを知り,山石で積む技術を習得すれば,県内全域で積むことが可能であることが明らかとなった.
著者
岡本 昌子
出版者
日本刑法学会
雑誌
刑法雑誌 (ISSN:00220191)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.359-372, 2008-04-10 (Released:2020-11-05)
著者
向居 彰夫 岡本 昌三
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.19-21, 1959-07-10 (Released:2008-05-15)
参考文献数
4

MARDEN(1954)の報告に基き電極(直径4.7cm,長さ33cmの木製円柱の周囲に幅0.85cm,長さ27.5cmの4枚の銅板を90°の間隔ではめ込み,相対する銅板を同極となるよう接続する)及びパルス発生装置(パルスの周波数及び電圧を0~70c/s,0~10Vの連続可変とした最大出力約7W,インピーダンス6~10Ω)を作り25~30c/sの電流を用いて2秒通電,1秒切断を反復しながら電圧を0.7V程度から牛体の反応に応じて徐々に上昇させると,0.7~3.2Vでペニスが勃起し,3.9~6.4Vで射精が開始され,更に数回の反復刺戟によつて良好な精液を得ることに成功した。
著者
岡田 洋平 福本 貴彦 前岡 浩 高取 克彦 生野 公貴 鶴田 佳世 大久保 優 河口 朋子 岡本 昌幸 松下 祥子 庄本 康治
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.391-396, 2010-10-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
30

【目的】本研究の目的は,パーキンソン病患者および健常高齢者の足趾把持力を比較し,足趾把持力と疾患重症度および罹病期間との関連性について検討することにより,姿勢制御に重要な役割を果たす足趾把持力のパーキンソン病患者の特性を明らかにすることとする。【方法】対象はパーキンソン病患者25名,健常高齢者25名とした。評価項目は対象者の特性,足趾把持力,膝伸展筋力とした。データ分析は足趾把持力,膝伸展筋力の群間比較と患者の特性との関連性について検討した。【結果】パーキンソン病患者の足趾把持力は健常高齢者と比較して有意に低い値を示し,足趾把持力と年齢,疾患重症度,罹病期間には有意な負の相関関係を認めた。ヤール4度群は2度群と比較して有意に低い値を示した。【結論】パーキンソン病患者は健常高齢者と比較して足趾把持力が低値を示し,加齢や疾患の進行に伴い足趾把持力が低下することが示唆された。
著者
森下 剛久 清水 鈴昭 井村 洋 岡本 昌隆 小野 芳孝 斉藤 稔 中村 康一 松井 俊和 重村 はるひ 井野 晶夫 江崎 幸治 平野 正美
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.627-639, 1984 (Released:2009-01-26)
参考文献数
22
被引用文献数
2

Pulmonary complications were studied in 213 patients with leukemia and lymphoma. The incidence of pulmonary lesions was 38.5% and diffuse changes were encountered twice more frequently than localized ones. Etiological diagnosis during life was difficult. In 38 out of 62 cases with diffuse lesions, their etiology was not determined. In 9 out of 28 cases with localized lesions their etiology was not clear. In some of these cases autopsy clarified their etiology.Among localized cases, infection, mainly of bacterial origin and infiltration of underlying diseases were two main etiologies. On the other hand, diffuse lung lesions were of various etiology; 29 infections (bacteria 8, fungus 9, virus 8, p.carinii 2), 11 tumor infiltrations, 11 interstitial pneumonia, 3 vascular origins. In these cases with diffuse lesions of different etiology, clinical findings such as fever, cough, dyspnea, low PO2, high LDH, increased CRP, and hypoalbuminemia were observed, but not helpful in differentiating the etiology. Eight out of 11 cases of interstitial pneumoonia occurred during or after tapering of glucocorticoid.The mortality rate was as high as 54.4% of all lung diseases. Retrospective studies on the chest X-ray pictures showed that diffuse ill-defined opacities or multilocated consolidations were associated with poor prognosis.The diagnostic value of transbronchoscopic lung biopsy and therapeutic implications of empirical glucocorticoid administration for etiologically undiagnosed lung lesions were also discussed.
著者
岡本 昌三 石井 尚一 向居 彰夫
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.22-24, 1959-07-10 (Released:2008-05-15)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

1)ジャージー種牡牛2頭を人工気候室(室温昼間32°C,夜間30°C,湿度55~60%)内に5週間収容して,うち1頭の陰嚢を流水をもつて冷却し,他の1頭は対照として無処置とし,その間の精液性状の変化を調べた。2)精液量は漸増し,精子濃度及び1射精当り総精子数は漸減して,特に第4~5週において著明な減少が認められ,この傾向には両区間に差が認められなかつた。3)活力,異常精子率及び精子生存日数については,対照区では著しく悪化し,精子の運動力を示すものなく,異常精子率は約90%にまで及んだが,冷却区ではほとんど変化が認められなかつた。4)以上の結果から造精機能の保持に対する陰嚢冷却の効果は期待されないが,精子の成熟過程における高温の有害作用はおおむね防除し得ると考えられる。
著者
折原 紀子 佐野 真知子 藤代 岳雄 松浦 京子 岡本 昌広 鍵和田 聡 堀江 博道
出版者
The Kanto-Tosan Plant Protection Society
雑誌
関東東山病害虫研究会報 (ISSN:13471899)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.47-50, 2012-12-01

2010年10月に神奈川県茅ヶ崎市のコマツナ炭疽病甚発生圃場内または周辺のホトケノザとスベリヒユの葉に灰色~褐色の小円斑症状を認め,罹病部からは<i>Colletotrichum</i>属菌が高率に分離された。同地のコマツナ・ホトケノザ・スベリヒユ各分離菌を相互接種した結果,各菌とも病徴を再現し,接種菌が再分離された。各分離菌の病原性,形態的特徴およびrDNA-ITS領域の塩基配列の相同性から,分離菌をいずれも<i>Colletotrichum higginsianum</i> Saccardoと同定した。以上より,コマツナ炭疽病菌がアブラナ科以外の植物に病原性を有すること,同科以外の植物に寄生する炭疽病菌がコマツナに感染することが明らかになった。また,コマツナ炭疽病菌の伝染環の一つとして周辺野草が役割を果たす可能性が示唆された。ホトケノザとスベリヒユには<i>Colletotrichum</i>属菌による病気は未記録なので炭疽病 (新称) を提案する。
著者
植草 秀敏 岡本 昌広 草野 一敬
出版者
関東東山病害虫研究会
雑誌
関東東山病害虫研究会報 (ISSN:13471899)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.49, pp.23-29, 2002-11-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
6

熱水土壌処理および土壌還元処理を併用することにより, 深層部土壌に対する消毒効果を高めるための試験を行った。土壌還元処理のトマト萎凋病菌に対する影響を, コニカルチューブ内におけるモデル実験により調べた。その結果, フスマおよびショ糖を用いた土壌還元処理における菌密度低減効果は, 温度36℃以上, 土壌含水率20~25%以上, 処理期間144時間程度で認められた。フスマ熱水抽出液添加においても菌密度低減効果が認められた。淡色黒ボク土, 多腐植質黒ボク土, 灰色低地土において, 土壌還元処理による菌密度低減効果に差異はなかった。また, 汚染土壌を埋設した温室において両処理の併用試験を行い, 併用による効果が認められた。併用試験の結果はコニカルチューブを用いた試験結果とも一致した。両処理法の併用が土壌病害防除に有効であることが推察された。
著者
岡本 昌幸 徳久 謙太郎 梛野 浩司
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.95-101, 2014-10-01 (Released:2014-10-01)
参考文献数
30

高齢化に伴いパーキンソン病患者数は増加傾向にある.近年,パーキンソン病に対するリハビリテーションの効果に関するエビデンスが認められてきている.本稿では,パーキンソン病の歩行障害およびバランス障害に焦点を当て,最近の知見を基に介入方法を解説する.また,我々の行っているパーキンソン病患者に対する外来リハビリテーションプログラムについて紹介する.セラピストは最近の知見を確認し,各患者に適したリハビリテーションプログラムを提供することが重要である.
著者
中川 宏 橋本 不二雄 岡本 昌夫 八木田 恭輔 西河 光雄
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.153-160, 1977-09-25 (Released:2017-09-27)

The training effects of bench press on the arm and shoulder muscles were electromyographically examined. The subjects used in the experiment were six helthy young males and the muscles examined were the lateral and long heads of m. triceps brachii, the sternocostal portion of m. pectoralis major and the anterior portion of m. deltoideus. The EMG recordings were made with a 4 channel electroencephalograph (Nihon-Koden Inst. Co., Ltd.) utilizing surface electrodes, 10 mm in diameter. The training was performed twice a week and continued for six months. During the training period, the electromyographic recordings and the measurements of the extension strength at the elbow joint and the flexion strength at the shoulder joint were taken once a month. The results obtained were summarized as follows: 1)All subjects showed no visible changes in the discharge patterns of the lateral head of m. triceps brachii and the sternocostal portion of m. pectralis major throughout the training period. 2)The discharge patterns of the long head of m. triceps brachii and the anterior portion of m. deltoideus varied among the six subjects and were classified into three different types. Type A: The first two subjects showed the co-active discharges in the long head of m. triceps brachii and the anterior portion of m. deltoideus. Type B: In the next subjects, the discharge of the long head of m. triceps brachii appeared at the latter half period of the bench press motion. Type C: The discharge patterns of the last two subjects shifted from type A to type B during the training. When the maximum weight was loaded, however, the subjects in type C showed the similar discharge pattern to that of type A. 3)In type A and type C, the extension strength at the elbow joint, the flexion strengh at the shoulder joint and the maximum weight of the barbell for one-bout lift increased up to 132%-165%, 150%-184% and 147%-173% of the control, respectively. 4)In spite of little or no increase in the extension strength at the elbow joint and only 2 to 16% increase in the flexion strength at the shoulder joint. the subjects in type B showed 33 to 48% increase in the maximum weight of barbell for one-bout lift. 5)The decrease in the electrical discharges of the muscles at the minimum (16kg) and the light (31 or 36kg) loads observed during the training period might be due to the increase in the contractile force of the muscles at the level of individual motor unit.
著者
藤本 隆弘 房前 浩二 岡本 昌規 高田 光代 藤原 宏美 岩田 昌太郎 合田 大輔
出版者
広島大学附属福山中・高等学校
雑誌
中等教育研究紀要 /広島大学附属福山中・高等学校 (ISSN:09167919)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.145-156, 2004-03-22

本校では1982年より「生涯体育に視点をおいた授業実践」に取り組んできた。「体育の学び方を学ばせ,体育・スポーツの生活化」を目指し,「自ら学び,自ら考え」,自己を成長させていく「自己教育力」の育成をねらいとして実践してきた。今回の授業では,サッカーを通して,個やチームの課題を明らかにし,課題を解決するために意欲的に思考し,工夫する授業に取り組んだ。攻撃戦術(壁パス,オーバーラップ,スルーパス,スイッチプレー)を学習し,ゲームを楽しむために「練習(2対1)-試合(4対4)-課題練習-試合(4対4)-課題練習-試合(8対8)」というプログラムを組んだ。4対4,8対8のゲームの中で相手を意識したプレーを課題として思考し,工夫し,技能を高め,また,攻撃に対しての防御の仕方についてもグループで考え,課題をみつけ,工夫し,学ぶことができた。個・チームが課題解決のために,意欲をもって思考したり,メンバーの特長を把握したり,戦術を考えることができた授業になったと思う。
著者
都築 基弘 平野 正美 井野 晶夫 長谷川 明生 宮崎 仁 小島 博嗣 丸山 文夫 岡本 昌隆 松井 俊和 江崎 幸治
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.296-302, 2000

1984年8月から1998年1月までに受診した高齢者(60歳以上)AML全83例の特質を明らかにするために同時期に受診した若・壮年者(15&sim;59歳)114例と臨床像および検査所見の比較検討を行った。高齢者AMLは,白血病細胞側の特徴としてはMDS先行AMLが多く,<i>de novo</i> AMLのFAB分類ではM3が少なく,M0, M1の多い傾向がみられた。染色体検査では予後不良とされる5番,7番染色体の異常が多くみられ,予後良好な15;17転座,8;21転座,16逆位は少なかった。また白血病芽球のミエロペルオキシダーゼ陽性率50%未満の症例が多くみられた。宿主側の特徴としては,検査所見では末梢血芽球比率,総蛋白低値,フィブリノーゲン,クレアチニン高値を示した。performance status 3および4の症例が約40%を占めており,診断時肝障害,心疾患,明らかな感染巣を有する症例が多くみられた。高齢者AMLは若・壮年者に比し多くの予後不良因子をもつ集団であることが示された。
著者
稲垣 貴弘 中根 直人 岡本 昌明 森本 知昭 門崎 司朗
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
年次大会 2019 (ISSN:24242667)
巻号頁・発行日
pp.J18101, 2019 (Released:2020-03-25)

In this paper, we propose a method to evaluate vehicle dynamics performance using trajectory tracking control of autopilot system. In recent years, high performance is required as a need for vehicle. In the past, vehicle dynamics performance evaluation often relied on human driving, making quantitative evaluation difficult. Therefore, the autopilot system that controls the steering and pedals in a closed loop control was used to minimize the variation. The vehicle dynamics performance was evaluated from the steering stability tests such as "Straight" and "Lane change".
著者
岡本 昌夫
出版者
日本比較文学会
雑誌
比較文学 (ISSN:04408039)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.23-33, 1961

<p> It is commonly known that the New Style Poetry of the Meiji Era, called ' Shintaishi ' in Japanese, started under the influence of Western Poetry. In point of style and metre, the translation poems of the Early Meiji Era seem to have given examples for the New Style Poetry. Ōwada's <i>Ōbeimeikashishū</i> (Selected Poems from Famous Western Authors) published in 1894, is especially considered to be among those examples by the later Meiji poets, though there are some other previous works, such as <i>Shintaishishō</i> (Selections from New Style Poetry) translated by Inoue, Takayama and Yatabe.</p><p> In <i>Ōbeimeikashishū</i> Ōwada translated more than one hundred Western poems into Japanese in seven-and-five syllable metre verse, just as Inoue and two others had done in their <i>Shintaishishō</i>. But his selection of seven-and-five syllable metre in his translation was the result of deliberate consideration and experiments of the translator, not because of his imitative instinct. Ōwada composed various styles of poems previous to his <i>Ōbei- meikashishū</i> and found seven-and-five syllable metre fittest for the New Style Poetry.</p><p> Thus after many experiments by such translators, as Ōwada, the form of the New Style Poems of the Meiji Era was established, which was brought to its perfection by such poets as Shimazaki Tōson and Tsuchii. Bansui</p>
著者
大久保 優 梛野 浩司 岡田 洋平 生野 公貴 河口 朋子 岡本 昌幸 松下 祥子 高取 克彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.B4P2152, 2010

【目的】パーキンソン病患者の機能障害の一つとして,体軸回旋の減少など体幹機能障害があげられる。体幹機能は,ベッド上の寝返り動作や起きあがり動作,歩行時の方向転換,リーチ動作に重要な要素であり,パーキンソン病患者ではこれらの動作が障害されやすい。体幹機能障害は,Hohen & Yahr (H&Y) stage1~2の発症早期から生じると報告されており,病期が進行したH&Y stage3~4の患者では,円背や脊柱の側彎など体幹の変形が問題となる。パーキンソン病患者のリハビリテーションを効果的に行うためには,その特性を反映する客観的な体幹機能評価が必要である。体幹機能評価として,Trunk Impairment Scale(TIS)があげられ,パーキンソン病患者においても有用であると報告されている。しかし,TISの副項目では天井効果が認められており,項目数が多いため測定に時間を要する。もう一つの体幹機能評価として,座位側方リーチテスト(Sit-and-Side Reach test; SSRT)があげられる。脳卒中患者に対して,非麻痺側のSSRTを行った場合,その信頼性は高く,TISとの高い相関も見られ,体幹機能評価として有用であると報告されている。パーキンソン病患者においても,SSRTは体幹機能やその左右差を捉える上で有用である可能性があるが,そのような報告は見られない。本研究の目的は,パーキンソン病患者におけるSSRTと重症度や他の体幹機能との関係を調べ,その妥当性について検証することである。<BR><BR>【方法】対象は,パーキンソン病患者17名であった(平均年齢69.9±9.2歳,男性11名,女性6名,H&Y stage1:1名,2:2名,3:7名,4:7名,平均罹病期間7.3±5.7年)。全ての対象者は口頭指示を理解可能であった。腰痛や脊柱の手術の既往がある者は除外した。評価項目は,SSRT,TIS,Unified Parkinson's Disease Rating Scale part3 (UPDRS-motor)とした。SSRTは,ハンガーラックを用いて作成したスライド式の測定器と40cm台を用いた。測定方法は,開始肢位を40cm台上端座位,上肢90°外転位とし,側方に最大リーチするように指示した。初め三回を練習とし,その後二回測定を行いその平均値を統計解析に用いた。また,左右とも測定し,値が低い方を障害側の体幹機能を反映する指標と捉え,採用値とした。評価は抗パーキンソン病薬の影響を考慮し,服薬1.5~2時間後に統一した。統計解析は,Spearmanの順位相関係数を用いてSSRTとTIS,SSRTとUPDRS-motorとの関係について調べた。またH&Y stage3の患者群と,stage4の患者群のSSRTの差について,Mann-WhitneyのU検定を用いて調べた。<BR><BR>【説明と同意】全ての対象者には,口頭にて本研究の趣旨を十分に説明し,研究参加の同意を得た。<BR><BR>【結果】SSRTとTISの間には,有意な中等度の相関が認められた(ρ=0.51,p=0.04)。また,SSRTとUPDRS-motorとの間にも中等度の負の相関が認められたが,有意ではなかった(ρ=-0.45,p=0.07)。またstage4群はstage3群と比較して,有意にSSRTの値が小さかった(stage3群24.6±6.3cm,stage4群14.2±7.6cm,p=0.04)。<BR><BR>【考察】SSRTとTISとの間に中等度の相関が認められたことから、SSRTはパーキンソン病患者の体幹機能評価として有用である可能性が示唆された。また,SSRTとUPDRS-motorとの間に有意ではないが中等度の相関が認められたこと,stage3群と4群の間に有意な差を認めたことから,SSRTはパーキンソン病患者の重症度を反映する可能性もあると考えられた。今後は症例数を増やし,SSRTの長期的な変化や他のH&Y stageとの関係について検証する必要がある。また,パーキンソン病患者のSSRTの左右差や健常高齢者との差異について検証していく必要がある。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】パーキンソン病患者のリハビリテーションを行う上で,長期にわたって体幹機能を維持することは,身体機能やADL,QOLを維持する上で重要である。しかし,客観的で定量的な体幹機能評価は少ない。今回の研究結果より,SSRTはパーキンソン病患者の体幹機能評価として,有用である可能性が示唆された。また,今回の結果より,SSRTが重症度の差異を捉えることができたことと,定量的な評価であることから,長期にわたって継時的にパーキンソン病患者の体幹機能の変化を捉えることができる可能性があると考えられる。
著者
大久保 優 梛野 浩司 岡本 昌幸 千葉 達矢 徳久 謙太郎 松下 祥子 岡田 洋平
出版者
社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
雑誌
近畿理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.6, 2010

【目的】<BR> パーキンソン病(PD)患者では,発症早期より体軸内回旋の減少など体幹機能障害が起こり,その結果,歩行をはじめとした様々な日常生活動作が障害される。病期が進むと,脊柱の変形が生じ,呼吸機能や嚥下機能にまで問題が波及する症例も多く,体幹機能はPD患者のリハビリテーションを行う上で,非常に重要である。WrightらはPD患者と健常高齢者の体幹回旋の筋緊張を測定し,PD患者では有意に左右差が認められ,体幹筋の固縮に左右非対称性が認められたことを報告している。また,彼らはこの体幹筋の左右非対称性が姿勢や歩行障害に強く関与していると示唆している。これらのことから,PD患者の体幹機能を評価する上で,左右非対称性を捉えることが重要であると考えられる。しかし,PD患者の体幹機能を定量的に評価する指標は少なく,左右非対称性に着目した評価はほとんど見られない。<BR> 我々は定量的な体幹機能評価として,座位側方リーチテスト(Sit-and-Side Reach test; SSRT)を考案し,先行研究において,PD患者のSSRTの併存的妥当性について報告した。SSRTは左右各々の測定が可能であり,体幹機能の左右非対称性を捉えることができる可能性がある。そこで本研究では,SSRTの値およびその左右差を,健常高齢者とPD患者間で比較し,PD患者における体幹機能の特性について検証した。<BR>【方法】<BR> 対象は,PD患者19名(平均年齢69.6±9.0歳,男性12名女性7名,平均罹病期間6.5±5.1年,Hohen & Yahr(H&Y)stage 1:1名,2:2名,3:11名,4:5名)と年齢を一致させた健常高齢者16名(平均年齢68.8±8.6歳,男性5名女性11名)であった。全ての対象者は口頭指示を理解可能であった。腰痛や脊柱の手術の既往がある者は除外した。SSRTは,ハンガーラックを用いて作成したスライド式の測定器と40cm台を用いた。測定方法は,開始肢位を40cm台上端座位,上肢90°外転位とし,側方に最大リーチするように指示した。二回練習後一回測定を行い,その値をSSRTの測定値とした。また左右ともに測定し,左右の差の絶対値(左右差)についても算出した。PD患者の評価は,抗パーキンソン病薬服薬1.5~2時間後に統一した。統計解析は,Mann-WhitneyのU検定を用いてPD患者群と健常高齢者群の右側と左側SSRTの値およびその左右差について比較した。次にPD患者群の中から,既に脊柱の側彎など体幹の変形があるstage4の患者は除外し,stage3以下の患者群と健常高齢者群の右側と左側SSRTの値およびその左右差について比較した。<BR>【説明と同意】<BR> 全ての対象者には,研究の目的に関する説明を口頭にて行ない,自由意思にて研究参加の同意を得た。<BR>【結果】<BR> PD患者群では健常高齢者群と比較して左右とも有意にSSRTの値が低下していた。SSRTの左右差については有意差を認めなかった。stage3以下のPD患者群でも健常高齢者群と比較して左右とも有意にSSRTの値が低下していた。SSRTの左右差は,stage3以下のPD患者群が健常高齢者群と比較して有意に大きかった。<BR>【考察】<BR> Stage3以下のPD患者群と健常高齢者群の比較より,SSRTは軽度から中等度のPD患者と健常高齢者の差異を捉えることができ,比較的発症早期より体幹機能評価として有用であることが示唆された。また,stage3以下のPD患者群のSSRTの左右差が有意に大きかったことから,まだ著明な脊柱の変形がないPD患者では,側方のリーチ動作能力に左右差があり,体幹の可動性を含んだ体幹機能に左右非対称性を認めることが示唆された。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 客観的かつ定量的な評価にもとづき,長期にわたって体幹の可動性を維持することは,PD患者の身体機能やADLを維持する上で重要である。本研究結果より,SSRTはPD患者において,比較的発症早期から使用可能で,体幹機能の左右差を捉えることができる新しい定量的な体幹機能評価になり得ることが示唆された。今後はSSRTの継時的な変化について調査し,体幹の側屈変形の予測妥当性や左右差に影響を与える因子について検証する必要がある。
著者
岡本 昌夫
出版者
日本比較文学会
雑誌
比較文学 (ISSN:04408039)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.23-33, 1961-09-20 (Released:2017-06-17)

It is commonly known that the New Style Poetry of the Meiji Era, called ‘ Shintaishi ’ in Japanese, started under the influence of Western Poetry. In point of style and metre, the translation poems of the Early Meiji Era seem to have given examples for the New Style Poetry. Ōwada’s Ōbeimeikashishū (Selected Poems from Famous Western Authors) published in 1894, is especially considered to be among those examples by the later Meiji poets, though there are some other previous works, such as Shintaishishō (Selections from New Style Poetry) translated by Inoue, Takayama and Yatabe. In Ōbeimeikashishū Ōwada translated more than one hundred Western poems into Japanese in seven-and-five syllable metre verse, just as Inoue and two others had done in their Shintaishishō. But his selection of seven-and-five syllable metre in his translation was the result of deliberate consideration and experiments of the translator, not because of his imitative instinct. Ōwada composed various styles of poems previous to his Ōbei- meikashishū and found seven-and-five syllable metre fittest for the New Style Poetry. Thus after many experiments by such translators, as Ōwada, the form of the New Style Poems of the Meiji Era was established, which was brought to its perfection by such poets as Shimazaki Tōson and Tsuchii. Bansui