著者
長谷川 誠 永嶌 嘉嗣 和田 信昭 長尾 俊孝 石田 康生 長尾 孝一
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.1854-1861, 1999-07-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
20
被引用文献数
5 1

虫垂粘液嚢胞腺腫の1例を経験したので,その診断,手術術式などについての考察を加えて報告する.症例は77歳,女性.主訴は右下腹部痛と右下腹部腫瘤. 1カ月前より右下腹部痛と右下腹部腫瘤を自覚していたが(心窩部痛,嘔気,下痢などは認めなかった.),次第に症状が悪化し近医より紹介され来院した.右下腹部には軽い圧痛を伴う直径3cm大の腫瘤を触知した.超音波検査では右下腹部に20×17mm大のlow echoic lesionを, CT検査では回盲部に直径2cm大の中心がlow densityを示すmassを認めた.注腸造影検査では盲腸に透亮像は認めず,また虫垂は造影されなかった.また大腸内視鏡検査では,虫垂根部に粘膜の発赤と腫脹を認め,虫垂の内腔は閉塞していた.手術はまず虫垂切除術を施行し,術中迅速病理検査で虫垂粘液嚢腫との診断であった.しかし切除断端に腫瘍細胞が認められたため,回盲部切除を追加施行した.後日の病理学的検索では,多量のmucinの産生を認め, 7×12mm大のcystを形成し,これを取り囲むように一層の丈の高い円柱上皮を認めた. NC比は小さく核の形,大きさも比較的均一で異型性は少なく,最終診断はlow grade malignancyの虫垂粘液嚢胞腺腫であった.患者は術後14日目に軽快退院した. 3年経過後の現在患者は再発なく健在である.
著者
石田 康行 帖佐 悦男 矢野 浩明 山本 惠太郎 河原 勝博 田島 卓也 山口 奈美 崎濵 智美
出版者
日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会
雑誌
JOSKAS (ISSN:18848842)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.468-471, 2010 (Released:2011-02-10)

Partial-thickness articular-side tears of the rotator cuff were termed "partial articular surface tendon avulsion" (PASTA) by Snyder et al. Avulsion fracture of the medial aspect of the greater tuberosity in the region of the supraspinatus footprint was termed "bony PASTA lesion" by Bhatia et al. Kaspar et al. described a case of hyperabduction injury to the shoulder with fracture and extensive cavitary bone defect in the superolateral proximal humerus, caused by impression of the acromion.### We describe a case of bony PASTA lesion caused by hyperabduction injury to the shoulder. A 41-year-old male fell from a scaffold and hung from it. At that time, his left shoulder was placed in hyperabduction, causing a bony PASTA lesion. Because the displacement of the fragment was slight, he was given only conservative therapy for 7 months. He came to our hospital because motion pain and impingement in his left shoulder were not improved after 7 months. Physical examination revealed impingement sign and motion pain in his left shoulder. Radiographic examination revealed a 10 mm diameter cavitary bone defect and a small bone fragment of his injured greater tuberosity.### We diagnosed impingement syndrome caused by the small bone fragment, and performed arthroscopic operation. The bone fragment was removed, and the PASTA lesion was repaired with arthroscopic transtendon repair technique which preserved the superficial layer of the rotator cuff (arthroscopic PASTA repair). His postoperative course was good, and the preoperative symptoms disappeared.### In such cases, arthroscopic operation is best, because it is less invasive. 2004年Kasparらは肩関節過外転による肩峰と上腕骨の衝突で上腕骨近位に骨欠損と骨折を生じる症例があると報告し,2007年Bhatiaらは肩関節前方脱臼後に生じた棘上筋腱大結節付着部関節面側裂離骨折をbony PASTA lesionと称した. 今回,肩関節過外転で生じたbony PASTA lesionの症例を経験したので報告する. 症例は41歳,男性で建築作業中,足場より転落し左手でぶら下がり左肩関節過外転となり,左棘上筋腱大結節付着部関節面側裂離骨折を受傷した. 転位が軽度であったため近医にて保存的加療を行った. 左肩関節運動時痛,ひっかかり感が改善しないため受傷後7カ月で当科紹介受診となった. 画像所見上,上腕骨大結節に直径約10mmの骨欠損像と棘上筋腱大結節付着部関節面側に2×2×5mm大の小骨片を認め,小骨片による肩インピンジメント症候群と考え鏡視下手術を施行した. 小骨片は切除し,棘上筋腱関節面部分断裂を残存腱板を温存し,鏡視下に経腱板的に修復した(arthroscopic PASTA repair). 術後経過良好で術前の症状は消失した. 本例に対する鏡視下手術は鏡視による低侵襲での病変部の評価と残存組織を温存した修復が可能で最良の方法であった.
著者
長友 慶子 長町 茂樹 石田 康
出版者
メディカルレビュー社
雑誌
Pharma medica (ISSN:02895803)
巻号頁・発行日
vol.21, no.11, pp.133-137, 2003

ウイルス増殖抑制物質として1950年代に発見されたインターフェロン(IFN)は,悪性腫場・ウイルス性肝炎を中心に頻用されており,1992年には本邦でC型慢性肝炎に対しての保険適応を得た。IFNには,その一般的な副作用としての頭痛・発熱・倦怠感・食思不振などのほか,不眠・抑うつ状態・操状態・幻覚妄想・意識障害などの精神症状も数多く報告されており,コンサルテーション・リエゾン精神医学の領域で重要な問題となっている。###今回のわれわれは,C型慢性肝炎に対するIFN投与の中止から約3週間後に顕性化したせん妄の症例の脳血流量の経時的変化を観察し,臨床像と比較検討した。また,この症例の治療経過中,非定型抗精神病薬の1つであるクエチアピン投与後に,過鎮静や錐体外路症状などの副作用も出現することなく,せん妄による幻覚・妄想・精神運動興奮などの精神症状が消失したことに関しても若干の考察を加える。
著者
岸元 良輔 逢沢 浩明 吉岡 麻美 石田 康之 三井 健一 須賀 聡
出版者
長野県環境保全研究所
雑誌
長野県環境保全研究所研究報告 (ISSN:1880179X)
巻号頁・発行日
no.6, pp.13-16, 2010-03 (Released:2011-07-20)

霧ヶ峰においてニホンジカCervus nipponによる草原や湿原の植生への採食影響が懸念されることから、個体数変動をモニタリングするために2004〜2009年に道路沿い(延べ26km)及び八島ヶ原湿原でライトセンサス調査を行った。延べ58日の調査で、道路沿いでは、2006年までの3年間は平均発見頭数が20頭前後で安定していたが、2007年春から増加する傾向がみられ、2009年秋には約3倍の65.0頭になった。これは、2007年より1日の平均発見回数が増えたこと、及び2009年より1回の平均発見頭数すなわち群れサイズが大きくなったことが要因である。八島ヶ原湿原でも58日の調査のうち少なくとも33日で1〜23頭の入り込みが確認された。これらのことから、霧ヶ峰ではニホンジカの生息密度が高くなり、個体数が増えていると考えられる。
著者
石田 康幸 細田 英次 松尾 政弘 山本 利一 浅田 茂裕
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学紀要 教育学部 (ISSN:03879313)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.13-21, 2006

小学校学習指導要領、中学校学習指導要領及び高等学校学習指導要領では、全ての教科、総合的な学習の時間、道徳教育及び特別活動の中で環境教育のー居の充実が期待されている。これらは、1996年の中央教育審議会答申及び1998年の教育課程審議会答申による、環境教育の充実の方針を受けたものである。文部省(当時)は既に、1990年に環境教育指導資料(小学校編)、翌1991年に陪(中学校・高等学校編)7)、1996年には同(資料編)を、それぞれ作成し、小・中・高等学校における各教科を中心とした環境教育の展開方法の方向を示した。また、1998年の教育課程審議会答申では、基本的な考え方及び総合的な学習の時間に関する項目において、体験的な学習の重要性がそれぞれ指摘されている。一方、1999年に始まった「学力低下論争」や、2004年に相次いで発表されたOECDによる生徒の学習到達度評価(PISA)や国際教育到達度評価学会による国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の結果の一方的な解釈から、「学力低下」問題が政治的課題として浮上し、その対策が求められ、文部科学省は「学力」重視に踏み切ったと言われている。しかし、2006年2月に発表された中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会の「審議経過報告」では、持続可能な社会の構築が強く求められていることに触れるとともに、環境教育についてもエネルギーと環境問題の解決の観点から、さらに充実することを求めている。さて、新エネルギーの一つに位置づけられるバイオマス(生物資源)エネルギーは、計画的に効率良く使用すれば、大気中の二酸化炭素量を増やすことなく半永久的な利用が可能である。また、バイオマスを炭北して土壌に施用すれば、炭化物(以下、炭)はその重量の4割近くが炭素であり、しかも長期間にわたって分解しないため、大気中の二酸化炭素の増加を一層軽減することができ、温暖化防止に効果的である。さらに、炭の施用によって、土壌の物理性や化学性が改良され、これに加え、有用な土壌微生物の増加などの生物性も良好となることから、土壌の作物生産力を高めるとともに、土壌伝染性の病害防除にも有効であると思われる。また、炭は養液栽培用の培地にも適しており、さらに汚水や汚れた空気の浄化や酸性雨の中和などにも好適で、さらに、家畜糞尿などの有機濃厚汚液のろ材として優れた性能を保持していると言われる。このような背景の中で、著者らは主として、中学校の「技術・家庭科」や農業高校の「課題研究」さらには教育学部における栽培(農業)実習等での環境教育に関する製作教材用として、イネの籾殻(以下、籾殻)をくん炭化するとともに、その過程で発生する排(廃)熱をスターリングエンジン,などの外燃機関の熱源として利用できる簡単なくん炭化装置(以下、炭化装置)を空かん等を用いて試作したので、装置の概要と排煙中に含まれる排熱の温度、熱量、並びにくん炭の品質等について報告する。従来、籾殻くん炭の製造法には、個々の農家で小規摸に行われている専用簡易煙突を用いた方法や小型のくん炭製造機による方法等が知られている。また、籾殻を代替燃料として使用し、同時に産出される籾殻くん炭を利用するための籾殻燃焼炉による方法、あるいは、籾殻加熱ガス化利用システムによる製造方法等、多様なものがある。しかし、籾殻くん炭を製造するとともに、製造過程における排煙中に含まれる排熱を直接有効利用できる方式は見あたらない。
著者
森 定雄 西村 泰彦 高山 森 後藤 幸孝 永田 公俊 絹川 明男 宝崎 達也 矢部 政実 清田 光晴 高田 かな子 森 佳代 杉本 剛 葛谷 孝史 清水 優 長島 功 長谷川 昭 仙波 俊裕 大島 伸光 前川 敏彦 中野 治夫 杉谷 初雄 太田 恵理子 大関 博 加々美 菜穂美 上山 明美 中橋 計治 日比 清勝 佐々木 圭子 大谷 肇 石田 康行 中村 茂夫 杉浦 健児 福井 明美 田中 鍛 江尻 優子 荻原 誠司
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.497-504, 1995-06-05
被引用文献数
9 9

サイズ排除クロマトグラフィーによる分子量測定において, 異なる測定機関における分子量測定値がどれくらい異なるかを知る目的で, 傘下26測定機関で共同測定を行った.試料はポリスチレン(PS)3種, ポリメタクリル酸メチル(PMMA)2種で, 被検試料の測定条件と較正曲線作成条件は各測定機関で用いている要領で行った.その結果, 各測定機関での相対標準偏差は1〜3%と良好であったが、26測定機関による全平均値の相対標準偏差は13〜32%となった.測定データを吟味し, 望ましい測定条件からかけ離れているデータを除外した場合, PSのRSDは数平均分子量で13.6〜15.5%, 重量平均分子量で6.0〜9.4%となり.又PMMAではそれぞれ14.3〜16.0%, 7.8〜12.2%であった.