著者
福永 健二
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.98-104, 2017-01-20 (Released:2018-01-20)
参考文献数
30
被引用文献数
1

いわゆる「雑穀」の中で,アジアの農耕文化の歴史において重要な役割を果たし,なおかつ最近のゲノム研究で注目されているのが,アワ(Setaria italica (L.) P. Beauv.)である.本稿では,筆者らの研究グループが行っているアワの地方品種群の系統解析の結果と,人為選択や自然選択にかかわる2つの遺伝子の進化遺伝学的研究について紹介したい.また,ゲノムシークエンスを用いた今後の研究の展望についても触れたい.
著者
篠崎 隼也 福永 健司
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.103-106, 2009 (Released:2010-07-26)
参考文献数
7

ニシキギ属の落葉低木類の種子は強い休眠性を持つものが多く,発芽が不揃いになりやすい。そこで,含水率を31.8 %,27.2 %に低下させた同属のツリバナ,オオツリバナ種子に対する低温湿層処理とジベレリン処理の発芽促進効果を検討した。その結果,変温環境下の屋外の発芽試験では,2樹種ともジベレリン未処理のものは発芽ピークまでに50日間要したのに対し,処理を行ったものは20日前後に短縮された。また,ジベレリンの濃度は100 ppmから発芽促進の効果が見られた。なお,低温湿層処理の効果はほとんど見られなかったが,今回設定した種子含水率では休眠が浅かったためではないかと考えられた。
著者
北田 博之 山本 晴輝 山本 峻己 鈴木 昌人 青柳 誠司 高橋 智一 福永 健治 細見 亮太 高澤 智規 歌 大介 川尻 由美 中山 幸治 引土 知幸
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2017年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.897-898, 2017-09-05 (Released:2018-03-05)

蚊の針は細いが穿刺時に折れず,皮膚にたわみが生じない.本研究では,麻酔したマウスの皮膚に対する蚊の穿刺を倒立顕微鏡で観察し,蚊の針が皮膚を貫いて吸血する仕組み,ならびに口針を包む鞘である下唇の役割を解明しようと試みた.その結果,蚊の針の挿入時の下唇の動きや,蚊の血管を探す様子や吸血する様子,そして穿刺時に皮膚がほとんどたわまず,上唇を血管に挿し入れる時に血管が変形しないことが観察できた.
著者
正月 公志 福永 健司 橘 隆一
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.143-146, 2011 (Released:2012-03-14)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

ポット底面の空気根切り処理の違いが,苗の根系成長に与える影響を明らかにすることを目的とし,コナラとネズミモチの稚苗を底面の通気及び排水性の異なるポットに鉢上げしてから,615日間育成した。その結果,コナラについては,主根のルーピング防止効果が認められた。また,ネズミモチは,ルーピングの完全な防止効果は認められなかったものの,抑制効果は認められた。このことから,ポット底面の形状の違いがコナラおよびネズミモチの根系成長に対して顕著な影響を与えたと推測され,空気根切りを用いた苗木育成のルーピング防止または抑制に対する有効性が認められた。
著者
細見 亮太 新井 博文 安永 亜花里 矢萩 大嗣 安武 俊一 吉田 宗弘 福永 健治
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.76-82, 2021-04-30 (Released:2021-08-01)
参考文献数
22

北海道北見市常呂町で生産されているニンニク‘北海道在来’(ピンクニンニク)の生理機能の一つとしてアテローム性動脈硬化症抑制効果を動物実験により評価した。4週齢雄性アポリポプロテインE(ApoE)欠損マウスに高脂肪餌料(HF),HF餌料にさらにコレステロールを添加した高コレステロール餌料(HC),HC餌料にピンクニンニク粉末を5%(w/w)添加したニンニク餌料(HC-G)をそれぞれ自由摂取で与えた。飼育13週間後,常法により解剖を行い,血清および心臓を採取した。また解剖前に各マウスの1日分の糞を採取した。血清および糞の脂質濃度の分析,加えて心臓大動脈弁の脂肪沈着をOil Red O染色で評価した。HC-G群はHC群と比べ,血清総コレステロール濃度の低下,大動脈弁の脂肪沈着の抑制,糞への中性ステロール排泄量の増加が見られた。HC-G群では盲腸重量および1日に排泄される糞重量が増加したことから,ピンクニンニク粉末に含まれる食物繊維の作用により糞への中性ステロール排泄量が増加したと考えられる。これらの結果から,ピンクニンニクの摂取は,血清脂質の改善によって,アテローム性動脈硬化症の進行を抑制することが示唆された。
著者
吉田 宗弘 斉 悦 吉原 花織 細見 亮太 福永 健治
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.80-85, 2017-07-31 (Released:2017-11-30)
参考文献数
15

茶は微量ミネラルであるマンガンを豊富に含んでおり,マンガンの給源として重要である。緑茶に含まれるマンガンの栄養有効性を確認する目的で,4週齢のWistar系雄ラット18頭を3群に分け,低マンガン飼料(マンガン濃度0.45μg/g),低マンガン飼料に10μg/gのマンガンを炭酸マンガン,または緑茶抽出物として添加した飼料を与えて4週間飼育した。飼育期間終了後に各群ラットの肝臓,腎臓,小腸,脾臓,大腿骨,および脳マンガン濃度を測定したところ,いずれも低マンガン飼料投与群が他の2群に比較して有意に低い値を示した。一方,臓器中マンガン濃度において,炭酸マンガン添加飼料投与群と緑茶抽出物添加飼料投与群との間には差がまったく認められなかった。また,糞へのマンガン排泄量とマンガン摂取にもとづいて算定したマンガンの見かけの吸収率においても,炭酸マンガン添加飼料投与群と緑茶抽出物添加飼料投与群との間に差はなかった。これらのことは,緑茶に含有されるマンガンの栄養有効性が炭酸マンガンと同等であることを示している。
著者
益田 光 武井 理臣 橘 隆一 福永 健司
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.150-155, 2017 (Released:2018-03-15)
参考文献数
19

長期に低温密封貯蔵した種子は種子含水率の低下によって休眠が深くなっているため播種前に休眠打破をすることが望まれる。本研究では,落葉広葉樹 13種を用いて冷温湿層処理および暖温湿層処理と冷温湿層処理の組み合わせ処理を行い休眠打破に必要な処理期間や処理温度を調べた。冷温湿層処理に対する反応は樹種によって異なったが,概ね 3ヶ月間以上の処理期間で休眠打破された。冷温湿層処理と暖温湿層処理を施した 5種は 20.0 % 以上の最終発芽率を示さなかった。暖温湿層処理と冷温湿層処理を組み合わせると冷温湿層処理のみでは発芽しなかったマユミとガマズミが発芽したが,冷温湿層処理のみで発芽がみられた樹種の最終発芽率は低下した。
著者
飯室 正樹 中村 志郎 樋田 信幸 福永 健 松本 譽之
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.1021-1025, 2008 (Released:2008-11-05)
参考文献数
15
被引用文献数
5 1

大腸憩室症は食生活の欧米化,人口の高齢化にともない近年本邦でも増加傾向にある.また,重篤な合併症もしばしば経験されるようになってきている.以前は,急性虫垂炎との鑑別が困難な場合があったが,近年では,解像度の高いCT検査や超音波検査が普及し,多くの不要な緊急手術が回避可能となった.急性憩室炎に対する内科的治療は外来,入院とも抗生剤を中心としたものとなる.炎症所見はないが腹部症状を有する症例に対しても定期的な経口難吸収性抗生剤投与や食物繊維が有効である事が示されている.さらに,これまで炎症性腸疾患に用いられてきたメサラジンの他,LactobacillusやE. coliといったプロバイオティクス製剤に急性憩室炎の再発予防効果があることが報告され,注目されている.
著者
北田 博之 酒井 裕也 駒走 仁哉 高橋 智一 鈴木 昌人 青柳 誠司 細見 亮太 福永 健治 歌 大介 高澤 知規 引土 知幸 川尻 由美 中山 幸治
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2018年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.742-743, 2018-08-20 (Released:2019-02-20)

蚊の針は細いが穿刺時に折れず,皮膚にたわみが生じない.本研究では,麻酔したマウスの皮膚に対する蚊の穿刺を顕微鏡で観察し,蚊の針が皮膚を貫く仕組み,ならびに口針を包む鞘である下唇の役割を解明しようと試みた.その結果,皮膚表面における蚊の針の挿入時の下唇の動きを観察できた.
著者
上小鶴 孝二 福永 健 松本 誉之
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.2016-2021, 2011-12-25

要旨 潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis ; UC)の治療は免疫統御療法や抗TNF-α療法の保険適用など大きな飛躍を遂げた.白血球系細胞除去療法(cytapheresis ; CAP)も,2010年には,UCに対して,週における治療スケジュールの回数制限がなくなり,CAPのintensive therapyが可能となった.当院の検討でも,GMA,LCAPとも副作用なく,週1回法と同程度の割合の寛解導入がより速やかに可能であった.CAPのintensive療法は安全に効果を出すことが可能であるので,適用症例には積極的に行うべきと考える.
著者
吉田 寛 古田 智昭 福永 健司
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.512-519, 2003 (Released:2004-08-27)
参考文献数
6
被引用文献数
3 3

貝殻廃棄物を利用した酸性雨対策や強酸性土壌地における緑化手法「アルプラス工法」の概要について紹介する。本緑化工法は, 酸性矯正材 (中和材) として臨海施設や養殖産業から排出される貝殻廃棄物を調整加工したリサイクル資材「シェルレミディ」を用いることを特徴としている。この資材は, 中和効果が長期間持続するほか, 多くのミネラルを含んでいることから一般的な中和剤である炭酸カルシウムを使用した場合と比較して植物の成長を促進することができ, 植生基材や酸性矯正層の材料として使用することにより, 酸性雨や強酸性土壌が原因で植生の回復が困難な法面等における良好な緑化が期待できる。
著者
東海林 あさこ 福永 健司 橘 隆一 太田 猛彦
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.191-194, 2008-08-31
被引用文献数
2 2

下水汚泥炭化物の緑化基盤への適用可能性を検討するため,炭化物の理化学的性質を測定した。また,関東ロームに炭化物を異なる比率で混合した基盤で,コマツナ,ヤマハギ,ヤシャブシの生育実験を行った。その結果,下水汚泥炭化物には孔隙は少ないが,pHやECに問題はなく,無機態窒素や燐酸を多く含むため,土壌化学性の改善に有効と考えられた。生育実験では,炭化物の混合直後の播種や,混合率70%(体積比)でも発芽・生育障害は認められなかった。生育改善効果の高い混合率は植物によって違いが見られたが,コマツナとヤシャブシで10〜30%,ヤマハギで30〜70%であった。ヤマハギでは根粒形成も旺盛になった。以上から,下水汚泥炭化物は緑化基盤材料として適用可能であり,土壌改善効果が高いと考えられた。
著者
吉田 寛 古田 智昭 福永 健司
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.512-519, 2003-05-31
参考文献数
6
被引用文献数
3 3

貝殻廃棄物を利用した酸性雨対策や強酸性土壌地における緑化手法「アルプラスエ法」の概要について紹介する。本緑化工法は,酸性矯正材(中和材)として臨海施設や養殖産業から排出される貝殻廃案物を調整加工したリサイクル資材「シェルレミディ」を用いることを特徴としている。この資材は,中和効果が長期間持続するほか,多くのミネラルを含んでいることから一般的な中和剤である炭酸カルシウムを使用した場合と比較して植物の成長を促進することができ、植生基材や酸性矯正層の材料として使用することにより,酸性雨や強酸性土壌が原因で植生の回復が困難な法面等における良好な緑化が期待できる。