著者
竹井 仁
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.103-107, 2001-05-20
参考文献数
14
被引用文献数
2

Myofascial Release(筋膜リリース)とは筋膜の単なる伸張ではなく、筋膜のねじれをリリース(解きほぐす)することにある。筋膜制限に適用された隠やかな伸張は、熱を引き出し、リンパドレナージを改善し、筋膜組織を再編成し、そして最も重要である軟部組織固有感覚の感覚機構をリセットする。この活動により、中枢神経系が再プログラミングされる。さらに、運動療法あるいは神経発達学的治療を組み合わせることで、患者は新しい運動を学習でき、機能的な巧緻活動場面の中でその運動を応用していくことも可能となり、自立した機能の獲得へと前進する。最終的には最適の機能とパフォーマンスを最少のエネルギー量で達成できることが目標となる。
著者
池松 幸二 神野 哲也 加地 啓介 竹井 仁
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.959-964, 2018 (Released:2018-12-21)
参考文献数
25

〔目的〕THA後の股関節外転運動で臥位姿勢の違いが,筋力・筋活動・疼痛に及ぼす影響を検討すること.〔対象と方法〕THAを施行する20名を対象とし,筋力・筋活動・疼痛の測定を術前・術後3日・術後10日に行った.背臥位群と腹臥位群に振り分け,術後理学療法において,最大努力での静止性両側股関節外転運動を行った.〔結果〕股関節外転運動時の大腿筋膜張筋の筋活動は,背臥位群より腹臥位群で低かった.歩行時の中殿筋活動開始時期で交互作用を認め,術後3日では両群で術前より遅くなったが,術後10日では背臥位群より腹臥位群で早くなった.〔結語〕歩行時の中殿筋活動開始時期は THA後に遅くなるが, 腹臥位での股関節外転運動は背臥位での股関節外転運動より, 中殿筋活動開始時期を早めた.
著者
清水 洋治 須永 遼司 宇佐 英幸 市川 和奈 小川 大輔 畠 昌史 松村 将司 竹井 仁
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.200-209, 2016 (Released:2018-09-26)
参考文献数
18

本研究の目的は,条件の異なるスクワット動作遂行中における下肢関節角度の関係と下肢関節間の運動比率の存在,筋活動量の特性を明らかにすることとした。対象は,健常成人男性8 名とした。運動課題は,足圧中心の3 つの異なる条件(1:中間位,2:前方位,3:後方位)での両脚スクワット動作とした。結果,3 条件とも股関節角度に対する膝・足関節角度の関係は,直線回帰式で示せた。股関節角度を基準とした膝・足関節角度の運動比率(膝/股比,足/股比)は,3 条件とも一定に推移したがその値は条件間で異なり,条件1・2 ではそれぞれ1.1,0.4,条件3 では0.9,0.2 となった。筋活動量は3 条件とも,大腿直筋,内側広筋,外側広筋,前脛骨筋の活動が動作開始から終了にかけて有 意に増加した。前脛骨筋のみ動作間の違いがあり,条件2,1,3 の順で有意に活動量が多かった。本研究より,スクワット動作では下肢関節間に一定の運動比率が存在したが,その値は足圧中心位置により異なり中間・前方位より後方位で小さいことが示された。
著者
竹井 仁
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.378-380, 2007-12-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
4
著者
神谷 晃央 山本 拓哉 竹井 仁
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.773-777, 2010 (Released:2010-11-25)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

〔目的〕両上肢による支持や反対側下肢による支持の仕方で,股関節屈曲筋力値や股関節周囲筋の筋活動が異なるかどうかを検討すること。〔対象〕同意を得た健常成人男女各10名。〔方法〕股関節屈曲筋力値を両上肢による支持,反対側下肢による支持,支持なしの3条件で比較した。また,支持の仕方による股関節周囲筋への影響を確認するために,多裂筋・外腹斜筋・股関節屈曲筋群・大腿直筋・大殿筋・大腿二頭筋長頭の筋活動量を算出した。〔結果〕股関節屈曲筋力値は支持のない条件において有意に低い値を示した。両上肢による支持では両側外腹斜筋や挙上側多裂筋,反対側下肢による支持では反対側股関節屈曲筋群や反対側大腿二頭筋長頭の筋活動量が増加した。〔結語〕支持を行うことで姿勢保持筋の筋活動が上昇し,股関節屈曲筋力も増大した。
著者
宇佐 英幸 竹井 仁 畠 昌史 小川 大輔 市川 和奈 松村 将司 妹尾 淳史 渡邉 修
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.155-164, 2011-12-25

健常者24名(男女各12名)を対象に(平均年齢:男性21.3歳女性20.6歳),大腿・骨盤の動きと仙腸関節・腰仙関節・腰椎椎間関節の動きを,腹臥位と腹臥位・膝関節伸展位での股関節5・10・15°伸展位,15°伸展位から10・20N・mの伸展方向への加重を大腿遠位部に加えた肢位の6肢位で撮像したMRI(Magnetic Resonance Imaging: 磁気共鳴画像)を用いて解析した。結果,男女とも,股関節伸展角度の増加に伴って,大腿は骨盤に対して伸展し,骨盤は前傾した。股関節非伸展側の仙腸関節では前屈,第3/4・4/5腰椎椎間関節と腰仙関節では伸展の動きが生じた。しかし,第3/4腰椎椎間関節を除く各部位の動きは,10N・m加重時と20N・m加重時の間では女性だけにみられた。これらの結果から,他動的一側股関節伸展時の腰椎骨盤-股関節複合体を構成する関節の正常な動きが明らかになった。
著者
竹井 仁 柳澤 健 岩崎 健次 富田 浩 齋藤 宏
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.294-299, 1993-09-01 (Released:2018-09-25)
被引用文献数
4

歩行速度と勾配の変化に関して,生理的コスト指数(Physiological Cost Index : PCI)と METSとの関係を検討した。対象は健常男性10名で,MacGregor等による1周30mの8字型平地歩行でPCIを測定した。またトレッドミルを用いた平地歩行,勾配歩行,Bruce法による連続歩行について各々PCIとMETSを測定し比較検討した。PCIと歩行速度との関係は,各負荷とも有意な相関を示した。同速度に対するPCIの値はトレッドミル平地歩行が最も低く,勾配歩行,Bruce法による連続歩行の順に高かった。PCIとMETSとの関係は,勾配歩行で最も高い相関(r = 0.87)を示した。臨床的にはPCIという簡便な方法を用いてエネルギー消費を間接的に推測出来るが,運動負荷方法によりPCIが異なるため,応用するには注意が必要である。
著者
松村 将司 宇佐 英幸 小川 大輔 市川 和奈 畠 昌史 見供 翔 竹井 仁
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100760-48100760, 2013

【はじめに】アライメントは理学療法を行っていくうえで必ず評価するものだが、その基礎となるデータを包括的に示した研究は少なく、特に日本人を対象として年代別に調べたものはない。そこで今回、骨盤と下肢アライメントの年代比較と性差を分析した。【方法】被験者は20-79歳の健常成人141名(男68名、女73名)とし、A群:20-30歳代(男25名、女25名)、B群:40-50歳代(男21名、女25名)、C群:60-70歳代(男22名、女23名)の3群に分けた。平均年齢はA群:男26.6歳、女27.8歳、B群:男49.1歳、女50.3歳、C群:男69.9歳、女69.6歳であった。立位アライメントの測定は、一眼レフカメラ(Canon EOS Kiss X4)を用い正面像、側面像を撮影した。画像解析にはシルエット計測(Medic Engineering社)を用い、矢状面:骨盤前傾角度・膝伸展角度、前額面:骨盤傾斜角度・大腿脛骨角度(以下、FTA)・大腿四頭筋角度(以下、Q-angle)の解析を行った。navicular drop test(以下、NDT)は計測器を作成し測定した。立位での踵骨角度、腹臥位での大腿骨前捻角の測定はゴニオメーターで行った。分析には、各年代の男女それぞれにおいて左右の測定値に有意差がないことを確認し左右の平均値を用いた。結果は、二元配置分散分析と多重比較検定(Bonferroni法)で処理し、有意水準は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】本研究は研究安全倫理委員会の承認を得た上で、被験者には事前に研究趣旨と方法について説明した後、書面での同意を得て実験を行った。【結果】括弧内に平均値を、性差は男:女の順に示す。骨盤前傾角度とFTAは交互作用を認め、年代と性別に主効果を認めた。骨盤前傾角度は男性には年代差はなく、女性においてA群(17.5°)とB群(17.7°)がC群(13.7°)より有意に大きく、性差はA群(14.2°:17.5°)とB群(13.6°:17.7°)で女性が有意に大きかった。FTAは、男性には年代差はなく、女性においてC群(176.5°)がA群(174.5°)とB群(173.4°)より有意に大きく、性差はA群(178.1°:174.5°)とB群(176.7°:173.4°)において男性が有意に大きかった。以下の項目は交互作用を認めなかった。前捻角、Q-angle、膝伸展角度については、年代と性別に主効果を認めた。それぞれ、A群(10.6°、17.8°、180.8°)とB群(11.0°、19.0°、179.8°)がC群(8.3°、14.8°、176.5°)より有意に大きく、性差は女性が有意に大きかった(7.5°:12.3°、15.2°:19.1°、177.4°:180.7°)。NDTは性別に主効果を認め、男性が有意に大きかった(9.2mm:8.2mm)。骨盤傾斜角度、踵骨角度は有意差を認めなかった。【考察】年代比較の結果から、男性には年代による差がみられず、女性では60-70歳代に骨盤前傾角度が小さくなり、FTAが大きくなった。また、前捻角、Q-angle、膝伸展角度については男女含めた全体の平均として60-70歳代に小さくなっている。前捻角が小さいと股関節が外旋し、運動連鎖としてQ-angleは小さくなるため、以上の結果から、健常成人は60-70歳代に膝内反・屈曲傾向が強まり、特に女性では骨盤後傾と膝内反が強まることが示された。次に性差をみると、A群とB群において骨盤前傾角度は女性が、FTAは男性が大きく、C群では有意差を認めなかった。また、前捻角、Q-angle、膝伸展角度については、従来から言われている通り女性のほうが大きい結果を示した。そして、足部の回内程度を表すNDTは、男性のほうが大きい値であった。これらから、性差を比較すると男性は股関節外旋、膝内反・屈曲、足部回内位、女性は股関節内旋、膝外反・伸展位となっており、年代比較と同様、60-70歳代に女性の骨盤後傾、膝内反が強まることで、それ以前に存在した男女差がなくなったと考える。以上から、健常成人の場合、男性のみでは年代によって変化は現れないが、女性では60-70歳代に変化が現れることがわかった。特に骨盤前傾角度とFTAについては、女性特有の変化として注目する必要があると考える。また、男女含めた健常成人では股・膝関節に関連する項目が60-70歳代に変化しており、この年代がアライメントに変化が生じ始める重要な年代であると考える。【理学療法学研究としての意義】日本人における年代別間の骨盤と下肢アライメントを網羅して比較したデータはなく、健常成人における基礎データとなると考える。
著者
竹井 仁
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.49-54, 2000

顎関節症の治療は,その原因を明確にした上で実施することが大切である。理学療法の実施にあたっては,顎関節の解剖学や運動学を理解した上で評価が完全になされていることが重要となる。本論文では,欧米諸国の顎関節症の治療理論と実際をふまえながら,顎関節症の理学療法と生活指導について述べる。理学療法としては,物理療法の他に,マイオフェイシャルリリース,軟部組織モビライゼーション,アクティブ・ストレッチ,リラクセーション,下顎下制リリース,関節モビライゼーション,関節包内運動再教育訓練,筋力増強及び協調性訓練などについて概説する。
著者
名越 央樹 糸澤 季余美 川窪 美緒 見供 翔 竹井 仁
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A1314, 2008 (Released:2008-05-13)

【目的】腹横筋は脊柱安定化等に重要とされており、多くの研究が報告されているが、腹横筋エクササイズ(以下Ex.)が四肢の関節運動の反応速度に及ぼす影響についての報告は少ない。そこで腹横筋収縮の有無による膝関節伸展運動時の大腿直筋(以下RF)・外側広筋(以下VL)・内側広筋(以下VM)の反応速度・角速度の相違について腹横筋Ex.の影響を検討した。【方法】対象は健常男性10名(平均年齢21歳、身長172.0cm、体重61.7kg)とした。運動課題は、腹横筋自主Ex.(3週間)前後での腹横筋収縮無しと有りでの膝伸展運動とした(以下、課題1:Ex前の収縮無し、課題2:Ex.前の収縮有り、課題3:Ex.後の収縮無し、課題4:Ex.後の収縮有りとした)。腹横筋収縮方法は、事前にstabilizer(chattanoga社製)を使用し練習させた。測定肢位は背臥位にて膝下を台からおろした膝屈曲90°とした。試行回数は15回とした。課題2と4では、腹横筋収縮後0.5~4.0秒内にブザーを鳴らし、膝を伸展するよう命じた。多用途筋電図モニター(Polygraph System:日本光電社製)を用いて表面筋電図を、等速性運動機器(Biodex System3)を用いて関節トルク、角速度を測定した。そして、ブザーの直前0.2秒間で筋電数値、トルク数値の最大値、最小値をとり、合図後にその値を上回った時、もしくは下回った時の値を目安に筋電数値から潜時(以下PMT)を、トルク数値から反応時間(以下RT)を求めた。角速度は最大値をとった。Ex.は事前練習と同様の方法にて腹横筋収縮を1日60回以上毎日行わせた。統計処理はSPSSを用いて対応のある一元配置分散分析・多重比較検定(LSD法)を行い、有意水準5%未満とした。【結果】Ex.前後でPMT、RT、角速度全てに有意差が見られた。PMTは課題1と3でRF、VL、VMそれぞれ30.8、34.5、39.9、課題2と4で34.5、35.4、35.0、課題1と2で27.7、29.3、35.9、課題3と4で31.4、30.1、31.1[msec]短縮した。RTは課題1と3で42.6、課題2と4で48.2 [msec] 短縮し、角速度は課題1と3で36.8、課題2と4で26.0[°/sec]速くなった。膝伸展100%MVCはEx.前で182.5、後で182.3 [N・m]で有意差はなかった。【考察】この結果は無意識下での反応速度、角速度が速くなったことが言える。これは腹横筋Ex.により腹横筋の運動単位の動員、筋力の向上がおこり、四肢の動作に対する腹横筋の先行的収縮の向上、腹圧増加による脊椎安定性向上、脊髄運動細胞興奮性の促通作用の増大等の影響を与えたと考えた。今回の結果は、無意識下でも腹横筋を収縮させることが可能となることで反応速度が向上したことを示唆している。よって腹横筋収縮Ex.をすることは立ち上がりや歩行、スポーツ等の実際の動作の中で重要な意味を持つと考える。
著者
竹井 仁 池田 由美 岩崎 健次 柳澤 健
出版者
日本保健科学学会
雑誌
東京保健科学学会誌 (ISSN:13443844)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.97-102, 1998-12-18

目的:活動時心拍指数(以下BABI)から算出される、運動課題の難易度が最も低い歩行速度と、歩行距離1mあたりの酸素摂取量(以下Ed)から算出される最適歩行速度との間に関係があるかを検討した。方法:対象は健常男姓11名。運動課題は200m連続歩行とし、1周30mの8字型歩行路を用いた。運動課題の難易度は、被験者に任意に決定させた5種類の歩行速度とした。結果:BABIと歩行速度(以下V)は、BABI=0.0177V^2-2.5073V+148.188の二次方程式となった。BABIの最小値が55.7[beats]のとき、Vは73.7[m・min^<-1>]であった。一方、1分間あたりの酸素摂取量(以下Et)とVとはEt=6.194+0.001V^2の一次方程式となり、Et式の両辺をVで除すことでEd=6.194/V+0.001Vが得られた。Edの最小値が0.158[mlO_2・m^<-1>・kg^<-1>]のとき、Vは75.0[m・min^<-1>]となった。結論:Edが最小値となるときのVは最適歩行速度を示す。結果から、BABIの最小値から算出したVは、Edから算出した最適歩行速度に相当することが示唆された。
著者
神谷 晃央 竹井 仁 武田 湖太郎 村岡 慶裕 笹崎 義弘
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.219-230, 2013-03-25

THA術前患者における患側立脚相の骨盤側方傾斜から逆トレンデレンブルク歩行が認められた群(TI群)と見られなかった群(NTI群)に分け,歩行時の前額面における姿勢や運動機能の特徴およびその回復過程における両群間の差を明らかにすることを目的とした。初回の片側THAを受ける女性患者18名(TI群10名,NTI群8名)を対象とし,術前・2週・4週・6か月において,前額面における歩行時の骨盤側方傾斜や股関節可動域および筋力を比較した。術前の患側股関節内転可動域ではNTI群11.9度,TI群4.1度でありTI群が有意に低下していた。NTI群と比較してTI群では2週と4週で患側股関節外転筋力の低下,6か月で患側股関節内転筋力低下を認めた。結果から,逆トレンデレンブルク歩行の原因は,股関節外転筋力の低下を伴った患側股関節内転可動域制限の可能性がある。また,TI群ではNTI群よりも歩行時の姿勢異常や運動機能の低下が顕著であった。
著者
宇佐 英幸 竹井 仁 畠 昌史 小川 大輔 市川 和奈 松村 将司 妹尾 淳史 渡邉 修
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.155-164, 2011-12-25

健常者24名(男女各12名)を対象に(平均年齢:男性21.3歳,女性20.6歳),大腿・骨盤の動きと仙腸関節・腰仙関節・腰椎椎間関節の動きを,腹臥位と腹臥位・膝関節伸展位での股関節5・10・15°伸展位,15°伸展位から10・20N・mの伸展方向への加重を大腿遠位部に加えた肢位の6肢位で撮像したMRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)を用いて解析した。結果,男女とも,股関節伸展角度の増加に伴って,大腿は骨盤に対して伸展し,骨盤は前傾した。股関節非伸展側の仙腸関節では前屈,第3/4・4/5腰椎椎間関節と腰仙関節では伸展の動きが生じた。しかし,第3/4腰椎椎間関節を除く各部位の動きは,10N・m加重時と20N・m加重時の間では女性だけにみられた。これらの結果から,他動的一側股関節伸展時の腰椎骨盤-股関節複合体を構成する関節の正常な動きが明らかになった。